ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない 作:一般むしポケ好き
こうなった理由は明確でして、というか前回の内に言っておくべきでした。はい。
皆様は4/1が何の日か知っていますか?
そうですね、社会という荒波に放り出される日ですね。
エイプリルフール?何言ってんですか、嘘なんて着いたらダメですよ
…………一応1週間に1回は投稿できるように頑張ります……
ユウリと名乗ったその子はお皿洗いますよ!と言ってくれたのでシズさんと一緒にお願いしている。
なーんか聞き覚えある気がするけれど、いまいちどこで聴いたか思い出せないなー。
私はとりあえず寝る前に皆のお手入れをすることにした。特に今日1日よく働いたペンさんはしっかり洗ってあげないとね。
「ドラ〜♪」
「おーご機嫌だね、ほれほれこの辺かなー?」
「ドッラッラ〜♪」
スーツのお陰で今ではこんなに動いても大丈夫だぜー。
ただ、このスーツは筋肉に直接電気を送って動かしているらしいので明日の筋肉痛が非常に不安である。明日動けるかな私。
ユウリには歳下だろうなぁと考え割とカッコつけて動いているのであんまりダサい姿を見せたくないのだ。
「お皿洗ってきましたー!わ!やっぱりさっきも思ってましたけどペンドラーさんおっきいですね!」
「ねー食いしん坊だからこんなに太っちゃって…」
「ドラ!?」
「家も食いしん坊な子が居るので気持ちは分かります…バトル前に仕上げるのが大変で…」
「……ん?手持ちの子ってリザードだけじゃないの?」
お皿を持ってきてくれたユウリの話を聞いていると、どうやらリザード以外にも手持ちの子がいる様子。
あーもしかして一人でレベリングしてたのかな?私もこの後メラさんとリーさんにしようとしてたみたいに、一旦他の子達を預けて経験を積ませようっていう算段だ。
……って事は、もしかしなくてもユウリって結構強いトレーナーなのかな?
そういうと、何故か少し考え込んだ表情をしたユウリはハッとして答えてくれた。
「はい!普段は6人とも連れてるんですけど、この子は最近尊敬してる人から譲り受けた子で…しっかり強くしてあげたいなと思いまして!」
「へー私のメラさんと同じだ。ちゃんとしてあげたくなるよね」
「ですね!」
「というか6人連れてるんだ、凄いねー私5人でも割とカツカツでさー」
「……やっぱり、私の事知らない人だ…!」
以前にも考えていたが、手持ちの数は増えれば増えるほど選択肢が増える反面、育てる大変さやこうして洗ってあげたりお世話してあげる時間、その数に合わせた戦術など考えることが多くなり非常に難しい。
あと私みたいに一部のタイプのポケモンにしか好かれない人なんかはそもそも手に入れられなかったり。
それなのに6人連れているということは、やっぱりこの子は相当強いトレーナーらしい。
シズさんの脚を拭きつつ、何故かホッとしたのか少し嬉しそうな様子でリザードのお世話をしてるユウリを見て改めてそう感じる。
「いえ……それを言うならモナルさんもかなり強いトレーナーですよね!見たら分かりますよ皆かなり鍛えられてて…!特にあのフォレトスさん!私初めて見ました!」
「クヌは持ち込みだからねー、私別の地方からここに来たの」
「凄い…!私もいつかは他の地方にも行ってみたいなって思ってて、今はちょっと……その、忙しくて無理なんですけど………」
「あら、そうなんだ……あ、敬語じゃなくていーよ。私こんなんだし」
そういうと「わかった!ありがと!」と元気に答えてくれるユウリに内心ニヤケてしまいそうになる。
かーっ!わかっちゃうかーっ!私の強さわかっちゃうかーっ!クヌが強いのわかっちゃうかーっ!かーっ!
へへ…久々に自己肯定感が爆上がりする音が聞こえてくるぜい。
何でか私の周りはハチャメチャ強いひとばっかりだったから本当に久しぶりに強い先輩面出てきてる…!
