「「はぁ……」」
お互いに途方もない疲労感を持ちながらどうにか会話できるほどにまで、回復するのに15分ほど要した。
「……改めまして彩葉の兄の酒寄朝日です。彩葉と仲良うしてくれておおきにね」
「あ、はい、えっと…西尾七夜です。いろ……じゃない……妹さんにはお世話になっていまして?」
「なんべんも言うけどそないに緊張せんとって」
「が、頑張ります…」
努力はします。はい
「七夜君はさ、彩葉の彼氏だったりするのか?」
「ブッフ!?」
いきなりぶっこんで来たな!?さっきまでの申し訳なさそうな顔どこ行った!?
「あ、え、や、っと!?と、とまだちです!?」
動揺しし過ぎかよなんだ。とまだちって
「へぇ…彩葉じゃ不満なん?」
「!?いや、不満とかはなくてですね!?むしろそうなりた…でもなくてですね…えっと!?」
今度は声が低くて冷たい!?助けて!?彩葉!
「……ックックク…冗談やで」
物凄くニヤニヤしながら笑っていた。お、面白がってるのか?
「な、何だ……冗談か…ビビったぁ……」
「うん♪冗談や……緊張は解けたやろ?」
「解けましたけども!解けましたけども!溶けたけどさぁ!!」
もうちょっとこう…お年頃の男の子を揶揄わない形にはできなかったんですかねぇ!
二人で彩葉の事を話していると
「…………俺が家を出た時のことは彩葉から聞いたって言うとったね」
「……はい…………だから正直な話、少しあなたのことが嫌いです」
「……やろうなぁ」
彩葉から聞いた母親の話
誰かに助けを求めることは弱さを見せることで、弱さを見せると食い物にされる。そんな教えの事を聞いた。確かに世の中には人の弱さに付け入って、その人の骨の髄までしゃぶり尽くす類の奴が居るのは否定しない。家族のスクープを狙ってマスコミに追い回されたり、悪意のある切り抜きをする為に粘着されたり、それこそ俺自身のトラウマに起因する恩恵にあやかろうとする人達
でもそれは、教育するものであっても強要するものではない。当然幼い子供になら尚更だ。
「俺が家を出る条件は、彩葉と連絡を取らへん事やったんや……友達の事で付き合い方に口出しされたり、俺のやろうとすること全部にやるなら勝てって言われてな……そやさかい……どないしてもあの家に居たくなくなったんや……」
「それは…………また……」
凄まじい
凶悪さ加減でいえば、自分が出来ることは自分の子供も出来ると本気で思っていて何故出来ないのか分からずに 責して来る俺の母親と比べても遜色ない。
この人を強く攻めることが出来ない何故なら、形こそ違うが俺も家から逃げ出した身だからだ。
「家を出る前から彩葉は、母さんに認められたいって無理し始めとってな……母さんの言うことを何でも聞くようになっとたんや……せやけどさ」
うつむいていた顔を上げて
「かぐやちゃんの配信に彩葉が出始めた時は驚いたし、それ以上に何の躊躇も無く君に助けを求めた時は椅子から転げ落ちるくらい驚いたんや」
確かに出会ったばかりの時は誰かに助けを求めるどころか助けられることさえ拒否していたのはそういう事だったのか
「……不甲斐ないけど俺じゃ彩葉の支えにはなれんやろうからさ……だからこれからも彩葉を寄りかからせてやってほしいんや。」
前までの俺なら‘俺なんて‘とか‘俺なんかが‘とか‘俺ごときが‘なんて言って言葉を濁していただろうが
今なら自信をもって言える
「俺でよければ幾らでも」
「……………彩葉のことを宜しくお願いします。」
朝日さんは席から立ち上がり深々と頭を下げた。
その後もう少し話をした後朝日さんは部屋を出ていった。
俺がどのぐらい彼女の力になれるのかは分からない。それでも彼女が俺を必要としなくなるまでは、力になり続けようと誓うのだった。
「…………そっか引っ越すんだ……」
先程誓ったことがいきなり終わってしまいそうだった。
「…うん……かぐやも人気になったしセキュリティ対策にね」
この壁の薄い格安アパートにセキュリティなんぞないも同然だし仕方ないが、この暖かな日常が終わってしまう事に想像以上に気落ちしてしまう
「「………………………………」」
