ガラル地方のむしジムリーダーなんだけど余命一年でわろえない 作:一般むしポケ好き
ちなみにバトルシステムはZA式を採用してるので、技が当たる前に交代したり動くのが素早さ順じゃなかったりします。
ZAのステロ……いいよね。大好き。
「いや、だから悪かったって、別に忘れてた訳じゃないよ。ただ、その日はちょっと行きたい場所ができちゃって……いや、約束……はしてたけども。え?別れる?いや、ごめんって、謝ってんじゃん…だからさぁ……は?この前他の子と歩いてた?いやそれは違うんだって、別にそういう関係の子じゃ無いって、多分モナルでしょ?え?違う?あー……や、まあね?それはね?」
私の先代ジムリーダー…その名をランタナという。
対外的に見て擦れていたと言われる時期の私が出会った人で、私が尊敬する人として挙げるならセリさんかランタナのどちらかだと思う。
家族とか全員嫌いだけどランタナだけは「家族ってのも悪くないよ」と私に教えてくれたし、バトルも教えてくれたし、むしポケモンの好きな所をもっと増やしてくれた。
凄く尊敬してるし、好きな人でもある。
ただ、クズ。
めっちゃクズ。
色んな女の子に手を出しては浮気しまくって振られてまた別の女に手を出すクズ女。
そのくせ顔も戦い方も映えるから人気はあるし、「魔性のラランテス」とか言われて調子乗ってたし。むしタイプじゃねーじゃん。
1週間に1回は頬にもみじマークを付けながらジムチャレンジの相手をするとかいう筋金入りの色ボケだ。
部屋に行く度違う女の人が出てきた時の私の気持ちも想像して欲しい。最初の頃私もその女の1人かと思って泣いたわ普通に。
セリさんにも、街の皆も私がランタナに育ててもらっている時に口を揃えて「あんな女になっちゃダメだよ」と言っていた。
当然、尊敬はしているもののあんな風にだけはならないようにしようと心に決めていた。
そして今現在、私はランタナの事を二度と責められなくなった。
「あの、ご、ごめんね?でもあの時はああするしかなかったって言うか…」
「…………」
「忘れてたってわけじゃ…いや、まあ、ごめん、忘れてた…って事になるんだけど……咄嗟のことだったから慌ててて…」
「………………」
「いや、っていうか、私も守ろうとした結果ああなったって言うか…結果として捕まえちゃったけど別に悪気はなかったって言うか……」
粉かけた女の子に謝ってる時ってこんな気持ちだったんだねランタナ。私知りたくなかったよ。
不機嫌なアブリーのリーさんは、不機嫌ながらも感謝はしてくれているようで、尚且つ捕まえられたのに4年ぶりにトレーナーに会うという複雑な状況にどうすればいいのかわかってない様子。そんなの私もわかんない。
4年前、私が倒れていた現場に調査班が行ったらしいのだが、その際にこのボールを見つけ回収してくれていたらしく、それまで3日ほどボールの中に入れっぱなしになってしまっていたらしい。
元々内気な子らしくそこまで喋る方ではないそうなのだが、あの怪獣大決戦に巻き込まれた挙句3日もその場に放置されたのは堪えたらしく更に内気になってしまったのだと。
4年かけてお話してくれるようになったのは手持ちの皆とセリさんだけ。
ただ、メラさんとは仲がいいらしく、メラさんも初めての後輩に兄貴分としてかっこいいところを見せようと頑張っていたらしい。ごめんな、そんな青春してる所に親が帰ってきたみたいな気まずい思いさせて。
「…………リリ」
「メララ!」
「…………リ」
「あああごめんね、そうだよね2週間もメラさん私が占領してたから会えなくて寂しかったんだね、独り占めしないから……」
「モナルちゃんランタナさんの良くないところばっかり覚えちゃって……」
「違うんです……」
