TSして触手産卵ゲーのマゾメス堕ちロリ女神になった 作:ハリケーン
――――――大きい。
大きさは単純に強さだと、証明するかのような巌の如き巨体。それが無限に水を生み出す魔装により水を得た魚のように自在に動く。
外見は鯨のようでありながら、その外殻の固さは鋼をも超える。そして単純な問題として、水に対して絶大な耐性を持っており。大規模な攻撃手段を水に依存する女神ユースティアは攻めあぐねていた。
自身の翼をはためかせ、神器『アストライア』の剣の部分で直接斬りつけて初めて僅かに傷ができる程度。
『なるほど、良い剣だ――――妬ましい』
「――――くっ!?」
間違いなく一度は通った刃――――その手応えが、消える。
まるで神器が鈍らにでも変えられてしまったかのような、鉄に打ち付けたような鈍すぎる手応え。
「そんな――!?」
『我が背負う血こそは「嫉妬」。貴様が如何に優れたものを持とうとも、我が前では無価値になる』
「くっ――――なら――――!」
『ほう』
ユースティアが神器を天高く放り投げ。
上空に巨大な天秤が浮かび上がる。片方には巨大な水瓶、片方には巨大な刃。
「――――エデンの平和を乱し、多くの命を脅かすその罪――――天秤の裁定を受けよ! ラスト・ジャッジメント!」
『良い判断だな―――――妬ましい。ああ、女神とはかくも恵まれたものか』
魔王レヴィアタンが撒き散らした罪の大きさを示すかのように天空の水瓶が大量の水を吐き出し。天秤が傾く。水の勢いと、重みを加えて巨大な刃がギロチンのようにレヴィアタンの巨体を半ばまで切り裂き―――――その身体が泡に溶けていく。
泡は見る間に集まり、ある形を作っていく。
白い肌――――豊満な肢体は鯨の形態の時と同様に滑らかであり、尾びれを持ちつつも二本の足で地面に立ったその女は、魔装タンニーン―――丁度身体を覆う程度の大きさになった輪を宙に浮かばせ、撫でて妖艶に笑った。
「―――……なにっ!?」
「だが――――女としての魅力は我に敵わぬな」
「……ふっ!」
「効かぬと、言った筈だが」
ガギン、と鈍すぎる音を立てて、目にも留まらぬ速さで打ち込まれた神器アストライアが弾かれる。
「どうやら頭の出来は羨む必要がないようで助かる」
「………ならば、押し通るまでです! はああぁぁぁあァア――――ッ!」
「効かぬ、と何度言わせる」
神器アストライアの周囲で水が凄まじい勢いで渦巻き、圧縮されていく。
キィィィイイン、と甲高い叫びのような音を立ててアストライアが震える。
「――――湖水、万象を映し――――孤滴、岩を穿つ――――」
「む――――」
水を纏っているはずが、炎のように揺らめきだしたアストライアを見てレヴィアタンが流石に顔色を変え――――しかし、あまりにも遅すぎた。
「秘剣―――――アロンダイト!」
「――――ベヒモス!」
声に応じて、魔装タンニーンが姿を変える。岩を固めたような手甲、魔装ベヒモス。
既に『嫉妬』の力で切れ味を奪われたはずの神器アストライアが渦巻く水を纏って鋭く魔装ベヒモスごとレヴィアタンの左腕を切り落とす。
勢いのまますれ違いつつも踵で地面を削り、翼をはためかせて急制動をかけたユースティアが逃さじと二撃目を放ち――――。
「―――ぐっ、妬ましい――――!」
「アロン――――ダイトォォォォッ!」
青く輝く聖剣は、鈍い音を立てながらもレヴィアタンの右腕の半ばまで食い込み――――断ち切れずに止まった。
追い詰めているはずのユースティアの表情は苦く、追い詰められているはずのレヴィアタンは余裕の笑みを取り戻し。身体を捻ると尾びれでユースティアを弾き飛ばす。
「まさか、我の腕を切り落とすとは――――」
「ならば!」
ユースティアは刃ではなく剣の柄でレヴィアタンの額を殴打し。それも効かぬと見るや即座に拳で顔面をぶん殴って、インパクトの瞬間に水を放出して加速するとレヴィアタンはまるで馬車に轢かれたかのような凄まじい勢いで吹き飛んだ。
「きさ―――――」
「聞く耳持ちません!」
目つぶし! 関節技! 首をアームロックで締め上げると、流石のレヴィアタンも口から泡を吐いて―――――泡で滑らせると、するりと関節技から抜け出す。
「妬ま――――ガボボボッ!?」
「ハアアアアアアアッ!」
水をレヴィアタンの口に叩き込んで強制的に封じると、レヴィアタンの鳩尾をユースティアが鋭いブローでぶち抜き――――鋼のような感触に、ユースティアは端正な美貌を歪めた。
「残念だったな。我が『嫉妬』は言うことではなく思うだけで意味がある――――嫉妬とはそういうものだ」
