仮面ライダー剣 Another Ace   作:上川 朔真

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※今回の話は前回とほぼ同時進行してます。


第六章 上城 睦月

♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧

 

 

 

─「睦月ーっ!」

 

元気いっぱいに女性が叫ぶ。

 

「望美!?」

 

ビックリした様子で女性の名前を呼び返す若い男。

 

彼は上城 睦月(かみじょう むつき)。四年前、ひょんなことから仮面ライダーレンゲルになった者。

彼の名前を呼んだ女性は、幼なじみで同い年の山中 望美(やまなか のぞみ)

 

ライダーとなって戦っていた当時、高校生だった彼も今は大学生。

 

「ま~たバスケに夢中になってたの!?」

 

呆れた様子で望美が言う。

 

睦月はハッとした。

今日は買い物に付き合う約束をしていたのに─。

就職活動の合間、仲間と始めたバスケについ熱中してしまい、すっかり忘れていた。

 

「ごめん…」

 

反省し、待ちぼうけをくらったであろう彼女に謝る。

 

「ふ~ん…まぁいっか、じゃあ早くいこ!」

 

拍子抜けするほどにあっさり許しの言葉を出した望美は、睦月の腕を引いて走り出す。

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれよ!」

 

「私はずいぶん待たされたんだし、さっさと行こ!」

 

睦月は、この先が思いやられるなぁ、と溜め息をついた。

 

 

 

♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧♧

 

 

 

─それから数時間の後

 

「はぁ~、今日は一日堪能しちゃった!」

 

「おーい、ちょっと待ってくれよぉ…」

 

荷物を持たされた睦月が望美の後ろを歩いている。

 

「じゃああのお店でちょっと休んでく?」

 

彼女が指さしたのは小洒落た喫茶店だった。

 

店内に入り、席につく。

睦月はコーヒーを注文し、一息ついた。

 

注文したカフェオレを飲みながら望美が話しかけてくる。

 

「今日は楽しかった?」

 

「楽しかったけど…もうヘトヘトだよ。」

 

苦笑しつつ応える。

 

「じゃあ…また今度つきあってくれる?」

 

「もちろん。でも荷物持ちはちょっとキツいな。」

 

他愛のない会話を交わし、ふと『幸せだな』と思う─。

 

仮面ライダーとして戦っていた日々は記憶の彼方に埋もれ、意識することも無くなっていた。

最後の戦いが終結して以来、本来あるべき日常を送ってきたからだろう。

 

だが、その日常は突如として破られた。

 

誰かのつんざくような悲鳴があがる。

 

望美を残して店外に飛び出し、声のした方向に駆けつける。

 

路地裏から数人の男が怯えた様子で飛び出す。

薄暗い路地裏の奥からゆっくりと何者かが歩いてくる。

 

その者の正体は─。

 

緑色をした異形の怪物。

 

睦月と浅からぬ因縁をもったカテゴリーA(エース)のアンデッド。

 

「スパイダーアンデッド…!?」

 

四年ぶりにその禍々しき姿を目にした瞬間、記憶の底に眠っていた仮面ライダーとしての戦いの日々が蘇った。

 

仮面ライダーレンゲルとなった彼を操り、バトルファイトを勝ち残ろうとしていたアンデッド。

だが、ある協力者達によって睦月は解放されたのだった。

 

何故復活したのか疑問に思うよりも先に、戦うことを考える。

 

(でもベルトはもう…!)

 

四年前に挑んだ最後の戦いに敗れ、彼のベルトは破壊されてしまった。

 

(せめて人々が逃げる隙を作らなければ…!)

 

「皆さん、逃げてください!」

 

睦月の声に振り返り、アンデッドの姿を目にした人々が次々に逃げ出す。

 

(これで誰かを巻き込む心配はない…)

 

(あとは助けが来るまでヤツを食い止める!)

 

そう思って覚悟を決めた瞬間─。

 

「睦月!!」

 

後ろから声が響いた。

 

「望美!?早く逃げて!」

 

「睦月!これを…!」

 

そういって彼女が差し出したものは─

 

レンゲルバックル。

かつて睦月が使用し、失われてしまったはずのライダーシステム。

 

「どうして望美がそれを!?」

 

「万が一のことがあったら睦月に渡してくれって、橘さんが…」

 

「橘さんが…!」

 

(よし、これで戦える!)

 

「ありがとう、望美!」

 

「でも…無茶はしないって約束して…」

 

「ああ、もちろんだ。」

 

はっきりとした口調で応え、レンゲルバックルを受け取る。

 

「どこかに隠れてて!」

 

無言で頷いた彼女が建物の陰に隠れたのを確認し、睦月はカードデッキから一枚のカードを取り出す─。

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