和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第13話:妖魔接敵

  山の奥へと進んでいきしばらくした時のことだった。

 急に前を進む二人が立ち止まり、俺達に静止するように伝えてくる。

 

「ッ見るな二人とも」

「……雫様、蓮様ちょっとまずいかもっすね」

 

 そう言われて何があるかを察してしまう。

 森のにおいに混ぜっているのか鉄のような微かな臭い。

 それは、前世でも今世でも嗅ぎなれていないもので、おそらく……暗い中でちらりとそれが目に入る。それは、暗闇の中ですら目立つ赤黒い水たまりだった。

 

「……これって」

「えぇそうっすね――仁君は二人の護衛任せてもいいっすか?」

「お前はどうする気だ?」

「殲滅力と火力に関しては俺のが上っすからね、前衛張るっす」

 

 そう言った天治さんは、札を構えて少し大きめの狐を三匹ほど喚び出してあたりに放った。索敵用の式神だろうけど、一匹一匹がかなりの霊力を持ってて天治さんの実力が高いことがわかる。

 

「とりあえず、索敵するのでついてきてくださいっす」

 

 索敵……多分狐の式神が妖怪を感知しながら進み、俺も拙いながらも父さんに教えてもらった妖力感知を試みて、その瞬間に感じるのは――遠くからの鋭い気配。

 

「ッ雫防御!」

「――わかってるわ」

 

 雫の影から闇が伸び、防がれるのは黒い槍。

 防いだ瞬間に(ほど)けるそれは、まるで糸のように(ほつ)れていき地面に溶ける。攻撃されたことを理解して、俺も暗月を創り出す。

 

「――次くるっす!」

 

 溢れるのは多くの気配。

 まだ感知に慣れてないからわからないが、小さい何かがこちらに向かっている。それを理解して焦ったのも束の間、巨大な気配まで近づいてきた。

 そして森の奥から現れたのは、黒い体躯の巨大な蜘蛛の化け物。

 十メートルは超える大きさのそいつは、槍のような足を持っており、口から血を滴らせている。

 

「ッ――大蜘蛛!? 中位の妖怪っすよ!?」

「あの源弥が間違えるわけがない、成長したか今まで隠れていたかだな」

「冷静な分析感謝っすね――すいませんお二方、加勢してくれると助かるっす!」

 

 もちろんそのつもりだが、初めての実戦でこんな巨大な奴相手して勝てるかわからない。しかも感知反応的にこいつだけじゃないだろうし、周囲から迫る気配は二桁を超えている。

 

「真神、黒面……やるわよ」

 

 戦闘開始――と、本来ならそうなるはずだった。

 だけど俺はその瞬間に感知範囲に妖力ではなく人の気配を感じてしまった。その周囲には多分だが妖怪の群れの気配、いるかもしれない生存者の気配に俺は刀を構えて。

 

「生存者見つけました!」

「ッ仁君どうします?」

「助けたいが……大蜘蛛優先だ」

「ならっ――俺が行きます!」

 

 天治さんと仁さんのベテラン二人とこの時点で強い雫ならばきっと大蜘蛛と戦える。だからこの中で一番経験がないが少しは戦える俺の方が救出に向いている筈だ。

 それを伝えれば、少し悩まれた末に……仁さんがはっきりとした言葉で。

 

「任せるが絶対に無茶をするな、危険だと思ったらすぐに引き返せ」

「はい!」

 

 そうして許可を得た俺は、すぐに森の中に飛び込んで迫る小蜘蛛を切り裂きながら感知できた人を助けるために戦い始めた。

 数が多く、俺めがけて迫る小蜘蛛の群れ。

 一匹一匹の硬さがばらばらで、同じ力では倒せないという厄介さ。

 感知でわかる妖力の強弱で硬さが大体察せるが、それを瞬時に見極める実力なんてまだないので、かなり霊力を持ってかれる。

 進む中で、大人の死体を見つけたこともあり……不安だけが募る。

 俺一人で助けられるかわからないけどそれでも助けないといけないから、俺は前に進みなんとか突破して、森の奥の洞窟のような場所にやってきた。

 

「……奥、だよな」

 

 ずっと感知を続けて疲れてくるが、そんな弱音を吐いているわけにはいかない。

 だから少し自分を鼓舞しながら、そのまま洞窟の中に入れば……そこには怯える同い年ぐらいの少女の姿が一つ。桜色の髪の肩ほどまでに髪を伸ばした普通の少女。

 安堵しつつも近づいて、周囲を警戒しつつ声をかける。

 

「よかった――生きてた。君、大丈夫!」

「……えへへ、まさか本当に釣れるなんて大蜘蛛もいい仕事するね!」

 

 一瞬、その言葉が理解ができなかった。でもまずいと思ってだ防御する前に、俺の腹が黒い槍に貫かれる。

 そして――膝をつく俺を見下ろすのは、さっき助けようとした少女で。

 

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