分岐条件
七夜がチョーカー型デバイスを完成させる
彩葉が恋心に気付いている
?????
「…ですのでここは自分ではどうしようもないという意味になります。また…」
夏期講習は今日が最終日だったのだが、講義の内容がまるで頭に入ってこない
今朝感じた悪寒、そしてかぐやと七夜は何を見たのか
七夜がした空中に手を振る仕草あれは、ツクヨミで何度か見た動きだった
瞳が輝いていたという事はスマコンを使っていたのだろうか
それに、かぐやの言った、怖がらせないであげてという言葉
つまり…………
「では、ここの訳を酒寄さん、わかりますか?」
しまった、全然聞いてなかった
「あ、えっと……わかりません……」
わかりません初めてこの教室でそう言った
「…………大丈夫ですよ。ここの助動詞は……」
担任の先生は少しだけ心配そうに席に着くように促してくれた
「かぐやっほー☆今日は甘白鯛の三枚おろし、やっていくよ!三枚おろしに必要なのは、まず根性!いい?出刃より根性だから!内臓グロくナイゾー、なんつって!」
結局何一つ手に着くことは無く時間だけが過ぎていった
部屋に戻る気にもならず、リビングでぼんやりとあてもなくテレビを見ていた
かぐやは宣言通り動画を撮影している
あれから数時間が経過したが奴らが現れる様子は今の所ない、だが不安は消えることは無い
またいつ奴らが現れるか分からない
だから常に神経をとがらせ続けているので、テレビの内容は殆ど頭に入っていない
ほんの僅かなノイズも聞き逃さないよう、ほんの僅かな空間の揺らぎすらも見逃さないように
「!?」
ガチャリと玄関から音が聞こえて、心臓が飛び上がった
反射的に空間に手を振るうが何も起きない
「ただいま…七夜大丈夫?…顔色凄く悪いよ…」
音の元は夏期講習を終えて帰って来た彩葉だった
「…………顔色悪いのはお互い様だよ……おかえり…」
帰って来た彩葉は、俺の隣に座って、俺の手を握ってくれた
「「……………………」」
「今は私が居るから少し休みなよ……倒れちゃうよ…」
不安そうに彩葉が顔を覗き込んでくる
「……あぁ…頼むよ…うん…じゃあ…………」
部屋で休ませて貰うよという言葉は続かなかった
ソファーから立ち上がろうとした時、酷く立ち眩みがして、ソファーの背もたれに倒れこむようにソファーに戻ってしまう
「ごめん…大丈夫……昨日あんまり寝られなくてさ……」
正直な話あんまり大丈夫ではない。ソファーに戻った途端に引きずり込まれそうな睡魔と頭が割れそうな頭痛と体の芯に鉛を流し込まれたかのような倦怠感が俺を襲っていたからだ
「………………………………」
「ぐえ!?」
彩葉がいきなり俺の頭を両手で持って引き倒してきた
僅かな衝撃の後、後頭部には暖かな柔らかさがありそして彩葉の端正な顔を見上げていた
「!?」
俺はなんと膝枕をされていた
頬に熱が籠っていき、飛び起きようとするが身体に力が入らない
「大丈夫じゃないやん……膝くらいならいつでも貸したるから今日は休み…」
彩葉が俺の頭を撫でながら言った
撫でてくれる彩葉の手の温もりが心地良い
誰かに頭を撫でられた事なんて今まであったっけなぁ…
「うん…じゃあ…ちょ…っとだけかし…」
それ以上口が回ることは無く、意識が深く落ちていった
俺が意識を取り戻したのは夕食前になってからだった
というか、布団の様にかぐやが俺の上に乗っかってきたことで目を覚ましただけなんだが
次の日、夏休みも終わり二学期が始まった
かぐやの事で不安はあるが学生である以上ずっと一緒にいる訳にもいかず
俺達は学校へ向かった。始業式で教師が言った内容も、新学期からの内容は碌に頭に入って来ず何度か教師に注意されてしまった
「…全然集中できないね」
「だな…」
隣の席に座る彩葉も集中出来ていないようだった
俺は、家族の能力を中途半端くらいに使えると思っていたが演技力については赤点の様だった
家に帰るとかぐやが昨日の配信で捌いた魚を握り寿司に変えていた。今に分かった事じゃないがかぐやは多才だ
「本当いろんな方向にスキルツリー伸ばすよね…特に創作系統に」
「フフン♪天ッ才かぐやちゃんですから~」
謎のキメポーズを出刃包丁を持ちながら決めていた
「はいはい、可愛いけど危ないから包丁は置けなー」
そんな会話をしていると彩葉が部屋着に着替えて階段を降りてきた
「かぐやさん、絶好調っすか」
「なんだそのキャラ」
「うっさい」
「ぐ…」
