TSして触手産卵ゲーのマゾメス堕ちロリ女神になった   作:ハリケーン

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女神と依頼3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――誰もが諦めた顔をしている、あの家が嫌いだった。

 

 

 

 

 

 『零落』した魔王、アスモデウス家。

 眷属を失い、母胎を失い、当主を失い。残されたのは魔装ヘルヴィム――――種付け触手のみ。母胎さえいれば、瞬く間に成長・孵化し、忠実かつ母胎の能力を反映した眷属を生み出せるが――――半端な母胎では大した魔物も産まれず、精神を壊すリスクもある。

 

 

 

 

 『母胎さえいれば』と無いものねだりをして。諦めて何もしないあの家が嫌いだった。

 斧槍の腕を磨いても、本を読んで知識を蓄えても。母胎、母胎、母胎。

 

 では誰がその母胎を手に入れる? そのために何をすればいい? そんなことは考えもせず、ただ「全てを失った」と悲運を嘆き、それ以上なにをするでもない。

 

 

 

 

 

 嫌いだった。

 正直に言えば、今でも魔装のことは好きではない。ただ、それ以上に。弱い自分が嫌いだった。

 

 

 

 

 

 だから、だろう。

 まだ襲撃の準備も整っていないのに、お人好しのバカで考えなしのアホのために危険な場所に飛び出そうとしている。

 

 

 

 

 

『―――――アスモデウスは、もう終わっている』

『雑魚魔王が、鍛えたところで何ができる?』

『お前なぞ、魔王の面汚しだ』

 

 

 

 

 

(俺は―――――)

 

 

 

 

「――――ユーリは凄いんですから! 絶対勝ちます!」

 

 

 

 

 

 バカみたいな、いや、本物のバカがいる。

 自分でも信じていないユーリ・アスモデウスを、何故か信じ切っている本物のバカ。そんな信頼に値する男か――――? 自分を拾ったのをいいことに母胎にして、ただ「自分を認めさせたい」なんて考えなしの極みのような行動基準で生きているだけの、魔王とは名ばかりの男が――――。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――ユーリ」

(ああ、くそ――――俺にも馬鹿が移ったか)

 

 

 

 

 穏やかに笑うエルピスの顔が脳裏を過り、今はこの考えなしに身をゆだねることに決めた。不思議と、後悔する気はしなかった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいぜ、お前からにしてやる。生意気なその顔、歪ませてやるよ――――」

「――――お前の粗末なものを切り落とす方が先だ」

 

 

 

 

 

 あらかじめスライム(2体目)に溶かさせておいた天井をぶち抜いて、天族の男の頭を狙うが、あくまでエルピスを守るのを優先したため当たらず。仕方がないので着地とともに蹴りで吹き飛ばしておく。

 

 

 

 

「よう、エルピス。お前、大人しくしてるって選択肢はないのか?」

「ユーリ――――!」

 

 

 

 アホ面で抱き着いてくるアホだが、気分は悪くなかった。

 

 

 

 

「ぐっ、テメェがユーリとやらか――――袋の鼠だ! 野郎ども、ぶっ殺しちまえ!」

「やれるな、エルピス!」

「はいっ!」

 

 

 

 

 

 こっそりとスライムに鎖を溶かしてもらっていたエルピスは、ユーリからロッドを受け取るとへっぴり腰ながら構えを取り。

 

 

 

 

 

(しかし、このアホのせいで出るのが早すぎた――――時間を稼げるか?)

 

 

 

 

 

 

 焦燥を表に出さないよう、不敵に笑って見せると視界の端――――暗闇でも輝いて見える、緑色の瞳と目が合った。

 

 

 

 

 

 茶色の髪、緑色の瞳――――およそ類を見ない美人が、その容姿を半ば隠しているフードはそのままに、手を戒めていた鎖を青い輝きで断ち切って。

 その明らかに素人ではない技に、僅かに警戒するが――――どっかのアホと同じ人種なのか、躊躇なく背中を預けるように剣を構えて立った姿に嘆息する。

 

 

 

 

 

 

「――――感謝します、ユーリとやら。義によって私も加勢いたします」

「こちらこそ、だな。正直手が足りないところだった」

 

 

 

 

「ふふっ。それなら丁度良かったです。私、これでも腕にはそれなりに自信があって」

「だろう、なっ!」

 

 

 

 

 

 恐らく暴れた相手を拘束するためのものだろう、麻痺毒か何かが塗られた吹き矢が放たれる。それを槍斧の一振りで弾き落とすと、女はその間隙を縫うように接近し―――一撃で三人をなぎ倒す。

 

 

 

 

 

「うお」

「うわぁ、強いですねぇ」

 

 

 

 

 

 お前も働け、と言いたくなるような呑気な感想を吐くエルピスだが、正直前に出られても邪魔なのも事実であり。大人しくしているだけマシか、と思いつつ謎の女の背中を守るべく、大柄な男を槍斧で切り裂き。それを見て奥で剣を受け取りつつ天族の男が吼える。

 

 

 

 

