仮面ライダー剣 Another Ace   作:上川 朔真

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第九章 王の玉座へ 前編

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逢瀬(おうせ)は青いマシンを駆り、南へ向かっていた。

 

そのマシンはBOARDが新たに開発したライダー専用バイク『ブルースペイダーⅡ』。

 

かつてブレイドが使用していたブルースペイダーを基に改良が加えられ、性能が向上していた。

ボディは原型機を踏襲しつつ、所々に金色の装飾が施されている。

 

向かった先はオフィス街の中心だった。

あらかじめBOARDが避難指示を出していたため、いつもは人で賑わう街もゴーストタウンといった様相になっている。

 

バイクを降り、アンデッドサーチャーが示すポイントへ駆けつけると、そこに立っていたのは鈍い金色に輝く甲冑─。

 

「アイツは…コーカサスビートルアンデッド!」

 

スペードスートの頂点に君臨するカテゴリーK(キング)

ただそこにいるというだけで威圧感を放ち、逢瀬の肌にプレッシャーとなって突き刺さる。

 

だが、ここで退くわけにはいかない─。

 

「カテゴリーK(キング)!お前を封印させてもらう!」

 

大声をあげるとともに、逢瀬はブレイバックルとカードを取り出す。

 

そのカードはスペードのA(エース)

 

カードをベルトに装填し、腰に装着する。

 

「変身!」

 

『TURN UP』

 

レバーを引いて叫ぶと同時に走り出す。

バックルから生じた光のゲートをくぐり抜け、アーマーを纏った。

 

その姿はカテゴリーA(エース)との戦いの時とは違い、青いボディを取り戻していた。

 

「これが本当のブレイド…!」

 

四年前自分を救った青い戦士の姿となり、みなぎる力を感じた逢瀬はブレイラウザーを引き抜いた─。

 

 

 

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─北へ向かった(たちばな)は、砂浜でアンデッドと遭遇した。

 

両腕に鋭い鎌をもった真紅のアンデッド。

ハートスートのカテゴリーK(キング)、パラドキサアンデッド。

 

鋭い殺気を感じ、飛びかかってきたアンデッドの攻撃をかわすと、橘はベルトを装着した。

 

「変身!」

 

『TURN UP』

 

再び向かってきたアンデッドが光のゲートにはじかれ、その隙に変身を完了する。

 

四年前と同じ紅のボディとなり、双眼が翡翠色に輝いた─。

 

(四年前の戦いでは交戦が確認されていない…。)

 

(能力は未知数だが、やるしかない!)

 

引き抜いたギャレンラウザーのトリガーを引き、牽制の銃弾を放った─。

 

 

 

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 

 

 

─西へ向かっていた(はじめ)の進路を爆風が塞いだ。

 

バイクを止め、気配を感じた森の奥へと進む。

 

木陰から一体の怪物が現れた。

 

暗い森の奥から攻撃を仕掛けていたのはギラファアンデッド。

ダイヤスートをもつカテゴリーK(キング)だった。

 

「貴様とは決着をつけなければな…!」

 

─とある雪山。

 

吹雪の中で二体の怪物が戦っていた。

 

その近くに偶然一人の男性が現れる。

 

一方の怪物がもう一方の得物を弾くと、宙を舞った剣が男性を貫く。

 

得物を失った怪物が逃げ去り、後には男性ともう一体の怪物が残された。

 

怪物が人間の姿になって男性に近づくと、男性は虫の息で一枚の写真を差し出す。

 

写真に写ったのはその男性と一人の女性、そして幼い少女だった─

 

始の腰にハート型のベルト『カリスラウザー』が現れ、その中央のスリットにカードを通す。

 

「変身…!」

 

『CHANGE』

 

水飛沫のようなものが身体を包むと、始はシャープな黒い鎧に覆われた。

 

『カリスラウザー』に通したハートのA(エース)『マンティスアンデッド』に擬態し、『カリスベイル』と呼ばれる能力により鎧のような甲殻を纏ったのだ。

掌中に醒弓『カリスアロー』が出現する。

 

「さあ、あの時の戦いを再開しようか…!」

 

アンデッド同士の戦いが始まった瞬間だった─。

 

 

 

♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧

 

 

─東の湖に到着した睦月(むつき)は、湖畔に立つアンデッドの姿に懐かしさを覚えた。

 

「嶋さん!?」

 

クラブのカテゴリーK(キング)でありながらも平和を望み、ライダー達に協力していた嶋 昇(しま のぼる)という男。

本来の名前はタランチュラアンデッド。

 

また、彼は四年前レンゲルとなってスパイダーアンデッドに操られていた睦月を救った一人だった。

自ら封印されることによって内側からスパイダーアンデッドを抑えつけ、睦月に力を貸して呪縛から解き放ったのだ。

 

だが、今目の前にいるのは睦月が知る彼とは違っていた。

 

睦月の呼びかけに応えることなく、振り向いた瞬間に糸を放ってきたのだ。

 

糸をかわした睦月はすかさずベルトを装着した。

 

(自我を失っているみたいだ…)

 

(なら一度倒すしかない!)

