TSして触手産卵ゲーのマゾメス堕ちロリ女神になった 作:ハリケーン
「――――わーい! ユーリ、雲より高いですよ!」
「おい馬鹿やめろ暴れるな頼むから!」
「ふふっ、大丈夫ですよ。万一の時は私がいますから」
グリフォンの背に乗って、ユーリ、エルピス、ユースティアの一行は『秩序』の女神ミネルヴァが治めるウェストランドに向かっていた。
理由としては、マモンの能力を知っているユーリが「ヤツが大人しく魔界に帰っているハズがない」と危惧したことによる。
グリフォンは母であるエルピスが喜んでくれるのが嬉しいのか、急降下してみせたりと曲芸飛行を披露してエルピスを喜ばせ、ユーリを青ざめさせてユースティアを苦笑させた。
「頼むから大人しく飛んでくれ……」
「ふっ、どうですかこの子のすばらしさ……わたしよりかしこい! ユーリよりやさしい! 運んでくれるスピードならユースティアさんにも負けません! たぶん!」
これで産まれてすぐなのだから、魔装の力とはいえ不思議である。
過去の『色欲』が最強の魔王と言われたのも当然の流れだったのだろう。まあ『色欲』の力はそれだけではないのだが。
「お前より賢いのか…?」
「わたし、どうしたらこんな風に飛べるかわからないですし!」
それは果たして「賢い」でいいのだろうか。まあエルピスよりは賢そうか…。と妙な納得感に包まれた二人は目を見合わせて笑った。
――――――――――――――――――
「さて、問題はマモンがどこにいるかだな……」
「えっと、確か黄金をいくらでも出せるとか…?」
「そうだな。ちなみに消すのも自在で、攻撃は黄金の塊を大量に出して押しつぶしてくる」
「それ、つよいんですか?」
エルピスの素朴な疑問はまあ、妥当ではある。
実際のところ大量の黄金に押しつぶされたらひとたまりもないのだが、あんまり強そうに見えないのはその通り。
「黄金の重さはけっこうなものですし……まあ、厄介ではあるのでは…?」
「問題は人間が買収される方だな。神力は人間の信仰に依存してるって聞いたし」
「それは――――黄金―――………そんな簡単に?」
「人間の欲望は魔族の方が詳しいな。少なくとも傭兵くらいならいくらでも雇えるだろう?」
清廉潔白な人間がいないとは言わないが、無限の黄金に抗える人間と抗えない人間、比べたらどちらの方が多いのかは―――恐らくすぐ分かるだろう。
「―――――いや多いな?!」
ぞろぞろと、空から見ればまるでアリの群れのように人が群れをなしてウェストランドの首都ペルリを目指して歩く。
「な、なんですかこの人の量は!?」
「はへー、すっごいですね」
その、最早軍勢というべき大群(大軍)の中心にいるのは黄金を身に纏った中性的な青年。彼はユーリの方に向けて薄ら笑いを浮かべると手招きして。
「えっと、どうします? 行きます?」
「……せっかくのご招待だ、行くか」
「…………罠の警戒だけはしておきましょう」
エルピスがグリフォンに命じて高度を下げると軍勢がざわつくが、それはマモンが軽く手を挙げただけで鎮まる。
翼を出して臨戦態勢になったユースティア、ユーリは念のためグリフォンの背で待機させつつ、マモンの前に立った。
薄紫色の、長い髪。半ば目を隠すほどの前髪の間から黄金色の眼光が鋭く油断なく輝く。細い脚を黄金の玉座の上で組んでマモンは両手を広げた。
「――――久しぶり、というべきかな」
「……何の用だ、マモン」
「何の用か? それはこちらの台詞だけどね。少し見ない間に女神を仲間にするとはね。君もボクの傘下に入るなら歓迎してあげないこともないけど」
「断る。お前の下に付く理由はないな」
「へぇ。魔界よりエデンの方に取り入るのかい?」
「無駄な争いを避けるだけだ。一度回避できたラグナロク――――二度できないとは言わせないぞ」
「ははっ。奇跡ってのは二度は起きないから奇跡なんだよ。……さて。これからボクは女神ミネルヴァを倒しに行くけれど――――君たちはどうする?」