不機嫌なのは私が目を覚ましてから入院中にメラさんもそっちに行ってしまい、会えなかったせいらしい。
畜生、メラさんの癖に私より青春しやがって。
……と、まあなんやかんやあったが手持ちが1人増えてしまったのだ。
それ自体は全然いいのだが、私の許容量に納められているか心配にはなる。
元々手持ちが実質3人しかいなかったこともあり厳しくはあったのだが、それ以上は扱い切れるか不安だったから増やしてなかったのだ。
……でも、ダンデさんと初めて対戦した時に実力不足は痛感した。強くなる為に仲間を増やすものひとつの手だし、悪いことでは無い。
ないんだけどさ……私残り一年しか生きられないんだからあんま増やしたくないんだよねぇ〜…
1年契約しましょって感じならともかく仲間になるのに1年でぽいは不誠実でしょうよ。
まあ、そこは都合よく1年契約でええんやでって子が居てくれたら手伝ってもらおうかな。
──兎も角だ、問題は山積みだけれどもひとまず目先の問題から解決していかなきゃ行けないね。
まずは、トレーナーとして今どれくらい戦えるのか把握してから頑張りますか。
「さて……セリさん、久々にお相手してもらってもいーい?」
「あら、いいですよ〜勿論。負けても泣かないで下さいよ?」
「言ってくれんじゃん、クレージムリーダーの実力見せてあげますよ!」
グッグッとバトル前に何時もやっているルーティンをして、スタジアムに目を向ける。
4年ぶり、2週間ぶり、どっちとしても思う所はあれど、トレーナーとしてこうして目が合ったのなら戦わなきゃね!
▷クレージム 事務員 の セリが
勝負をしかけてきた!
「3対3!ダイマックス無しでお願いしまっす!行くよ、ペンさん!」
「ドラアアアアアッ!」
「了解で〜す。さ、お願いしますよクワンちゃん」
「ギイイッ!」
セリさんはクレージム在住の事務員ではあるが、ジムチャレンジ中のトレーナー役もしてくれている。
となると、当然持っているポケモンはむしタイプということもありお互い手の内もバレバレではあるが、初戦としては丁度いいはずだ。
私がペンさんを繰り出すと同時にセリさんはクワガノンのクワンちゃんを繰り出してきた。
タイプ的にはお互い微妙だが、この対面ならペンさんの方が圧倒的に速い!
入れ替えられる前に場を整える!
「ペンさん!がんせきふうじっ!」
「そらをとぶで離れて!」
「ドラアアアアアッ!」
「!ペンさん交代!行ってクヌ!」
当てることよりもばら撒くことを目的としたがんせきふうじで岩を大量に設置するも、そらをとぶで上空に退避されてしまう。
いずれは邪魔になるだろうが上から攻撃されるのはまずいと思いクヌに即座に入れ替える。
ガギイッンッ!と硬質な音が響き、上空から降ってきたクワガノンの角がクヌに当たるがその程度ではビクともしない。
4年ぶりながらも相変わらず頑強なその身体でしっかりと受けきった。
一瞬、心臓がキュッとした、けど、うん。大丈夫。私はクヌを信じてる。
「ステロ!」
「クワンちゃん!ほうでん!」
まずは上空から引きずり下ろしてやろうとステロを撒くが、クワガノンは敢えて動かずその場で周囲に電撃を放出する。
電撃が走り、クヌの体表を走るもののまだ気絶はしていない。特殊技には弱いが、もう一発は受けれる程度に済んでいる。
ただ、状況は整えられた、こっからは私の得意分野!
クヌはここから私が何をしたいか既に察しているようで、クルクルと回転しながら岩の中心へと下がっていて、クワガノンはほうでんの当たる位置へ近づきたいが岩が邪魔で進めなくなっていた。
上から近づけばステルスロックにぶつかってしまい、下からでは岩が邪魔で動きが読まれてしまう。
鉄壁の布陣だ。
「っ、クワンちゃんボルトチェンジ…」
「遅い!じゅうりょく!」
そして、トドメはこの技!
