散り際の鬼、再び咲き誇る   作:心ここにあらず

36 / 37
とりあえずここまで!


IF クロスオーバー 2nd

 

 

一対一による十三番勝負。勝ち越した側の存続を認める最終闘争――

 

 

《ラグナロク》

 

 

後に、終末のワルキューレ

と呼ばれる戦いにおいて突如として乱入した者達…

 

 

 

"滅びの焔王"スルトと"剣鬼" 土方歳三の両雄達…

 

 

 

しかし、口を開いたのは闘技場て相対している2人ではなくーー

 

 

 

 

「おっほん…」

 

 

コツン、と杖の音が響く。

 

 

 

神観客席最上段。

 

 

黄金の玉座へ腰掛けた小柄な老人――

 

 

 

神々の頂点にして全宇宙神界最高議長の名を冠する男"ゼウス"

 

 

 

ゼウスは愉快そうに笑いながら、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

 

「いやいや、面白いのう」

 

 

 

その一言だけで。闘技場を包んでいた重圧が、僅かに揺らぐ。

 

 

 

「本来であれば乱入など認められん…ラグナロクは神聖なる十三番勝負じゃ…じゃが――」

 

 

 

ニヤリ、と。神の頂点は笑う。

 

 

 

「どうせ辞めよと口で言うても言うことを聞かんじゃろうて…そこにいる阿呆は正に"制御不能"の怪物じゃ…従ってーー」

 

 

 

ドクン……会場全体が息を呑む。そしてゼウスが杖を掲げた瞬間――

 

 

 

ーーゴォォォン!!…と天より巨大な鐘の音が鳴り響いた。

 

 

 

「これよりこの戦いを――《エクストラ・ラグナ》――即ち、“番外終末戦争”として認定する…」

 

 

どよめきが爆発する。正式なラグナロクではない。勝敗にも数えられない。

 

 

 

だが。神々の王自らが認めた、“特別試合”として正式に認められた

 

 

ゼウスは愉快そうに笑みを浮かべる。

 

 

 

「神も人も関係ない…ただ強者のみが立つ余興…儂ぁ、こういうのが大好きでのう」

 

 

これは最早余興などではない。一歩間違えれば、神界そのものが崩壊しかねない“災厄同士の衝突”だと。

 

そしてその時――

 

 

 

「……では」

 

 

 

女の声が人類側通路から響き渡る。

 

 

そして奥から漆黒のドレスを纏う一人の戦乙女が、ゆっくりと姿を現す。

 

 

 

"ブリュンヒルデ"

 

 

彼女は土方歳三――いや、悲鳴嶼歳玄へ静かに視線を向けた。

 

 

 

「…アンタは…」

 

 

 

「貴方にも必要でしょう…神を…怪物を斬る力が」

 

 

 

その背後からもう一つの影が現れる。

 

長い藤色の髪に静かな蒼眼…戦乙女の十三姉妹ではない。だが。紛れもなく神気を纏う戦乙女。

 

 

 

ブリュンヒルデが告げる。

 

 

 

「紹介します…私達ワルキューレ十三姉妹の従姉妹――“静寂の戦乙女”エイルです」

 

 

 

エイルは歳玄を見つめ、口を開く

 

 

 

「怖くないの?あの怪物が…」

 

 

 

「怖い?…ふっ…俺にもそんな感情があれば今頃真っ当に生きてるかもな」

 

 

 

「…」

 

 

 

「…けど…どこまで行っても俺は"剣士"だ…俺が感じるのは強ぇ奴と闘れるっていう興奮とそんな化け物相手に俺の剣がどこまで斬れるかっていう馬鹿な考えだけだ」

 

 

 

その台詞にエイルは小さく微笑む

 

 

 

「微塵も臆してないって顔ね…いいわ。貴方の刃……私に預けて」

 

 

 

その瞬間ーー

 

 

 

「おっ…」

 

 

ブワッ――!!…と桜色と蒼色の光が渦巻いた。

 

 

 

《神器錬成(ヴェルンド)》

 

 

 

戦乙女が武器へと姿を変え、人へ神殺しの力を与える禁忌。

 

 

 

エイルの身体が粒子となり。

 

 

 

歳玄の腰に差された刀…"名刀"【和泉守兼定】へと吸い込まれていく。カァァァァァ……と刀身が、変わる。

 

 

 

白銀だった刃へ、淡い桜紋様が浮かび上がる。

 

 

 

鍔には藤の意匠。そして鞘から漏れるのは――

 

 

神すら震わせる“死”の気配。

 

 

進化したその名を《"冥桜・和泉守兼定"》(めいおう・いずみのかみかねさだ)

