ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない   作:一般むしポケ好き

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1万5000文字くらいになっちゃったんで分割します…オクレテゴメンネ

あと今更ですけど、こんなワチャワチャやるのに技4つじゃ勿体ないのでトレーナーとポケモンの技術次第で覚えられる技を増やせるってことにしておきます。
そっちのが楽しいしね!


十五話

 

 

 

▷ジムリーダー の ヤローが

 勝負をしかけてきた!

 

 

「さあ行くよ!クヌ!」

「頑張るんじゃあダーテング!」

 

 

初手はダーテング!

 

ダーテングの基本技はねこだまし、リーフブレード、じごくづきの3つ、後は入れ替えたり増やしたりと読めないけれど、ヤローさんの性格上変な事はあまりしてこない。

 

しかし、ピシャリと顔を叩きその考えも即捨てることにする。

何があるか分からないのがポケモンバトルなんだから。

身体が動かない分、頭をとにかくフル回転させる。

 

ダンデさんがアドリブ力と観察力。

新チャンピオンが構築力と予知能力。

なら、私が他より秀でているものは何かと起きてから改めて考え直した。

 

アドリブ力もそれなりにはある、観察力も結構あるほうだろう、構築力はむしタイプしか使えないしかなり微妙、予知能力もまあまあってところだ。

私だけにある何かを見つけないとチャンピオンに挑んだ所であの時の二の舞。

 

そこで思いだした。

私の強さの根幹は嫉妬から始まったものだったことを。

とにかく羨ましくて、自分ならどうするか、あいつならこうするとずっと頭の中で考えて、私ならもっと上手くやれると一人で考え続けていた事に。

 

 

「ダーテング!ねこだまし…!?」

「クヌ、アイススピナー」

 

 

ボールから飛び出ると同時に、ダーテングはその手に持った羽団扇でクヌの顔面をぶっ叩こうとしてくる。

そうだよね、()()()()()()()()

 

だから、試合開始前に伝えておいたのだ、クヌは登場すると同時に私の方を見て、と。

 

私の初手が誰だろうと、一定の効果を持ち安全に行動できる保証があるねこだましから試合を始める。

なら、対策は簡単、最初から相手を見ないで背中で受ければ、ただのはたくと同じようなもの。

 

そしてそのまま回転するクヌに前後は関係ない。

 

 

「くっ…見事じゃ!ダーテング!跳んで受け流すんじゃあ!」

「まあそう簡単には行かないよね、クヌそのままステロばらまいて」

 

 

読みは当たれどアイススピナーの直撃を避け、ギリギリながらもひんしは避けてくる。

ちぇ、ぼったくってやろうと思ってたんだけど。

 

受け流しで空中に勢いのまま逃げようとしたダーテングの着地先にはステルスロックが浮遊し始める。

この状況で私ならどうする?……きっとダメージ覚悟で着地、残ったHPを全力で使って最後の動きをする。

少しでも後続に続けるための動きだ。

 

 

「それならこうだ!ダーテング!おいかぜ!」

「!ヤローさん絡め手なんて使うようになったんだ」

「成長しない木々はないんだなあ!ダーテング!そのまま風に乗って……」

「でもそれは私の領分だよ、シズさん、ねばねばネット」

「!いつの間に!」

 

 

ダーテングが空中で技を放つと同時に私はシズさんに入れ替えておいた。

着地を選ばず風に乗って動き始めたダーテング相手に警戒はまだ解けない。

このままならねばねばネットを伝って襲いかかれるが、ダーテングの情報を脳内でひたすら考えていくと、あそこから出来る動きはまだある。

そう、例えばこんなふうに。

 

 

「エナジーボールじゃあっ!」

「やっぱり持ってた、シズさん、ダイビング」

 

 

当たる寸前にとぷん──とシズさんは足元から湧き出る水へと沈んでいく。

エナジーボールは幾つかのステルスロックを破壊しつつもそこまでは届かず霧散していく。

この状況なら私なら空中で留まりダイビングが当たらない位置に陣取りながら次の動きを待つだろうか。

……いや、相手はヤローさんだ、そんな呑気なことしてこないはず。

考えろ、考えろ考えろ。

 

 

「ダーテング!今のうちにぼうふうで岩を吹き飛ばすんじゃ!」

「シズさん、たきのぼり」

 

 

ダーテングは空中で留まり岩を除去しようとする。

そりゃあダイビングなんて技じゃ空高くに陣取っている身には当たらないと思うだろうし、エナジーボールからにげる為だけに使ったと思っているんだろう。

 

だからこれは1回こっきりの不意打ち、ダイビングで飛び出す直前に、その動きをより上へと変化させる。

 

この戦いで一番厳しいのは何かと考えていたが、それは当然ダイマックスだろう。

なら次に辛いのは?

