超かぐや姫!~超人に脳を焼かれた廃人~   作:三流ゲーマー

31 / 33
はいどうも三流ゲーマーでございます
唐突な展開、ご都合主義な展開等が発生いたしますがどうか最後までお付き合いくださると嬉しいです。


掴む結末

()()負けてしまった……筈だ

()()かぐやを守れなかった…………筈だ

かぐやの為にReplyの続きを作ってかぐやに届くようにあのブレスレットを握って月に向かって歌い終わった途端に今までの記憶がはっきりしなくなった

それまでは、かぐやと()()()過ごした日々、日常を当たり前だと思っていたでもかぐやに歌を送った時からから当たり前が違和感へと変化した

三人分の食器、誰も居ない誰かの部屋、女性しか居ない筈のこの家に何故かある男性物の衣類、かぐやの残したレシピに紛れたかぐやの筆跡じゃないカレーのレシピ、何故か兄と兄の友人から買い与えられたタワーマンションの一室、不自然な空間のある写真、行った覚えのない水族館のキーホルダー、教室の空席、何よりも私に心に開いた大きな穴

違和感に気付けば気付くほどに心の穴は大きく広がっていき痛みが増していく

私は何を忘れている?何を覚えていない?何を失った?何が欠けている?

何が足りない?

広くなってしまった部屋を歩き回る

卒業ライブの後かぐやを探し回った時のように

キッチンの戸に触れる

 

「ん~…晩御飯何作るかなぁ…彩葉何か食べたいものある?リクエストがあるなら頑張ってみるけど……」

 

ああ…やっぱりだ。誰かの残滓がある

 

配信部屋に入る

 

「つ、疲れた……流石にトッププロ相手に100人切りはキツイ…お腹空いた…今日の当番彩葉だったよね…晩御飯何か聞いてもいい?」

 

此処にもある…残滓が、欠けてしまった大切な物(思い出)がある

 

ガラクタ(大きなカブトムシの角のオブェ)に触れる

 

「絶対要らない…本当になにこれ…散々駄々こねたから残したけど何に使うんだよ…どう思う?

 

かえして…わたしからとったものをかえしておねがい…かえして

それは、かぐやと同じくらい大切な物(大好きな人)なの…………

 

 

 

 

部屋を歩き回る程に残滓が見えて穴が広がっていく

足取りがおぼつかなくなってソファーに倒れ込んでしまう

 

 

「ねぇ…」

 

「にゃ、にゃに!?」

 

「?…………去年の俺達に高級タワーマンションに住むなんて、言っても信じないだろうなってさ」

 

ああ…そうだった…………私はここで気持ち()に気付いたんだ

やっと見つけた私の大切な物

奪った奴がどんな存在か知らないし対して興味もない

 

七夜を返せ七夜を返せ七夜を返せ七夜を返せ七夜を返せ…私の物だ返せ

そうだ…七夜…………それが私の大切な物

私の大好きな人

私の一部

全部思い出した

全部取り戻した

でも彼は此処に居ない

月に帰ってしまったかぐやと同じようにもう会えないと脅迫概念じみた何かがある

どこにいるの?

声を聞かせてよ

手を握ってよ

慰めてよ

 

「七夜…かぐや…」

 

二人を求めて泣いている私は小さい頃の私と何も変わっていない

お母さんと向き合えて少しは変われたと思ったけれど変わってない弱いままだ

 

「どこよ…何所に居るんよ…あんたまで…おらんようなったら私は…私は…」

 

癒えぬ傷の上からまた深い傷を負った…………負っていたが正しいかな

もう…何でもいいか

私は…もう立ち上がれない

立ち上がったってまた何かを失うんだ

だったら、うずくまって泣いていた方がずっといい

 

「いつまでそないして泣いてて、解決するんやったら好きなだけないとってええよ。出来とったことも出来んようなって腐っていくだけや。だから言うたやろ信用できるんは自分一人やって」

 

振り切った筈の呪縛がまた深く根付いていく

もう眠ってしまおう

思い出を抱えたままゆっくりと弱って、腐って、死んでしまうまで…………

 

BAD END…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッサ!

