蛇足物語   作:ロバと子いぬ

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ツクヨミ感謝祭クラファン、1680%、おめでたい!
そろそろうちの近くの本屋にも文庫の超かぐや姫置かないかな……

今回もさまざまな捏造設定が出てきます。


三章の六

今日は待ちに待ったコラボの日だ! かぐやちゃんはともかく酒寄さんはやっぱり忙しかったようで、都合がついたのは約束した日の数日後になった。『時間が合えばね』と言いつつも、結局合わせてくれたのは、やっぱり酒寄さんがなんやかんやかぐやちゃんに甘いからだろう。あるいはかぐやちゃんに折れない強さがあるのもあるか。ちなみに俺は、『KASSEN』をやるとかならいつでも都合がつくので都合のいい存在だ。

 

「今日はよろしくな! ノブ!」

「よろしく。かぐやちゃん。いろPもよろしく」

「ヨロシク」

 

配信を開始して、俺とかぐやちゃん、いろPが『KASSEN』のフィールドに降り立つ。かぐやちゃんは手に大きな竹でできたハンマーのような武器を持っている。いろPは着ぐるみを着てブーメラン状の武器を持っている。そして今日は俺も俺の武器、王剣をを持っている。

酒寄さん……いろPは配信だとあまり声を出さないようにしているらしい。こっちから基本話してあげる方がいいだろう。できればイエスノーの話をすべきかな。

 

「さて、今日は俺から『KASSEN』を教わりたいって話だったけど、俺はソロの『SETSUNA』メインでやってるから、二人の参考になるかわからないんだよね」

「はいせんせー! 他のモードと『SETSUNA』って全然違うの?」

「いい質問だ、かぐやくん。細かいところで違いは結構あるけど、根っこの部分は同じだよ。体の動かし方とかは一緒」

 

今回は先生役ってことで、かぐやちゃんからは先生と呼ばれた。悪い気はしないね。

 

「『SETSUNA』は遠距離が弱かったり、ダメージの仕様が少し違うけど、他のモードで1vs1の状況ならやることはほとんど一緒だね。一撃必殺が絶対ないのが特徴ではあるかな」

「ふむふむ」

 

熱心な生徒役をやってもらえてやりやすい。

 

「じゃあそうだな、折角だし今日はどのモードでも使える考え方とテクニックを教えようか。もしかしたら、いろPは分かりきってることかもしれないけどね」

「おぉー、必勝法みたいな感じ?」

「ある意味ではそうなるね」

 

かぐやちゃんは必勝法と聞いて目を輝かせている。いろPも興味を持ってくれたようだ。まぁ実際嘘ではないから良いだろう。

 

「『KASSEN』で重要な考え方、それは、相手に誤認させることだよ」

「誤認させる?」

「?」

 

二人ともピンと来ていないようだ。一言じゃ分かりにくいよな。

 

「そうだなぁ、この前の俺といろPの対戦がわかりやすいか。いろPが狙ってやったかはわからないけど、俺は『いろPは普通の双剣使い』と誤認してた。だからワイヤーも気づかなかったし、結果的に文字通り足を掬われたってわけ。そんな感じで、相手にこちらの武器や動きを誤認させるのが大事。相手が自分より強い場合は特にね」

「なるほど! こっちができることを相手にわからないようにするってこと?」

「それもあるし、単純に動きを読ませないっていう意味もあるね。かぐやちゃん、試しに1発俺に攻撃してみてくれる?」

「おっけー! そぉれ!」

 

かぐやちゃんが俺に言われるがまま、おおきく振りかぶってハンマーを叩きつけてくる。俺はそれを後ろに一歩引いて避けた。

 

「あ! 攻撃してって言ったのに避けた!」

「ごめんごめん。説明するのにちょうど良くてさ。さてかぐやちゃん、今君、振りかぶってから攻撃したでしょ」

「そりゃね」

「うん。でも振りかぶっちゃうと、どこに攻撃するかがある程度わかっちゃうと思わないか?」

「そりゃそうだけど、仕方なくない?」

「ところがよく考えて欲しい。確かにツクヨミでは俺たちはこんな大きな武器を持っているが、実際現実で持ってるのはコントローラーだ。つまり、そんなに振りかぶらなくても武器を振れるんだよ」

「た、確かに?」

「まぁ、コントローラーにもある程度のフィードバックとかは来るようになってるから、言うは易し行うは難しって感じなんだけどね。でも、そのコントロールを完璧にできるようになると、絶対に動きを誤認させられるフェイントができるようになる」

 