 

多分、ワタシラガに制空権を取られ続けることに違いない。

私の今のパーティーでは空中戦は厳しい子ばかりで、更に今はおいかぜまで使われてしまっている。

この空の上で浮きながら漂うワタシラガを今の私では仕留めきれないはずだ。

その為にも無理やり空中へと届かせる策を考えた。相変わらずお世話になるよシズさんには。

 

ダイビングによって生まれた水から勢いよく飛び出したシズさんはまさに滝を逆流する様に、力強い飛び上がりを見せダーテングの腹にドスッと音を立てながらしっかりと仕留める。

 

 

「ダァ……グ……!」

「!そんな事が出来るんだなあ!?お疲れ様じゃダーテング!」

「蜘蛛だって空を飛びたい時があるんですよ、シズさん、アクアリング」

「シズッ!」

 

 

さて、ここまでは対策通り。

 

…正しくは私の想像するヤローさん通り、っていう所だ。

 

私の得意、それは相手の思考トレースにある……はず。

とにかく手を読むのではなく相手ならこうする、こうしたら嫌なはずと相手の気持ちになって行動すれば、いずれは詰め将棋のように策にはめられる。

されたくない事を率先してやるのが陰キャの戦い方ってね。

 

そう思い構えていると、ヤローさんは何故か嬉しそうに手元のボールを振りかぶる。

 

 

「…なるほどなあ、きみはぼくの事をしっかり警戒してくれてたんだわな」

「当たり前です……その、あんなん言いましたけど今では皆、尊敬してるので」

「嬉しい限りじゃ!さあ咲き誇れチェリム!」

「!?」

 

 

チェリム…

ここはルンパッパでこの水浸しのフィールドを利用してくるかと思ったけれど、ヤローさんはあくまで真正面から私のことを倒しに来たようだ。

アクアリングを身にまとったシズさんなら暫くは大丈夫だとは思うけれど、逆にそれが不気味だ。

 

……この対面、天候を快晴にされてしまってはシズさん以外はウェザーボールで簡単にやられてしまう。

そうなると、私がするべき動きは一つだけ……

…嫌な感じ、この対面で私がどう動くかバレてて、制限されてしまっているような感覚だ。

脳内ヤローさんがドヤ顔してるので間違いない。

 

 

「チェリム!にほんばれ!」

「……シズさん、あまごい」

 

 

一瞬、空が晴れ渡るように日差しが差し込んできたが、それを包むように雨雲が空を覆っていく。

 

ポツポツ、と降り始めた雨がおいかぜとあいまり嵐のように激しいものへと変化していく。

やられたかな、これは…

ちら、とスーツの残り時間を確認するとこのペースだと25分程。

仕方なしにスーツの暖房機能を付け体を温めておく、こうでもしないとまた寝込むことになるしね。

ただ、この環境でも私の体力はギリギリだ。

 

 

 

「……もしかして気がついてます?」

「んん、不本意だけれど、本気で挑むにはこれが最善手なんじゃあ」

「?」

 

 

事前にスーツを使う事を伝えていたので、私の体の限界でも狙ってるのかと思ってたが、どうやらそうでは無い様子。

どっちかって言うとしたくはないけれどこれが最善って感じだ。

……そりゃそうか、ヤローさんはそんな戦い方しないでしょ。私ならするけど。

 

何はともあれ、雨の降る今チェリムは機能停止したも同然!

バレていようとなんだろうと、倒してしまうことに構いはない!

