不死と残り火の大剣   作:のんびり者

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 この作品に登場する大剣の見た目はダークソウルの火継の大剣をイメージしております。

 能力など効果は全くの別物となっています。それでもよろしいのならこのままスクロールしてください


残り火

 

 

 ──守人残火(もりびとざんか)──

 

 それは個性により不死性を得、生命を喰らう大剣を携えた一人の少年(化け物)の物語。

 

 ──守人宅──

 

「父さん、母さん、行ってくるよ」

 

 残火は仏壇に静かに線香を上げ、支度を整える。動きやすい黒のジャージ、履き慣れたシューズ。筆記用具の入った鞄に、最後に禍々しい螺旋の大剣を背負う。

 

 目的地は雄英高校。

 

 父と母が遺した願い──「強い子になって、人を助ける子になってくれ」。その言葉を胸に、残火は今日まで折れずに歩いてきた。

 

「必ず、ヒーローになる」

 

 その呟きに呼応するように、大剣の刃から赤黒い火の粉が舞い散った。

 

 ────雄英高校────

 

「これが雄英か……名に恥じぬ威容だな」

 

 校門をくぐり、巨大な校舎を見上げて残火は呟く。そして同時に、別の感情が喉元まで這い上がる。

 

「壊せんことは……ない」

 

「……悪い癖だ。抑えろ」

 

 残火は小さく首を振って自分を戒め、試験会場へと足を進めた。

 

 ──実技試験会場・模擬市街地──

 

「スタァ──ト」

 

 プレゼント・マイクのけたたましい声が響き、実技試験が開始される。周囲の受験生が一瞬硬直する中、残火はすでに人混みを滑るように抜け、試験区域へと踏み込んでいた。

 

「ブッコロス」

 

「カイタイ! カイタイ!」

 

 説明通りの模擬ヴィランロボが群がってくる。だが残火は動じず、背中の大剣に手をやる。

 

リリース()! 3ヶ月」

 

 刹那、大剣の刃全体に業火が宿る。炎は音もなく、しかし確実にロボの装甲を溶断し、瞬時に沈黙させた。

 

「問題ない」

 

 その時、背後から悲鳴が上がる。見ると、少女が複数体のロボに囲まれ、追い詰められていた。

 

 残火は一瞬で間合いを詰め、横薙ぎの一閃。複数のロボが同時に両断され、火花を散らして崩れ落ちる。

 

「……大丈夫か?」

 

「う、うん……ありがとう……!」

 

「戦闘向きの個性ではないと、この試験は厳しいだろうな」

 

「……うん、確かに……」

 

「ならば、一つ助言をやろう」

 

「助言?」

 

「ああ。人を助け続けろ。そうすれば道は必ず開かれる」

 

「……よく分からないけど……分かった! やってみる!」

 

「良かろう」

 

 その瞬間──

 

「ゴガァァァ!!」

 

 大地を揺らし、ビルを薙ぎ倒しながら現れたのは大型ロボ(0ポイント)

 

「きゃ! 早く逃げなきゃ」

 

「……否」

 

「え?」

 

「ここで逃げる者がヒーローになれるものか。打算(加点)だけが目的の者がヒーローになれるものか」

 

 残火の瞳が、静かに燃え上がる。

 

「否、否、断じて否!!!」

 

「でも……それじゃあどうするの?」

 

「見ておれ。リリース()! 10年」

 

 剣の姿が劇的に変化する。螺旋の刃が収束し、魔法の杖のような優美な形状へ。先端には、紅蓮の宝玉が嵌め込まれている。

 

 杖を掲げ、残火は静かに息を整える。宝玉を中心に、轟々と炎が渦を巻き、圧縮されていく。やがてそれは、凄まじい熱量を秘めた蒼白い炎の核へと凝縮された。

 

「さぁ! 吹き飛ぶがいい」

 

 【超新星】(スーパーノヴァ)

 

 放たれた蒼い火球は、周囲のビル群を溶融させながら巨大ロボ(0ポイント)へ一直線に突き進む。

 

「ガガガァァ!!」

 

 ロボが腕を振り上げ迎撃を試みるが──無意味だった。火球は一瞬で装甲を溶かし、内部を貫通。中心部で臨界を迎え、眩い光を放つと同時に周囲の空気を呑み込み──

 

 次の瞬間、何もかもが跡形もなく消え去った。

 