ズンッとクヌの周囲数mの地面が凹むように空気の圧をここからでも感じる程の重力場を作り出す。
そうなれば、その傍で飛んでいたクワガノンは空中に留まることは難しくなり地面へと叩きつけられてしまう。
が、それだけでは終わらない。
落ちていくのはクワガノンだけではなく、周囲に浮いていたステルスロックも当然それに従い振り刺さる。
下には鍾乳洞の様に、上からは雨のように降ってくるステルスロックに挟まれてしまう。
飛行しているポケモンはひこうタイプとして分類されているが、だからといって他のポケモンが浮いていないという訳では無い。
よく飛んでいる、主な生息地が空中だからひこうタイプとされているだけで、戦う時には飛ぶようなポケモンも数多く存在する。
クワガノンもそのうちの1人、飛ぶ速度はあまり速くないが戦う場面ではブンブンと飛び回っている。
そう、これは私のパーティーは空中からの攻撃にめっぽう弱いこともあり、その対策に考えた戦法。
その名も『強制ステロ直撃作戦』!
ちなみにダンデさんにやった時には看破されてリザードンにじゅうりょくが当たる直前にボールに引っ込め、なんならそのままダイマックスして来たよ。なんなんあの人。
「ギイイッ」
「ああっクワンちゃん、えーいそのままほうでんです!」
「だよね!こほっ交代!ペンさん!」
「ドラアッ」
ペンさんをクヌと入れ替え、ほうでんを受けるも短い脚を加速させそのまま地面に叩きつけられたクワガノンに向かって技を放つ。
「キラースピンっ!」
「クワンちゃんよけっ…ああっ!」
「ギ………」
「ドラッ!」
かそくと、キラースピンによりスピード全開のペンさんはそのまま次のポケモンを待つのではなく、岩場の合間を走り続けている。
無駄に疲れてしまうかもしれないが、これが案外刺さる行動であり砂埃を起こして物理的に視界を悪くしようとしているのだ。
ちなみに私も見えなくなるから、がんせきふうじを置く場所と動くパターンは事前に幾つか決めている。
名付けて『砂埃で相手の目を潰したれ作戦』。
キバナさんとやった時には砂嵐に纏めて吹き飛ばされて逆に目が潰れた。
「頑張って!サッちゃん!」
「げほっペンさん!メガホーン!!」
「来ると思ってました!サイドチェンジ!」
「うげっ!ペンさん2番に変更!」
凄まじい速度のままサッちゃんことイオルブに突撃していくペンさんは、砂埃の中から空気を割くような一撃を放つがサイドチェンジにより場所を入れ替えられてしまう。
メガホーンなら恐らく一発で倒せていただろうが、逆にサイコキネシスを受けてしまったらこちらも一撃でやられてしまうかもしれない。
その為あえてここは逃げに徹して交代制限時間を待とうと考えた。
一瞬何が起きたのか分からなくなっていたペンさんも"2番"と聞くとハッとして先程とは違うルートで岩の隙間を走り始める。よし、落ち着いてる。
「サッちゃん!トリックルーム!」
「うわうわ!急いで!あなをほる!」
しかし、状況はすぐに変化していく。
加速しきり気絶するまで止まらない勢いだったペンさんが急激にガクンっとクヌ以下の動きにまで遅くなってしまう。
トリックルーム…!前はそんな技覚えてなかったのに!
素早さを反転させてしまうその空間は瞬く間にフィールド全体を覆い、身動き取れないほどに遅くなったペンさんは『なんでえ』とでも言いたげな涙目になりながら小さな脚で必死に地面を掘り始めた。
交代制限時間は後…10秒!
