ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない   作:一般むしポケ好き

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プロローグ①

 

むしポケモン

 

一般的にその辺で何時でも捕まえられるとされがちな彼らは、よくその辺の悪ガキや虫取り少年らとじゃれ合う微笑ましい光景を……あ、ちょっと、しびれごなはダメ。シャレならん。ねむりごなもダメ。

 

……こほん。

 

微笑ましい光景を作り上げている。

そう、ここはガラル地方の端っこの方にある田舎町、クレータウン。

鬱蒼と茂る森の道を抜けた先にある、平均年齢60歳位の限界寸前集落だ。

 

まあ、そんな街については置いておいて、私もむしタイプをこよなく愛するこの町の住民である。

初めて目にしたポケモンは窓から見えた木に張り付いていたコクーンだったし、初めて捕まえたポケモンはクヌギダマだ。

 

……色違いの。

 

 

「あ!きんたまのねーちゃん!また来たのかよ!」

「ここ俺らの秘密基地なんだけど!」

「クソガキどもその呼び方したら蹴りあげるって前言ったよね」

「やべぇキレた!逃げろ!」

「きんたまがキレた!」

「きんたま言うな!!!」

 

 

なぜこんな不名誉な呼び方をされているのかと聞かれたら、まあ、クヌ……フォレトスの色が原因だ。

 

彼は紛うことなき金ピカであった。

 

丸く、硬く、重く、そして輝くほどに金ピカであった。

 

ぶっちゃけ、でかいきんのたまだった。

 

 

「ブォレッ」

「う゛っ!………怒んないでよもう……」

「ブォッ」

 

 

普段通りボールがあまり好きではないクヌを横に連れ、心が読めるのか怒ったのか、重さ125kgに後ろからどつかれながら森をまた散策し始める。

ここいらの森は基本的に安全ではあるけど、それでも野生ポケモン…特にむしポケモンが多く生息している場所。

なのでこうして渋々致し方なく本当に仕方がないがクソガキどもを追い払いに来ているのだ。

たまーに知らないむしポケが紛れ込んだりしてあぶねーから近づくなって言ってるのに言うこと聞きやしないんだから。

 

 

「メラ」

「ん、メラさん、まだ誰かいた?」

「メララ」

「ん〜じゃ帰ろっか…そろそろ時間だし」

 

 

すとんと近くに着地したメラルバに目を向けるともう森の中に他に人は居なさそうだとわかった。

ぱっぱっと膝に着いた砂を払いながらため息をつく。

マジで行きたくない

帰りたくねえ〜

でも帰らないともっとめんどくせぇ〜しな〜

 

とぼとぼと森のヌシであるビークインに挨拶をしながら森を抜けると、まだ入口あたりにたむろっていたクソガキどもがこっちに手を振ってくる。

 

 

「ねーちゃん頑張れよ!今日こそ勝てよなー!」

「きんたまビーム撃ってくれよな!」

「うるせーさっさと帰って昼飯くってろばーか」

「早くメジャー入りしろよなー!」

「ぐうっ…!」

 

 

クソガキの的確なボデーブロー

▷こうかは ばつぐんだ

どうやら私はむしタイプ好きなだけでむしタイプそのものではないようだ。そりゃそうか。

 

 

「……はぁ……メジャー入りなぁ……」

 

 

ここ、ガラル地方では他の地方と少しばかり違う形態のジムリーダー制が取られている。

ひとつの街にひとりのジムリーダーが居て、だいたい8個位バッジを集めたらチャンピオンロードに挑んで……っていう基本的な部分は同じだが、その挑戦者達が挑むべきジムリーダーがコロコロと入れ替わるのだ。

……いや、まあ、本来なら、だけど。ここ数年一部の人達は変わってない気がするし。

 

ガラルではエキシビションマッチが行われ、そこで勝利し残ったランキング上位8名がそのバッジを渡すことのできるジムリーダー……つまりはメジャークラスとして新米対戦者達を待ち受けているのだ。

 

そんでまあ……メジャーがあるならマイナーもある訳で……

 

 

「……こんなド田舎メジャーにしたってよー、ジムチャレめんどくなるだけだろーがよー」

 

 