「……火力が少し高すぎたか」

 

「少し……じゃないよ!! えぐいって!!」

 

 少女の絶叫が、静まり返った試験会場に響き渡った。

 

 ──雄英高校グラウンド──

 

「入学式……」

 

 残火は不貞腐れながらも体操服に着替え、グラウンドの端で軽く体をほぐす。

 

「楽しみにしていたのだがな……」

 

 皆との自己紹介を終わらせ入学式を楽しみにしていたが、担任・相澤消太が「雄英の校風は自由だ」と言い放ち、入学式をまるごとスキップして即座に個性把握テストを開始したためだ。

 

「ガイダンスは? 入学式は?」

 

「プロヒーローになったら、そんな悠長な時間はねぇよ」

 

 相澤はスマホを掲げ、淡々と続ける。

 

「これ、入試前にやっただろ。個性禁止の体力測定……正直、合理性に欠ける。文部科学省の怠慢だな」

 

 ため息をつき、スマホをポケットにしまうと、視線を爆豪勝己に向けた。

 

「爆豪。お前、入試実技で1位だったな」

 

「あぁ」

 

「じゃあ個性を使って、ボール投げをやってみろ」

 

「そんじゃ……死ねぇぇぇ!!!」

 

(((死ね?)))

 

 爆発音とともに爆煙が巻き上がり、ボールは空を切り裂くように飛んでいった。

 

 相澤のスマホに表示された数字──705.2m。

 

「705メートル……マジかよ」

 

「なにコレ、面白そー!」

 

「面白そう、か……」

 

 相澤の目が細まる。

 

 不敵な、どこか冷たい笑みが浮かんだ。

 

「お前ら、3年間そんな腹づもりでヒーローを目指すつもりか? ……よし。決めた」

 

 クラスが息を呑む中、相澤は静かに、しかし確実に宣告した。

 

「今回の体力測定で最下位の者は、除籍だ

 

「えっ……!?」

 

「なんと!?」

 

 ざわめきが広がるが、相澤はまるで風のように流す。

 

「驚いてる暇があったら、さっさと始めろ」

 

 種目:50メートル走

 

 残火はスタートラインに立つ。

 

 周囲の生徒たちが個性を発動させ、エンジンを唸らせ、物を作り、影を操る中──

 

 残火は静かに目を閉じた。

 

「鍛えてはいるが……そのまま走るのは、芸が無いな」

 

 ゆっくりと大剣を構える。

 

リリース()──1ヶ月分」

 

 刹那。大剣から迸った業火が、残火の全身を這い上がり、覆い尽くす。炎は瞬時に形を変え、禍々しくも美しい漆黒の甲冑へと凝縮された。

 

 肩当て、胸当て、篭手、脛当て──すべてが赤黒い炎で脈動し、まるで生き物のように蠢いている。兜の隙間からは、残火の瞳だけが、冷たく輝いていた。

 

「……行くぞ」

 

 残火が一歩踏み出した瞬間──

 

 地面が爆ぜ、爆風が周囲を薙いだ。50メートル区間を、まるで黒い流星のように駆け抜ける。甲冑の炎が後ろに長く尾を引き、残響のように火の粉を撒き散らしながら。 

 

 計測機器が悲鳴のような電子音を上げ、表示されたタイム──2.8秒。

 

 クラスメイトたちが呆然とする中、残火はすでに次の種目へと視線を移していた。

 

「次はなんだ」

 

 種目:握力

 

 握力計が並ぶ中、生徒たちは次々と個性を発揮する。

 

 障子が複数の腕で同時測定し540kgを叩き出し、砂藤が筋肉を膨張させて記録を伸ばす。

 

 残火の番。腕全体が赤黒い鱗のような装甲が、血管のように脈打つ炎の筋が浮かび上がる。握力計のハンドルを握った瞬間──金属が悲鳴を上る。

 

 計測針が一瞬で振り切れる。表示はERROR。続いて、計測器本体が内部から溶け始め、煙を上げて機能停止した。

 

「……すまぬ先生、壊してしまった」

 

 残火は淡々と手を離す。

 

 相澤が眉を寄せながらメモを取る。

 

「記録……測定不能。次へ」

 

 クラスがざわつく。

 

「壊した……?」

 

「あの鎧、何なの……?」

 

 種目:立ち幅跳び

 

 砂場を越える跳躍。

 

 多くの生徒が個性で飛距離を稼ぐ中、残火は鎧の火を背中に集め、背中から漆黒の翼のような火の構造体が展開。

 

 まるで堕天使の翼のように、赤黒い炎が揺らめく。

 

 一歩踏み込み──跳ぶ。

 

 ズドォン! 

