和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか? 作:鬼怒藍落
「というわけでお前が助けたガキと会ってくれないか?」
「……会わなきゃダメです?」
個人的にというかそう頼まれても少し複雑な理由があった。
それは、助けるためとはいえあの子に刃を向けたから。仕方がなかったとはいえ、一歩間違えれば殺してたかもしれない塩梅。
助けたと言えば聞こえはいいが、それは全部空の手柄であるから俺が頑張ったとは言えないような気もするし。
「あってくれると助かるというか、会ってくれなきゃ不味いというかだな」
「……なにゆえ?」
「本人の希望……だな、一応?」
それは断りにくいけど、会って何になるんだろうか。
一般人の子だろうし、感謝を伝えるだけでもこんな態度の源弥さんを見るに何か変というか。それに、言葉の節々から会ってほしそうな感が漂ってるし。
恩があるし、さっき自分のせいだと彼は言ったがそれでもこっちからすれば直してくれた方の礼もしたい。だから、ちょっと不思議だったけど俺はその少女と会うことにした。
「それならいいですよ?」
「助かる……いや、ほんとマジで」
「……?」
その態度に違和感を覚えながらも彼に案内されてこの屋敷の客室に俺は通された。そして連れてくると言われて待っていれば、襖の戸が開いて白い着物に着飾った桜色に染まった髪の少女が姿を現した。
あの夜の少女そのままの姿、だけど気配も人間であり……妖怪に取りつかれている中でみた歪んだ笑みなんて浮かべおらず、とても穏やかに微笑むそんな少女。
「目を覚ましたのですね」
「あ、はい。君も無事でよかったです?」
「やはり貴方は心配してくれるのですね。えぇそれはもう、あなたのおかげで私は救われました」
丁寧な態度。
今までかかわってこなかったタイプのその少女に、微妙という言葉であってるかわからない少しの違和感。あれ、この子見覚えるある気がするという原作ファンの本能が悲鳴を上げるというか。
「えっと、どうして俺と会おうと?」
「それは貴方が私を助けてくれたからです」
「でも、俺は……あの妖怪を祓えなかったですよ」
空に助けられた俺は、自分の力であいつを倒したなんて言えない。
だからそれを言われても、伝わらないかもしれないが否定しなきゃいけないのだ。だって、肝心な部分を空に押し付けたと変わらないから。
「いいえ、私は貴方に救われました。どこまでも助けようとしてくれたあの夜の貴方に。傷つけない用に救うためにと、ずっと必死な顔で足掻く貴方に救われたんです」
そこまで言われて否定が出来なくなった。
だってここで否定してしまえば、こんなに言葉をくれた彼女に悪いから。
互いに向か合うように座り、俺は気まずくて顔を逸らしてしまう。ここまでまっすぐな言葉を貰うことが稀でもあるけど、ずっと綺麗な所作の彼女が慣れなくて。
まぁ、綺麗な所作と言えば雫もそうなんだけど。
あれは別種というか、宵闇雫という存在だからでもう慣れたから。
「逸らさないでください」
「え、何を?」
「顔を、です。貴方に贈る言葉はこれでは足りない、改めて多大なる感謝をささげさせてください」
重いよぉ……なんか重いよぉ。
というか同い年だよな? 今までかかわってきたのが、雫とかいう例外のせいで感覚が麻痺してるが、子供にしては成熟しすぎてるというか。
「……そのだ、ここには俺もいるからほどほどにしてくれると頼む」
「そうですね、すみません宵闇様。彼には、私のことは伝えたのですか?」
「自分で伝えたほうがいいと思ったからまだだな。伝えたほうがよかったか?」
「お気遣いに感謝します。今後のためにも私から告げる気でしたので」
……えっと私の事?
なんか大層な背景でもあるのだろうか? いや、ない。というかない方がいい。今さらながらに頭に過る原作ゼミ。そこの記憶に引っかかる同じ髪色の女性の事を口調と態度で思い出してきたんだ。でも、違う。それはあっちゃだめだろう。
だって、その場合この子敵対組織の幹部だから!
「では、自己紹介……ですよね? 私は、
その時の俺は、きっと白目をむいていただろう。
だって、あれだぜ? 名前も一致髪型も一緒。というか、もたらされた情報があまりにも原作通りのことで、俺の心が死んだから。
なにこれ、なんで? なんで前半の章ボスのこの子がここにいるの? というか、その場合あの妖怪凄くね? え、何助けてるの俺? 後悔はないよ、でも――はぁ?