現在3年連続マイナーランカー

クレータウンのジムリーダー

むしタイプ使いの"モナル"

 

それが私なのだった。

 

 

 

====

 

 

 

チャンピオン、ダンデは10歳の頃から13年間無敗の絶対王者として立ち続けているらしい。

らしいというのは、私は今14歳なのでそんな昔のこと知らねーってことなんだけどさ。

私が物心着いた頃には誰もが憧れるチャンピオンだったのにさ、そんなやつに勝つ為に鍛え上げて来てる人達と並ぶと悲しくなってくる。

ここ控え室でも若干ピリついた雰囲気…まあ一部ピンクだったりしてるけど、割とピリついている。

真剣な表情で今日どう勝ち残るかを今も考え集中力を高めているのだろう。

 

 

『さあ皆さん!此度もエキシビションマッチ、セミファイナルを勝ち抜け、この大舞台へと舞い込んできた挑戦者達がやって参りました!』

 

 

突然スピーカーから響く音にうるせーと思いつつも観客の湧く声と地鳴りを感じながら、このリーグ委員長であるローズさんの演説を聞く。

相変わらず場を盛り上げるのが上手い人だねえ。

 

ド派手に上がる花火やら映像やらを観てるとワクワクするし覗き込みたくなるけど、今からそのど真ん中に行くとなると相変わらず胃が痛くなる。

観客だったら楽しかったろーにな、慣れない。慣れたくねー。

今からあそこ行くの?バカじゃーん。

 

 

「あなた…まだ慣れないの?」

「う……う、なんスか……慣れるほど出てる癖にまだマイナーって言いたいんですか……」

「そんな事言ってないわよもう、相変わらず変なとこでネガティブ」

「……ルリナさんの横に居たら皆こうなると思いますけど…」

 

 

後ろから後光が差し込んだと思ったら、現役メジャージムリーダーにして超人気モデル、ルリナさんがこちらを覗き込んでいるではありませんか。

私と違い5年前から水タイプジムリーダーとして君臨し、メジャーとしての実力を示し続けている実力者だ。

ああっ目が潰れるっ

 

 

「もうここに来るのも4回目でしょ?そろそろ慣れないと」

「やー…別に慣れなくて良いというかー…別にマイナーのままでいいかなーっとか……」

「コラ、そんな気概がポケモンにも伝わってるのよ」

「そうです、モナルくん。そのあと一歩がきみに足りていないものだとぼくは思います!」

「うっ2つ目の太陽(タトゥイーン)……!」

 

 

じゅっという音が聞こえ(幻聴)私は思わず塵になりかけた。

ルリナさんに続いて現れたのは首にタオルを掛け、見ているだけで暑くなってくる程赤いユニフォームに身を包んだ、燃える男ことカブさん。

私みたいな、高校デビュー失敗したギャルのなり損ないみたいな存在にはいちばん辛い。

消える消えてしまうぞ杏寿郎。

この場合消えるのは雑魚鬼(わたし)じゃねーかな。

 

 

「ルリナさん達もそうですが、若い世代が台頭してきている今!きみも突き進まなくては」

「そうよ、あなた歴代でも最年少のジムリーダーなんだから誇りなさい」(※2ヶ月後オニオンくんが最年少でジムリーダーに就任する)

「い、いやー…むしろそれしかないって言うか…」(※2ヶ月後オニオンくん(ry)

 

 

…………?

なんだか非常に嫌な予感が……いや気の所為か。

私が自慢できる事なんて最年少クラスでジムリーダーに就任してマイナーながらも頑張ってるっていう将来性位なんだからね。

私より若い子?いやないない(笑)

なんて陽のエネルギーを感じつつ手をイジイジしているとふと思い出す。

そういえば2人には聞かなきゃ行けないことがあるんだった。

 

 

「あの、グソクムシャさんとマルヤクデさん、その後は大丈夫ですか」

「あっ!そうだったわね、教えてくれてありがと!お陰様で元気いっぱいよ」

「うん、きみに教えてもらったポケフードのお陰で無事元気を取り戻したよ、今日のマルヤクデは絶好調だね!」

「うっ……余計な事したかも……」

「思ってても言っちゃダメでしょそれ…」

「冗談です……元気なら良かった」

 