 

 地面が陥没し、残火の身体は音速を超える勢いで前方へ飛翔。

 

 砂場を軽く飛び越し、グラウンドの端まで一直線。

 

 着地した衝撃で周囲数十メートルの地面がひび割れ、火の粉が舞い散る。

 

 距離:測定不能領域

 

「……また壊してしまった。すまない」

 

 残火は静かに翼を収め、振り返る。

 

 クラスメイトの多くが口をあんぐり開けている。

 

「……跳びすぎだ。やり直しは面倒だから、そのままでいい」

 

 種目:反復横跳び

 

 左右のラインを高速で往復する種目。

 

 ここでは速度と敏捷性が問われる。残火はスタートラインに立ち。足に火を集中させ残火の脚部に炎のブースターのようなものが形成され、地面を焦がす。

 

 そして交互にブースターを吹かし視認不能レベルの速度で左右を往復する。残火の姿は残像となり、炎の軌跡だけが残る。

 

 計測機器が追いつかず、エラーを連発。最終的に、相澤がストップウォッチで手動計測。

 

 記録0.4秒(回数はカウント不能なため秒数を記録とす)

 

「クハハ、次だ」

 

 鎧形態を解除し楽しそうな残火とは対照的に──クラス全体は、静まり返る。

 

 爆豪でさえ、舌打ちしながら睨みつけ。緑谷はノートに何かを必死で書き込む。

 

 種目:ボール投げ

 

 全員の視線が集まる中、麗日の無限という前代未聞の記録がまだクラス中を沸かしているなか。

 

 次に呼ばれたのは残火。

 

 彼は無言でボールを受け取り、投擲ラインに立つ。大剣を背負ったまま、ゆっくりと息を吐く。

 

「……個性を使え。制限はない」

 

 残火の瞳が、わずかに細まる。

 

「……了解した」

 

 大剣をゆっくりと抜き放つ。刃が空気に触れた瞬間、周囲の空気が熱を帯び、火の粉が舞い始める。

 

リリース()──5年分」

 

 刹那。

 

 大剣が激しく震え、螺旋状の刃が溶けるように変形。先端に紅蓮の宝玉が浮かび上がり、杖のような形状へ。宝玉を中心に、凄まじい熱量の炎が渦を巻き、圧縮されていく。

 

 周囲の空気が歪み、地面が焦げ、クラスメイトたちが後ずさる。炎は一瞬で蒼白い核へと凝縮。それはまるで小型の星のよう──超新星の雛形。

 

 残火は杖を構え、静かに呟く。

 

「……逝け」

 

 そして、投げる──ではなく、放つ。

 

超新星

 

 放たれた蒼い火球は、ボールを飲み込みながら膨張。一瞬で直径数十メートルの炎の塊となり、空を切り裂いて飛翔する。

 

 空気が爆ぜ、衝撃波がグラウンド全体を揺らす。

 

 火球は地平線の彼方へ一直線に進み──

 

 次の瞬間。遠くの空で、眩い光が炸裂した。光は太陽のように輝き、周囲の雲を焼き払い、青空を赤く染める。続いて、遅れて到達した爆音と衝撃波がクラスを襲う。

 

 生徒たちは地面に伏せ、耳を塞ぐ。爆風が砂塵を巻き上げ、視界を覆う。相澤の計測機器──ERRORの文字が点滅し、すぐに煙を上げて壊れた。

 

 残火は静かに杖を収め、大剣の姿に戻す。炎の残滓が彼の周囲を漂い、ゆっくりと消えていく。

 

「……少し、加減が足りなかったか」

 

 沈黙。その後に爆発するように湧く歓声。

 

「……テメェ……何だよそれ……」

 

 拳を握りしめ、歯を食いしばって睨む。

 

 だが、言葉が出ない。ただ、苛立ちと──わずかな震え。

 

「……ボール……どこ行ったの……? 宇宙まで飛んでったんじゃないん……?」

 

「む……無限少女、汝には言われたくないぞ」

 

「……あ、あの爆発……星が……爆発したみたい……」

 

「ケロ……すごい熱量。近くにいたら溶けちゃうかも」

 