 

 

「ぐぇ!?」

 

「ぇ…?」

 

帰してくれるにしてももうちょっと優しく帰してもらえないものなのだろうか

3メートル程の高さから落とされたせいで背中を打ち付けた

 

「痛ってぇ…」

 

「ぁ……ぁ……ぁ……」

 

この帰され方だと下手したらベランダの外側に帰されてそのままDEADENDコースもあり得た訳か…こっわ

 

取り敢えず彩葉とヤチヨのところに行こう

 

や……な…七夜…七夜…七夜…

 

「や、彩葉。…なんか…やつれた?」

 

隈が前より目立つ…憔悴しきっているみたいだけど…今何時だ?

あれからどれくらい時間が経ったのかわからない外が明るくなってるから5、6時間程経ったのかな?

 

「彩葉、ヤチヨのところに…」

 

「七夜ぁ!!!」

 

「グワー!!」

 

抱き付かれてそのまま押し倒された

 

「ちょ!?ッま!?なに!?」

 

「七夜…七夜…七夜…あ、あ、あ、あ、ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ぎゅぅぅぅ

 

「痛い痛い痛い!?何何!?落ち着いて!」

 

「ああああああああああああああああ!!」

 

ホントに何!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い…一週間もたってんの…?!」

 

彩葉を落ち着かせるのに小一時間程掛かって、話を聞いてみると卒業ライブからなんと一週間も経過していたのだ加えてその期間の間、西尾七夜という一人の人間が存在していない事に何の疑問も覚えなかったと

嘘だろ…と言いたい所だけどスマホに表示された日にちは9月19日を指していてた

とりあえず卒業ライブ戦いに参加していた友人達とバイト先、兄に連絡を入れた

彩葉のようなに連絡を入れて取り乱しまうような人達は居らず

バイトの無断欠勤は重病によって欠勤の連絡を入れていた事になっていて

友人達は俺は彩葉以上に塞ぎ込んでいたということになっていた

行方不明通り越して存在不明になっていたのに、都合良く調整されていた。アフターケア的なアレなのかな。どうでも良いけど

 

俺が存在していなかった状態を彩葉だけが認知していた理由は知らないし調べる気もないが

 

それはそれとして……彩葉が離れてくれない

今の状態はソファーに座っていてそこに彩葉が正面から抱き付いている状態だ

 

「……彩葉さん…そのそろそろ離れて…」

 

「や」

 

言い切る前に拒絶された。せめて単語で断ってくれない?

さっきまで死にかけてたせいで、生存本能的なあれこれと普段より強く香る彩葉の匂いと体温で色々不味い

頑張ってくれ精神力

負けるな理性

出番じゃない座ってろ

 

 

 

「…その…さ…全部片付いたら何があったか話すからさ…ヤチヨの所に行かない?」

 

「……ん…」

 

抱き付かれているので顔は見えないが小さく頷いたのは分かった。離れてはくれないみたいだけど

 

 

 

 

 

 

抱き付かれたままツクヨミに潜ると従来のモニターにヤチヨの配信が映し出されていて、何人かのアバターが立ち止まってモニターを眺めていた

 

『ヤチヨは最近ドジョウ掬いを練習してるんだー。すっごく面白い踊りだから紹介するねー。じゃ、いくよ。あ、それっ♪あ、よいしょっ♪』

 

何だあれ

歌枠以外はヤチヨの配信はほとんど見てないのでトンチキ配信に面食らう

 

「あれ…再放送だよ…」

 

ヤチヨガチ勢の彩葉曰く再放送なようだが

ヤチヨに何かあったのだろうか?連絡を取ろうにも電話もメールも繋がらない

ここなら会えると思ったが………

 

「んあ?」

 

