蛇足物語   作:ロバと子いぬ

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今更ですが、この小説は原作「超かぐや姫!」の映画ないし小説を読んである人向けの作品です。この物語は蛇足、付け足しに過ぎません。
まだ大丈夫だけど、今後重大なネタバレや原作を前提とした内容が出るので、まだ見てない人は是非見てくださいね!

あと、この小説の『KASSEN』周りの設定は全部捏造です。信じないように!


三章の二

夏休みが始まって1週間と少しが経過した。今日から8月だ〜。まぁ別に俺の生活が変わるってことは全然ないけど。学校では夏期講習とかやってたり、塾行ってる人は高校2年の夏ってことでめちゃくちゃ勉強してたりするが、俺には関係ないね! ゲームだゲーム!

ということで今日もゲームなのだが、今日は『KASSEN』のなかでも、いつもの『SETSUNA』ではないモードをやる。3vs3のmoba風モードの『SENGOKU』だ。

 

『SENGOKU』。3vs3の陣取り合戦バトルで、よくあるmobaのようにレーンが三つある。レーンの根本にはそれぞれのチームの天守閣があり、レーンによって繋がっている。で、トップレーンとボトムレーンにはオブジェクト、ヤグラがある。ヤグラは牛鬼という中立モンスターに守られている。牛鬼を倒してヤグラを占領すると相手チームの天守閣の前に大将落とし、まぁつまり天守閣破壊アイテムが設置される。上下のヤグラを両方占領するか、相手の天守閣を破壊したら勝ちだ。これを二本先取した方が試合に勝つ。あ、試合の勝ち方はもう一つあった。このゲームは残機制だ。三つの残機を全部倒されても実質負けだ。

 

さて、このゲームは3人1チームってことで、俺にもチームメンバーがいる。

 

「よう、アキラ」

「おうノブ! 今日はありがとな。よろしく」

「ヘビノブ〜、俺には挨拶ないの?」

「はいはい、乃依も今日はよろしく」

 

ツクヨミ内最王手プロゲーマー、ブラックオニキスの帝アキラと乃依の二人が今日のチームメンバーだ。あと1人の雷はここにはいない。というか、雷がいないから俺が助っ人で参加してるってわけだ。黒鬼のスクリムの助っ人。スクリムってのは簡単に言えば練習試合みたいなもので、他のプロチームと大会に向けて練習で試合したりすることを言う。今日は雷がリアルの予定が入ってしまってスクリム参加が難しくなったので、毎日ゲームして暇な俺が来た。暇で悪かったな。『SENGOKU』とか『KASSEN』と違ってソロの『SETSUNA』はスクリムやらなくてもランクマとかで十分練習になるんだわ。

ちなみにアキラは俺のことをノブって呼ぶ。前のチームのときリアルで顔も合わせてるし自己紹介もしたから、本名の秀信にもある『ノブ』の部分で呼んでくれてるっぽい。俺はアキラの本名は忘れた。アキラじゃ無かったことは覚えてる。乃依は普通にツクヨミの名前のヘビノブで呼んでくる。

 

「で、今日は俺は普通に武器使っていいのか?」

「いや、ノブは今日は雷の武器に近い扇か杖系の武器にしてくれ。というかノブが自我出したらスクリムの意味ないだろ」

「それもそうだ。了解」

 

てことで俺は今日も実質武器縛りだ。まぁ別に黒鬼の助っ人はたまにするし、大会では相手としても当たるから、黒鬼の三人の武器は人並み以上に扱える。乃依の弓は再現不可能だけど。というか雷の武器って扇なんだっけ。忘れてたわ。

 

余談だが、俺は大会以外でアキラとは対戦しないことにしている。ランクマで当たったりしたら仕方ないけど、スクリムやルムマでは対戦しない。その方が本番面白いから。本番までにいろいろな一発ネタを仕込むのも良し、シンプルに実力で行くも良し、って感じの暗黙の了解だ。別に取り決めてるわけじゃないから対面してもいいっちゃいいんだけどな。

 

さて、武器リストから今日の武器を取り出す。今日の武器は錫杖だ。つまり先端に飾りのついた長い棒。スキルは地雷設置でウルトは地形変動。地雷は相手を倒せる火力は出ないけどノックアップがある。地形変動もサポーティブなウルトだ。