「トドメです!サッちゃんサイコキネシス!」
「っ…ペンさん!ミサイルばり!」
射程距離が長く、岩の外から攻撃をしかけてくるイオルブに対し、避けるのは不可能と判断した私はイオルブに向かってミサイルばりを発射するよう命令する。
イオルブは岩の外に陣取るように離れているので、厳しいが乱射するようにばら撒くと何発かは当たる。
けれど、当然返しの一撃はペンさんでは耐え切ることが出来なかった。
「どらぁ……」
「くっ…ごめん!けほ、行ってシズさん!」
「サッちゃん!リフレクター!」
「げーっ!?……いや!シズさんそのまま行っちゃって!」
なんかやたらと性格の悪い技構成になっているイオルブに向かって繰り出したのはシズさん。
しんちょうな性格のとくぼうの高いシズさんなら攻撃を受けつつも隙を見定めて攻撃できると踏んだのだが、まさかのリフレクターでガードを固められてしまう。
このままではジリ貧…だけれど、こっちにも秘策がある!
ボールから出て早々とびかかりイオルブに攻撃を仕掛けるが、リフレクターのせいもあってあまり効いている様子はない。
ねばねばネットでも貼りたい所だが、ここは敢えて、待ち構える!
「?…サッちゃん!サイコキネシス!」
「待ってました!シズさん!ミラーコート」
「あれ!?そんな技覚えてましたっけ!?」
「さっきぽかんとやって来ましたよ!」
「シズ!」
イオルブのサイコキネシスが直撃するも、それを耐え吸収したシズさんは反射してサイコキネシスを逆にお見舞いする。
先程ミサイルばりも当たっていたイオルブでは耐え切ることは出来ず、そのままきゅう…と落ちてしまう。
よし!これで残りは1人!
「頑張って!クインちゃん!」
「シズさん!今のうちにねばねばネット!」
シズさんはねばねばネットを地面に放つのではなく、空中に向けて糸を出していく。
すると、ステルスロックに引っかかり、まるで宙に浮く蜘蛛の巣の様な様相になる。シズさんはそれを巧みに登っていき、上空の網からビークインを睨みつける。
逆に制空権を取るような捕食者の動き。
「クインちゃん!ぼうぎょしれい!」
「あまごい」
そして、その場で手を器用に動かし上空に向かって念じれば、不思議なことに黒い雨雲がそこらに浮き始める。
その瞬間にザアザアと大量の雨粒と風が吹き荒れ、更に視界が悪くなってくる。
くそ、いつもならこの状態でもまだ見えるのに、今の私じゃちゃんと見えない。マズったかな。
でもいい、私が見えなくてもシズさんならどう動くか私にはわかる。
「クインちゃん!そのままとびかかっ──」
「はいよるいちげき!」
影に覆われた場所で器用に空中を動き回るシズさんは今の私でなくても見えにくい。
そして隠れるのが上手いシズさんは空中を這い回りビークインの背後を即座に取っており、背後から一撃を与えそのままステルスロックを巻き込みながら地面に叩きつける。
リフレクターとぼうぎょしれいもあって一撃とは行かないが、それなりにダメージが入ったはずだ。
むむむという顔をしたセリさんは恐らくこの後、つばめがえしで確実にシズさんに攻撃を当ててくる。
なら、ここは堅実にクヌに交代して受けきってから返しのがんせきふうじでトドメだ。
この試合私の勝ち、さあ、交代して───
「あ、れ」
つるっ、と手からボールが零れ落ちてしまった。
普段ならしないミス。
そう、普段通りなら。
ボールを拾いあげようとしゃがむと、そのまま膝まで崩れ落ち顔があげられなくなる。
急に背筋につららばりでも差し込まれたかのような冷たさが走ったかと思うと、全身から汗が出てきて息が浅くなっていく。
「シズ!?」
「クインちゃん、つばめがえ……モナルちゃん!?大丈夫ですか?!」
「ご、ごめ…げっほ、ま、待ってね……な、何か息苦し……ゲホッ!ゴホッ!っ…ぐっ……くそ……」
雨のせいで手が滑った?いや、そんな訳ない。
この状況は私が何度もやってきた得意の戦法だし、今更そんなミスしない。
違う、これは、身体が動いてない。
胸が締め付けられるように痛く苦しくなり、頭の中でガンガンと音が鳴っている。
息がちゃんと吸えてないんだ、これ。
あー、くそ、そういえば、さっきから咳出てた気が、ちくしょう……
…………先は、長いなあ
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