 

 

 

そしてそれを見たヘイムダルが叫ぶ。

 

 

 

『ヴェ、ヴェルンド発動ォォォォォッ!!剣鬼・土方歳三!!戦乙女エイルとの神器錬成により、神殺しの刃を獲得ゥゥゥゥゥッ!!』

 

 

 

歳玄は静かに刀を握る。

 

 

 

「…はは…野郎…粋なことしてくれんじゃねぇか…」 

 

 

 

その瞬間。スルトの炎が、僅かに揺れた。

 

 

 

初めて…終末の王が、“敵”として認識したように。

 

 

ーーゴ ゥ ゥ ゥ ゥ ……と闘技場を包む熱量が、さらに増していく。

 

 

 

まるで太陽が地上へ降り立ったかのような灼熱により石畳は赤熱し。空気は歪み。観客席ですら汗が滲む。

 

 

 

その中心に立ち竦む“滅びの焔王”スルトとその魔剣《レーヴァテイン》より漏れ出る炎が、獣のように唸りを上げていた。

 

 

 

対するはまさしく静の始動を感じさせる佇まい…噴き上げる灼熱を諸共せず汗ひとつ流さないその姿には感銘を受けざるを得ない

 

 

 

 

ス……と悲鳴嶼歳玄――否。悲鳴嶼歳玄は、ゆっくりと腰を落とす。

 

左手は鞘へ。右手は柄へ。無駄を削ぎ落とした、ただ“斬る”為だけの構えを取る。

 

 

その瞬間だった。

 

 

 

ーーゾ ワ ッ……神観客席最前列にいた数柱の神々が、本能的に総毛立つ。

 

 

 

 

「……なんだ!?」

 

 

「この感覚は……殺気か!?」

 

 

 

熱ではない。まるで首筋へ刃を当てられているような――

 

 

 

“死”と言うものを具体的にイメージさせるほどの壮絶な殺気が会場を包み込む

 

 

 

ヘイムダルが叫ぶ。

 

 

 

『始まるぞォォォォォッ!!《エクストラ・ラグナ》!!終焉の炎王スルト!!対するは人斬りの修羅――土方歳三ゥゥゥゥゥッ!!』

 

 

 

その瞬間――ド ン ッ!!!!!

 

 

スルトが踏み込んだ。ただそれだけで闘技場が爆ぜる。

 

 

 

凄まじい熱風と巨大な体躯からは想像も出来ぬ速度。そして振り下ろされる《レーヴァテイン》。

 

 

凄まじい獄炎を帯びた斬撃が土方歳三へと襲い掛かる

 

 

 

その巨大と威力から繰り出される斬撃は最早ただの攻撃に留まらずまさしく“災害”そのもののようであった

 

 

 

ーーゴ ォ ォ ォ ォ ッ!!!!と炎の奔流が一直線に闘技場を焼き裂く。

 

 

 

観客席から悲鳴が上がる。まともに受ければ骨も残らないであろう一撃

 

 

 

だが――

 

 

 

その瞬間…ヒュ……桜が舞った。

 

 

 

 

ーー"桜の呼吸・壱ノ型・桜花一閃"

 

 

 

次の瞬間ーー歳玄の姿が、“消えた”。

 

 

 

『なっ――!?』

 

 

 

神々が目を見開く。そして遅れて。

 

 

 

 

ーーズ バ ァ ッ!!!!…とスルトの胸部から火花と花弁が同時に散った。

 

 

 

『斬ったァァァァァッ!?』

 

 

 

歳玄の神速の抜刀術はスルトを持ってしても回避すら許さず致命傷とも取れる切り傷を刻んだのであったーー

 

 

 

しかし

 

 

 

 

「…なに?」

 

 

 

 

歳玄はスルトの様子に意味深に呟いた。

 

歳玄の見つめる先、スルトの胸元…即ち己が切り刻んだであろう場所から飛び出たのら血飛沫ではなく、"マグマ"のようなドロっとした液体のみであった

 

 

 

 

 

「くっくっく…よもやこの我を出し抜く程とはな…貴様の名を述べよ」

 

 

 

「…俺の名は悲鳴嶼歳玄…又の名を土方歳三…好きな方で呼びやがれ」

 

 

 

「人間のくせに二つの魂を持つと申すか…誠に変わった男だな貴様は」

 

 

 

「はっ。うるせぇよ…それよりテメェ…不死身の類か??」

 

 

 

 

 

歳玄はスルトの胸元を見ながら問いただす。そこにはもう先ほどまでの攻撃の痕跡は消え去り元の状態へと戻っていた

 