なんか彩葉が今まで見たことないキャラで話しかけてきた
本人もキャラじゃないのはわかっているのか照れ隠しにはいささか強めの肘が脇腹に刺さった
「お、彩葉いい所に来た♪」
金髪のスーパークリエイターは刷毛でささっと醬油を塗って、握りたての寿司を俺達の口に放り込んできた
イノシシ酸だかグルタミン酸だかそのあたりは詳しくないので分からないがとにかく
強烈な旨みが口内を満たした
「なにこれ、うますぎ」
「語彙力無くなる……うますぎる」
「でしょ?昆布締めにしたの!明日は麵からラーメン作るの!」
昨日までの暗さは何所へやらテンションが高いし、褒められてさらに興奮してブイサインを決めて見せた
「……………………よし」
「彩葉?」
何かを決めたよう顔でぼそりと彩葉が呟いた
そして続けて
「かぐや、七夜」
「「ん?」」
少しだけ詰まりながらかぐやと俺の名前を呼びながらスマホの画面を見せてきた
その画面には此処から一時間ほどの場所で行われる花火大会の広告だった
「あ、あそぼー……」
「お、おう?」
下手なかぐやの真似でのお誘いだった
「!!!やった!やたやた!やったー!やったー!やったぁぁぁー!」
かぐやは正しく狂喜乱舞といった様子で、はしゃぎ、乱れ、踊っていた
「すぐ行こう!今行こう!今すぐ行こう!」
握られていた包丁を投げ出して、手も洗わないまま俺達の手を握り、今までで一番目を輝かせながら玄関の方へ引っ張って行く
「待て待て待て!」
「待って、かぐや。落ち着いて」
「無理!やりたいことがいっぱいなんだもん!すぐ行かないと!」
二人で身体に力込めて静止しようとするが、かぐやの力は凄まじく二人がかりでも引きずられてしまった
「だからその恰好じゃ外出られないから!」
彩葉の言う通り俺達は全員、部屋着なのでとてもじゃないが外に出る格好ではない
それにキッチンの惨状が酷い
「片づけてからだって!後手も洗う!」
力では敵いそうもないので言葉で静止しようとするが
「大丈夫!服は着替えられるから!お店も……はいっ、今予約入れた!片付けは帰ってから!手も…はい洗った!さあ、行くぞー!」
「「せめて冷蔵庫にはしまえ!」」
冷蔵庫に白甘鯛をしまい、食器を食洗器に入れようとしたところで
「そんなもん、いいから早く早く!」
焦れたかぐやに二人で引きずられて、マンションから出た
「ねえ、かぐや急ぎすぎだから」
「頼むからちょっと落ち着いてくれ……」
「だってだって、彩葉から誘ってくれたの、初めてなんだもんっ!」
確かにこういう遊びに誘うのは、いつだってかぐやからだったのでかぐやは嬉しくてたまらないのだろう
「気持ちは分かるけど頼むからちょっと待ってくれ!?」
「やだ!」
あまりにも早い拒否だった
かぐやのせっかくだから浴衣を着て花火大会に行こうとの提案の元、引きずり込まれたのは駅前の手ぶらで入店OKを売りにしている和服レンタル屋さんだった
「ねーねー彩葉、七夜、かぐや二人の浴衣選ぶからさあ、二人でかぐやの選んで~♡」
「え、良いけど」
「センスにはあんまり期待しないでくれよ…」
「きゃっほーーー!い・ろ・は・に・に・あ・い・そ・う・な・の・はー♪な・な・や・に・は・な・に・が・に・あ・う・か・なー♪」
スキップでもしそうなほど、ルンルンで歌いながらかぐやは選び始めた
「かぐやに似合いそうなのは………」
「こっちはどう?」
十分ほど店内を吟味して浴衣を選び終えた
「似合いそうなのって言いはしたけど、大分俺達の好みが入ったよね」
「だね」
かぐやが彩葉に選んだのは、紺色に淡い黄色一色でひまわりが描かれた落ち着いた浴衣
彩葉がかぐやに選んだのは、白地に大輪のひまわりが描かれた元気な印象の浴衣
かぐやが俺に選んでくれたのは黒地に五枚の花弁がやや反り返っていて、星の形に開けた赤い花が描かれた浴衣だった
俺は着付けだけなので一足先に終わって手持ち無沙汰だったので何となく気になって店員さんに描かれた花について聞いてみるとカランコエという多年草だそう
かぐやは店員さんに
「めっちゃ仲良さそうですね~」
聞かれて
「やっぱわかっちゃうか~」
そう返して続けて俺達の自慢を始めた恥ずかしいからやめて………
トモコレやってて遅れました反省はしてる
ここだけコソコソ小話ロングの予定だよ見たいのを選んでね☆
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