今自分にできる事を出し切り、皆さんに満足頂ける作品を作ろうとし気づけばこんなに期間が空いてしまいました。
次回からは今回よりも早くお話を出せるよう精進いたします。ですが作品には手を抜かないので多分ですが出せても1週間に1本が限界だと思いますのでどうか気楽に待っていてください。
では2話をご覧ください。
「嫌だッ! 離して! 離してよ!」
そう言い、新たに現れた魚頭の悪魔の脇に抱えられる光。光は抱えられている状態を脱しようと藻掻くが、魚頭の悪魔が離す気配は微塵も感じられない。
「痛!」
暫くすると、悪魔にゴミをその場に捨てるようにドサッと落とされる光。
ここは何処だと辺りをキョロキョロし、路地裏だと気づく。
「さて、んじゃ始めるとするかね」
そう言い、悪魔は光へと近づいてくる。
「な、何を始めるの?」
それに怯えたように身体を震わせ、何を何をするのかと光が問うと……
小さい体から響く、何かが今の光では見えない程の速さで蹴られる音。
そして壁にぶつかると思われたが、蹴られた方向にはゴミ袋が積まれており、そこに激突することで衝撃が吸収される。
「……っ……うぅ、痛い…助けて……おねえ…ちゃ――」
あまりの痛みにお腹を抱え蹲り、消え入りそうな声で姉に助けを求めようとし――
「汚ねえなぁ」
「うっ……」
悪魔はそう言うと光の首を掴むと、ドサッと自分の後ろへと放り投げる。そしてまた蹴られる。
ドスッ、ドスッ、ドスッ…………
どれほど蹴られたか分からなくなるほど甚振られ、痛みが精神を蝕み、それでも家族が絶対来てくれるという事を信じ耐える少女、そこへ悪魔が囁く。
「なあお前、何でお前が俺に甚振られてるか分かるか?」
「……」
それに答えられるほどに光には余裕がなかった。
「まぁぶっちゃけ誰でもよかったんだよ、組織の上の奴らが黒色エネルギーを集めて来いって言うから適当にどっかの人間攫って甚振って集めようとしたんだよ」
「……」
そう言い悪魔は次の瞬間ゲラゲラと品性の欠片もない笑い声を出す。
「そしたらな、弟が獲物を見つけたって言うからどんな奴か俺の異能【
その言葉に光は―――
家族の繋がり、家族の縁がほかの三人に比べてお前に向けられる縁が細いんだもん
「ッ! …………」
光は薄々と感づいていた、母は私が幼い頃、ほんの少ししか思い出せない記憶の中では笑っていた、だが今はその面影すらない。
父は今でも私に優しくしてくれる、だが今はやつれていて、ほんの少ししか思い出せない記憶の中ではもっと活気のある人で、今の作っているような笑いではなく、もっと心から笑っていた。
姉は今でも私を想ってくれている、だが私は見た、彼女が1人になるとため息をどうしたら家族がもとに戻るか、と言っているところを。
元々彼女にあった疑念、それにプラスされた身体の痛みと悪魔の囁き、幼い子供の心を壊す事なんてこれ程のものが揃っていれば簡単だろう。
明るかった、優しかった、そんな幸せな家族を壊した、私が、そんな自己否定を繰り返し、繰り返し、周りにこの少女の自己を否定するような考えを否定してあげれられる声が届けば……………あるいは………
彼女の何処かでガラスが砕ける音が聞こえる。
「ハハッ! 凄い量の黒色エネルギーだな! 何で上の連中はこんな事をしないでコツコツと黒色エネルギー集めてんだ? 大量に襲っても1人1人が微々たるものじゃ労力に合わねえよ。ま、帰ったら聞いてみ――ッ!」
彼女を黒い何かが包む、それは祝福、あるいは呪い――
さあさあ気おつけておくれ、この子は今から不幸の子。
混沌の世界を作る力の種、全てを壊し、全てを自由にする力の子。
悪を許す悪魔の子、心のない空虚な子。
私は貴方を愛するよ、汚れた心は全てを広げる力がある。
祝福、あるいは呪い、彼女を渦巻く黒い何かは彼女を包み彼女に浸透していく――
「ッ!」
悪魔の額には一筋の汗が垂れていく、そして直感で自分が犯した過ちにたった今気づく。
彼女は起き上がる、だがそこにはかつての無邪気な家族を心の底から愛する少女はおらず。そこに立つは…………
悪魔、それも人を巧みな嘘で騙し、内側から食い破る、最も人に近しい悪魔その名も
その姿は、黒を基調とし、3段の一番下が白のスカートティアード、そこに巻き付けるように前だけ開いた膝より下のスカートには裾辺りに黄色の星を思わせる模様が入っている。
そして上半身は肩が開きおへそ辺りをぱっくりと出しているオフショルダーに袖は長袖で手に行くごとに開いており、赤青黄のトランプのダイヤの形をしたものが点々と腕の周りをぐるっと回っている。
