結ぶと解く   作:ながずぼん

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第107話 検査と環境

 いよいよアメリカでの検査が始まる。ヨハンソンたちの迎えの車に乗って病院へ。

 最初は検温から。次に血圧、尿をとって、口の中の粘膜を採取される。次は採血。

 こちらでは徹底して調べるようで、視力検査や聴力の検査もやった。

 内科検診なのか聴診器を当てられた後で触診されたり、基本的なことも全部やる。

 昼になり病院内のフードコートのようなところで昼食。教授とNSAの2人と4人でテーブルに着き、おれはチキンのブリトーを食べた。

 むかし新宿でメキシコ人がやっていた店で食べたのと同じでおいしかった。コンビニのあればブリトーではない。と思う。けどあれも好き。

 

 午後は脳外科に移動して脳の検査。まずはMRIから。

 アメリカだからといって筒が大きかったりしない。シュインシュインと輪切りにされて筒から出てくるとサイボーグになっていた。ということもない。

 担当医と思わしき白衣のおじさんはこれといって異常はないと言っていたらしい。

 続いて脳波検査。付き添いの看護師は日本語ができないようで傍らにミシュラさんがついている。彼女の通訳で目を開けたり閉じたりした。で、眠るパートに。

 モンテビデオでも東京でも割と寝てしまえたのだが、きょうは全然眠れない。

 しばらくじっとしていたが眠れないのでミシュラさんにそう告げると、看護師に伝えられ、眠っている間の脳波はまた来週チャレンジすることに。

 

 検査室から出ると太った意地悪そうな中年医師が、なにか英語で話し掛けてきた。

 なにを言っているのかわからないと思っていると、ヨハンソンが間に入り何度も首を振っている。さてはこのデブ、おれの頭開きたいとか言ってんじゃねえかと思ったら、ヨハンソンに彼はそう言っているけれど拒否していいと言われた。

 

 きょうは一日病院にいてあれこれさせられたのでちょっと疲れた。

 ヨハンソンたちに送ってもらいホテルへ戻り、少し休んでからサブウェイへ。

 毎日食ってたら飽きるかなと思いつつ、飽きるまで食べてみようと思った。

 

 

 翌日もヨハンソンたちの迎えで病院へ。車中、昨日の医師を跳ねのけたヨハンソンの態度に教授は安心したと言っていた。彼は当然のことをしたまでだと言った。

 この日は心電図検査からスタート。ベッドに寝て手首と足首と胸に電極を付けられる。どのくらい寝てるのかなと思ったらすぐに終了で、電極を外される。

 隣の部屋に移動するとランニングマシーンが置いてある。これ映画とかで見るやるじゃん!とちょっと興奮する。あちこちに電極を付けられてランニングスタート。

 ミシュラさんから10分やると聞いて、そのぐらいなら余裕かなと思っていたが3分ぐらい経ったらもう身体が重い。運動不足もいいところで10分経過したらバテバテだった。余裕が出てきたら港の遊歩道のところでも走ろうかな。

 

 心電図検査が終わったら次は肺機能検査。固定電話みたいな機械の受話器のところが筒になっていてそれを咥えて息を吸ったり吐いたりする。鼻をクリップみたいなやつで挟まれたら検査スタート。ミシュラさんの合図で吸って吐いてを繰り返す。ゆっくり吐けとか、できるだけ早く吐けとか何度かやる。

 検査後に「肺活量を調べただけですか?」と教授に訊ねると「酸素が肺から血液に移行する能力も測ってますよ」と教えられた。そんなことまでわかるのかすげえ。

 

 この日の最後の検査は腹部エコー検査。ベッドに寝て腹を出す。そこにゼリーみたいなのを塗られて超音波で臓器の様子を調べるらしい。妊婦さんが産婦人科で受けてるやつそのまんまだ。検査員はかわいらしい女性だったのでだらしない腹を見られるのが猛烈に恥ずかしかったが、彼女は全く気にも留めていない様子だった。

 腹筋バキバキでも臓器には関係ないしな。人も腹も大事なのは中身だ。あと、ゼリーみたいなのを塗られたときに「あひゅっ」と変な声が出たのは内緒だ。

 

 そんな感じで2日目終了。この日は絡んでくる医師もいなくて助かった。

 どうせ出歩くのが憚られるので昼食は昨日も行ったフードコートへ。

 

「私が付き添えるのは今日までですが、なにか心配なことはありますか」

 

「脳波検査の先生が面倒臭そうですが、ヨハンソンが対応してくれているので大丈夫そうです。あとは食事がハイカロリーっぽいことですかね。ははは」

 

 そう言ってチラっとヨハンソンを見ると、不機嫌そうに溜息をついた。

 

「どうせ手術したところで何も見つけられませんよ彼は。検査結果から推測できなければ辿り着けないのですから。私たちも聞かされるまで考えもしませんでした」

 

 教授は真剣な表情で2人に英語で何かの指示をしている。耳を傾ける2人も真剣な表情だ。おれを守るのはアサガオさんに会いたいがためなのだろうけど、彼らの表情から役目を放棄するような中途半端な覚悟は感じられない。

 

 教授は午後の便で帰国する。またすぐに会えるから見送りは不要だと言ってタクシーに乗り込み行ってしまった。その後、おれだけ車でホテルまで送ってもらった。

 

 ホテルの部屋で夕食を食べ終わる頃、パウラさんからビデオ通話の着信。

 繋げるとすぐにサクラさんも入ってくる。彼女は明日の朝の便で帰国するそうだ。

 帰省中、ウルグアイが22時なら日本は10時、ボルチモアは21時、そのぐらいの時間なら用事がなければ3人で喋れるけど自分のことは気にせず好きな時間にやればいいと言われた。あと、スペイン語を習得したいなら日本語は禁止だと言われた。

 ごもっともなので、パウラさんにもし日本語で話し掛けてもスペイン語で返してくれとお願いした。彼女は「Si,Si,Si」と笑っていた。

 

「それで、わたしお正月に人に会うことになっていて、もしかしたら来年は環境が変わるかもしれないんですよ。春ぐらいに」

 

 サクラさんは期待しているような感じでそう言った。環境が変わるというのはきっと引っ越しとかそんな感じなのだろう。日本に帰るってことなのかな。

 

「もしかしてお見合いするんですか?あ、玉の輿ってやつ?」

 

「違いますよ。ハナダさんならそう言うと思っていましたけど。会うのは女性です」

 

 そうなのか。全く想像がつかないから「いい話になるといいですね」と言ってそれ以上詮索するのはやめた。彼女がウルグアイからいなくなったらパウラさんは寂しくなるだろうな。

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