 

ぐうぅ……だって私のパーティー殆ど焼かれたらひんしになっちゃうしさー。

頼むから1回戦でカブさんだけは勘弁してくれ〜、去年はキョダイヒャッカで塵も残んなかったし……

ルリナさんのグソクムシャさんも容赦ないし…

 

うわー誰になんのかな1回戦目、誰が来てもヤなんだけどキバナさんとカブさん、後ポプラさんもきびしーぜー。

ネズさんだったらワンチャン……いやでもあの人普通にタイプ相性位なら乗り越えてくるしな……やだなー

 

 

『───では!ここまで勝ち残った栄えあるジムリーダー達を迎えましょう!』

「おっと時間だね」

「ええ、ほら背筋伸ばしなさい、しゃきっと!」

「うぐぅ…」

 

 

ノロノロと立ち上がると背中をバシバシと叩かれ背筋を強制的に伸ばされる。

憂鬱になりつつも見渡すと控え室に他のジムリーダー達もぞろぞろと集まってきて、並んでコートへと向かっていく。

ちなみに私の前はネズさんなので髪でなんにも見えない。逆に配慮かもしらんけど。白黒ヘアーが右左。

 

 

───そして、暗い通路を抜けるとぱっと視界が白むような感覚に眼を顰めるが、続いて聞こえてくる歓声にそのまま耳まで塞ぎたくなる。

豪雨の様な拍手に耳を叩かれ、薄ら目でビカビカと最新技術をふんだんに使った光に目が焼かれる。

ああ嫌だ、またズルズルと未練がましくこんな所まで来ちゃってんだ私。

渋々前を見ると相変わらず胡散臭い髭面のローズさんは手をすっと広げながら、さあもっと盛り上がれと言わんばかりに仰々しく私達を並ばせていく。

 

そして、並び終わったのなら彼が来る。

私がポケモンと出会った頃にはガラルのヒーローだった男が。

 

ブゥン──と煌びやかな光が全て遮断され、私達が来た反対側の通路にスポットライトが当たる。

そこに当てられたスモークの影にはあの謎ポーズで立つ男のシルエット。

あれどの辺がリザードンなんだろ、手?

 

 

…………とりあえず我らがチャンピオン様のお出ましだ。

 

 

「─────レッツ!チャンピオンタイム!」

 

 

怒号のような歓声に身が竦む。

よくもまーこんな中であんな堂々とできるわあの人。すげーな。

 

ようやく着き直した照明の中で威風堂々と歩いてくるダンデにジムリーダー達はそれぞれ感情を向けている。

ひとりは圧倒的なライバル心、他も今度こそといった高揚した気持ちばかりだ。

観客も誰が勝つのか、誰がチャンピオンに挑むのかという熱に浮かされコートに蜃気楼でも出来てしまいそうだ。

 

え?私?無理無理無理無理ヤトウモリ。

ひこう/ほのおって犯罪だよね(むしタイプ使い並)

 

 

「さあ!今日もチャンピオンタイムを楽しめ!」

 

 

怒号の様な歓声がドームに響く中、私はそっとモンスターボールを撫でる。

 

…………うーん、やっぱダメだね。

なんでここまで来たんだか、何期待してんのかなー私。

別に負けたくて戦ってる訳じゃないけどさ。

 

震える手を押しとどめようとするも収まらず、ボールの中にいるクヌがジトっとこちらを見ている気がしてくる。

しゃーないじゃん?まだ、怖いかなー

 

 

 

 

ダンデの射抜くような目と周りの熱に、私だけは着いていけそうになかった。

 

 

 

 

====

 

 

 

 

────ポケットモンスター、縮めてポケモン。

この星の不思議な生き物。

 

空に、海に、森に、街に、世界中の至る所で

その姿を見ることができる。

 

 

そんなガラルの端の方にある田舎に住む、むしタイプ使いの少女。

モナルとフォレトス。

 

そんな彼女が少しだけやる気を出すまでの、物語である。

 

 

 

 





今更剣盾二次小説です
設定等あやふやな部分がありましたらご指摘ください
ちなみにフォレトスがガラルに入国している理由は私が好きだからです

後感想評価ください(いじっぱり)
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