閑話
家から逃げ出したてから数週間が経ち、
我ながら無鉄砲過ぎだと思う。白夜兄さんが間に入って父さんを説得してくれていなかったら、一人暮らしどころか、通っている高校を受験することすら許されなかったろう
無鉄砲に家を飛び出したが、自分一人の力生きていくことなんて出来なくて、学費と家賃を援助してもらわないとここに住むことすら出来ない
しばらくの生活費はお年玉で賄えそうだが、それもすぐに底をつくだろう早急にバイト先を見つけなくてはならない。不安は多いがそれ以上に自分を知ってる人の居ない所に居られることが嬉しくて、活力になった。
入学式の翌日教室で教師に自己紹介を求められて、内心冷や汗をかいているとどんどんクラスメイト達が簡単な自己紹介をしていく。自分の席の隣に座っていた黒髪のショートヘアで後ろ髪を団子状に纏めた緑の目をした少女が立ち上がり自己紹介を始めた。
「えっと…酒寄彩葉です…よろしくお願いします。」
特段変わったことを喋った訳ではなかった。
自分の名前と挨拶とお辞儀の簡素なものだった。
この簡素な自己紹介をしたのは彼女だけではなかった。
なのにどうしてか、彼女から目を離せなかった。
彼女が席に着いた時目が合った、しまった。ぶしつけにジロジロ見過ぎた。そういう視線が嫌なのは自分がよく分かっていた筈だろうに……
「えっと…よろしく?」
「あ、うん…よろしく?」
ぶしつけな視線をぶつけていたのに愛想笑いとはいえ笑いかけてくれた。
慌てて視線を逸らした。
自棄に心臓の音が大きく聞こえた。
頭の端にあった
笑いかけられただけで好意を抱いてしまうなんて、自身のあまりの単純さに渇いた笑いが出そうになった。
なお、俺の自己紹介は、盛大にもどりまくったので無事にボッチが確定しましたとさ
別にいいけど
入学から2ヶ月が経って、ファミレスのバイトにありつくことが出来て、生活できる分のお金を稼ぐことが出来るようになったはいいが、今だに学費も家賃も援助を受けている現状どうにかしてもう少し収入を増やして、最低でも補助を学費だけにしなければならない。
家族と関係ない所で生きるにはそれぐらいの事はしなければならないのだから
夕食に昨日大量に作ったカレーを温め直していると部屋の外で物音がして、部屋の外に出てみると人が倒れていた。それもうちの高校の女子の制服を着た。
「あ、え?、は?」
人は驚愕すると言葉が出てこなくなるもので、単語ですらない文字列をこぼすことが出来なかった。
30秒程でどうにか再起動を果たして、急いで駆け寄る
「え…………酒寄?…………」
倒れていたのは勉学は完璧。運動すれば並の男子を圧倒するような結果を出している
自分の憧れの人だった。関係は入学した時から変わらず、酒寄彩葉のクラスメイトNなのだが
そんなことはどうでも良くて
「ちょ、え!?だ、大丈夫!?」
「あ、う……」
顔色が悪い。一体何が……というか何でここに?
救急車を呼ぶか迷っていると
ぐぎゅるるる~
「は?」
何所か間抜けた音がした
「お、お腹空いた…………」
「えぇ…………」
何でここにいるのかとか。何があったのかとか、そんなものが吹き飛んでしまうような返答だった…………返答だったのかな?
一先ず、倒れたままにしておくのは忍びないのでアパートの壁に寄りかからせるようにして身体を起こした。
やってしまった……
実家を飛び出して自分一人の力で生きていけると証明すればお母さんも私を認めてくれると行動したは良い物の東京の物価は高く高校一年生が出来るバイトもたかが知れていて中々生活に困窮していた
加えて奨学金維持のために夜遅くまで予習をしなければならないので食費よりも
更にここ数日はバイト先が設備の故障で一日一食になってしまっていた。
そして今日自分の部屋に入ろうとして鍵を落としてしまって、拾おうとして意識を飛ばしてしまった
薄っすらと聞こえた誰かの声が遠ざかっていく……それよりもお腹空いた…………
「あ、う?」
「あ、起きた…」
目を開けた時に目の前にいたのは…………
「に、西尾君?」
そこにいたのは、クラスメイトで席が隣の西尾七夜君だった。
「「何でここに…………え?」」
どうしてここにいるのか疑問をぶつけようとすると同じ疑問をぶつけられた。
パチクリと何度か瞬きをしながらめをあわせてしまう
「あー…と…そこ俺の部屋なんだけど……」
「え…………私そこ…」
まさかのお隣さんだった。
ぐぎゅるるる~
うぎゃぁぁぁぁぁ!?クラスメイトにお腹鳴ったの聞かれたぁ!?しかも、男の人に!?