「ん?」

 

視界の端で白い何かが動いた。こちらに気付いたようで逃げていった。咄嗟に追いかけた

 

「ちょっま!おま、何で!」

 

「待て!、何であんただけで」

 

こんなにすばしっこいのかあいつは

ちょかまかと路地を駆け回って、ようやく袋小路に追い込んだ

 

「「どこにいるか、教えて」」

 

立ち止まったFUSHIに向かって尋ねた

いつもヤチヨの傍に筈のFUSHI

ヤチヨと一心同体の筈のFUSHIは、

 

「………!」

 

こちらを振りむとFUSHIの顔は驚愕に染まっていた

驚いたってことは…

 

「FUSHI…お前…俺のこと…」

 

いや…今はいい。まずは、ヤチヨだ

 

「……ヤチヨはどこに?」

 

「………」

 

…口を噤んでこちらを見つめている。答える気はないようだ

ならいい

 

「自分で探すよ」

 

彩葉の言い捨てた言葉に従って踵を返すと

 

「…ばかたれ」

 

ようやくFUSHIは口を開いた

 

「…どこを探すつもりだ?」

 

そんなもん決まってる

 

「「教えてくれないなら、世界中」」

 

別の俺に渡された物が何なのかわからないがきっとかぐやに会えると根拠のない自信があった

 

「………目を開けてみろ」

 

目?何のことか一瞬わからなかったが瞼を開いてみると

 

「こっちだ」

 

何故かFUSHIが部屋にいた。現実世界のこの部屋にFUSHIがいて、俺達を導くように走り出した

 

「ちょ!彩葉離れ…待った、待った!」

 

ARモードが起動していること外に行くなら着替えなきゃとか考えることはたくさんあるけど彩葉が離れてくれないと何も始まらない

 

「………ゴメン落ち着いた」

 

ようやく彩葉は冷静さを取り戻して抱擁から解放してくれた

 

「…ハァ…いくぞ」

 

着替えるのは待ってくれないようなので部屋着のままFUSHIを追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

FUSHIは現実世界を知り尽くしているようにすいすいと街を駆け抜けていった

角を曲がり、坂を下り、電車にまで乗ってとあるマンションの一室まで俺達を導いた

 

「ここだ」

 

部屋の鍵は開いているようでゆっくりと扉を開くと

 

「「何(何だ)、ここ?」」

 

そこはサーバールームのような場所で、大量のPCとストレージ機器にネットワーク機器が雑然と詰め込まれていた

そのデタラメな散らかり方に何故か既視感があった

そして、部屋の中心にある水槽が異彩を放っていた

 

「…あれは…?」

 

エアーが沸いている水槽と満たされている冷却液の様な謎の液体

そして、そこに沈められているタケノコの様な何か

見れば見るほどタケノコだが何故か目が離せない

知ってる知らない感覚ーーーそうだこれは月人を初めて見た感覚だ

 

「これがヤチヨだ」

 

「「…え(は)?」」

 

「ここからツクヨミに入れ」

 

言われるがままに目を閉じてツクヨミに潜る

普段よりも時間がかかった

正式な入口から入るのではなく、まるで裏口から忍び込むようだった

 

「「…」」

 

そこは初めて見る部屋だった

無数の灯篭が鈍く光っており、僅かに聞こえる風音から相当な高層階であることが分かった

特別で居心地が良さそうで、それでいてどこか寂しさがある部屋

誰かの私室だろう。多分俺達に背を向けて座っている誰かの

 

「……ぁ……ぁ……七夜…!?」

 

「のわッ!」

 

背を向けていた人物は振り向きざまに飛びついてきた

この飛びつき方は…

 

「かぐや…?」

 

だが腕の中にいたのは…

 

「ヤチヨ…」

 

ヤチヨだった

 

「わたし、わたし…七夜のことを忘れて…忘れちゃダメなのに…忘れたくなかったのにずっと会いたかったのに…あぁぁぁぁ!!!」

 

