ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない   作:一般むしポケ好き

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すみません、一週間以上も時間たってると思っていませんでした


十四話

 

 

 

ターフタウン到着!

ブラッシータウンから出発してから3日ほどのんびりと旅をして、チャットをしている中で新たな人間関係ができたが、それ以外は特に何事もなくここまで辿り着いた……

いや嘘だわ、ガッツリあったわ問題。

 

 

「いやー着いたね!あ、そうだ!ね、ね、着いたら紹介したいおすすめのカレー屋があってぇ……!」

「ウン……」

「あそこのカレーはスパイスとかが他より多く使われててるグリーンカレーなんだけど、オススメだから今から……」

「ねえユウリ……」

「ん?どしたの?」

「あの……あのね、もうここ3日連続で3食カレーだよ……?飽きたりとかは……」

「え?カレーに飽きる?もーモナルったら冗談上手いんだから!」

「……ウン……ハハ……」

 

 

本気だ、あれは本気の目だ。

爛々とあやしいひかりが宿る目に一切余談の許さないあの笑顔。

ユウリは本気でカレーを何日連続で食べようと飽きがこないと思っているのだ。

あの食いしん坊のペンさんですら既にグロッキーで、昨日の夜なんて1回しかおかわりしてないのだ。

ちなみに私はちょっとしか食べてない、今は1日1食で充分だし……余りはクヌに食べてもらった。

 

私がご飯作ろうか?って言ってもユウリは休んでていいよって言って出てくるのが多種多様なカレー……!

でも親切心と本気の優しさからくるそれを断るなんて私には出来ない……!

それとなく、チャットでマリィさんに聞いてみたら「諦めた方がいいよ」と言われてしまった。何となく文面から怨念を感じたのでマリィさんも思うところあるのだろう。南無三。

 

 

「ユ、ユウリ、私まだお腹すいてないし、まずはヤローさんに挨拶しときたいから後でもいい?」

「え?…まあそれもそっか……でも!モナル食べる量少なすぎるよ!モナルのは細いんじゃなくて窶れ……んー…とにかく!もっと食べなきゃだよ!」

「あー……いーよ別に、私元々少食だったし」

「よくない!」

 

 

一先ずカレーから逃げ出す様にターフタウンの中央へと進むと大きなスタジアムが見えてくる。

実は私は元々ジムリーダーだったこともあって、ここに来る事は初めてだ。

うちのスタジアムに比べても結構立派…というか新しいジムって感じだ。

ヤローさん丁寧な人だしちゃんと点検とかもしてるんだろうなぁ…

 

 

「じゃー、私はヤローさんのとこ行くけど…ユウリはどうする?」

「私も行く!」

「…まあいいけど、ヤローさんとも会ったことあるんだよね?」

「うん、よく家庭菜園のこと聞いたりしてるよ!スパイス用の!」

「贅沢なジムリーダーの使い方だなぁ」

 

 

入口前に立つと自動ドアが静かに開き少し感動、私んとこまだ手動の押し扉だよ。

ここも結構田舎なはずなんだけどなーと思うも、よく考えたらここにはヤローさん以外に石碑とかの過去の遺物が結構残ってたりして観光名所としても有名なのだった。

そりゃ人も来るし金も回るよねー、森とクレーむし饅頭とかいう謎の饅頭以外見るもんないもんな、あそこ。

 

中に入ると暖かくなってきた時期だからか、空調の効いたさっぱりした涼しい空気に当てられ一息つく。

黒い床に緑のマットレスが敷いてあり、まさにくさタイプと言わんばかりの内装だが、同じく緑がモチーフのむしタイプとしては非常に気まずい。

そんな変な気まずさを覚えながら前を見ると、見覚えのある背中が。

 

 

「んん!来たんですねえモナルさん、お久しぶりなんだな」

「ヤローさん、お久しぶりです…もしかして待っててくれてた感じですか?」

「んだな!ジムトレーナーの皆が教えてくれたから折角だしと思いまして、それに友人と久々に会うんですからねえ」

「友人って…あ、嫌じゃないですよ!嫌じゃないですけど…そ、そんなに話したことありましたっけ?」

「ルリナさんからよく話は聞いてたんだな、それにおんなじジムリーダーとして話もした!ならぼくらは友達といってもいいでしょう」

 

 

ターフタウン、くさタイプ使いのジムリーダー、ヤローさん。

彼とはあんまり話した事は…無いこともない…かな?

というか、正しくはヤローさんとルリナさんが話している時にふたりが気を使って私にも話しかけてくれていたというのが正しい感じだ。

というか友人て、えー…そ、そんな風に思ってたんだ私の事…

私てっきりなんか同じようなポジションにいるくせに地味で静かで地味なやつ位にしか思われてないと思ってた。

 

いや、というかまあ、全体的に紳士的なジムリーダー達の中でも優しい人だしそう言ってくれるか。

私がバトルしてる時とかにカブさんと並んで応援してくれてたし。子供に優しい地に足着いた大人の人って感じだ。

 

 

「そ、そーですか…じゃーまあ…そういうことで……ありがとうございます」

「カブさんから聞いてたけれど、前よりよぉく前を見てる感じがするねえ、それにやる気もばっちり!って顔なんだなあ」

「ん……まあ、はい。やる気満々ですよ、今の私は、失礼ですけれど、ここは通過点って思ってるので」

「はっはっは!うんうん、元気いっぱいじゃ!」

 

 

少しばかり喧嘩を売ってみるも易々と躱されてしまいぐぬぬと唸るしかない。

というかこれからそれ以上に喧嘩売るのに、この程度でへこたれてたらこの先に行けないではないか。

それに、ヤローさんは私の事を見て少し躊躇っているのもわかる。

彼は優しい人で、その優しさゆえにチャレンジャー相手でも本気を出せない人なのだ。

だったら私は全力で戦って貰えるように少しでも煽っておきたい。

 