「あ~っと…………カレーならあるけど……」
こ、断らなくては……
お母さんも言ってたやん
「何の下心も無く誰かを助ける奴なんておらへん。誰かに助けを求めるちゅうんは、弱みを見せる事や、弱みを見せたらあっちゅう間に食いもんにされてしまいや」
って……
ぐぎゅるるる~
じ、自分一人の力で生きていかな……
ぐぎゅるるる~
カレーのいい匂いが………………………………
ぐぎゅるるる~
心配そうに、気まずそうにこちらを見ている西尾君と目が合った。
その目に悪意や欲望は感じない。本気で私を心配しているように見えた
「…………………………………………下さい」
こうして私の覚悟は食欲に負けた
「おいひい………………おいひいよぅ……」
泣きながら肉の代わりに竹輪を使った貧乏カレーを玄関で掻き込んでいた
「こんなので泣くなんて、一体どんな食生活を…………」
「……………………パンケーキ」
まぁ腹は膨れそうだけど……
「……小麦粉と水で作ったやつ」
「は?」
それはパンケーキとは言わない固め焼きだ。修行かよ
「を一日一食」
「はぁ!?」
拷問だった。
「今、5日目」
「そりゃ倒れるわ!?」
なんでそんなことに……一人暮らしをするにしてもいくら何でもおかしい
「なんでそんなことに…………」
疑問がそのまま口に出てしまった。
「…………」
酒寄はバツが悪そうに目を逸らしていた。
「えっと…事情はよく分からないし…聞く気もないけど……えっと…」
「その……ヤチヨの限定グッズを…………」
どういう訳だか口を滑らせてしまっていた悪戯がばれた子供が親に謝るように言ってしまった。
「え…………あ~そういえば先週発売だっけ…………」
「!そうなの!あのグッズはね!…………」
推しの話が出来ることにテンションが上がってしまい西尾君の反応も見ずに一方的にしゃべり続けてしまった。
「……………………だからあのグッズは購入必須で…………あ」
喋り始めてから15分程で正気を取り戻したようだった。一先ず言わなきゃならないことは
「…………気持ちは分かるけど……ご飯はちゃんと食べよ?死んじゃうから…」
「はい……ごもっともです…………」
尊敬してるし憧れなのは変わらないけどこんな一面があったとは驚いた。
「その……どうしてもキツイなら、晩御飯のおかずくらいならおすそ分け…………」
そこまで言って自分の愚かさに気が付いた
「!…………そこまでしてもらう訳にはいかないよ今日だけでもすごく迷惑かけちゃったのに……」
はい私がキモ男です。誰か竹ののこぎり持ってきて穴掘って首だけ出して埋まるからそののこぎりで斬首してください
「ご、ごめん……迷惑だし気持ち悪いよな……ハハハ……ごめん……」
そらみろ気を遣わせたじゃないか
「!?そ、そういう訳じゃないよ!迷惑だなんて……」
「いやいや……気を使わないで……ほとんど付き合いのない相手からご飯あげるなんて実際気持ち悪いしさ……」
「いやいや……」
「いやいやいや…………」
「「いやいやいやいや」」
なんだこのやり取り
「「ッッアハハハハハハ!!」」
なんだかおかしくなって笑ってしまった。彼女も笑っていた
ひとしきり笑いが収まると
「気持ち悪いなんて思ってないよ……でもなんで?」
そう聞いてきた。
なんで……か
改めて考えるとなんでだろう
下心は多分そんなに無いと思う
じゃぁ友達になりたいから?ご飯をあげて?動物の餌付けかよ
友達……友達なぁ…
「なぁ妹紹介してくれよ」
「天夜選手のサイン貰えないか友達だろ!」
駄目だ碌な思い出が無い
「……わかんない…………」
「え」
ですよねそういう反応だよね
「と、友達になりたいとか?」
あ、そっちも案出してくれるんですね…………
「じ、じゃあ…………そ、それで………」
「適当かよ」
「「………………………………」」
沈黙の後お互いに大笑いしてしまった。
「おかずのおすそ分けについては置いとくとして、食生活については見直そうね……冗談抜きに死ぬから……グッズより生活だからね………」
「前向きに検討して善処していきたいと思います」
それは聞かない奴のセリフなんよ
そして酒寄が部屋の前で倒れている事件はこの後も数回起きてあきれ果てた俺が、酒寄の友達の綾紬と諌山に盛大に噛みながら相談を持ち込んで解決するに至った
普通に手助けを申し出ても受け取ってくれないので二人と協力して、俺がやや過剰目な手助けを申し出てからその後で本命を出すことでどうにか受け取ってもらえるようになった。
このやり取りを重ねて俺達は友達になった
友達の定義がよくわからんとです……………………
ま、毎日投稿が切れてしまった………………………………
言い訳するなら三回ほどデータが飛んでしまったんです………………………………
初ログインの方はもう少々お待ちください。
ここだけコソコソ小話ロングの予定だよ見たいのを選んでね☆
-
七夜のツクヨミ初ログイン
-
彩葉と七夜が友達になった話
-
黙って両方書け!