本当は陽キャっぽいこの子も普段なら避けるだろうけど、かっこよく助けた歳下ってなればビビらずに相手できるってものよ。
「クヌ達、強いでしょーふふーん…実は私、ジムリーダーなんだよ」
「えっ!?……あ、あれ?知らない……え?」
「まーとは言っても今はマイナーだから自慢はあんまり出来ないんだけどね、でも結構強いよー?」
「そ、そうなんだ………あれぇ?」
「クレータウンって所でジムリーダーやっててね、私メジャーリーグに居た時もあったんだよ!」
「ええ!?……な、なんで私知らないの〜…!?」
「そして私は今チャンピオン目指して旅を始めたところなのです!ふっふーん未来のチャンピオンのサインとか要る〜?私普段そういうの書かないから超レアだよ!」
「えっ…………ソ、ソウナンデスネー…モラッテオコウカナー……」
ふふん、ふふーん!
私がジムリーダーだと知るとびっくりした顔をしてくれるユウリに益々鼻が高くなっていく。
そうそう、街の人以外と話すの久々だから忘れてたけどジムリーダーって尊敬されるポジションではあるからね!
しかもメジャーリーグに居たとなればそれはもう凄い人なのであーる!…………まあ居たの最初の1年だけなんだけど。嘘は言ってないもんね!
…………この後調べられたりして、物悲しい戦績を見られたらヤダからそろそろ止めとくか。
ビックマウスも程々にしないと痛い目見るのは前に十分味わったからね…
「……まあ、今のは半分冗談として、色々あって引退するつもりで、今はジムチャレンジャーとして一からやり直してるんだよね」
「そ、そうなんだ…ってええ!?引退するの!?」
「うん、ちょっとね。この旅実は後継者探しも兼ねてたりするんだよね」
「引退って…それこそオニオンくんとかビートとかマリィみたいに若い人もジムリーダーに増えてるし、続ければいいんじゃ…」
「知らない人達だ……うーん、ま、決めた事だしね」
そう言うとユウリは少し残念そうに肩を落とす。
というか今若い子増えてんだなー、ビートとマリィ……どっちかはポプラさんの後継者かな?
チャンピオンも若いし、本当に新しい世代になってるんだなあ。
ま、今となっては殆ど関係ない話だ。気にするだけ無駄無駄。
そう思い再びみんなを洗っているとユウリが不思議そうな顔をして考え込んでいた。またか。
「私のこともみんなの事も知らない……?それにクレータウン……モナル…………」
「おーい?……ユウリ?」
「クレータウンってあの……まさか……」
「あの…ゆ、ユウリさん?今のはちょっと盛ったというか、なんというかー冗談混じりといいますか、チャンピオン云々以外は本気に……」
「もしかして!」
「うわっ!?」
「もしかしてクレータウンジムリーダー!"眠りの英雄"のモナル!?」
「"眠りの英雄"!!!?!!?!」
ぱっと顔を上げたかと思うと、凄い勢いで私の顔スレスレまで近づき肩を掴んでくるが、私としてはそれどころではなかった。
ね、ね、ね、✝︎眠りの英雄✝︎!!?!!!
なんだその厨二病ど真ん中みたいなあだ名は!しかもなんでそれが私の名前にくっ付いてんだ!?
"魔術師"ポプラさんとか"炎の男"カブさんとか居るけどさぁ!?私に!?なんで!?
雨音と焚き火の音しか聞こえなかったはずの原っぱなのに、今では私の心臓の音が酷くうるさく聞こえてきてしまい、それすら恥ずかしく感じる。
なんで私にそんな尊大な名前が着いてんだよお〜…
「何それ!?確かに、私はクレータウンのモナルではあるけど、ね、眠りの……英雄ってな、なんだそれ……!?そんな小っ恥ずかしい名前知らない!」
「緑の髪にむしタイプの使い手…ダンデさんが言ってた通りだ!本物だ!なんでこんな所に!?」
「ま、待って待って待って、わ、私もうキャパオーバーというか…………ん!?ダンデさん!?知り合いなの!?」
思わずスポンジを取りこぼした泡まみれの私の手を構わずユウリがキラキラした目をしたまま握りしめてくる。
ああ…これ見た事あるやつだ……ダンデさんに憧れるトレーナーがしてる奴だ……!
