ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない   作:一般むしポケ好き

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すみません、今まで書いた描写に合わせると何回計算してもソニアさんの年齢が28になっちゃうのでダンデさんの戦績を少し下方修正して25歳ということにしました。
それに伴ってダンデさんも25歳になっています。
マスタードさんの18年間無敗記録をダンデさんのものと勘違いしてたんじゃ……ゴメンなのじゃ……





一二話

 

 

 

 

「はーなるほどね、ねがいぼし無くしちゃったんだ」

「多分4年前の戦いの時に落としたっぽくって…」

「あんな激しい戦いだったんだから仕方ないよ、私も助手としてあそこ行ったんだけど跡地見て身が竦んじゃったよ」

「今では結構綺麗になってますよ、最近ヌシも変わったりして」

「珍しいよねー、ワイルドエリアでヌシが居るのって。カレドニのもりくらいじゃない?」

「そうなんですか?……確かにそうかも」

 

 

ソニアさんに用件を伝えると「なら早速行こう!」と言い出し、彼女に連れられてマグノリア博士の居る住居の方に向かっている。

何でもあの家の前にある湖によく落ちているのだとか何とか、どういう仕組みなんだねがいぼし。

 

そういえばカレドニのもりはむしタイプばかりいる変な森だと思っていたが、生態系も少し不思議らしい。

ガラル地方には居ない筈のパラセクトのキノコだけが生えていたり、普通森にいるはずのタマゲタケとかラランテスが居なかったりと妙な感じなんだとか。

もしかしたら、あのクソ鳥もそのせいでやってきてたり…?

 

 

「…今更だけど、そんなに歩いて大丈夫?」

「大丈夫ですよ、ちょっと筋肉痛ではありますけど…まあいい事ではありますし」

「そっか、なら良かった。キミみたいな子は無茶しがちだからさ」

 

 

そう言うソニアさんは誰を思い出しているのか、歩きながら何やら悩ましげな顔でため息をついている。

まーあのダンデさんの幼馴染らしいし苦労も多いんだろうな。本人、迷子ぐせだけじゃなくて結構フリーダムな所あるし。圧あるし。

 

ちなみに、ユウリとホップは研究所で待っている。

ホップは課題があるらしく難しそうな本片手にノートを必死に取っていて、ユウリはそれを見ながらニコニコしていた。幼馴染って言ってたけどあの子たちどういう関係なんだろ。

 

 

「確かホップってダンデさんの弟さん何ですよね」

「そうよー、いっつもアニキアニキーって言っててね、まあ可愛い弟分ではありますけども、限度はあるよねぇ」

「彼、博士目指してるんですか?」

「そうそう、今は私が先生役として見ててね。頑張ってるから応援してあげて」

「勿論ですよ…最近の子って凄いですね若い内から夢追いかけてて……」

「あなたも若いじゃない」

「私はまあ……うぅん…」

 

 

私が14歳の頃はしっかり燻っていたのでホップが眩しくて眩しくて、やっぱりやれる内にやれる事はやっとくべきなんだなぁと思っていたら、ようやく畔の家が見えてきた。

ああ、そうそう思い出してきた。

12歳くらいの時にランタナに連れられてここまで来たんだ。

「お前もガラルでトレーナーとして頑張んなら、ねがいぼしは貰っときなさいよ」って。

二人で何処かに行くの初めてだったから結構ドキドキしながら歩いてたの懐かしいなー、そこら辺歩く度にランタナは声掛けられててやっぱり凄いなぁって思ったりとか。

あとやっぱりナンパしててクズだなぁって思ったりとか。

 

ねがいぼし自体は色んな場所で取れるらしいんだけどここがいちばん分かりやすいんだそうだ。ほんとよくわかんない物体だなぁ。

 

 

「そういえば、ソニアさんってランタナと会ったことありますか?」

「うっ……会ったことは、まあ…あるわよ」

「ああ、はい、理解しました。すみません…うちのバカがほんとご迷惑をおかけして……」

「いやいいのよ、いいんだけど流石にルリナと私同時にナンパしてくるのは一周まわって尊敬したわね…」

「あいつルリナさんにまで…」

 

 

今回の旅の目標にあのアホの罪がどこまで広がっているか確認することも含めてやろうか。

…………というか、今更だけどランタナって私が起きた事知ってるのかな。

そもそもお見舞いとか来てくれてたのかな…

旅してるし、わざわざ帰ってこないかな……

死ぬ前に1回くらい会いたいんだけどな……

……やめよ、これ考えてもわかんないし、悲しくなるだけだ。

ようやく到着したお家でソニアさんは慣れたように庭に向かっているけどいいのかな?親族ならいいのか…?