お互いにそれ以上言葉を紡げない彩葉も寂しく思ってくれるのなら気持ちも少しだけマシになる
「……………………その、帝と話したことなんだけどさ」
「あ、うん…………」
微妙な空気になってしまったので、朝日さんとのを話す事にした。
「俺と話す為にうちの兄……白夜兄さんが相当無理を言って彩葉のお兄さんに迷惑をかけたみたいでね……」
「…………大丈夫だったの?」
彩葉が心配そうに声を掛けてくる
「うん…平気…というか悩んでた事を何もかもぶち壊してくれたよ……物凄く疲れたけど…………」
「…………聞いても大丈夫?」
「うん…むしろ聞いて欲しい少しでもダメージが減りそうだし……」
「ごめん……失礼承知で言うね…………頭おかしいんじゃないの、その人」
「それは本当にそう…………」
今思えばイカレたエピソードがあった
「彩葉には衝撃的かもしれないけど…………あの人「俺は音楽で食べていく!!」って唐突に言い出して卒業間近だった大学を中退してバンドを始めたんだ…………」
「え…………どこの大学?」
「東大」
「え」
「法学部」
「」
「彩葉!?」
意識を失ってしまった。どうにか受け止めるのが間に合って地面に倒れるのを阻止できた。
「彩葉どうしたの!」
かぐやが風呂場から飛び出してくるが
「せめてタオルを巻けぇ!!!!」
「引っ越しの事なんだけどさ…………」
彩葉が意識を取り戻してからかぐやに脱衣所から出るときは必ず着替えてから出ることを約束させてると彩葉が声を掛けてきた。
「かぐやとも話したんだけど……その…………」
顔を赤く染めて毛先をいじりながらもごもご何かを言っていた。
「?ごめん聞き取れない」
「引っ越すときに七夜も一緒に来てって事だよ!」
かぐやが口を挟む
「えっと………隣に引っ越して来いと?」
保証人については白夜兄さんがどうにかしてくれるだろうから問題は無いが家賃が幾らかかるか分からないから軽々しく返答出来ない
「違うよ!同じ部屋に引っ越すの!」
「はぁ!?」
同居しろと言いなさったのだこのお姫様は。今現在も殆ど同居しているようなものだが、本当に同居するとなれば話が違う
「いやいや!?色々問題があるだろ!?彩葉さん!?いくらおねだりを断れないとはいえどもこのおねだりは断ってよ!」
「…………なん…………」
「ごめんなん…………」
「私達と住むの嫌なん?…」
「……………………」
好きな子が頬を赤くして、ちょっぴり涙目で方言でのお願いを断れる奴がいるなら出てこい
心の奥底から尊敬するし家族のサインでもあげるし、個人ライブでも握手会でもなんでも開いてやる
「では、また後ほど。15分くらいで着きますので。」
「あ、はい…ありがとうございます」
三人分の荷物がデザイナーズタワーマンションに運び込まれていく
家賃は月35万円。三人で割っても12万弱。前の部屋の約3倍強。眩暈がしそうな額
当然拒否どころか拒絶をしたのだが双方の
二人で出したとは言えども一体幾らしたのか考えるだけで震えあがりそうだった
さらには、電化製品もあれよあれよと買い揃えられていき、俺達が持ち込めたのは着替え類や勉強道具、配信道具だけだった。
かぐやは一人はしゃぎ回っていた。
昔、猫に山のように餌を与えて猫がドン引きする動画があったなぁと現実逃避するしかなかった
彩葉も似たような表情で現実逃避をしていた。うわごとの様に
「うわーすごーい」
と繰り返していた
はいこんなもんでどうでしょうか
アンケートも締め切りますね!やっぱり両方ですよね~…………頑張ります
ここだけコソコソ小話ロングの予定だよ見たいのを選んでね☆
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七夜のツクヨミ初ログイン
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彩葉と七夜が友達になった話
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黙って両方書け!