TSして触手産卵ゲーのマゾメス堕ちロリ女神になった 作:ハリケーン
――――気が付くと、ユーリは薄闇の中で立ち尽くしていた。
腹部を貫いた剣の熱さも、痛みも、血が抜けていく空虚感もない。きれいさっぱりと消えてなくなっているのが、不気味だった。
(――――俺は、死んだ…のか?)
身体は、動かない。いや、僅かには動く。が、まるで全身に重りでも乗せられたかのように不自由さがあって。
呼吸もできない、というかしなくても息苦しさを感じない。
ただ、何もない虚空で――――『それ』を見た。
甕のような、あるいは箱のような。手のひらの上で、飾り気のない、しかし冷たく輝くそれを持つエルピスによく似た、けれどあの天真爛漫さとは似ても似つかない、黒一色で無機質な少女を。
『――――汝、力を求めるか』
……力だと?
あまりにも怪しすぎる誘い文句に、僅かに躊躇する。
だが――――まだ。
まだ何も成し遂げていない。魔王たちを見返すどころか。自分を信じたアホを守りきることさえも、できちゃいないんだ―――。
『それ』を開けてはいけないと告げる本能に逆らうように、無理やりに腕を動かす。
『汝、絶望の標よ――――』
そして、箱は開かれた。
――――――――――――――――――
―――変化は唐突だった。
剣が引き抜かれ、糸が切れた人形のように血だまりに沈んだユーリ。
呆然とそこにエルピスが手を伸ばして触れた瞬間――――黒い炎が、ユーリの身体を包んだ。炎は一瞬で全身に広がり――――そして、ユーリよりも大きく膨らんで、弾ける。
「―――え」
「ク――――ハハハハハ! ――――ああ、いい気分だぜ」
そして中から起き上がったのは、見た目はユーリそっくりながら髪の毛は深紅に染まり。黒い鎧に身を包んで。身長も10cmほど大きくなって青年から大人のような姿になったその男は。虚空から魔装と同じように――――否、彼の魔装であるその剣を引き抜く。
大樹のように枝分かれし、溶岩のように鈍く赤く輝く剣を。
「来い―――我が魔装よ」
「貴様、何者だ」
警戒したように呟くレヴィアタンに呼応するかのうように、タンニーンが男に向かって凄まじい速度で飛来する。が、男はそれを一瞥すると剣を振るい。
剣と剣が触れた瞬間、まるでコピーされた神器アストライアどころかユースティアすらも乾いた藁か何かでできていたかのように黒い炎により一瞬で燃え尽きる。
「な――――ベヒモス!」
「ふん。片腕が無いのは残念だが悪くはない、か」
男は、品定めでもするかのようにレヴィアタンの肢体を睥睨し。
右腕と、斬り落とされた左腕を補うように手甲が装着されるのを見てから剣を振るい。一撃でベヒモスが赤熱する。二撃目でベヒモスが悲鳴のような甲高い金属音を立ててヒビが入り。焦ったように尾びれを使って距離を取るべく後方に跳躍したレヴィアタンは叫んだ。
「ね、妬ましい――――なんだ、その剣は!?」
「フン。貴様のその力、果たして俺の魔装を止められるか? なあ、レヴィアタン」
パチン、と指を鳴らすと魔装『ヘルヴィム』が呼応し――――どこからともなく生えてきた触手がレヴィアタンの四肢に絡みつく。
「き、貴様――――」
「妬む必要はないぞ、レヴィアタン。お前の身体――――俺が使ってやる」
「舐めるなッァアアア!」
「莫迦が」
ジュッ、という生々しい音と共に赤熱した剣が無造作に殴りかかろうとしたレヴィアタンのベヒモスを切り裂き――――両断された身体が熱によって無理やり接着される。
「ぐ、ぎ、ァアアアアアッ!?」
「無様だな、魔王の姿か――――これが?」
「な゛、な゛ぜ……効かな……」
「俺の魔装レーヴァテインは、あらゆるマナによる干渉そのものを焼き払う――――貴様の出したコピーが無効化された時点で気づくべきだったな」
男は、靴で無造作にレヴィアタンの胴を蹴り飛ばして向きを変え。
触手で股を開かせると、そのまま服の中に触手が潜り込んでいく。
「い、嫌だ――――やめ―――――」
「じゃあな、能力頼りの木偶魔王」
そのまま触手の群れに呑み込まれたレヴィアタンを見送り。