要するに、俺の得意とするところではないタイプの武器。俺はテクニカルな火力武器が好きだからな。

 

 

今日の対戦相手は珍しく日本の人じゃない。ツクヨミ……特に『SENGOKU』含む『KASSEN』は主に日本で広まっているゲームだ。海外の人はまだそこまで多くない。別に日本語以外もサポートされてるので今後は増えてくだろうけどな。

今日の相手はお隣韓国の人だ。といっても日本のチームに属してるし、日本語も話せるらしい。まぁ俺は話したことないので良くは知らない。

 

さて、そろそろ試合が始まる。俺たちはスタート地点の自陣の天守閣前で集まってこの試合のミーティングをしてる。IGLはアキラ。IGLはインゲームリーダーの略でつまりこの試合の指揮官だな。まぁ側から見てると黒鬼はインゲームに限らずずっとアキラが名目ともにリーダーって感じだけど。

 

『SENGOKU』には定石がある。といっても簡単なもので、上中下のレーンに2-0-1か1-0-2で分かれていくと言うものだ。真ん中のミドルレーンはヤグラがないので放置。二人いる方は相手が一人なら手早く倒してヤグラを占拠、相手が二人なら強い方が勝つ。逆に一人の方は相手が一人なら強い方が勝つ、相手が二人ならヤグラを取られ無いように粘る事が目的になる。両側勝てば良し、2vs1が二つの形になれば早くヤグラを占拠した方が有利になるといった形だ。

正直、定石というよりは、他のフォーメーションが難しいとも言える。ヤグラは上下にしか無いので、上下を両方空けるのは無い。上中下に1-1-1で行くと相手が定石通りに来た場合にリスクが大きい。上か下に3で行くのも捨てた片方のヤグラを確実に取られるのでリスクが大きい。よってこの形に落ち着くのだ。まぁ奇策としてそういった手が取られることもある。

 

「今回はトップに俺、ボトムに乃依とノブの2人で行ってもらう。黒鬼の一番オーソドックスな型だ。KRチーム相手はあまりないし、堅実なスタイルでどれだけ戦いやすいかを見よう」

「了解」

「りょー」

 

今回は定石通りの作戦で行くらしい。黒鬼は大体この構成で戦ってるイメージがあるから手堅いんだろうな。

 

 

 

試合開始のゴングがなった。俺たちは作戦通り上下に分かれて地上をビークルで走っている。今日は黒鬼の助っ人なので俺も黒鬼の虎バイクに乗せてもらえた。ありがとう虎くん。

『SENGOKU』はマップが広いので虎バイクのような乗り物があるのだ。飛行タイプもあるが、今回乗ってる虎バイクは地上を走ってる。

乃依と虎バイクを並走していると、乃依から声をかけられた。

 

「ねーヘビノブ。ヘビノブって帝と仲良いんだっけ」

「うーん、まぁまぁ? 元チームメイトだしそれなりには」

「ふーん」

 

なんの確認だ……? いや、アレか。乃依は確かアキラと付き合ってるとかいう話があった気がするな。それで俺を警戒してるのか? じゃあ別にそんなでも無いですよアピールしとくか。

 

「別に普段から遊んでるわけじゃ無いし、こういうスクリムの助っ人やら大会やらじゃ無いと遊ばないからなあ」

「でもリアルで会ったことあるんでしょ?」

「そりゃ、『KASSEN』のプロなる前にチームメイトだったからな。でもアキラの本名すら覚えてな……あ、これアキラに内緒にしといてくれ」

「ぷぷ、えー、どうしよっかなー。流石に俺でも帝かわいそーかもだしなー」

「頼むってー。今度なんか適当なもん奢るからさ」

「じゃあ気になってる服あったからそれよろしくー」

「はいはい、あとでリンク送っといてくれ」

 

よし、上手く警戒をかわせたな。服を買わされるけど必要経費だろう。

さて、そろそろ相手の動きも見れることだし、マップを見る。相手の動きは……1-1-1のフォーメーション。つまり俺たちの対面は……一人か。じゃあ勝ちだな。

 

「対面は一人。そろそろ接敵。乃依は狙撃ポイントに」

「おっけー」

 

乃依と一度別れてヤグラの前の広場に俺は躍り出る。戦闘中ビークルは流石に邪魔なので乗り捨てていく。虎くんは優秀なので呼べば来るし降りれば隠れてくれる。便利だ。まぁどのビークルでもそうなんだけど。