そう言って俺は、手に持ったツヴァイヘンダーを予備動作ゼロで上下左右に自在に振るう。

よそから見たら次にどっちに動くか予想はつきにくいだろう。

かぐやちゃんも目で追おうとして追えなくなってるみたいだ。

 

「俺の武器とかはそれに特化しててね。普通の武器だと、振る速度や当たり所でダメージが増減するんだけど、俺の王剣はその倍率が低い。その代わり、武器を当てさえすればダメージが入る。相手の動きを読んで、相手に動きを読まれないで、相手に攻撃を当て続けるのに特化した武器なんだ」

 

手遊びがわりに振るっていた剣を、地面へと突き刺す。

かぐやちゃんの視線が、剣先を追って地面に行き、止まったのを見て俺の顔にくる。

 

「俺のことはいいか。そうだな、逆にかぐやちゃんやいろPの武器は大きいからその辺の倍率高そうだし、フェイントは稀に織り交ぜるくらいがいいかな」

「はー、確かにこの武器重く感じてたけど、よく考えたら現実じゃ重いわけないか。じゃあさ、ちょっとノブ! 試して良い?」

「もちろん。そのために俺がいる。いろPも一緒にいいよ」

「え、二人同時に?」

「まぁそれくらいならできるでしょ」

 

舐めた俺の発言に、かぐやちゃんといろPが顔を見合わせて、一つ頷いた。

 

「舐めんなー!」

「ほんと良くないよ。そういうところ!」

 

二人が同時にかかってくる。それを今回は手と王剣で弾いていく。王剣にはもう一つ効果があり、剣で受ければどんな攻撃も倍率を無視して受けられる。スキルでもウルトでも同様だ。その代わり一切の遠距離攻撃が出来ない。ピーキーとしか言いようのない性能だ。

かぐやちゃんは掛け声をしながらかかってくるが、予備動作を無くすとか隠すとかはまだ難しそうだ。いろPの方は前の実戦でも少しやっていたが、手札の一枚というには荒く、隠し球といったところか。

 

「ほらほら、かぐやちゃん、まだまだ予備動作がわかりやすいよ! いろPは逆に威力がなくなりすぎてるね。さぁ、もっとおいで!」

「うりゃうりゃ〜!」

「わかってるっての!」

 

 

 

「ちょっと休憩にしようか。打ち合い続けるのは疲れたでしょ」

「ハァ……ハァ……あー! 当たらない! てか、ノブはなんでそんなよゆーそうなの!」

「俺は毎日長時間やってるからなー」

「流石プロゲーマー……」

 

伊達に何年もこのゲームのプロやってないってことだ。普段から長時間やれるからプロなんだから。

 

「さっきはフェイントとか予備動作消すのをずっとやってもらったけど、実際は全部が全部それをやるのはよくないから、ここぞというときに織り交ぜるといいよ」

「え、そうなの? なんか全部わかんない方が強そうじゃない?」

「そりゃ全部わかんないと強いけど、全部それだと、わかんないの中から『普通の行動』が消えちゃうから。普通の中にわかんないが混ざってるのが強いんだよ」

「うーん、そうなの?」

「相手に誤認させるってことは、相手の予想を裏切るってことだから。普通にくると思ってたら予想外が来る。予想外かと思ったら普通が来る。そういう相手の『読み』を外させれたら一番強い。そういう意味で俺は必勝法って言ったからね」

「なるほどー?」

「相手の強さ次第にはなるんだけど、特に格上相手なら、相手の意表を突くのを心がけた方がいいね。意表を突かれたらどうしようもなくなるもんなんだよ。俺がいろPに負けたのもそれが理由だし」

「その意表を作るためにさっきのフェイントとかを使うってこと?」

「そういうこと。かぐやちゃん物分かりいいねー」

「ま〜あ? かぐやちゃん天ッ才ですから!」

「また甘やかして……」

 

横でいろPが呆れてるけど、君も大概だから気にしない気にしない。

 

「さて、休んだら次は実践やってみようか。視聴者と対戦しよう。あ、今回は勝っても負けてもかぐやちゃんと結婚とか無しにしなよ。うちの視聴者普通に強いからね」

「大丈夫! なんかあったらいろPが守ってくれるから!」

「あんたねぇ……はいはい、やりますよ」

「いいね。それじゃあいつも通り希望者名乗りあげてー」

 

 

 

その後、視聴者と対戦しながら、二人はいろんな技術を学べたようだった。教えるってこういうことでよかったのかな? 結構ガチコーチングみたいになっちゃったけど。

 

「今日はありがとー! ノブ! 楽しかった!」

 

かぐやちゃんがそう言ってたから、まぁいいか。

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