「何してるテメェら! さっさと始末しちまえ!」

「で、ですがお頭……こいつ等信じられねぇくらい強くて――――」

 

 

 

 

「ユーリは強いんですよー! やーい! 粗末なもの切り落とされちゃえー!」

「……仕方ねぇ、俺様が直々に相手をしてやる」

 

 

 

 

 どうしますか、と目線で聞いてくる女。

 いや普通に始末してほしいんだが。この女の方が強いのは明らかなのだし。……だが、そう聞かれて「お願いします」と言うほど頭が良くはなく――――己の力を試したい欲もあった。

 

 

 

 

 

 天族は、保有する神力の影響で人族よりも身体能力に優れる――――が、それは魔力を持つ魔族も同じこと。ユーリは魔王としては落第級でしかなくとも、鍛えた槍斧の腕があり――――そして魔装ヘルヴィムの力――――眷属が増えるほどに持ち主の魔力を増やす力によって、確実に力を増している。

 

 

 

 

 

 

「あのアホはともかく――――お前程度は倒せないと情けないからな」

 

 

 

 

 

 魔装に頼るのは好きではなかったが――――エルピスの顔と、産まれてきた眷属の顔を思い浮かべるのは、悪い気分ではなかった。

 

 

 

 

 

「―――――死ねぇええええ!」

「ふっ」

 

 

 

 

 力任せに斬りかかってきた天族の一撃を、槍斧の一撃で弾き、突く。

 神力の影響だろう。浅い手応えに舌打ち一つ。間合いの内側に無理やり飛び込んできた天族を本来なら触手で迎撃するところだが―――短く持ち直した斧槍で打ち払い、石突で腹を打って距離を取る。

 

 

 

 

(身体が、軽い――――)

 

 

 

 

 

「…悪くない気分だ」

「クソがあああああ!」

 

 

 

 

 神力で頑丈なだけで、武術の心得が無い――――なら、この程度に負けるわけにはいかない!

 

 

 

 

 剣を絡め取り、弾く。

 無手になり、間抜けにも目線を弾かれた剣に向けたところで――――。

 

 

 

 

 

「――――勝負あり、ですね」

 

 

 

 

 

 天族の喉元を貫く寸前で、白い手が斧槍を受け止めて。

 男は口元を引きつらせながら叫んだ。

 

 

 

 

「そ、そうだ! 俺は天族だ! 俺を助けろ! そうすれば金もやる! 従わねぇならお前らも家族も――――」

 

 

 

 

「私も家族も?」

「産まれてきたことを後悔させてから殺してやる!」

 

 

 

 

「へぇ」

 

 

 

 

 瞬間、女の背から翼が生える。

 フードが外れ、美しい(かんばせ)が露になる。

 

 強い意志を秘めた緑の瞳は煌々と輝いて見え。茶色の髪が膨大な神力を宿して青い輝きと共に風もないのに舞い上がる。

 

 

 

 

 

 

「な――――め、女神ユースティア……様……」

 

「この私を前に、『産まれてきたことを後悔させてやる』とは、大きく出たものですね。ギルダイン卿?」

 

 

 

 

 

 

 女――――女神ユースティアの口調は冷静だったが、その怒りは見る者には明らかであり。

 

 

 

 

 

 

「な、何故です――――何故――――」

「なぜ? なぜ貴方を野放しにしていたのだろうかという話ですか?」

 

 

 

 

 

「ほ、法は! 法は俺の味方のはずだ! 我ら天族こそが正義――――」

「さて。天族を害そうとした天族を罰することに、何の問題が? あの子―――アイリスに言わせれば今だけは―――『私がルール』です」

 

 

 

 

 

「――――……ぐ、こ、こんなところに女神がいるわけがねぇ! お前ら、やっちまえ!」

「――――愚かな」

 

 

 

 

 

 

 瞬間、ユースティアの手に青い聖剣が握られる。

 神器『アストライア』。

 

 青い聖剣は、ウォーターカッターと同様に水を纏い――――鋼すらも容易く両断し、間合いも自由自在。

 

 青く輝く水が鞭のように伸びて渦巻き――――周囲の男たちの武装を全て真っ二つに両断する。

 

 

 

 

 

 

「………投降しなさい。命までは取りません」

「クソがあああああ!」

 

 

 

 

 武装を失い、それでもなお素手で殴りかかる天族の男に、僅かに驚いた様子のユースティアだったが、余裕をもって対処する―――その前に、天族の男の脳天を斧槍の石突で叩いて気絶させた。

 

 

 

 

 

「お甘いことで、女神さま?」

「……よく言われます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 困ったように微笑む姿は、まるで普通の少女のようで――――。

 

 

 

 

 

 

「さっすがです、ユーリ!」

「おい、この状況で抱き着くな。まだ残ってるだろうが」

 

 

 

 

 

 

 飛びついてきたエルピスをアイアンクローで阻止しつつ。

 気絶しているように見える天族の男に蹴りを入れて確認。それに便乗してロッドでつっつくエルピスを見て、ユースティアは優しく花が咲くような笑みを見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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