 

「変身!」

 

『OPEN UP』

 

カバーを展開して光のゲートを発生させる。

ゲートが放たれた糸を弾き、睦月の身体にアーマーを装着させた。

 

緑色のボディと金色の装甲。

仮面ライダーレンゲルが本来の姿を取り戻した。

 

「今度は俺があなたを助ける番です!嶋さん!」

 

レンゲルラウザーを構えた睦月が駆け出していく─。

 

 

 

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─ひとけのないオフィス街に金属音が響く。

 

音の中心ではアンデッドとブレイドが切り結んでいる。

 

コーカサスはブレイラウザーを易々と受け止めると、連続で剣を振るってきた。

逢瀬は追い詰められ、防戦一方になっていた。

 

(簡単にはいかないか…)

 

「なら、これを使う!」

 

距離をとり、箱型の機械を左腕に装着する。

 

─それぞれがカテゴリーK(キング)のもとへ向かう前。

 

「これを持って行け。」

 

橘が逢瀬と睦月に箱型の機械を差し出す。

 

「いったいこれは…?」

 

「これは『ラウズアブゾーバー』といって、上級アンデッドの力を取り込む装置だ。」

 

「カテゴリーQ(クイーン)を挿入し、カテゴリーJ(ジャック)をラウズすることでアーマーを強化できる。」

 

「いわばカテゴリーK(キング)に対抗する''切り札''だ」

 

(''切り札''…)

 

逢瀬は差し出されたアブゾーバーを受け取った─

 

ラウザーのカードトレイから取り出した(スペード)Q『ABSORB』を挿入し、さらに(スペード)J『FUSION』をラウズする。

 

『FUSION JACK』

 

すると、胸部に鷲の紋章が刻まれ、背中から六枚の翼『オリハルコンウィング』が伸び、装甲が金色に輝く。

 

カテゴリーJ(ジャック)の力を取り込み、ジャックフォームへと強化変身したのだ。

 

「これならいける!」

 

ブレイドはオリハルコンウィングを展開し、大空へと舞い上がった─。

 

 

 

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─「悪いが、早々に片づけさせてもらうぞ!」

 

ギャレンはカードトレイから抜き取った三枚のカードをラウズした。

 

(ダイヤ)2『BULLET』

 

(ダイヤ)6『FIRE』

 

(ダイヤ)9『GEMINI』

 

『BURNING SPREADE』

 

ラウザーの銃口から飛び出した一発の炎の弾丸がいくつにもわかれ、アンデッドめがけて襲いかかる。

そして、爆風で舞い上がった砂が辺りを包んだ。

 

「やったのか!?」

 

(それにしては手応えが無さ過ぎる…)

 

砂煙の向こうでなにかが動いた。

次の瞬間─。

 

ギャレンの肩アーマーの先端が吹き飛び、背後の海が真っ二つに割れた。

 

(なにが起こった!?)

 

砂煙の中から無傷のパラドキサアンデッドが歩み出してきた。

その周囲には砂塵が舞って渦を巻いている。

 

「風を纏っている…?」

 

(さっきの攻撃は高圧の空気を撃ちだしていたのか?)

 

どうやら敵は風を操っているらしい。

そして、砂塵を巻き上げて弾丸を防いでいたようだ。

 

(だが、隙はあるはずだ!)

 

(ダイヤ)Qと(ダイヤ)Jを取り出し、ラウズアブゾーバーを発動させる。

 

「伊坂!貴様の力を利用させてもらうぞ!」

 

『FUSION JACK』

 

胸部アーマーにクジャクの紋章が刻まれ、背中から『オリハルコンウィング』が伸び、各部の装甲が金色に変わる。

 

ジャックフォームとなり、空へ舞い上がったギャレンが銃弾の雨を降らせる─。

 

 

 

♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡

 

 

 

─木々の間を飛び回りながら『カリス』がエネルギーの矢を放つ。

 

だが、強固なバリアーに阻まれてしまう。

 

(近づいて剣による攻撃を誘い、カウンターを狙う!)

 

木を蹴り、反動を利用して飛び込む。

反撃の剣を受け止め、返す刀でカリスアローを振るうが堅牢な甲殻には傷一つつけられない。

 

投擲された手榴弾をよけて距離をとる。

 

強固なバリアーと堅牢な甲殻。

ふたつが合わさって鉄壁の防御となっている。

 

(やはりコンボを直接叩き込むしかないか…)

 

(そのためにはほんの少しでもバリアーに穴を開けなくては…)

 

全神経を研ぎ澄まし、バリアーが弱まる瞬間を見極める─。

 

 

 

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─レンゲルがラウザーの突きを次々に繰り出すも、タランチュラアンデッドにすべて紙一重でかわされてしまう。

 

(あたらないなら…!)

 

(クラブ)9『SMOG』

 

ラウザーの先端から煙幕を発生させて視界を塞ぎ、攻撃を繰り出す。

 

しかし、死角から仕掛けた攻撃すら受け止められてしまう。

そして、かざされた手から強烈な竜巻が放たれ、空中に舞い上げられる。

 

「うわぁっ!!」

 

先程から一方的に攻撃を受け続けてしまっていた。

 

(なんで当たらないんだ…!?)

 

(待てよ、確かあの人の能力は…)

 

睦月は一つの作戦を思いついた。

 

「力を貸してくれ!」

 

ラウズアブゾーバーに(クラブ)Qを挿入、(クラブ)Jをラウズしてジャックフォームへと強化変身する。

 

『FUSION JACK』

 

だが、その姿はブレイドやギャレンとは全く違っていた。

胸部に刻まれた象の紋章、力強く肥大化した両腕、左手に装備された巨大な鉄球。

 

高機動化と飛行能力の付加が行われたブレイドとギャレンの正反対、機動力を犠牲に圧倒的な攻撃力を得たジャックフォームだった。

 

「あなたを救って見せます!…俺の仲間と一緒に!」

 

レンゲルは鎖で繋がれた鉄球を振るった─。

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