TSして触手産卵ゲーのマゾメス堕ちロリ女神になった 作:ハリケーン
ユーリは悩んでいた。
スルトが勝手にやったこととはいえ、まさかの女神を襲撃するという大犯罪。普通に首が飛ぶ(物理)案件にもかかわらず、アイリスは蹴りを入れてきた程度で特にお咎めなし。
じゃあそれでおしまい。
とはならないのがユーリである。
具体的には謝罪の品に何を渡すべきか悩んでいた。
(女神への献上品って……何だ?)
相場がさっぱり分からない。果たして用意できるようなものなのだろうか。単純に珍しい品とかならグリフォンでひとっ飛び採取してこれるかもしれないが。
とりあえず真っ当に、他の女神――――というかアイリスを良く知るユースティアに聞くことにした。
「え、アイリスにお詫びの品? …………えっと、気にしてなさそうだったけど」
「俺が気にしてる」
「……ユーリって、面白い魔王よね」
「変わっているとは自覚している」
ユースティアはどこか優し気な笑みでしんみりと呟くので、ユーリも怒るに怒れない。ユースティアは少しだけ考えて。
「うーん、そうね。………おやつとか?」
「おやつ!?」
「ちなみに好物はプリンよ」
「プリン!?」
いや見た目からすれば妥当な好物ではあるのだが。
普段の苛烈な行いからは想像できない好物が出てきて思わず叫んでしまった。
「本人曰く『この身体だから味覚が子どもっぽいのは仕方ない』とかなんとか」
「開き直ってる!?」
「………まあいい、助かった。ありがとう、ユースティア」
「どうしたしまして。よければオススメのお店も教えるけど?」
「いや、俺が作る」
「………………作れるの?」
ながーい沈黙の後にひねり出された疑問に、ユーリは仏頂面で答えた。
「貧乏魔王を舐めるなよ、得意分野だ」
―――――――――――――――――――――
というわけでプリン作りである。
一番の問題である食材だが、そこは『色欲』の魔王の面目躍如。最も美味で、最も珍しいと言われるドラゴンの卵を用意した。
まあ産んだのが鶏だろうがどこかの魔王だろうが調理して食べてしまえば大差はない…。少なくとも味は保証できる。
砂糖を贅沢に使って、少量の水とともに熱してカラメルソースを作る。茶色くなったらお湯を入れて薄めて、ソースに適した粘度に。
卵をほぐし、砂糖と温めたミルクを加え、濾して、容器に分けていく。
後は鍋に半分ほど水を入れて蒸すだけ。
そして冷やして完成。完成品、まあ味見は必要だろう。
少量だけスプーンですくって口に運び。
口に入れた瞬間、濃厚な甘みとカラメルソースの苦みが溶けあうように広がり。すっきりとした後味が口の中で溶けていった。つまり。
「―――――うっま!?」
なんか軽い気持ちで恐ろしいものを作ってしまったのかもしれない。
下手をするとお詫びの品を自分で食べきってしまいそうなくらいの魔力がある。やめよう。早くアイリスに渡してしまおう。
完成品の容器は4つ。
まあちょっと一人で食べるには多いだろうがこれだけ美味ければ文句は言われない、と思う。
「あれ、どうしたんですかユーリ。緊急でどこかに用事なら運びますよ?」
「いや女神を馬車扱いしないからな!?」
「そうですか? まあ緊急の時はちゃんと言って下さいね、どうせ大した消耗もなく運べるので」
そう言いながら大量の書類と格闘している姿はなんというか、幼女が頑張って仕事をしているという見た目の景色と実際の面倒くさい仕事のギャップで風邪をひきそうである。
仕事の邪魔をするのもアレなので、ユーリは精一杯の謝意を込めて頭を下げつつプリンを差し出した。
「今回はスルトに勝手な真似をさせてしまい申し訳なかった。これはせめてもの詫びだ」
「え。そんないいのに………プリン!? 分かってるじゃないですか、ユーリ! それはもう喜んで受け取りますよ!」
分身を出して仕事をさせつつ、完全に休憩モードに入ったアイリスはくるっと無駄にターンを決めてから軽い足取りでお盆を受け取り――――とりあえず一口。
「ん~~~~っ! ユーリ、美味しいですよこれ! なにこれ今まで食べたプリンで一番すごい!」
翼を出してパタパタと羽ばたくリアクションまで決めたアイリスは、4つ容器があるのを見るとゼピュロスを片手に転移。数秒後、ちょっとあきれ顔のユースティアと、わくわくした顔のエルピスを連れて戻ってきた。
「食べてみてください! ものすっごい美味しいです! 才能ありますよユーリ! 私のところでプリン職人しません?」
「へぇー。アイリスにそこまで言わせるなんて、それは楽しみね」
「おいひいれふ!?」
言われるが早いか、既に食べているエルピスはなんというかまあいつも通り。
「というか、いいのか…?」
「え? 私への献上品ですし、いいですよね。こんなに美味しいなら分かち合わないと」
「いやほら、毒見とか」
少なくとも襲撃犯に対する対応じゃない気がする、と恐縮するユーリに、アイリスはプリンを食べつつ言った。
「ユーリとスルトは別人ですよ、別人。少なくともアレにこんな美味しいプリンを作るなんて建設的なことはできないです。というか謝罪という意識がない。私が保証します」
「ふっ。それも、そうか」
そう言われると心の何処かにあったシコリのようなものが押し流されていくような気がして。なんとも女神らしくない姿なのに、そんなアイリスがとても女神らしく感じて。
「………くっ、もうない……」
「ほんと、もの凄く美味しいわね」
「ユーリふほひへふ!」
じぃ~~っと名残惜しそうに最後の一個を見つめるアイリスに、ユーリは苦笑して容器を差し出す。
「元々アイリスのために作ったんだ。2つ食べればいいだろ?」
「ふむ。…………じゃあはい」
「は?」
アイリスが自分のスプーンでひとつすくって、それを差し出す。
空いた口に捻じ込まれたそれは、不思議と何かさっき味見したときより甘いような―――。
「んく。やっぱりおいしい! こんなに美味しいものを作った人が食べれないのは私の主義に反します。でも頂いたものは受け取るのもマナー……。なので半分こしましょう」
「いやそれなら俺もスプーンが欲しいんだが」
「ダメです女神の権限で配分は私が厳密にきっちり決めます! 私が半分と言ったらそれが半分です!」
「どんだけ食いたいんだよ……」
「3食全部このプリンにしたいくらい食べたいですが!?」
「お、おう……」
その後、アイリスは厳密に、確かにきっちり半分くらいに分けた。
自分に有利な半分こにしたいのではなく、納得したいだけだったらしい。