「………ユーリ」
「抑えろ、ユースティア。流石に不利すぎる」
完全に軍勢に包囲された状況。
また、マモンの黄金の能力を考えると大した防御力のないエルピスが、グリフォンの背にいるとはいえ射程内にいるのはあまりいい状況ではない。
「ふふっ、まあキミはそうだよね。『色欲』のアスモデウス――――尻尾を巻いて逃げまどうのがお似合いさ」
「ゴーヨクだか知らないですけど、自分だけの道をがんばってるユーリの方がずーっと『強欲』ですもん! やーい、人並の欲! 並欲―!」
「……おま」
『魔王』として、己の司る欲望の否定は絶対に許してはいけないライン越えである。真顔で黙ったマモンに、エルピスは舌を出しつつ指を指した。
「べぇー! ざーこ! ざーこ! そんな並欲魔王で恥ずかしくないんですかー!」
「なんでお前アイリスの真似するかなぁ!?」
「アハハハ。面白いガキだね。あのガキをぶち殺したら好きなだけ黄金をやるよ―――――ボクが殺す前に、できたらだけど」
瞬間、エルピスの頭上から降り注いだ無数の黄金の槍を飛翔したユースティアの神器『アストライア』が打ち払う。が、その凄まじい質量攻撃に苦し気に顔をゆがめた。
その様子を見て、僅かに周囲の軍勢が躊躇う。
「ま、マモン様……女神様に逆らうのはさすがに……」
「え? 別に女神と戦えなんて言わないさ、ボクを馬鹿にしたあのクソガキとその飼い主をぶち殺せばいい。それだけで、好きなだけ黄金が手に入るんだよ」
マモンがちらつかせる黄金。その輝きに、周囲の人間たちの目が吸い込まれる。
「そうだ」
「黄金だ」
「「「「黄金だ」」」」
「「「「「「「「好きなだけの黄金だ」」」」」」」」
完全に洗脳状態になった軍勢が、黄金の武器を手にエルピスに向かって殺到する。
それを見てユーリは歯噛みしつつ以前よりレヴィアタンを母胎にしたことで増した筋力で吹き飛ばした。
「お前――――そんな能力が」
「ハハハ! 人間を、欲望を操るなんてワケないんだよ! さあ女神、討てるものなら討ってみるがいい、キミたちを信じる人間どもをね!」
「チィッ―――――妬ましいな、その重量!」
ユーリがエルピスに降り注ぐ黄金に向かって叫ぶと、スポンジのような重量になった金塊っぽいものに変化し。ユースティアが容易く吹き飛ばしたことでグリフォンが離陸。黄金の射程外に逃れたことでマモンが舌打ちする。
「ちっ。目障りなアホに逃げられるとはね。……レヴィアタンの力が使えるようになったってことは、キミ、本格的に裏切ったね」
「向こうが殺しにきただけだ!」
「アハハ、キミ嫌われてるもんね。……じゃ、お前らを無惨に殺してさっきのアホを後悔させてやるとしよう」
ユーリも咄嗟に魔装で己の軍勢――――コボルト、スライム、ドリアードなどを呼び出すが多勢に無勢。
ユースティアは神器でなんとか操られた人間を傷つけないように抑えようとするが凄まじい人の波は下手に押しただけで人が潰されかねない。
人を傷つけると神力が低下する関係上、防戦一方で下がっていき。
ユーリと背中合わせになったユースティアはユーリを抱えて空に逃亡。それを追って大量に降り注ぐ黄金に、下の人間が容赦なく潰されていく姿を見て苦し気に顔をゆがめた。
「―――――自分の操っている人ごと押しつぶすなんて…!」
「クソ!」
怒りのままにユースティアは神器『アストライア』を掲げ、放り投げる。
「――――汝の罪、許し難し――――我が裁きの刃を受けるがいい! ラスト・ジャッジメント――――」
「おっと」
巨大な天秤と剣が出現すると、マモンは操られた人間の子どもを盾にするように抱えて。
「くっ!?」
どうすることもできず、神器を元に戻すユースティア。その翼を降り注ぐ黄金の槍の一本が貫く。
そのまま錐揉み回転で墜落しかけるところを、片翼でバランスを立て直して距離を稼ぐユースティア。それをマモンは冷たい目で見据えて黄金を掲げた。
「追え。必ず殺せ」