また、胸の辺りには装飾として白のゼラニウムの花が咲き誇り赤とピンクの蕾が左右に付いているプローチが付いている。
頭の装飾は星のイヤリングを付けている。
ここに誰か人がいれば皆口を揃えて言っただろう。
「お前、なん――」
言い切る前に彼女が手をかざす、すると彼女の後ろに十数個のガラスのような玉が現れる。
「消えろ【
そう彼女が呟くと後ろに停止していた玉が8つ、瞬く間に消えたいと思うと悪魔を長方形の透明な箱に全身を取り囲む。
「ッ――!」
死
悪魔はそれを本能的に察知し空間から脱出、だが少々反応が遅れ右腕が取り残される。
そして……ぎゅっと彼女が手を握る動作をすると
「ぐっ……! ……は?」
取り残された腕に焼けるような痛みが一瞬巡り、ふっと消える。
「ぐぁっ――ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ッ!」
そこにあったのは、元々そこには存在しないと言うかのごとく、きれいさっぱり消されている悪魔の腕であった。
そしてそれを認識した瞬間、悪魔に今までにない痛みが襲いかかる、そこへ
「潰れろ【
そう彼女がまた呟き、長方形の形を作っていた頂点の球体が旋回しながら悪魔の頭上5メートル程に到達すると止まり、八角形の形を取り、そこでまた静止、そして悪魔へとんでもない速さで降り注ぐ。
「ひっ!や、やめっ――」
逃げようとするが腕の痛みで上手く力が入らずそのまま、プチッと押し潰される、今度はすり抜けることはない、何故なら空間、空気にある気体を固定させ、それを光が操り押し潰したから、その固定は光自身にしか動かすことは出来ない究極の守りでありそれに加え先ほどのように攻撃にも転用可能である。
「っ―――」
戦闘は終わり光を脱力感が一気に襲う、初めての戦闘、初めての命の駆け引き、先に攻撃していなければ殺されていたのは自分かもしれないという恐怖。
「うっ……ぐえっ……」
そして殺してしまった感覚、人ではない、自分を殺そうとした悪魔、それでもこの心優しい少女には耐えきれないことであった。
後ろから誰かが高いところから降りてくる音が聞こえた。
「あなた、誰?」
「お姉さん?」
そう、降り立ったのは悪魔に攻撃を受け光を連れ去られ、その失態に怒りを表しながらも光を一生懸命探した魔法少女ビアス、だが。
「お姉さん? 私あなたにお姉さんなんて呼ばれる謂れはないわよ」
「えっ……」
この世界に悪魔がどう生まれるかなどのメカニズムは一般的には未だ解明されておらず、巷では悪魔は魔界から地球を侵略しにきた侵略者、外の星からやってきたエイリアン、その他には人の心から生まれたモンスターなどが有力とされている。
しかし真実は光のように心が壊れており、そこに追い打ちに絶望が注がれる事により発生する存在、それが悪魔の正体である。
「何で……」
だがそれでは悪魔の正体が人間である事はすでに世間一般では周知の事実になっているであろう、だが何故こうなっているかと言うと
「? 妙なことを聞く悪魔ね、何でって言われても、私あなたの顔、”見たことないもの”」
そう、これである。
悪魔は悪魔として人間から変貌する際にその人として認識されなくなる。
これは何者にも覆すことの出来ない事であるが、2つほど認識できる可能性がある、それは悪魔になる瞬間を見ていた者、そして変貌した者と関わりの深い者が認識できる可能性がある。
「まあ、いいわ。黒色エネルギーを纏ってるって事はあなた悪魔なのよね? それならあなたは討伐対象よ」
そんな奇跡は、先ほど会ったばかりのビアスには訪れる事はないのだが………彼女は腰に付けたポーチから針を取り出し構える。
「待ってお姉さん、私だよ! ひか―――」
光が名乗ろうとすると、ビアスは光が自分の名前を言おうとした隙を突き蹴りをいれ壁の方へと叩きつける。
「――いっ!?――っ!」
光が慣れない痛みに蹴られた腹部を抑え、その攻撃をしてこないと分かる隙を見逃さずトドメを刺そうと接近し心臓部へと刺突を繰り出そうとし、光は死を覚悟する―――
「っ!?」
その攻撃は阻まれる、彼女の影が突然蠢き盛り上がり刺突を自分を壁にする様にし護る。
「あなた、何者?」
そうビアスは未だ蠢く影に向かい問う、すると……
「もウ、コノこをイじめナいデクれ、こノコはひかリちゃんだ――」
この場に所々は聞こえるがほとんどがノイズに阻まれた、機械的で男とも女とも捉えられる奇妙な声が響いた。
―――今日のひと言―――
いい言葉選びが難しい。