 

 

「よっと、おばあさまー少し庭の方入るね」

「し、失礼します…」

「ソニア、お行儀が悪いですよ」

「ごめんなさい、急ぎなの!」

「あっ…マグノリア博士、失礼してます」

「あなたは……モナルさん?」

 

 

ソニアさんが声をかけるとマグノリア博士は窓辺で本を読んでいたらしく、こちらを見て驚いた顔をしている。

ああ、まあそりゃこうなりますよね。

パタパタと窓辺から離れ態々こちらまで来てくれた彼女は、淑女たれとでも言うような綺麗な所作でお辞儀してくれるので私も慌ててお辞儀をし返す。

そういえば私の周り結構育ちいい人多いな、ユカリ様といい私も色々覚えないと……今更か。

 

 

「…目覚めたのは聞いていましたけれどここに来るとは思っていませんでしたよ、お久しぶりですモナルさん」

「いえ、こちらこそ突然押しかけちゃって…6年ぶり位ですか?お久しぶりです」

「ええ……それにしても、研究所ではなく何故ここに?会えたのは嬉しいですが、何か用事があるのでは?」

「ねがいぼし無くしちゃったみたいで新しくバンド作りに来たんです」

「成程、理解しました。だからだったのですね」

 

 

そう言うなり、博士は立ち上がりゆっくりと何かを探すように空を見つめ始める。

 

 

「……昨晩の事でしたか、雨風も酷く暗い夜だったので気の所為かとも思いましたが今の話を聞いて確信いたしました」

「…そうなんですか?」

「あちらの方…ターフタウンの辺りでしょうね、星が降ったような光が見えました」

「あっ…それってまさか!」

「ええ、恐らくねがいぼしでしょう」

 

 

おお、そっかそういうパターンもあるんだ。

ねがいぼしはエネルギー源としても優秀で、集めている場所もあるんだとかなんとか。

うわさではそのねがいぼしを集める為に貴重な遺跡を壊した人も居るなんて話をユウリから聞いていた。

……なんかニヤニヤしながら話してたけど。

 

まあとにかくねがいぼしは有り体に言ってしまえば不思議なものであり、手に入る方法とかそういうのはよくわかっていないけれど、ダイマックスしたいなら手に入れてとりあえず研究所に行っとけ位の感覚だ。

だから最悪暫く探すことになるかもなーとは思っていたけれど場所が幾らか把握できているのは有難い。

 

 

「ありがとうございます、ならターフタウンに向かってからまたここに来ることにします」

「ええ…ソニア、今の博士は貴方です。バンドの制作もしっかりこなすのですよ」

「勿論!私が腕によりをかけて作っちゃいますとも!」

「そうですか、なら私はモナルさんの道行の安全を願うとしましょう……身体が思うように動かなくなると、辛い気持ちも少しはわかるつもりです。モナルさん、そういう時には1度深呼吸でもしてのんびりと、楽しむつもりで歩いて行くと少しは心安らぎます」

「…………はい、覚えておきます」

 

 

私が時間が無くて焦っていることに気がついているのか、じっと目を見つめられながらそう伝えられる。

大人ってなんで皆こんな風に悟った様なことを言語化できるのか私にはよく分からない。

焦りも、逸る気持ちも私はどうにも抑えるのが下手くそなのだろうか。

これを楽しむのは…今の私には少し難しいかな。

 

……そういえば、前もこんなんだったっけ。

どうだったのかな、あんまり意識したこともないしわかんないや。

 

そう思いつつ、再度お礼を言いながら私はマグノリア博士の家からお暇させてもらった。

目的地がコロコロと変わってしまうが次はターフタウンか…この後行く予定だったけれど順序が変わっちゃったな。

うーんどうしようかな……

んー…………

 

 

「あれ?モナルどうしたの?そんな難しい顔して」

「うひゃっ!?………ユ、ユウリか…びっくりしたなーもう」

「あはは!ごめんごめん、ついなんていうか……隙だらけで?」

「武士か何かなの…?……あー、あのね、ねがいぼしがターフタウンの方にあるらしくて。それでどうしよっかなーって思って、行ったり来たりになっちゃうし」

 

 

研究所に戻り、このまま行くかどうしようかと悩んでいると突如後ろから声をかけられ思わずびっくり。

ユウリは私より結構……じゃ、若干、誤差レベルですけどね?ちょっとね?背が高いので上から話しかけられて驚いてしまった。

 

あらましを伝えるとうーんと考えるような顔をした彼女は、なにか思いついたのかカレーを食べたあとのようなキラキラした目をして話し始めた。

 

 