「―――――」
「既に貴様の底は見切った―――――我が『嫉妬』する価値は、既に無い」
「それは――――」
魔装ベヒモスがタンニーンに姿を戻し。光り輝く輪から現れたのは。
茶色の髪、緑の瞳、青く輝く神器を構えた無表情の彫像のような――――。
「私――――!?」
「やれ、『タンニーン』」
そっくりユースティアの姿をコピーした魔装タンニーンはしかし、『嫉妬』の影響を受けた神器アストライアと違い一切の機能を損なっていない。
そして『嫉妬』によりコピーされたユースティアは、ユースティアよりも強く。ユースティアよりも速く。ユースティアよりも迷いがない。
それでもユースティアは純粋な剣技でなんとか食い下がるが、それすらもすぐさまコピーされ、より優れた速さで、より力強く、より正確に再現される。
相手の『罪』に応じて力を増す神器アストライアを振るうユースティアにとって、コピーというそのものが非情に厄介だった。
コピーには罪がない。上手くこじつければコピー元の罪を押し付けられるかもしれないが、それにはユースティアは公明正大すぎた。
(つ、罪――――えっと、夜中にこっそりプリンを食べたとか―――)
それを押し付けてどうなるものでもないなぁ、なんて考えるあたりまだ思考には余裕があったが。本格的に手詰まりであるのは間違いなくて。
頬を掠めた偽の神器の纏う水の刃の鋭さに苦笑を浮かべ、ユースティアは敗北を覚悟した。逃げるか、あるいは自爆覚悟でレヴィアタンと刺し違えるのを狙うか――――守るべきものがあるユースティアは、僅かに逡巡し。
その間隙を縫うように、突き出された偽ユースティアの剣が突き出され――――飛来した槍斧が、それを撃ち落とした。
「――――ほう?」
「この槍は――――」
「――――悪いな、女神ユースティア殿。ちょっと頼みたいことを思いついた」
「ユーリさん…!? 危険です、すぐに避難を――――」
「水臭いですよ、ユースティアさん!」
ふっ、と謎のキメ顔でドヤるエルピスをユーリはぶん殴りたいなぁ、と思いつつもスルー。空気を読んでレヴィアタンの前まで退いたコピーユースティアを見ながら投げた槍斧を回収して掲げる。
「――――この間ぶりだな、レヴィアタン」
「まさか貴様をここで見るとはな、アスモデウス」
「アスモデウス、って―――――」
困惑したようにユーリを見るユースティアに、ユーリは説得するための言葉を必死に考える。何しろ名ばかりとはいえ魔王だ、女神カーディナルに会いたいなどと言って受け入れてもらえるとは到底思えない。何と言うべきだ、何が正しい――――?
「―――女神カーディナル様に会って、どうやったら世界を救えるか聞くために! ユースティアさんの力を貸してください!」
「ふ、ハハハハハ―――――! 救う、救うと来たか! 簡単な話だ、魔界を滅ぼせばいい―――貴様らの望みが、それ以外にあると言うのか? そして我らの世界を救うには、このエデンを滅ぼすより他に無い! のう、アスモデウス。零落した貴様でもその程度は分かるであろう?」
嘲笑に、ユーリは歯を噛みしめる。
それでもエルピスは怯まずに吼えた。
「いー、だっ! ユーリの考えは私には分からないですけど――――あなたみたいなちっぽけな器で想像できない凄いことを考えてるのは分かります! やーい、私よりあほー!」
ブチッ。
すん、と表情を消したレヴィアタンが、エルピスを指さしてタンニーンに命じる。
「あの無礼者を殺せ」
「――――」
「させるか!」
「させません!」
凄まじい速度で飛び立ったタンニーンを、ユースティアが迎撃。勢いの大半を逸らして、すかさずユーリがエルピスの前に立ちはだかった。
「お前よりアホは言い過ぎだろうが!」
「事実ですもん!」
「き、気を付けて下さい! コピーですが、強さは私以上です!」
「ぐっ! 痛感してるよ!」
肩、左腕――――血飛沫が飛ぶ。凄まじい速さで斬り込んでくる連撃に、ユースティアが助けに入ってくれなければ首が飛んでいただろうと確信させられる。
「ユーリ!?」
「こなくそ――――ッ!」
「ダメ――――っ!」
翼をはためかせ、剣を構えてユースティアのコピー―――タンニーンが突進してくる。このまま行けば、エルピスの胸を剣で貫くだろう――――それだけ理解したユーリは、咄嗟に身体を割り込ませるのが精一杯で――――。
「――――え、あ」
タンニーンの剣が腹部を貫き、自分に掛かった血飛沫が誰のものなのか分からず。呆然と立ち尽くすエルピスの前で、剣が引き抜かれ。ユーリの身体がゆっくりと傾ぐ。
「……ユーリ?」