わ、私はちょっとそれはまだ早いって言うか、ちょっとはすごいって思って貰いたいけどそこまでされると恥ずかしいっていうか…!
わ、私別に街守っただけで英雄とかそういうんじゃないって言うか……!
というかユウリ、ダンデさんと知り合いなの!?
「あっ…………言わない方が良いかな……うん……あの、私の幼馴染のお兄ちゃんがダンデさんなんだ。このリザードもダンデさんから貰った子なの」
「はぁ…」
「それでモナルの事も聞いたことがあるって言うか…最近目が覚めたって聞いて会ってみたいと思ってたの!まさかこんな所で会えるなんて思わなかった!」
「はー……え?てことはダンデさん私の事そんな呼び方してるの?ちょちょちょちょっと待って?その…ねむ、眠りの……とか言うのってどれくらい広まってたりする…?」
「えっ……えーっと、多分私位の歳の人ならみんな知ってるんじゃないかな。一時期ニュースとかで凄かったし」
ぶったまげてもう白目通り越して吐き気がしてきた。
そういえば病室に居た時ダンデさんが「キミは英雄なんだぜ」とか何とかやたら言ってんなーと思ってたけどまさかこの事なの…?
た、確かに頑張ったなー私とは思ってたけどニュースになってたの…?いや、まあ、一大事ではあっただろうしそれ自体はいいとしても…
さっきまでの冗談交じりの大口に別の文脈が生まれてしまうとは思わなんだ。これだとただ単にイキってるだけの恥ずかしいやつじゃんかよー…!
「ロ、ロトさん?今のほんと……?」
「ロト、事実ですロト。モナルの名前自体はそこまで広がっていませんがクレータウンのジムリーダーの偉業はそれなりに知れ渡っているロト」
「な、なんそれ…えー…そんな、えー……えあー……わ、私ぃ……?」
「事実なので喜んでもいいと思うロト」
「そ、そうかも知んないけどさ…それとまた別の話っていうか……」
うおー…小っ恥ずかしい。
これから行くとこで変に自分のこと話すのやめとこう。いくら今の私が強気でも知らない人に囲まれるの嫌だし怖いし。
というか思ったよりジムリーダー変わってるらしい事に驚く。ポプラさんだけなら年齢的に、とかで分からなくもないけれど他に誰が変わってるのやら。
……ちょっと、私チャンピオンになることばっかり考えてて今の社会とか全然気にしてなかったな。
というかジムリーダーとかは調べとかなきゃダメでしょ私。昔から猪突猛進なのは自覚してたけれどここまで来ると笑うしかないな。
これからはやり直す時間も無いんだし一発勝負で決めなきゃ行けないんだからちゃんと情報収集もしていこう。
よし、反省。切り替えよし。
話聞きついでにユウリに色々と教えてもらう事にしよう。
一旦落ち着こうとユウリもテントを張り、お互いに寝る準備を始めた。
皆もピカピカになってご機嫌な様子、リーさんも初めてお手入れしたけれどこの子はシャンプーがあんまり嫌いそうじゃなくて良かった。
クヌとかペンさんは全然気にしないけど女の子組は皆結構いいシャンプー使わないと嫌がるのだ。ワガママさんめ。
シズさんとか一回試しにユカリ様から貰ったシャンプー使って以来それ以外ヤダ!と突っぱねるほどで私より贅沢してる。
私も一応そのシャンプー使ってるけどあんまり気にしてないしなー…まあルリナさんからいいねって言われたから使い続けてるけど。
ちなみにユウリのリザードもあんまり気にしないタイプというか、そもそもお風呂があんまり好きじゃない勢のようだ。ばっちい。
「えっと、まあ、改めまして?そのとりあえず私がモナルで間違いないよ。でも変に遠慮とかしないでくれると嬉しいかな…」
「さっきはごめんね!私こそ会ってみたかった人だったからテンション上がっちゃって…」
「いーよ、それより私も色々と聴きたいんだけどさ今ってジムリーダー誰がメジャーリーグに居るのか教えて貰ってもいい?」
「うん!えっとねー…今は確かキバナさん、カブさん、ルリナさん、ヤローさん、サイトウさん、オニオンくん、マリィ、ビートの8人だったかな?」