相手の対面もほとんど同時にたどり着いて、俺の前に出てきた。……出てきちゃったか。多分この人たちあんまり黒鬼の動き知らないな。

 

俺は相手を無視してヤグラの方にいく()()()()()。すると相手も焦って俺のことを追おうとした。その瞬間、

ひぃふっと音がして、相手の動きが止まる。

相手は動こうとするが動けない。移動不能に近いスロウがかけられているのだ。相手の肩には矢が刺さっている。乃依のスキル、鈍足連射だ。ダメージはあまり無いが、名前の通り当たった相手に鈍足を付与する。鈍足は体の動きが鈍くなるデバフで、正味当たるとマジで動けなくなる。重力が20倍になった感覚だ。慣れれば多少動けるのかもしれないが、慣れる時間はまぁ無い。もちろん、永続のデバフでは無いので鈍足はすぐに治る。だが、ヒュン、ヒュンと立て続けに矢が相手に当たる。名前の通り、鈍足連射は鈍足の矢を連射するスキルだ。矢に貫かれるたび、相手は鈍足が継続する。この鈍足連射の受付は少しずつ短くなり、最後にはわずか1フレームになる。ちなみにこのゲームは240fpsだ。つまりどういうことかというと、乃依は240分の1のタイミングで矢を連続で放つことができる。人間の為せる技じゃない。俺が黒鬼で一番真似できないのが乃依の射撃だ。エイムもなかなか真似できないが鈍足連射はマジで無理だ。数発ならできるけど1フレを連続では無理。不可能。人間の限界。転生者でも無理。乃依が異常なリズム感を持ってるとしか言いようがない。

 

乃依の鈍足にかかっている相手を錫杖で叩きのめす。すると相手は何かを言って光のエフェクトとなって消えていった。残機を一つ減らせたわけだな。多分言い残したのは韓国語の暴言だろう。まぁこれは暴言のひとつも吐きたくなるのも仕方ない。俺も乃依の鈍足連射初めて喰らったときは暴言が出た。でも仕組みを聞いたら流石にナーフしろとも言いにくくて……いや、ナーフしろ。

 

倒れた相手を見送ってから、ヤグラの前の牛鬼を俺のウルトでぺちゃんこにして、乃依がヤグラを占拠した。

それと同時くらい、反対のヤグラも占拠した音が鳴った。両方のヤグラを占拠で俺たちの勝ちだ。あっけなかったな。

 

 

 

二本目も普通に俺たちが勝ち、スクリム一戦目は俺たちの勝ちで終わった。スクリムは何戦もしたりすることが多いので、今日も何回かやるだろう。いろんな戦略を試すのもスクリムの目的だ。

今は試合の間の小休憩。雑談したり飯食ったり休憩したりなんだが……アキラがまた知らないライバーの動画を見てるな。

 

「お、まーたアキラの新しい物好きか? 誰これ」

 

そう言いながら画面を見てみると……あれ、見覚えがある。

 

「この人な、今俺が注目してるライバー。かぐや・いろPって名前で活動してるかぐやちゃん。いろPは手伝いとかしてる人っぽいな」

「かぐや……かぐや……あ! あのヤチヨのライブで叫んでた」

「やっぱそうか? 遠目だったから姿ははっきり見てないんだが声がこんな感じだったよな。いや、破天荒ってのはこういうのをいうんだろうなって思って見てる」

 

酒寄さんと居た。と言いそうになって急いで口を閉じた。あぶねぇ、リアルの友人の名前出すのは良くないからな。確証もないし。関係ない人に言うのも良くないし。

 

「ふーん。今のアキラのおすすめねぇ。俺も見てみようかな」

 

とりあえず、今はこれだけ言うにとどめた。ワンチャン酒寄さんの声も乗るかもだし、実際に見るけど、まぁ下心ありきになっちゃうのはアキラには見せたくないしな……。

 

 

 

今日のスクリムは結局全勝だった。黒鬼はアキラも乃依も強すぎて俺がほとんど何もやることなかったのがある種課題だな。うん。




鈍足連射、猶予1フレームって解説されてたけど何の猶予なのかも何fpsの1フレームなのかも解説がないから捏造です。あと雷のスキルやウルトも捏造です。全部捏造です。想像の余地がデカすぎるぞ超かぐや姫!
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