蛇足物語   作:ロバと子いぬ

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最終章はじまるよー。

ここまでは『蛇足の物語』でした。
ここからは『蛇足のための物語』の始まり〜。


蛇足章の一

何これ? 何が起きている?

 

夏休みがもうかなり前のことに感じる九月の十八日の朝。いつも通り学校に行く支度をしていた私、酒寄彩葉の元に初めてのハプニングが起きていた。

 

ブレスレットが青白く光り出したのだ。

卒業ライブの直前、かぐやから受け取った銀のブレスレット。かぐやの欠片。貰ってから約一年、ほとんどずっと肌身離さず身につけてきたものだが、今までこんな風に光り輝いたことはなかった。

いやまぁ、月から来たかぐやが元から身につけていたモノだ。何が起きても不思議ではないと言われたらそうなんだけど、初めての事態に私は戸惑っていた。

一応今のところ光っているだけで他に何も起きていないが、このまま光り続けられたら学校に行くのも憚られる。私まで宇宙人扱いはされたくない。しかし置いて行きたくもないし……。

 

 

仕方ない。こういう時は元の持ち主にどうすればいいか話を聞くべきか。

 

 

多分今の時間は多分起きているはずだ。とりあえず『緊急』と連絡を送っておけば、おそらくすぐに()()はず……。

だと、来た。

 

『彩葉! 何かあった!?』

 

机の上に開いていたタブレットの画面に急いで現れたのは、電子の歌姫、ツクヨミの管理者、そして私の大切なヒト、ヤチヨだ。

 

 

一年前のかぐやの卒業ライブの後、色々あって私はヤチヨがかぐやであるのではないかと思ってヤチヨの元へと行った。そこでヤチヨから八千年の真実を聞き、ヤチヨの話さなかった八千年もFUSHIから教えてもらった。

今は、ヤチヨ……かぐやとの本当のハッピーエンドを目指して、今は肉の体を持たないかぐやの肉体を作るための勉強をしている。

 

 

私からヤチヨを緊急で呼び出すことは基本ない。それでも普通に呼べばヤチヨは来てくれるが、今回は本当に急いで来てくれたようだ。何か予定をすっ飛ばしてたりしたら悪かったかもしれないけど、こっちも充分緊急だから許して欲しい。

 

「ヤチヨ。ありがとう。何か用事とかなかった?」

『あっても彩葉の方が大事! って、その光……』

 

あぁ、タブレットのカメラでこっちを見たのかな。カメラ越しにもこの光はよく見えるらしい。私だけ見えているとかじゃなくてよかった。

 

「そうそう。さっき急にブレスレットが光り……だして……」

 

説明をしようとしたところで、突然何かが頭に流れ込んでくる感覚がした。これは……映像……っていうより、記憶? というかこの感覚、FUSHIにヤチヨの記憶を見せてもらった時と同じ……。

 

『彩葉? 彩葉!』

 

ヤチヨに呼びかけられる声が遠くなっていく。

私の意識は落ちて、記憶の波に飲まれていった。

 

 

〜〜〜

 

『こんはんは酒寄さん』

 

 

この声は……誰?

 

 

『え? 赤ちゃん?』

『何か俺に手伝えることはある?』

『ってことで、この勝負は君の勝ちだ』

『あはは……酒寄さん本当に毎日忙しそうだもんね』

 

 

……いや、私はこの声を知っていた。この人を知っていた。

 

 

『自分の気持ちに正直になってもいいと思う』

 

 

私に寄り添おうとしてくれた人。私を手伝おうとしてくれた人。私を力付けようとしてくれた人。

 

 

『みんなでハッピーエンドにしよう』

『酒寄さんも、かぐやちゃんも。諫山さんも綾紬さんも、アキラや雷、乃依……それとヤチヨも。みんなでハッピーエンドを作って、みんなでハッピーエンドに行こう』

 

 

ハッピーエンドを目指してくれた人。

自分を勘定に入れないこともあった、強くて優しかった、私の友達。

そして、

 

 

『酒寄さんのことが好きだから。だから力になりたいんだ』

 

 

……私のことを好きになってくれた人。

名前は──

 

〜〜〜

 

 

「零落くん……」

 

意識を取り戻した私は無意識につぶやいていた。彼の名前を。

 

『彩葉! 大丈夫? 意識ははっきりしてる?』

 

ヤチヨの声がはっきりと聞こえた。多分今のを見ている時に私は意識を失ってたんだろう。画面越しのヤチヨの顔は心配の色に染まっていた。ブレスレットはその光を落ち着けていた。

 

「うん、大丈夫。……それより、ヤチヨ」

 

意識ははっきりしている。見た光景も、ヤチヨの八千年にくらべたら少ないものだから負担もほとんどない。けど、FUSHIに見せてもらったものと違って、今のは出所も不明の謎の記録だ。

だいたい、『零落くん』という人は()()()()()()()()()()()。けど、さっきの光景はまるで()()()()()()()だった。

何かが、ある。

 

「ブレスレットが光ってから、私に記憶が流れ込んで来た。知らない人といる私の記憶……。まるで、()()()()()()みたいな。……ヤチヨ、何か知ってる?」

『……』

 

私の質問にまず返ってきたのは沈黙だった。ヤチヨが私の質問に答えないことは結構珍しい。と、いうことは、知っている上で話すか悩んでいるんだろう。

 

「知ってるんだね。ヤチヨ、教えて。たぶんきっと、私は知らなきゃならないと思う。じゃないと後悔する」

『彩葉……』

 

なんとなく、私の勘が知らないと後悔するって言っていた。いるかもわからない他人のこと、でも、この謎の記憶では私の大切な友人だった人だ。

 

 

『……わかった。でも、詳しく話すのは彩葉が学校から帰ってからにしましょう? ほら、もうこんな時間』

 

そう言ってヤチヨはどこからか時計を取り出す。……って、やば。本当に遅刻ギリギリの時間じゃん。

 

『彩葉、結構な時間気を失ってたから。学校も大事でしょ? ほら急いで』

 

ぐぬぬ……。確かに私のやりたいことを叶えるためには学校はとても大事だ。行きたい大学に行かないとヤチヨ(かぐや)の体を作るスタートラインにも立てないかもしれない。

 

「はぁ、わかった。でも帰ってきたら教えてね」

 

それだけヤチヨに伝えて急いで準備をする。まだ急げば全然間に合う。準備ある程度終わってて良かった。

 

世界線の変化……でもなんで今?

「ん? ヤチヨ何か言った?」

『うんうーん? なんでもないよ☆』

 

なんでもないと言うならいいか。必要なことは伝えてくれるだろうし。

せっせと準備をして、玄関を出る。

 

「いってきます」




高校三年生の彩葉さん、タワマンには住んでるんでしょうけど、バイトやってるんですかね。ライバー一本にしたんでしょうかね。月35万どこで稼いでるんでしょうかね。謎が多すぎるぞ!
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