「それならさ!そのついでにターフジム……ヤローさんに挑戦しちゃおうよ!」

「…………は!?な、何言ってんの…?ダイマックスできないからターフタウンに行くのにその前にジムチャレンジなんかしたら本末転倒じゃん…」

「でもモナルむしタイプ使いでしょ?」

「あのねータイプ相性は大事だけどさ?それだけで勝てるなら苦労はしないって言うか……」

「でもネズさんとかはダイマックス無しで勝ってるよ?」

「比べる対象が悪すぎるでしょ!無茶言うなって、私はふつーのトレーナーで……」

「で・も、モナルも同じジムリーダーだよね〜?」

「ぐっ……」

 

 

い、いやいや、それはネズさんがダイマックス相手の戦い方を熟知していてそのうえであのロックな戦い方ができるからであって……

それに、本気出さずに勝とうだなんてそれは相手に失礼だし?

急いでるとはいえそこまで時間が無いわけじゃないし…いや別にビビってるとかじゃないけどね?

 

こういうのは順番ってものが……

 

 

「……んー、でも……今のチャンピオンは、ダイマックスなしでもヤローさんに勝てるよ?」

「…………え、あ、……へ、ぇ……」

「未来のチャンピオンっていうくらいだから、てっきりモナルも同じくらい強いのかなって、そう思ってたんだけど……ごめんね?」

「なっ……!いや、でも、それは、その…違うって言うか……っていうか!それはヤローさんに失礼じゃ……!」

「ううん、これは事実だよ」

「え……」

「ダイマックス無しで防衛戦勝ったことあるんだ。それくらい強いよ、今のチャンピオンは」

 

 

朗らかだった空気が冷え込んだかのように、風が吹き髪を攫いユウリの目が見えなくなる。

急に雰囲気が変わったかと思うと、笑顔のままなはずなのに何処か感じたことのある圧を受け思わずたじろいでしまう。

 

ダイマックス無しで、防衛戦を…?

今まで私が想定していたチャンピオンへの警戒レベルが更に上へと跳ね上がってしまう。

なぜなら、それはガラル地方のチャンピオンとして強さを誇っているだけではなく、他地方に行っても通用する程に強いのだ、と証明しているに他ならないからだ。

 

たまにネットとかで言われているのだ。

ガラル地方のチャンピオンリーグはエンタメである、と。

観客を楽しませる事が優先されダイマックスという力を使い、派手なバトルをしているだけで他地方のチャンピオンと比べたら大したことないと囁かれることもあるのは知っている。

しかし、それすら覆すと既に証明しているのだ。

 

 

「…………っ……ぅう……ヤ、ヤローさん、怒らないかな……」

「怒んないよ、全力でも力を隠してても、きっと真正面から受け止めようとしてくれる人だから」

「……し、失礼じゃないかな……」

「うーん……まあ、そうかも。でも理由も伝えたら、笑って許してくれるんじゃないかな」

「…………そ、それで負けたら…!」

「負けるの?」

 

 

首筋に汗が伝っている感覚だろうか、目の前にいるのに目を合わせられないユウリの圧のせいだろうか。

ゾワゾワとする今から驚かす演出が起きる寸前のホラー映画でも見ているかのような嫌な寒気が背を伝う。

今すぐ布団を被って顔を手で覆い薄目で覗いてしまうあの感覚。

 

何か、何かわからないけれどこの質問の答えを間違えたらいけない気がする。

 

私に出来るのかな。

ダイマックス無しで、こんな身体で、まだ育ちきっていないパーティーメンバーで。

ギュッと手を握りしめ、カラカラに乾いてしまった口を誤魔化すように唾を飲み込み決意する。

だって、負けたくないから。

 

 

「っそ、そんな訳ないじゃん…!私は未来のチャンピオンって前に言ったっしょ?……なら私にもできるに決まってる……!」

「…………ふふ、そうだよねー!モナルならそう言ってくれると思った!」

「あた、当たり前じゃん!私は、チャンピオンになるんだ……更に強いって証明してやる……!」

「うん、楽しみ!……本当に、ね」

 

 

やってやんよ。

1番を目指してんだから、これくらいの理不尽押し付けてやる……!

私は、遠慮もしないしワガママ言うって決めたんだから…!

 

だから……その……

 

 

「ユ、ユウリ……なんか、その、怒ってたりする?ご、ごめんね、あの、気に障るようなこと言ってたら謝るから……」

「えっ!?あっ違う違う違う!これは違うの!あのーなんて言うか……!ね!?」

「ほ、ほんと?……その、私ー…昔から空気読めてなかったり、その、するから……嫌だったらすぐ言ってねー…」

「大丈夫!大丈夫そういうんじゃないよ!?ごめん怖かった!?そんなに!?」

 

 

………………ユウリ、めっちゃ怖かったからその圧出すのやめて欲しいかな……

 

 

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