 

 

「気になるのか?」

 

 

 

「…ちっ…」

 

 

 

「ならば我に勝てたら教えてやろうではないかっ!!!」

 

 

 

「っなにっ!?」

 

 

 

ーー《"焔王顕界"(スルト・インカーネイト)》

 

 

 

 

スルトの全身から炎が噴き出し、それと同時に強い振動が訪れ周囲一帯が揺れ始めた途端…

 

 

ーードババァァァ…と地面から多数の炎の炎柱が現れ瞬く間に会場全体を炎の結界で包み込む。

 

 

 

 

 

「ここは我の領域なり…貴様がいくら速かろうと我の攻撃からは逃れられんぞ」

 

 

 

「…なんつぅ熱波だこの野郎…」

 

 

 

 

あまりの熱気にたまらず歳玄の全身から汗が吹き出す。…そして瞬時に長時間の戦闘では己が不利になると察する。

 

相手は異様な回復力?を持つ怪物…そしてその相手の領域に踏み入れた時点で己が不利になるのは必然…誰がどう見ても不利に働いたのは歳玄…

 

 

しかしこの状況でさえ"剣鬼"はーー

 

 

 

 

「…おもしれぇ…」

 

 

 

"嬉々として嗤う"のであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ…なんなんだよあの人間はっ!?」

 

 

 

 

超高温で熱せられた闘技場の中で繰り広げられている激闘を見た神達が言い放つ

 

 

闘技場内部ではーー

 

 

 

ーー 《"滅葬炎(バルムンク)》

 

 

 

ーーボウッ!!…と人間が一撃で消し炭になってしまうような巨大な豪炎の塊が多数縦横無尽に駆け巡る土方歳三へと放たれる。

 

 

土方歳三はそれに対し、左右に高速で移動し交わしたり正面から降ってくる豪炎に対しては斬り刻むなど、超人的な技量で捌き切っていた。

 

 

 

 

「…はぁ…はぁ…」

 

 

 

 

しかし、途方もなく放たれる無尽蔵の豪炎に対し土方歳三は一度でも真正面から喰らってしまえばゲームオーバーという状況であり、流石の土方歳三でさえ全ての攻撃を跳ね返すことは至難の業であり所々火傷のような症状と僅かな疲労が垣間見始めていた。

 

 

 

 

 

「脚が止まって見えるぞ」

 

 

 

「「「まずい!!歳さん!?」」」

 

 

 

ーー《"滅焃黒焔"(ラグナ・フレイム)》

 

 

 

スルトが呟いと瞬間、手に持つ魔剣を一閃し、一太刀にしか見えないほどの高速の炎の斬撃として放つ

 

 

その情景に新撰組の面々は土方歳三の安否を心配する。勿論、彼等ほど土方歳三という人物を知り尽くした者たちはいないであろう。…それでも…そう心配せざる負えないほど目の前の怪物は強大で恐ろしく強い敵であった。

 

 

 

 

「「「…っ」」」

 

 

 

 

無数の炎の斬撃は土方歳三に避ける隙間も与えず直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"かのように見えた"

 

 

 

 

 

「「「っ!?歳さん!!」」」

 

 

 

「…ほう」

 

 

 

「…この程度で俺の命は殺れねぇな」

 

 

 

 

 

炎の斬撃が直撃したかのような爆風と轟音の中、煙の中から現れたのは、桃源で像形されたかのような美しい花弁で彩られた斬域に囲まれた土方歳三の姿であった

 

 

 

 

ーー桜の呼吸・伍ノ型・"流桜"

 

 

 

 

舞う刃は絶えず巡り、触れた炎の攻撃すら弾き、逸らす。間合いを許さぬ――攻防一体の円環であり誰一人として侵せぬ領域と成る。

スルトの獄炎ですら触れた瞬間に排される、“絶対拒絶の桜”であり土方歳三に取って最強の防御技である。

 

 

 

 

 

「見たこともない剣技でござるな。あの炎すらいなして見せるとは大したもんだ」

 

 

 

「あれは僕達も知らない領域の技だね」

 

 

 

 

 

互いに本戦に出場した人類最強クラスの実力者たち…"佐々木小次郎"と"沖田総司"ははそう呟いた

 

両者共に破壊力抜群の攻撃力と超再生に無双の防御術と無数の技のレパートリーを持つ者同士…ここから更にこの死闘は更にヒートアップし激戦と化していくのであった

 




補足として神器錬成(ヴェルンド)を使用している土方歳三は通常の悲鳴嶼歳玄より技に身体能力…全てが向上しています


それでも一筋縄では行かないのが"神の領域"です!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。