 

 

「なら遠慮なく!とびかかってシズさん!」

「チェリム!なやみのたね!」

「!」

 

 

勢いよく空中に浮くねばねばネットからとびかかるも、それをわかっていたのかチェリムは敢えてその技を受けつつなやみのたねを当ててくる。

パチンっと風船が割れるような音と共に身体に纏う水泡が無くなってしまい、肉体がむき出しになってしまった。

 

──けど、シズさんのわざの威力に変わりはない。

チェリムに向かい、確実に仕留めるよう牙を剥き出しに地面に叩きつけるように一切容赦の無いとびかかりがぶつかる。

 

 

「チェリ〜……」

「シズッ……!」

 

 

ボールに戻っていくチェリムを見ながら考える。

ここでチェリムを使い捨てるような真似はしないと思っていたから、予想外の事態とも言える。

 

なんだ?なんの狙いがある?

 

確かに防御の要である水泡が無くなってしまい、耐久は大きく落ちている。

つまりは犠牲を出してでもシズさんを倒したかった?

それとも

 

そうまでしてこの嵐の環境が…………

 

 

「っ!そういう事!シズさんたきのぼり!」

「バレたかあ!けんどもう間に合わないんだなあ!さあ風よ大地に力を!」

 

 

そういうと同時に宙にポケモンが飛び出してくる。

 

その姿はワタシラガだ。

 

 

「っ…当たらない!シズさん、ダイビ──」

「遅い!リーフストーム!」

 

「シズッ……!?」

 

 

宙を舞うワタシラガは荒れ狂う風の中でもこの状況を待っていたか平静を保ったまま、スルリとすり抜けるようにたきのぼりを躱していき、シズさんに草葉を叩き込んでくる。

ここまでの継戦で体力を削られ、身体を覆う水の膜が無くなっていたシズさんにその一撃は重かった。

 

風に揺られ不規則に動き回り、悠々と見下ろすワタシラガにシズさんは悔しそうな顔をしたまま、地面へと倒れ伏す。

 

 

「…おつかれシズさん」

「さあ!ここからが本番じゃ!ワタシラガ、わたほうしをばらまくんだ!」

 

 

参ったな…私は正直ヤローさんの事を甘く見ていたのかもしれない。

いつもの様に大木のようなどっしりとした戦い方でぶつかり合いになると思っていたけれど、もう時代は変わってるってことかな。

 

雨、風、そして視界を覆い尽くす程の綿、まるで私の得意とするねばねばネット戦法を更にアップグレードしたような戦い方に苦い笑みが零れる。

ワタシラガの得意技、わたほうしは脚に絡みつき、視界を狭めこちらの動きを鈍くさせてくるもの。

しかし弱点が幾つかあり、いちばん簡単な対策は丸ごと焼き尽くすことで、もうひとつはそもそも当たらないことだった。

 

しかし、それもこんな雨の中で風と共に襲いかかってくるなら話は別だ。

 

そしてこの環境を作る為に私のあまごいを利用した。

止めなければにほんばれでそのままウェザーボールで圧倒的有利を。

止めるためにあまごいを打てばこの通りだ。

この試合では使う気無かったのにしてやられたなー。

 

 

「……やらしいですよ、ヤローさん!」

「きみにだけは言われたくないんだなあ!」

 

 

ねばねばネットに綿がくっつき、既にそこも私のフィールドではなくなっている。

これが新しいヤローさんか。

 

4年前とは大違い。

それに自惚れじゃないなら、私相手にやろうとしていた戦法なのかもしれない。

このフィールドもあまごいを使おうとする私の動きもちゃんと読んで対策したからこその動きなんだろう。

 

 

「さあ!ワタシラガ!グラスミキサーで更に風を吹き荒らすんじゃ!」

「……なら!私だって見せてあげますよ!新しい私ってのをね!」

 

 

そういうと同時に私はボールを真上へと放り投げる。

 

これは賭けだ。

 

私がヤローさんならこの環境を作った時にする動き。

私がヤローさんなら1番されたくない動き。

それに対処していくのが私の戦い方だと自覚している。

 

それが一番勝率が高いし、強いと知っているからこそ今まではそれに徹してきた。

その結果、負けたとしてもまあしょうがないか、あれは最善だった、相手が強かったと諦めるだけ。

 

でもここから先、私はそれだけでは勝てなくなるのも知ってるから。

 

やりたいこと、色々とやってみよう!

 

 

「さあ!デビュー戦だよリーさん!」

「リ、リーーッ!」

 

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