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─「睦月ーっ!」
元気いっぱいに女性が叫ぶ。
「望美!?」
ビックリした様子で女性の名前を呼び返す若い男。
彼は
彼の名前を呼んだ女性は、幼なじみで同い年の
ライダーとなって戦っていた当時、高校生だった彼も今は大学生。
「ま~たバスケに夢中になってたの!?」
呆れた様子で望美が言う。
睦月はハッとした。
今日は買い物に付き合う約束をしていたのに─。
就職活動の合間、仲間と始めたバスケについ熱中してしまい、すっかり忘れていた。
「ごめん…」
反省し、待ちぼうけをくらったであろう彼女に謝る。
「ふ~ん…まぁいっか、じゃあ早くいこ!」
拍子抜けするほどにあっさり許しの言葉を出した望美は、睦月の腕を引いて走り出す。
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ!」
「私はずいぶん待たされたんだし、さっさと行こ!」
睦月は、この先が思いやられるなぁ、と溜め息をついた。
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─それから数時間の後
「はぁ~、今日は一日堪能しちゃった!」
「おーい、ちょっと待ってくれよぉ…」
荷物を持たされた睦月が望美の後ろを歩いている。
「じゃああのお店でちょっと休んでく?」
彼女が指さしたのは小洒落た喫茶店だった。
店内に入り、席につく。
睦月はコーヒーを注文し、一息ついた。
注文したカフェオレを飲みながら望美が話しかけてくる。
「今日は楽しかった?」
「楽しかったけど…もうヘトヘトだよ。」
苦笑しつつ応える。
「じゃあ…また今度つきあってくれる?」
「もちろん。でも荷物持ちはちょっとキツいな。」
他愛のない会話を交わし、ふと『幸せだな』と思う─。
仮面ライダーとして戦っていた日々は記憶の彼方に埋もれ、意識することも無くなっていた。
最後の戦いが終結して以来、本来あるべき日常を送ってきたからだろう。
だが、その日常は突如として破られた。
誰かのつんざくような悲鳴があがる。
望美を残して店外に飛び出し、声のした方向に駆けつける。
路地裏から数人の男が怯えた様子で飛び出す。
薄暗い路地裏の奥からゆっくりと何者かが歩いてくる。
その者の正体は─。
緑色をした異形の怪物。
睦月と浅からぬ因縁をもったカテゴリー
「スパイダーアンデッド…!?」
四年ぶりにその禍々しき姿を目にした瞬間、記憶の底に眠っていた仮面ライダーとしての戦いの日々が蘇った。
仮面ライダーレンゲルとなった彼を操り、バトルファイトを勝ち残ろうとしていたアンデッド。
だが、ある協力者達によって睦月は解放されたのだった。
何故復活したのか疑問に思うよりも先に、戦うことを考える。
(でもベルトはもう…!)
四年前に挑んだ最後の戦いに敗れ、彼のベルトは破壊されてしまった。
(せめて人々が逃げる隙を作らなければ…!)
「皆さん、逃げてください!」
睦月の声に振り返り、アンデッドの姿を目にした人々が次々に逃げ出す。
(これで誰かを巻き込む心配はない…)
(あとは助けが来るまでヤツを食い止める!)
そう思って覚悟を決めた瞬間─。
「睦月!!」
後ろから声が響いた。
「望美!?早く逃げて!」
「睦月!これを…!」
そういって彼女が差し出したものは─
レンゲルバックル。
かつて睦月が使用し、失われてしまったはずのライダーシステム。
「どうして望美がそれを!?」
「万が一のことがあったら睦月に渡してくれって、橘さんが…」
「橘さんが…!」
(よし、これで戦える!)
「ありがとう、望美!」
「でも…無茶はしないって約束して…」
「ああ、もちろんだ。」
はっきりとした口調で応え、レンゲルバックルを受け取る。
「どこかに隠れてて!」
無言で頷いた彼女が建物の陰に隠れたのを確認し、睦月はカードデッキから一枚のカードを取り出す─。