第1章:宣戦布告
春休み前の放課後。突如、街中のビジョンがジャックされた。
画面に映し出されたのは、西園寺玲二。
「ご機嫌よう、市民諸君。そしてスーパーガール。……かくれんぼは終わりだ」
西園寺の背後で、巨大な格納庫が開く。そこには、全身が緑色に輝く装甲で覆われた、全長20メートルの『対クリプトン用パワードスーツ・レックス』が鎮座していた。
「この街を人質に取る。私を止めたければ、東京湾埋立地の特設リングまで来たまえ」
◇
第2章:まどかの決意
教室がパニックになる中、まどかは静かに席を立った。
「……行ってくる」
「おい鮎川! どこ行くんだよ! 危ないぞ!」
恭介が止めるが、まどかは振り返らない。
(……これ以上、あいつの好きにはさせない)
彼女は屋上へ駆け上がると、誰にも見られない死角でセーラー服を脱ぎ捨てた。
光が彼女を包む。金髪が風になびき、青と赤のコントラストが夕焼けに映える。
「待ってなさい、西園寺!」
スーパーガールは音速で空を切り裂いた。
◇
第3章:クリプトナイトの雨
東京湾の埋立地。
パワードスーツに搭乗し、待ち構えていた西園寺は、飛来したスーパーガールを見るなり無数のミサイルを発射した。
「喰らえ! 全弾頭にクリプトナイト・ダストを搭載している!」
ドォォォォン!!
空中で緑色の粉塵が爆発する。
スーパーガールはバリアを張ろうとするが、霧のように漂うクリプトナイトが皮膚を焼き、体力を奪っていく。
「ぐっ……うあぁっ……!」
彼女は墜落し、コンクリートの地面に叩きつけられた。
「ハハハ! どうだ、立てまい!」
巨大ロボットの足が、スーパーガールを踏み潰そうとする。
◇
第4章:恭介の暴走
その様子を、恭介は現場近くまで走ってきて見ていた。野次馬根性と、鮎川を探すために来てしまったのだ。
「スーパーガールが……やられる!?」
恭介の足元に、瓦礫と一緒に鉄パイプが転がっていた。彼は恐怖で震えながらもそれを拾い上げた。
「やめろぉぉぉーっ!!」
恭介はスーパーガールを踏みつけていた巨大ロボットの足元に駆け寄り、鉄パイプで装甲をカン、カンと叩いた。
「彼女を離せ! この鉄屑野郎!」
「……虫ケラが」
西園寺は鬱陶しそうにロボットの腕を振り払った。その風圧だけで恭介は吹き飛び、海へ落ちそうになる。
「春日くん!!」
スーパーガールが叫ぶ。
◇
第5章:愛のカウンターパンチ
恭介が傷つけられた瞬間、まどかの脳内でリミッターが外れた。クリプトナイトの痛みなど、怒りに比べれば些細なことだ。
「……よくも!!」
彼女の瞳が真紅に燃え上がる。全身から青いオーラが噴出し、周囲の緑色の粉塵を吹き飛ばした。
「なぁっ!? パワーが戻っただと!?」
スーパーガールは光の矢となって突撃した。
ズガァァァァァン!!!
彼女の拳が、巨大ロボットの腹部装甲を貫通する。
「はあああああっ!!」
そのまま上空へ持ち上げ、成層圏近くまで放り投げると、目から最大出力のヒートビジョンを放った。
チュドォォォン!!
ロボットは空中で大爆発し、花火のように散った。
◇
第6章:連れ去られた恭介
「はぁ……はぁ……」
スーパーガールは地上に降り立った。
勝った。
しかし、脱出ポッドで脱出した西園寺は、まだ諦めていなかった。煙の中から、ステルス機能を持ったドローン部隊が現れ、海から這い上がろうとしていた恭介を捕獲したのだ。
「春日くん!」
スピーカーから西園寺の声が響く。
『……私の負けだ。だが、この少年は預かっていく』
「卑怯よ! 返しなさい!」
『返して欲しければ、私の最後の隠れ家……海洋プラント『アクア・パレス』まで来たまえ。そこで全ての真実を明らかにしてやろう』
ドローン部隊は恭介を連れ、海中へと消えていった。
スーパーガールは拳を握りしめ、水平線を睨みつけた。
「……絶対に許さない。待ってて、春日くん」
(最終話・11話へ続く)