蛇足物語   作:ロバと子いぬ

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今回短めとさせていただきます。

前回少し変更しました。目が覚めた日を9/14としてましたけど、よく考えたらその日土日でした。16日に改めましたのでお気をつけください。


終章の一

遅刻ギリギリの時間だったので急いで朝の支度をして、学校へ向かう。なんか丸三日くらい寝てたっぽいので、土日をスキップしてしまった。ちょっと悲しい。

 

……いや、そんなのまじでどうでもいいな。もっと色々問題がある。やたら鮮明に覚えてるあのめちゃくちゃ長い夢はなんだったのか、何で三日も意識を失ってたのか、それよりなにより、かぐやちゃんはどうなったのか。

とりあえず頭がぼーっとしてたから学校に向かってはいるけど、普通に他のことを優先した方が良かった気がする。まぁいいや。三日も経ってるんじゃどうせ急いでも何も変わらない。

 

それに、意識を失っていたのには実は心当たりがある。

小さい頃に起きそうだった戦争、それを俺のチート能力で『無かったこと』にしたときも、丸一日くらい俺は気を失っていた。それ以外のタイミングで能力を使った時はそんなに長く気を失っていたことはなかったから、あんまりにも世界が大きく変わった時は長く意識を失うのかと勝手に思っていたんだけど……今回のでわからなくなったな。

もしかしたら、かぐやちゃんが地球に来るずっと前からかぐやちゃんが連れ戻されるのは決まっていたのかもしれない。それならだいぶ昔から変わるわけだから、何となく理解できる。

 

どちらにせよ、俺の能力の反動で意識を失っていたなら、もしかしたら世界に色々変化が起きているのかもしれない。まずはその辺りを調べる必要があるな。

まずは学校に行って彩葉さんあたりに確認をするべきか。なぜかはわからないけど確か彩葉さんは俺の能力が効かなくなってたし。

……なんか、今までのことが遠い昔のことに感じるな。あの長い夢が影響してるんだろうか。細かいことは忘れてるけど、大筋をはっきり覚えてるからな……普通の記憶みたいに。不思議な感覚だ。

あの夢のことは本当に謎だ。夢っていうのは基本的に自分の記憶から作られるもののはずだ。だけど、あの夢は何の心当たりもない要素がたくさん詰まっていた。

かぐやちゃんが俺のいない世界で過ごしていて? 月に帰っちゃったけどまたきて? それが何千年も前で? 実はヤチヨは過去に行ったかぐやちゃんで? ……要素がてんこ盛りすぎる。まぁ別に筋は通るな。ヤチヨは八千歳らしいし、俺たちの運命を知っているって言ってたし。まぁ、その通る筋を作るまでの発想が飛躍しすぎてるけど。なんだよタイムトラベルって。

 

それに、かぐやちゃんは月に帰ってないのは確実だ。なぜなら帰らないように俺の能力を使ったから。俺の能力は絶対だ。発動しなかったことはない、マジのチート能力だから。

まぁそれはそれとして、どういうふうに落ち着いたのかは確認する必要があるけど。

 

 

 

考え事をしながら学校に向かっていると、道に迷った。

え? この道こっちに続いてなかったっけ。あれ? 記憶が混濁してる?

……いや違う。これは多分俺の記憶違いじゃない。世界の方が変わったんだ。やっぱり月人がかぐやちゃんを連れ戻すのは昔から決まってたのかもしれない。それなりに昔から俺が知ってる過去と変わってるのかも。道から変わっているってことは相当昔からかわってるかもな……。

とりあえずこういう時は地図を見れば何とかなる。文明の利器様様ですわ。

 

道に迷うこと数分、とりあえず学校には辿りつけた。

てかどうしよう。これで世界が変わって俺が学生じゃなくなってたら。流石にそれはないと思いたいけど……。

校門の前で少し尻込みしていると、肩を叩かれる。

 

「よっ、()()! 何でそんなとこ突っ立ってんの?」

「あぁ、おはよう……え、『ノブ』?」

 

クラスメイトだ。高校から仲良くなった奴だったはず。……口調とかは変わってないし、関係性は変わってなさそうだけど、学校の友人は俺のことを『ヒデ』って読んでたはずだ。やっぱり世界がだいぶ変わってる。かぐやちゃんを連れ戻すのを阻止したのは結構大きかったらしい。

 

 

 

 

この時点で、すでに少し嫌な予感はしていた。

だが実際は、俺の想像を遥かに超える事態が起きていた。

 

 

 

 

「んだよノブ。俺変なこと言った?」

「い、いや、なんでもなかったわ。てか遅刻ギリじゃん。いこう」

「そうだな」

 

挨拶もそこそこに学校に入る。とりあえず俺が学生じゃなくなってるとかはなかったらしい。それは良かった。

下駄箱で靴を脱いだところで、友人に声をかけられる。

 

「ちょ、ノブなんで二年のとこ靴入れようとしてんの」

「え? なんでって……」

 

 

()()()()()()()()()。何? ギャグ?」

 

え?

こいつ今『俺らもう三年』って言った?

どういうことだ? 俺は二年生のはずだ。

いや、まて、まさか。

 

急いでスマホを取り出して、見るのはカレンダーだ。

朝、時計には九月十六日と書いてあった。曜日は多分月曜日。でもおかしい。かぐやちゃんの卒業ライブは十二日の木曜日だった。それなら十六日は火曜日のはずだ。

同じ年ならば。

 

 

カレンダーを見ると、そこには

『2031年9月16日』と書いてあった。

 

 

丸三日意識を失っていたなんてとんだ勘違いだ。現実はもっと先に進んでいた。

 

『一年』。それが、俺が意識を失っていた期間だった。

 

 

想定外の出来事に冷や汗が頬を伝う。

嫌な予感がする。とんでもないことが起きている予感が。

 

 

彩葉さん。そうだ。まずは彩葉さんに連絡を取る必要がある。

彩葉さんも元の世界との乖離で戸惑っているかもしれない。あるいはこっちの世界に順応してるかもしれない。どちらにせよ、この状況を確認するなら彩葉さんに話を聞くのが一番早いはずだ。

年度が変わったならクラスが変わってるかもしれない。今の俺にはわからない。

俺のチート能力で世界が変わると、俺は()()()()()()()()()()()()()()()。変わった後のことは自分で調べる必要がある。

 

上履きに履き変えて友人に尋ねる。

 

「なぁ。彩葉さん……酒寄彩葉さんって今何組?」

 

 

 

「え? 酒寄さん……って、誰?」

 

嫌な予感は、最悪の形で的中していた。




オリ主はヤチヨの記憶を見た関係で、自我が一部ヤチヨと混ざってしまっています。まぁ八千年年無量空処に転生者といえ耐え切れるわけないですよね。
その関係で、無意識のうちに『彩葉さん』と呼ぶようになっています。ちょいきもいね。
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