ヤチヨは俺の胸に顔を押し付けて泣いていた戻って来た時の彩葉の様に泣いていた

ヤチヨはどうやら俺が存在しなくなっていた事に気付いていた

気付いている人とそうでない人の違いはいったい……なんてどうでもいい事が頭をよぎるが、後回しだ

 

「七夜…七夜…七夜…」

 

「…大丈夫だよ…俺はここにいるから…大丈夫…」

 

腕の中にいる歌姫の背を落ち着ける様に優しく撫でる

確信に近い推論を言葉にするまでには時間が必要そうだった

 

「……」

 

「あの…さ……」

 

「……」

 

「「ヤチヨはかぐやなの(か)?」」

 

思えばかぐやとヤチヨの仕草や表情が被って見えていた

名前をもらって喜び飛び跳ねているかぐやと

ライブで喜び飛び跳ねるヤチヨ

楽しそうに笑う二人

記憶を辿れば辿るほどにヤチヨがかぐやであると確信が強まっていく

未だ腕の中にいるヤチヨがびくりと身体を震わせた。そして腕の中からゆっくりと離れて薄く微笑んでから、ゆっくりと立ち上がった

 

「今は昔ーー」

 

そして、語り始めた。よく知る歌姫(ヤチヨ)の話し方で

 

「月に帰ってバリバリ社畜してた、えらえらかぐや姫のところに歌が届きました。それはかぐや姫のために作られたかぐや姫だけの歌」

 

その辺りの事は知らないが彩葉の歌の事だろう

 

「かぐや姫は大喜び。それでもっかい地球に行こ~ってお仕事爆速ですっかり片付けて引継ぎも完了。ただ、地球の時間では大遅刻。でも、安心。月の超テクノロジーは時間も越えられます。時を越えて、地球に向かうかぐや姫。でも、あと少しのところで、でっか~~い石に当たっちゃの」

 

地球に来る途中でぶつかった(当たった)?それって確か…

 

「いや~、やっぱり、タイムトラベルともなるとさすがの超テクノロジーでも制御が激ムズだったんだよね~。…………舟は致命的なダメージを負って難破寸前。ヘロヘロになりながらやっとのことでたどり着いたのは、ざっと八千年も前の地球でした」

 

時間遡行…………つまり俺は卒業ライブ前(あの時)ヤチヨ(かぐや)に…………!

 

「壊れた舟の僅かな力で、同行していた犬DOGEだけが身体を得ました。たまたま近くを泳いでいたウミウシになれたのです。かぐやはウミウシを通してだけ、世界と交流を持てました」

 

意味わかんない事の筈なのにヤチヨの言った事と、()()と別の俺が言った事が全て繋がった

 

「時は経ち、人は見えないものを形にし、多くの人とつながる力を手に入れた。それは月の世界とよく似ていて、魂だけの自分が世界と関われる可能性を知りました。そして、仮想世界ツクヨミの歌姫として彩葉と七夜に再び出会うことが出来たのです」

 

…………

 

「っっってー、これじゃあ手放しでめでたしめでたしとはならないか~~、やっぱり♪」

 

ヤチヨはおちゃらけたように笑った

いつもの歌姫(ヤチヨ)の笑い方で

 

「…………わたし達といたかぐやは?」

 

彩葉がそう尋ねた

 

ヤチヨは少し笑みを解いて

 

「今もまた、同じ輪廻を巡ってる」

 

寂しそうにツクヨミの月を見上げてから

 

「私達はその輪から外れることはできない…………はずだったんだけど…………」

 

「……ぇ?」

 

「ライブの時からの記憶がはっきりしないの……覚えてるのは七夜が戦ってたところまでなの…………それから…………それから…七夜の事わかんなくなって…………!」

 

ここからは俺が話さなきゃだな

 

