和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第12話:任務見学

「よぉ来たか…………えっと、確か史郎と真冬のガキ」

 

 自分で招いたのになんかあんまり興味なさそうなのはどうなんだろうと……そんな事を思ってしまう。

 宵闇家の屋敷、その中心にある宵闇源弥さんの部屋。

 そんな場所に雫とやってきた俺は、緊張しつつも対面してなんとか言葉を返すことにする。

 

「源弥様、こんばんはです」

「おいおい畏まんなよ、お前は一応客人だぜ?」

「流石に立場が……」

「そういうもんか? というか、史郎のガキのくせに礼儀正しくて笑えてくるな」

 

 前も叔母である彩乃さんの反応でも思ったが幼少期の父さんってどんな人だったんだろう。原作の「あやかしがたり」では、俺の父親ってことしかわからず、その存在も軽く語られるくらいだったから。

 

「父さんの昔ってどんなのだったんですか?」

「……気になるか? それならやんちゃで元気いっぱいな無遠慮突撃男だな」

「……本当に?」

「そうだな俺は一応幼馴染みではあるが、あれひっでぇぞ」

「そう、なんですね」

 

 それは意外だ。今は仕事第一だけど優しくて俺の事を大事にしてくれてる彼なんだが、そんな過去があったのか。

 嬉しそうに懐かしみそう語る彼の真意は分からない、けどきっと仲はいいんだろうとは自然と思うことができた。

 

「というか本題はいらないとまずいわ。というわけで雫に……確か蓮。お前ら俺の部下についてって妖怪退治に行ってこい」

「それは急ね、というか勝手に蓮を連れてってもいいの?」

「まぁ史郎には何か言われるだろうが、少なくとも実戦は経験した方がいいだろ?」

 

 そう言われて、少し悩む。

 現状俺の戦闘経験は両親と雫だけ、実戦など経験したことないし命を奪う覚悟はできてない。だけど、それはいつか経験しないといけないことで、この先も生きる以上考えなければいけないことだった。

 

「まぁ安心しろ、今回のは最近反応があった下級の妖怪だ。同行する奴らもベテランだしな、危険はないはずだ。それに雫は何度か経験してるだろ?」

「それはそうだけど、蓮はどうしたいの?」

「行きます、いつかは受けるのは分かってるので」

「決まりだな? 丑三つ時に反応が高まる奴だから、車乗ってくれ時間がねぇ」

 

 そして俺達は源弥さんの部下らしき二人組に連れられて、屋敷があった東京の一角から、街から離れた山の方にやってきた。

 時間にして三時間ほどが経ち、現在時刻は一時半ぐらい。

 その妖怪の反応が高まるという丑三つ時まで残り三十分、部下の人たちと交流した方がいいかなとか悩んでいると、その二人が周囲に結界を張り巡らせて、ここら一帯を封鎖した。

 

「雫様に蓮様挨拶が遅れました狐崎天治(こざきてんじ)っす。源弥様の部下の四級陰陽師っすね」

「同じく四級陰陽師の狗神仁(いぬがみじん)だ。短い間だがよろしく頼む」

 

 そうして挨拶してくれるのは、茶髪という狐の毛のような髪色をした青年と、ぶっきらぼうな黒髪の青年。歳は10代後半ぐらいだろうか? 

 確か四級というのは陰陽師の七段階ある階級の一つのはず。六級から一級まで一般階級としてあり、その上に規格外とされる特異と呼ばれる色などに因んだ二つ名がつけられるとかだった気がする。

 

「よろしくお願いします、水蝕蓮です。今回は任務に同行させていただきありがとうございます」

「そんなに畏まらないでくださいっす。元々俺らが担当していた任務にちょうどいいからって源弥様がお二方をぶち込んだ感じなんで」

「俺は反対したぞ、俺らの仕事は子供のおもりじゃないからな」

 

 俺の事をそうして睨む仁さん。

 確かに危険な任務に急に子供が同行するとなったら邪魔だと思うし、言い分は尤もだけど少し怖い人なのかなとか思っていると。

 

「そもそもだ。いくら天才と呼ばれる雫様と蓮とやらでも、任務は常に危険なんだ。俺らが守る余裕はないだろう……あの親馬鹿当主め」

「ははは相変わらずっすねー仁君、最初の言葉だけ本当に終わってるっすよー」

「えっと?」

「蓮様気にしなくていいっすよ、仁君は子供大好きな心配性なだけなんで!」

 

 そうなんだ。

 口には出さないが、この人は悪い人じゃないっぽい。

 言葉選びが天治さん曰くで終わってるということだろうが、ちょっとおもしろい人な気がするとそんな事を思えてしまった。

 

「じゃあそろそろ丑三つ時、つまりは二時なんで早くいくっすよ! 被害が出てからじゃ遅いっすからね」

「二人は離れるな、邪魔になる」

「……なぁ雫」

「なぁに蓮?」

「なんか――面白メンツだな」

「愉快よね」

 

 そうして山の奥に天治さんを先頭に進みながらも軽く耳打ちした俺にそんな言葉が返ってきた。この先には何が待ち受けてるかわからないが、心してかかろうと俺はそう決めて、軽く深呼吸しながら夜の闇に潜っていった。

 

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