「えぐっ……! 酸なんかよりヤバいじゃん! 溶かすとか次元が違うよぉ!」

 

「僕の……僕の輝きが……負けた……?」

 

 相澤は残火をじっと見つめ思考を回す。

 

(……測定不能の連発そして余りにも破壊性能が高い個性)

 

 クラスメイトの視線が一斉に刺さる中、静かに呟く。

 

「……皆、驚かせてすまなかった」

 

「いやいや! すげぇよ! マジで漢だぜ、守人! 次は俺と勝負してくれよ!」

 

「勝負って……お前死ぬぞ!? 俺もうビビって放電できねぇよ……」

 

「放電以前に、心臓止まるわ……」

 

「……守人くん……すごい! あの炎……エンデヴァーにも引けをとらない……」

 

 残火は緑谷の視線に気づき、わずかに目を細める。

 

「……分析好きか? 緑谷」

 

「えっ!? あ、はい! 個性とか……すごく興味が……!」

 

「……ならば、後で教えてやろう。この剣が何を喰らい、何を代償に力を得るのかを」

 

「……!」

 

「……チッ。テメェみたいな化け物がヒーロー気取りかよ。次は俺がぶっ潰す」

 

 残火は静かに微笑む。

 

「……楽しみにしてるよ、爆豪」

 

 テスト終了後、相澤がため息をつく。そんな相澤に残火は声を書ける。

 

「除籍はしないのか?」

 

「あ!」

 

「そう言えば!」

 

「あぁ、あれね嘘。合理的虚偽ってやつだ」

 

「「「……嘘ぉぉぉ!!!」」」

 

「全員、着替えて教室に戻れ。……守人。お前は少し残れ」

 

 クラスがざわつきながら去っていく中、残火は一人、グラウンドに立つ。大剣からは小さな火の粉が舞い、静かに消える。

 

「それで? 何用かな先生」

 

「お前はどんなヒーローになりたい?」

 

「無論、他者を守れるヒーローになる。父さんと母さんとの約束だ」

 

「……そうか、なら良いお前もさっさと教室戻れ」

 

「了解した」

 

 相澤との問答を終え残火は教室へ戻る。

 

 ──1年A組教室──

 

「残火!! お前の個性スゲェな!」

 

「その個性実に素晴らしいですわ!」

 

「実に興味深い……」

 

 教室に着くなり質問が殺到する。

 

「落ち着け。ちゃんと説明する」

 

 残火は静かに語り始める。

 

「俺の個性は不死だ。この大剣は……いつの間にか俺の側にあった。【残り火の大剣】と俺は呼んでいる」

 

「えっ! その大剣が個性じゃないのか!?」

 

「それに不死って……どう反応すりゃいいんだよ……」

 

「そうですわ。それに残火さんは、どうやって個性を自覚したんですの?」

 

 残火は一瞬目を伏せる。個性社会では避けられない問いだ。残火ははぐらかすより、素直に答えるべきだと判断する。

 

「……父さんと母さんと事故に巻き込まれた。全員即死だった。不死である俺を除いて」

 

「「「……っ!」」」

 

 教室が凍りつく。

 

「それは……辛いことをお聞きしましたわ。申し訳ありません」

 

 八百万が頭を下げる。残火は優しく首を振る。

 

「いや、良いんだ、もう過ぎたことだ。それより、他に聞きたいことはあるか?」

 

 緑谷が恐る恐る手を挙げる。

 

「あの……守人くん。その大剣……もしかして」

 

 残火は静かに頷く。

 

「あぁ。ご明察の通りこの大剣は持ち主の寿命を糧に力を増大させる」

 

「それじゃあリリースって言ってるのは……」

 

「そう。そのまま生贄の意味合いで合っている、まぁ不死である俺にとっては関係のない話だがな」

 

 クラスに重い沈黙が落ちる。

 

「どうした皆暗いぞ」

 

 その声と共に切島が明るく声を上げる。

 

「俺たちは仲間だ! 一緒に強くなろうぜ、守人!」

 

 残火はわずかに口元を緩める。

 

「……ああ。よろしく頼む」

 

 教室に、初めての温かな空気が流れた。

 




 ちなみに残火の見た目は

 体型:やや長身180〜190位

 瞳:深紅に近い黒

 髪:肩より少し長いオールバックの黒髪

 です中二病全開ですけど生温い目で見守ってください
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