「その記憶がはっきりしないことについては俺が話すよ……俺も全部を理解出来た訳でもないし吞み込めた訳じゃない。でも、全部事実だってことはわかって欲しい」

 

あのライブの途中から俺に起こったこと、理解の外側にある(アレ)のこと時間軸だの世界線だの軸だのの話。そして……別の俺の話全部話した

 

「「えっと…つまり…神様的な何かと会って、変なモヤとKASSENして死にかけて。そのモヤが別の世界?のあなたで(七夜で)…?」」

 

凄い怪訝な顔されてる…変な夢見たって言われた方が説得力ありそうなのはなぁ…

 

「「信じるよ」」

 

「…………うっそぉ…」

 

なんでこんな意味わかんない事を…

 

「「だってこういう時に噓つかないでしょ」」

 

信用……か。うん、いいものだな

 

 

 

 

 

 

「…………かぐやはどうなったんだろう……?」

 

「わからない…その辺は説明してくれなかったからさ」

 

「「「…………」」」

 

沈黙が場を支配した

 

「……うん。後で考えよ。今は再会をお祝いしましょ☆」

 

冗談めかして、不安を誤魔化すように笑いながらヤチヨは俺達の手を取ってバルコニーに連れ出された

 

「ここからの眺めがヤチヨは本当に大好きなの」

 

そこから見える景色は自身のマイルームの遊楽を見下ろす様な乱雑な景色とは違ってツクヨミの夜景全てを一望出来る宝箱をひっくり返したような煌びやかな景色だった

夜景を抱きしめるように両手を広げるヤチヨ。その長い髪を風が躍らせる

…ヤチヨはかぐやなのだとわかる

引っ越してきた時もかぐやはこんな風に髪を躍らせていたっけ…

 

「「どうして(なんで)……?」」

 

「ん?」

 

「「どうして(なんで)ヤチヨはずっと笑っている(笑ってるんだ)?」」

 

俺が言うのもなんだが、荒唐無稽すぎる話を、ケラケラ笑いながら話す

だが、ヤチヨは泣いているように見えた

 

「それがヤチヨだから」

 

きっと答えを用意していたのであろう返答の速さだった

でもそれは、なにかからの逃避であり真実なのだろう

 

「でもね…」

 

ヤチヨの指は震えていた

 

「ハッピーエンド、連れてくって約束したのに」

 

震えは腕に伝播した

 

「彩葉の歌を聞いて戻って来たのに」

 

肩に伝播して

 

「ごめん、ドジっちゃった」

 

最後に声を震わせた

 

「キラキラのかぐや姫は、もうおばあちゃんです」

 

それでもかぐや(ヤチヨ)は笑っていた。涙一つ流さずに笑いながら泣いていた

 

「「…………かぐや」」

 

かぐや(お前)はそんな顔しなかったろ

いつも太陽みたいな笑顔で俺達を照らしてくれたろ…

 

「彩葉、七夜、もし知りたくなかったなら、忘れても良いよ。そういうこともFUSHIなら出来ー」

 

「「ヤチヨ!!」」

 

ああもう…こいつは俺達の変に我慢するところを学びやがって…!

彩葉と、どすどすと足を踏み鳴らしながら部屋に戻って床敷に勢い良く腰を下ろした

 

「「聞かせてよ(聞かせろ)」」

 

「え?」

 

「「八千年、あったこと全部聞かせてよ(聞かせろ)」」

 

「ええ?」

 

「「私(俺)、寝ないから!」」

 

「…………無茶いうねえ」

 

くすくすと笑うヤチヨは少し若返ったようだった

 

「それじゃあ…えい♪」

 

ヤチヨが手を払うように動かすと先程までいた部屋から見慣れたボロアパートの一室。彩葉とかぐやが住んでいた部屋へと変わった

 

「彩葉と七夜には、まだ懐かしいって感じでも……無いか!」

 

そして机の上にはコーラと駄菓子と顔付きの柔らかくなったFUSHIが机の上を這う

 