ドラゴン、ほのお、みず、くさ、かくとう、ゴースト、あく、そしてフェアリー。
羅列されたタイプを聞きながら、私は頭の中でガラル地図を広げる。というか、半分くらい知らない名前だけど。
…いや、サイトウさんはちょっとだけ知ってる気がするな。確か、4年前にデビューして勝ち上がってきてるとかで有名になってた人…のはず。
「…やっぱり後ろ3人知らないな、というかあれ?あくタイプジム?ネズさんは?」
「マリィがネズさんの次のあくジムリーダーだよ」
「ネズさんジムリーダー引退したの!!?!?!!」
「うん、妹のマリィに譲って音楽活動に専念するんだって」
「はー…そっか、そうだよね、皆夢があるならそれを追っかけるよね」
皆ジムリーダーで満足せずにその先を目指してるんだなぁと改めて大人ってすげーなーとぼんやりと考えてしまう。
少なくとも私ならこんな状況にならなかったら自分からジムリーダーを辞めるなんて考えもしなかったかも。
ネズさんやっぱロックだなぁ、あの人結構開会式とかサボるしエキシビションマッチとかで会わない限り話すこともなかったけど、あの自由さには少し憧れてたり。
「というか、ユウリめちゃめちゃ詳しいね。ジムリーダーの人達呼び捨てだし仲良かったりするの?」
「え!!?!いやーっそう……なんだよね!実は!マリィとかは私がジムチャレ……うぅん…………とにかく同い歳だし仲良くなったんだよね!」
「ふーん…いいね、同い歳のトレーナー居るのって、ちょっと羨ましいかも。私同世代の子と話したこと無かったし」
「そうなの?なら私もしかして一番乗りだったりする?」
「そう…………あっ、ごめん、私もう今17歳だから同世代では無いかも……」
「えっ歳上だったの!?」
少しびっくりして私のことを見てから「ぜ、全然気にしないよ!同世代同世代!」と笑うユウリだけど、騙されんぞ。
くそう…確かに背もユウリより低いしガリガリなのもわかってるけどさぁ………というか、胸も……くっ……いや別に気にしてないし……
子供体型通り越してガイコツ体型な私ですけれども、これから増える予定ではありますからね。
「モナルは明日どうするの?」
「あー、私ねがいぼし無くしちゃっててそれを探しに行くついでにバンドにしてもらおうかなって思ってるんだよね。マグノリア博士ってまだあの家に居る?」
「あっ!なら私と目的地同じだ!えっとね、今はマグノリア博士の孫のソニアさんが研究所に居るからそっちに行った方が早いかも……一緒に行ってもいい?」
「勿論、こっちこそ道案内お願いしてもいい?」
「うん!よーし明日もがんばろー!」
「あは、うん、がんばろー」
元気よくテントに潜り込むユウリを見送ってから、私も自分の寝床に横たわった。
テントの隙間から、薄暗い夜空が見える。
それにしても、眠りの英雄て。
暗闇の中で、さっきの恥ずかしい二つ名を思い返して、思わず顔を覆った。
英雄なんてガラじゃない。私はただ、あの時必死だっただけで、ただ街を守ろうとしただけで、別にガラルの事とか考えてもなかったし……
なんて、考えはするも少しだけ認められているような気もして、頬が勝手にニヤケてしまう。
「…………」
「……こっちみんなクヌ、バカ、バーカ……分かってるよ。だとしても目標も夢も変わらないからね」
もしかしたら、私のやろうとしているは既に半分達成されていて、もうこの子達は英雄のポケモンとして知られているかもしれない。
でも関係ない、だって私のやりたい事は別だからね。
……それに、あの時の必死さが、4年経った今の子供たちにまで届いているのだとしたら。
まあ、悪い気は、しない。ちょっとどころか、かなりこそばゆいけれど。
「……ま、とりあえず明日は筋肉痛との戦いからかな。頑張れ私」
スーツに頼り切ったツケが回ってくるであろう自分の体を案じながら、私は静かに目を閉じた。
4年間の空白を埋める旅は、思っていたよりもずっと賑やかになりそうだ。