ここだけコソコソ小話
時の神はヨグ=トソース⭐︎
かぐや達の暫定順位はあれからも上がり続けた。
投稿を開始始めた頃は8000位だったのが今や15位まで昇り詰めていた。
それに付随してふじゅ~が加算されていく
ふじゅ~は投げ銭の他にユーザーの心拍や脳波をスマコンで検知して、感情がポジティブに働いたと判断されれば運営から支払われる仕組みだ。
俺の様に誰かの神輿に乗って増えたファンとは違いかぐやの自力で心を動かして増えていったファンだ。それはそれは大いに稼げたことだろう
「うひひひひ大判小判がザックザック~」
なんとだらしのない顔だろうかよだれまで垂れてるし
「あのね、かぐや。こんなのは所詮あぶく銭、水物なんだよ」
酒寄がかぐやに釘を刺すように言った
「でも~~合法でございましょ~?」
…………それはそれとしてムカつくな
「せめて部屋は片づけてよ」
「俺の部屋寝る場所ないんだけど……」
それはほんとそう配信用のガラクタは配信のたびに増えていくので俺と酒寄の部屋を浸食し続けていた。四畳半の部屋二つを侵食してそろそろ寝る場所がなくなりそうだ
しかも今日はかぐやの初のソロライブの為に踊れるスペースを確保する為にガラクタの山の内六割を俺の部屋に移動しているため歩くスペースはどころか足を踏み入れる余地すらない
俺今日本当にどこで寝るんだろう…………
「え~無理だよこの部屋狭すぎるもん。引っ越そうよ、いい物件見つけたんだ!」
「マジで言ってるのそれ…」
二人の会話を聞いて、この生活の終わりが垣間見えた気がして気分が落ち込んでいく
「大マジ!あ、でももうすぐ時間だよ」
「「ああ、うん…」」
今はライブの事だけ考えよう暗くなりそうになった感情を作り笑いの後ろに隠して三人で【ツクヨミ】にログインした。
今回やるライブはゲリラライブでもなく歌枠でもない
【ツクヨミ】内のライブハウスを予約して、宣伝もして、スタッフも雇って客を入れる正真正銘のコンサートだ。酒寄こといろPは着ぐるみを着て参加となった。
流石に今回ばかりは、俺が参加するわけにはいかないので、口内炎が出来る程口内を嚙んで、
俺なんかが一人で大丈夫かと何度も言ったが
「だって~七夜最強じゃん!だいじょぶ!」
でごり押された他の運営スタッフも
「NANAYAさんが居るなら絶対大丈夫です!」
……俺にはそんな価値なんか無いとおもうけど…
ライブ開始の少し前待機部屋でかぐやが声を掛けてきた。
「にひひ、ふ・た・り・と・も♪」
チョキを突き出してお互いの指をくっつけてから挟みあい、それから指を影絵の狐の形にしてその狐の口の部分を合わせてから手のひらを重ね指を絡めるように握り合う
覚え方は
「ピースからの~チョキンからの~こんっ!んでもってぎゅ!」
だそうで、かぐやいわく
「かぐや達の合図!仲良しの奴♡」
らしい
沈んでいた感情が僅かに浮かび上がる
「じゃあ……頑張って」
そう言って待機室を出る
盛り上がりが最高潮に達しようとしている会場の最前列より少し前ステージを背にして立つ
いい加減顔も割れているので、柵を乗り越えようとしていた観客を睨みつけることで静止させることができた。
(七夜だったら出来なかったろうな)
そんな内心をより深い所に沈める少なくともこの感情は今は邪魔だ
「間もなくです5秒前!」
スタッフの合図が飛んだ。幕が上がり熱狂が押し寄せてくる
かぐやの初のソロライブは大成功に終わった
数日たった今でもSNSでの反響が乱れ飛んでいる
本当に
俺なんかが側に居ていいはずが無い
感情が深く落ち込んでいく
ここ数日
かぐやに買い物に誘われたが断ってしまった。今は作り笑顔も出来なそうだ。
どうにかガラクタの山を収納に押し込んで眠るスペースのみを確保した自室で横になる
ゲームをする気にも、八割ほど終えた夏休みの課題を仕上げる気にもなれない
何をする気にもなれない
暖かい騒がしさなんてない
真夏のうだるような熱気だけがこの部屋にあった。
その時スマホから着信音がした。
画面に表示された名前は”酒寄”
「はい…どう…」
「七夜!彩葉が!彩葉が!」
耳に付けたスマホから荒み切った感情を吹き飛ばしてしまいそうな爆音
暑さのせいなのか、先程の爆音が原因なのか頭がクラつく
「ぐぉ…耳が…」
「七夜!七夜!」
若干遠くなった耳から聞こえる声はかぐやのものだったそれも半泣きの
「何があったんだ?」
「彩葉の体があつあつで…うずくまっちゃって…」
泣いている声をどうにか聴き分けて判断できたことは、酒寄が意識を失う寸前である事そしてその原因が熱中症であろう事だった。
