和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第23話:みんなで食事

早いもので宵闇家にやってきて二週間。

 色々……本当に、色々あったが今日も俺は平和に……。

 

「ねぇ、イザナ。今日は私が隣って話だったわよね?」

「はて、そうでしたでしょうか? そもそも私達は居候でありほぼ従者のような立場ですよね? なぜ雫様が一緒にいるのでしょうか?」

 

 ……平和、に?

 

「今日はみんなで食事という話でしょう? そして命令よ、そこ退きなさい」

「私の主はこの人ですので命令などは遠慮したいです」

「喧嘩なら買うわよ?」

「まさかあの雫様と喧嘩が成立するなんて……これは驚きましたね」

 

 平和……にぃ。

 ……ねぇ平和かなぁ! これぇ!?

 昼飯時の事、今日も鍛錬を済ませてみんなでご飯となった時間。俺の正面にいる雫がそう切り出して圧を放つ。それを素知らぬ顔で受け流しつつも、イザナはそう言って……なんか春のぽかぽかとを制する勢いで部屋が冷えてた。

 

(おい、史郎のガキ……お前止めろよ)

(……黙秘権ってありますか? 俺死にたくないです)

 

 珍しく一緒に食事を共にしてくれている源弥さんから念話が飛んでくる。

 彼が作った画期的な発明である念符という新しい術符。こないだ貰ったそれをこんな場面で活用されるとか思ってなかったけど、親として諦めてるのはどうかと思う。

 

(どう考えてもお前が原因だ、止めろ。寒い)

(いーやーでーす。親として雫が歪んでるのを正すべきだと思いますー)

(ならせめてイザナ嬢を止めろよ)

(はっ)

(鼻で笑いやがったなオマエ)

 

 絶対零度の部屋の中、俺たちはそんな事を念話で言い合いつつも食事を取る。ニコニコとした笑顔で俺の隣を陣取るイザナはとても嬉しそうに俺が作った料理を食べ、対する雫は不機嫌そう。

 

「……お前等せめて食事中は仲良くしないか?」

「お父様は黙ってて?」

「……すまん」

 

 負けてて草ぁ……いや、気持ちは分かるから全然笑えないけど。

 これ、俺が仲裁しないとダメ……だよなぁ。せっかく今日は頑張ってご飯作ったからできれば楽しく食べて欲しいんだけど。

 

「なぁ二人とも。その今日は、二人のために作ったからさ。できれば、仲良くしてほしいなぁって」

 

 二人に世話になってる礼として、料理長に教えてもらい今日は頑張ったのだ。二人が喧嘩している理由は俺だってわかってるけど、せめて今日はという感じでダメもとで頼んでみる。

 

「蓮が作ったの?」

「あぁそうだけど、不味かったか?」

「貴方様は昨日、徹夜してましたよね。部屋に行くタイミングそれでずれましたし」

「結局毎日来てるよな、イザナは」

「……一時休戦よ、食べましょう?」

「そうですね、ここは引きます」

 

 そのまま、味の感想となり二人して俺の料理を褒め合い始めた。

 そんな場面を見して源弥さんと俺は二人してぽかんという表情を浮かべ、まぁ解決したならいっかぁと何も考えないことにした。

 

「あ、そういえばなんだが雫。茜がお前と会いたいらしい」

「お母様が?」

「あぁ、なんでも蓮を連れてこいとのことだ」

「え、俺ですか?」

 

 雑談の流れでそういう話が振られ流れ弾でそんな爆弾が投げられた。

 食べている最中だったからめっちゃ驚いてしまい、箸を落としそうになってしまったが、なんとか耐えて考える……が心当たりが一切なかった。

 この世界に転生して、ずっとはっきりと覚えている原作知識。

 だけど自分のことは靄がかかったような感覚で、あまり思い出せてないこの状況。今のところこの【あやかしがたり】の原作知識が俺の唯一の道標。それを使ってもなんで俺に興味を持つのかが……そもそもなんでこっちの状況をという疑問も。

 一応ほんの少しの心当たりとして、雫が俺に興味を持ってるからというのはあるが……その場合、まじで行きたくないなぁ。

 

「遠慮――」

「いいわね、私も紹介したいと思っていたし丁度いいじゃないかしら?」

 

 したい……と続ける前に、持っている扇子で俺の言葉がさえぎられる。

 そして、彼女はすごい乗り気でそう言い切って、なにやらどう紹介しようかと独り言を漏らし始めた。

 

「断っちゃダメ、だよなぁ」

「もちろん、これだけは断ったら泣くわ。それに少し面倒くさくなるわよ。それにあの時心配かけた借りを返してほしいの」

「わかったよ、だけど今回だけな。なんか怖いし」

「いい人よ、私によく似て」

「……すっごい遠慮したくなったかも」

 

 確かに似てる……似てるなぁ。

 原作の源弥さんなんて完全に尻に敷かれていたし、結構コミカルに描かれていたけど、その重さは雫クラス。そういや、同情したなぁという懐かしさを覚えつつも、俺は彼女の母親が暮らしている宮崎の高千穂に向かうことになったのだった。

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