……なんて、そう思っていることすらバレているのか、ヤローさんは渋い顔をした私を見ていつものようににこやかに話しかけてくる。

 

 

「ダンデさんから、本気でやれって言われてるけれども…んん、ぼくは正直そういうのは苦手なほうなんだなぁ」

「あー…まあ、でしょうね」

「ぼくとしては今のきみは見てて怖いくらいだから棄権して欲しいのも本音なんじゃ…だから、場を作ってくれるのはありがたいとも思ってる」

「…………そ、そんなつもりは無いですけど……」

「ふっふっふ、4年前からきみには勝ち逃げされてるんじゃ。全力で挑ませてもらうから安心するんだわ!」

 

 

私の浅はかな考えは読み切られていた事もあり耳が熱くなったように感じるが、気にしない事にしてヤローさんの握手に答える。

安心した。

この人はちゃんと強い人なんだってことを思い出せたし、全力で答えてくれる人だ。

 

 

「……ヤローさん、私今ダイマックスバンド持ってないんです」

「ん、ほんとだなあ」

「でも、今の私の全力で挑むので……や、受けて立つんでかかってきてください」

「……ワハハ!あの時を思い出すんだな!」

「……ん?」

「初めてきみがメジャートーナメントに来た時の…」

「あーっ!あーっ!やめて!やめてください!ごめんなさい!!」

 

 

後ろでニコニコしていたユウリが何その話聞きたいとでも言いたげな顔をしていたので黙らせつつ、ヤローさんの話を遮る。

くそう!この人わかっててやっ………………ってないな。

うん、本心でとくに煽るつもりなく言ってる。

くそぅくそぅ……どいつもこいつも私の黒歴史ばっかり触りやがって…そんなに前の私が印象に残ってんのかなー…

別にちょっとトゲトゲしてただけじゃんかよー……

 

今まで気付かないふりしてたけれど、ダンデさんとか顔を合わせる度に若干間合いを測ってから話しかけてくるし。

キバナさんとかは、もう、うん、怖くて話しかけられてない。私絶対嫌われてるもん。

ルリナさんとカブさんがおかしいんだよな……あの2人あんなに酷い態度取ってたのに、何故か次に顔合わせた時も普通に話しかけてくれたし。

だからあの2人は私の中で太陽扱いなのだ。触れれば死ぬ。

 

ヤローさんはもう挑戦するかい?と聞いてきたので勿論OKを出し、すぐに準備に取り掛かる。

 

ジムチャレンジと言うにはヤローさんはガチパーティーだし、戦いの内容が私が煽っているかのようなものなのであんまり見られたくないのだが、そこはダンデさんの会長パワーでどうにかしてくれたらしい。すごいなあの人。

久々に控え室に入ると、どこも同じような見た目なので安心し少しだけ着替えておく。

 

ジムリーダーモナルとして着ていたむしタイプようのジム服にするか悩んだのだが、私の今の立場はチャレンジャーということもあり白い服を着ていく。

スーツの充電も勿論満タン、あんなポカはもうやらかさないからね。

 

4年ぶりに手袋を付け、ボールの握り心地を確かめていく。

うん、大丈夫、今度は滑ったりしない。

投げ損ねもしない。体力の把握もできてる。

 

今私が戦える全力を出し切れる。

 

 

「わあ…なんか、モナルがパーカー以外着てるの初めて見たかも」

「んー…まあ、私服9割パーカーだからね。というかなんでここにいるのさ」

「そりゃモナルエール団の一員として!」

「やーめーろー……応援とか、別にいーから素直にバトルを楽しんでなよ。凄いの見せたげるから」

「〜〜〜っ!うん!楽しみにしてる!感想戦も付き合ってよね!」

「私が生きてたらねー」

「物騒!」

 

 

何故か居たユウリを適当にあしらい脳内で作戦を練っていく。

ここ1週間ほど動画で確認し続けたヤローさんの手持ちは、間違いなく本気の選出、つまりタルップルの方だ。

警戒するべきはにほんばれからのコンボやグラスフィールドによる耐久戦だろう。

タイプ相性だけ見れば耐久戦にも分がありそうけど、向こうには回復技が多くある。

 

初手は…………うん、決めた。

 

 

ジムトレーナーの人がそろそろ出番です、と準備を勧めてくる。

騒がしい歓声、あそこほどでは無いが目立つフィールド。

思わず眩んでしまう程の喝采に、最新技術をふんだんに盛り込んだ照明。

 

…………なんでだろうな、凄く嫌いだったはずのそれらが、あんまり嫌じゃない。

 

ああ、いや、多分違うな。

ちゃんとどうでもいいものって割り切れてるのかもしれない。

私がやりたい事の上で、そんなの考えるだけ無駄って気がつけてるから。

 

ずっと晴れなかった頭がようやくスッキリした気がする。

とても気分がいい。

 

 

「…………改めまして、今日はよろしくお願いします。ヤローさん」

「うん、良い挨拶じゃ!こっちこそよろしくお願いします、モナルさん!」

「あ、挨拶くらいもうちゃんと出来ますから!…ごほん……さ、4年でどれくらい進化したか見てあげますよ」

「今のぼくの戦い!全力!大地にしっかりと刻んで来た!本気のバトルじゃあ!」

 

 

『それでは!特殊ジムチャレンジ!ターフタウンジムリーダー、ヤロー!ヴァァァァサス!クレータウン、モナル!………っ試合開始いいいいいっ!』

 

 

「なんか解説の人テンションおかしくないですか?」

「あの人もこの戦いを楽しみにしてたんだなあ」

 

 

 






モナルさんそれ割り切ったらダメなやつだと思います
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