「今どこに居る!?とりあえずすぐに酒寄を日陰に…それから…えーと…水…いやスポーツドリンクを飲ませろ!近くに自販機はあるか!とにかくすぐに行く!」
かぐやから場所を聞き取り敢えず外に出れる格好に素早く着替えて、部屋にあったガラクタをなぎ倒しながら部屋を飛び出した。
信号を幾つか無視してクラクションを鳴らされながらかぐやから電話のあった場所へ着く
「酒寄!かぐやスポーツドリンクは…」
「飲ませたよ!彩葉大丈夫なの!?」
幸運なことに倒れそうになったのは自販機の前だったようだ
だが、酒寄の意識が薄い少し不味いかもしれない。
タクシーを捕まえてから
「酒寄!悪い…ちょっと触るぞ…」
酒寄を横抱きにしてタクシーに乗せるかぐやもそれについていくように言ってタクシーに乗らせる
「家に帰ってそれからシャワーを浴びさせてから着替えさせて上げて…えっと、あと冷房を効かせて…えっと…それから汗を拭いて寝かせてるんだ!」
しどろもどろになりながらかぐやに指示を出す。
「うん…七夜は…」
「なにか栄養が付きそうなものを買って来る!とにかく頼んだ!」
タクシーを見送りそのまま近くのスーパーへ駆け出す普段なら安い物を探して数店舗渡り歩くところだがその余裕は無い
飛び込んだスーパーでスマホで調べながら値段も見ずに品物を買い物カゴに放り込んでいった。
「…………」
気が付くといつもの自分の部屋でいつもの布団に寝かされていた
というか服着替えさせらえれてるし…
何をしていたか記憶を辿ろうとしながら体を起こすと、壁にもたれ掛かって座りうつらうつらと舟をこいでいる西尾が居た、なんで?なんて言葉が出てくる前に数日ぶりにみる友人の顔に驚いた
少し青白くなった顔に目の下にはくっきりと隈が出来ていたそれになんだかうなされているようにも見える
って西尾の事も心配だけどバイト!
起こした体を立ち上がらせようとするが身体が動かないそれどころか、起こした身体も再び倒れてしまう
「彩葉、しんどい……?」
台所に立っていたかぐやが駆け寄ってきて、心配そうにこえをかけてきた。
「平気、すぐ出るから」
なんて強がってみたが身体は動かないこれはダメな奴かもしれない
なら、せめて休みの連絡を……
「バイト休む連絡入れといたから…彩葉もう休んで…あとフカフカいっぱい置いといたからいっぱいフカフカしてね」
ふかふか?なにそれと辺りを見回すとぬいぐるみが布団の周りを包囲していた。
見ようによっては何かの祭壇のようだなんて考えていると
「ッ!?ァ…はぁはぁ…はぁはぁ…」
酷く荒い呼吸をしながら西尾が跳び起きたそれに額には大量の汗が滲んでいた。
心臓付近の服も掴んでいる
思わず駆け寄ろうとするが身体はやはり動かないので不格好に這いずるだけになってしまった。
代わりにかぐやが
「七夜!?七夜もしんどいの!?」
そんなことを言いながら西尾の方へ行った。
「ッア……かぐやか……大丈夫…俺なんかよりも酒寄を……」
焦点の合わない目をしながらこっちを見て
「目…覚めたんだなよしじゃあ…病院に…」
「七夜もだよ!病院いこ!一緒に!」
二人がそう言うが
「病院…お金かかるからやだ」
「そんなもん、かぐやにまかしとき!」
お玉を握った左手で力こぶを作って見せるかぐや、だけど…
「やっぱり無理だよ…」
自身に掛けられた布団を握りしめる
この体調なら下手をすれば入院だもしそうなったら……
「全部ギリギリで予定組んでるから…何日も休んだら……もう追いつけないよ……そうなったら……奨学金も……出ないかも……」
身体が弱っているせいかどんどんネガティブな方へ考えが傾いていく
「…………酒寄は頑張ってるよ…
西尾の様子がおかしいうまく考えが纏まらない頭でもそれだけは分かった
「何でそんなに彩葉は頑張らなきゃなの!七夜も変だよぉ!」
かぐやはせっかくの整った容姿を台無しにするように
顔から流れ出る水分を全部溢れ流しなら弱々しく言った
「ヒッグッ、エッグッ……かぐやのせい?かぐやが無理いっぱい言っちゃたせい?七夜が変なのもかぐやのせい?彩葉も七夜も死んじゃったらヤダぁ~」
「「大袈裟だって死なないって……」」
西尾と言葉が重なる
「だって、だって人間って映画とかだとすぐ死んじゃうじゃん!」
「映画の見過ぎだよ…」
「あれは、
どういう訳だか病人の私たちが看護人のかぐやの背をさすったり手を握ったりしてあやした
ほんとはもうちょっと書きたかったけど取り敢えず此処まで!
続きはすぐに書きます!お待ちあれ!
ここだけコソコソ小話ロングの予定だよ見たいのを選んでね☆
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