油断なく剣を構えるユースティアに向き直る。
「さて。待たせたな、女神」
「………何者ですか、あなたは」
「ど、どうしちゃったんですか、ユーリ! 無事……なんですよね! ユーリ!?」
不安げに駆け寄ってくるエルピスに、男は心底面倒くさそうな態度を隠そうともせず。しっしと手を払った。
「今いいところなんだよ。後にしろ、後に」
「こっちだって大事なところです! ユーリ、ユースティアさんにお願いがあるって言ってたじゃないですか!」
「………」
「………いい目だ」
油断なく、男の一挙手一投足を見張るユースティアに、満足気に嗤った男は、無造作に一歩踏み出し――――。神器アストライアの水と、魔装レーヴァテインの熱が激しい水蒸気を上げて激突する。
「ユーリ!?」
「くっ、なんて馬鹿力――――!」
「迷いのない、いい剣だ――――それでこそ、手に入れる甲斐がある!」
力で劣ると見るや、即座に速度を活かしての攪乱に切り替えたユースティアに対して男は冷静に剣を振るい、一撃ずつ女神の体力を削る方策を取った。
ユースティアは翼を使って巧妙にフェイントを仕掛けるが、男はレーヴァテインに炎を纏わせて薙ぎ払うことで小細工ごと焼き払う構え。
一度、二度、三度、激しい剣戟音が響く中、エルピスは無防備に近づこうとして。
「ユーリ――――きゃぁ!?」
「子守りは専門外なんでな。コイツでアヘってろ」
エルピスもまた触手の群れに呑み込まれて。
険しい表情でそれを見送ったユースティアは、僅かに逡巡するように男とエルピスの間で視線を彷徨わせた。
「危害は加えねぇよ。鬱陶しいからな、少し黙らせただけだ」
「………もう一度聞きます。貴方はユーリさんではありませんね。何者ですか」
「正確に言えば俺もユーリだ、と言いたいところだが――――いいだろう。お前の気概と力に応えて教えてやる。俺の名はスルト」
レーヴァテインの熱を感じていないかのように、無造作に肩に担ぐように構えた男―――スルトに、ユースティアはちょっと困ったように眉を下げた。
「……名前だけですか?」
「生憎と、今さっき出てこれたばかりなもんでな。お前が俺のモノになれば、もっと色々と教えてやれるが?」
「遠慮します」
「へっ、ツレないね」
二度、三度―――剣を交わす度に相手が強くなるような感覚と、伝わってくる凄まじい熱気に、ユースティアは荒い息を吐きながらなんとか距離を取ろうと羽ばたく。が、背後から凄まじい熱を噴射したスルトが凄まじい勢いで突っ込んでくるのを見ると咄嗟に剣に水を渦のように纏わせてからレーヴァテインを弾く。
「はっ――――はぁっ――――くっ」
「これで――――」
加熱された水蒸気のあまりの熱に、大量の汗を流しつつもなんとか食い下がるユースティアだったが。遂にレーヴァテインに剣を絡めとられて。
あわやというところで苦し気に胸を押さえたスルトに、油断なく距離を取ると大きく息を吐いた。
「ぐっ――――チッ、時間切れか――――」
そのままスルトの身体は黒い炎に包まれて―――――それが収まると、無傷のユーリが倒れていた。それと同時に、すっぽんぽんのエルピスが完全に出来上がった状態ですぐそばに放り出され。一拍遅れてその上にひらひらとエルピスの着ていた服が落ちてくる。
「ふにゃぁっ!?」
「ええっと……この場合、どうすれば?」
ひとまずユーリの腹部の傷がきれいさっぱり消えていることを確認して。
「んひぃ……らめ、見られながらでちゃうのぉ…っ!」
「―――くっ、恨みますよスルト…!」
卵をヒリだしながら盛大に色々撒き散らしたエルピスをどう救助するべきか、右往左往した。
良かった……遂にランキング上位からTS触手産卵マゾメスロリ女神とかいうイカれた小説がいなくなった……ハーメルン読者の懐深すぎ問題
書き溜めどころかプロットも何もない状態で我ながらよく頑張ったと思います。最高記録は日間6位でした。皆様の感想・評価等のお陰です。ありがとうございました!
諸般の事情につきちょっと遅れるかもですが更新するつもりはありますのでご安心を