「お菓子もコーラもウソっこだけどねー☆」

 

ヤチヨはニコニコと楽しそうに(かぐやに戻ったように)笑っていた

 

「んじゃ、まずは縄文人と魚とった話から。よく覚えてるのがナガツノだっけかな。髭がめっちゃ長い海老がマジで貴重でね。茹でなくても真っ赤であれをお寿司にしたかたなぁ。あとオオツキナマズね!。月の夜にしか捕れないでっかいナマズ!薪で焼くと濡れタオル絞ったみたいに油出てくんの。そんでそんでー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かぐやに(ヤチヨ)は喋ること喋ること丸二日ノンストップで喋り続けた

ちょこちょこ明らかに歴史の教科書に出てくるような名前が出てきて驚いた

茶々ちゃんって…淀殿じゃん!日本の根幹にかかわる人じゃん!

日本史で秀吉が()()(マイルドな表現)なのは知ってたけど知識以上にあれだなあ!?

そんで、今話してるしょうちゃんってまさか…

かぐや(ヤチヨ)が話す体験碌は縄文から江戸に入っていた

 

「…おやすみなさいよ、彩葉、七夜」

 

「…!いま江戸じゃん!まだまだ」

 

「ゲーマーなめんな!二徹くらい軽い軽い!」

 

「ネムッテ!ネムッテ!」

 

 

「あっちゃ~ヤチヨの方が寝る時間だ。じゃ、お休み~」

 

ぽてりと頭を俺の膝にのせてかぐや(ヤチヨ)は眠ってしまった寝息はついていないようだけど

安心したように眠っている

いつぞやしたように頭を撫でていると

 

「ヤチヨの活動限界は五二時間だ。充電とアップデートと記憶の整理のために定期的にスリープ状態になる必要がある」

 

ヤチヨの身体にFUSHIが飛び乗ってそう言った

 

「まったく………けらけら笑っちゃってさ……笑い話ばっかりじゃなかったはずなのにね…」

 

「…だな」

 

覚えなくていい事(作り笑いなんか)覚えやがって…

………さて………

 

「「ねえ(なあ)、FUSHI?」」

 

「………」

 

「「ヤチヨがかくしてること、あるよね(あるだろ)」」

 

「………」

 

FUSHIはすぐには何も答えない。長い沈黙の後

 

「………ヤチヨが言わなかったのなら、それは………」

 

「見せて。私達、かぐやの全部を見なきゃ」

 

「ああ、俺達はかぐやの全部を知らなきゃならない」

 

「人間の身体で耐えられるか…わからない」

 

「「問答無用」」

 

人間の削れちゃいけない何かをたっぷり削ってもピンピンしてるんだ八千年なんて屁でもない

 

FUSHIはまた少しだけ黙り込んだ。言葉に悩んでいるわけではなさそうだった

 

「……ヤチヨはさっき久しぶりに、本当に嬉しそうだったんだ」

 

「「うん(ああ)」」

 

「行くぞお!!」

 

FUSHIの目が赤く輝いて、部屋のテクスチャが剝がれ落ちて俺達の身体は自由落下を始めた

 

『ヤチヨ、どっかにいるんでしょ?出てきて…助けて』

 

岩に座り込んで泣いているかぐやが見えた。手を伸ばして叫ぶ

 

「「かぐや!」」

 

意識はかぐやと同化して、八千年の長い、長い旅路が始まった




銀の龍よどうか私を攫って
月の光から貴方の翼で隠して
貴方の背に乗せてどこよりも遠く飛んで
銀の龍よどうか私を奪って
月を貴方の牙で喰らって
貴方の熱で私を温めて

よそ様の真似をして七夜イメージで作詞してみました作者の実力だとこれが限界でございます

ここだけコソコソ小話ロングの予定だよ見たいのを選んでね☆

  • 七夜のツクヨミ初ログイン
  • 彩葉と七夜が友達になった話
  • 黙って両方書け!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。