和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第38話:曇天好して朝日は昇らん

 空から俺は落ちていく。

 最後の一撃を放ち、金平鹿を祓った俺は……その代償に霊力が空になり、術の維持が出来ずに上空から落下していた。

 あぁするしかなかったから、後悔はないけれど。

 

「……これ、死ぬかも」

 

 純粋にこのままいけば落下死コース。

 海に落ちても溺れて死ぬし、あいの城にぼとんなんてしたら多分柘榴がつぶれたようになる。ミスったかなぁとか思いつつ、もう何も動かせない体を重力に任せる。

 

「って死んでないんだけど」

 

 しばらく目をつぶっていたら、何かに掴まれていることに気が付いた。

 あまりにも間抜けな言葉が口から出て来てしまい、目をぱちくりさせながらも見渡せば、俺にいつの間にか誰かに抱きかかえられていた。

 

「えっと、雫さん?」

「えぇ、貴方の雫よ……何を呆気に取られているの?」

「いや死んだかなって思ってさ」

「そんなの認めるわけないでしょう? イザナに手伝ってもらって抱えたわ」

「私が掴んだのですから、そろそろ替わっていただけると……」

「恥ずかしくなって替わってって言ったの誰かしら?」

「くっ私の耐性が憎い……でも顔が近かったのが悪いと思うんです」

 

 そんな漫才じみたやり取りを見ながらも、俺はなんて言っていいか分からずに一度放してもらって。

 

「その、怪我は?」

「ないわよ、私丁寧に捕まってたもの」

「元気か?」

「ふふ、元気よ。誰かさんが助けてくれたもの」

 

 どうしようやりづらい。

 俺の決意もあるけど、なんか真っ当に彼女の顔を見れる気がしない。だって、ここまで命を使って勝つために頑張ったのは、こいつのためで。

 

「顔真っかよ、どうしたの?」

「なんでも、ない……ぞ?」

「この反応……替わってください雫!」

「って急に何よ」

 

 雫の前に割って入るようにして目の前に現れるイザナ。

 妖怪の力を借りている影響か、桜色の髪は長くなりそれこそ原作で見た姿を幼くしたような感じに。そういえば、俺はここに来る前に彼女にもいろいろ言ったけど。

 ……なんかすっごく恥ずかしい事を言ってた気がしてきた。

 

「ちょっごめん、二人とも俺を見ないでくれ」

「嫌です見ます。ねぇ貴方様、照れてませんか?」

「ないですー! 全部終わって死ぬかと思って、恥ずかしくなったとかない!」

「全部言ってるよ、蓮。そのね、強くなったね」

「俺としては強くなりすぎでびっくりなんだが、源弥とどんだけ鍛えたんだよ」

 

 両親にトドメを刺されながら、余計に恥ずかしくなった俺はそっぽを向いて座る。だけどじわじわと勝利の余韻がやって来て。

 

「――勝ったんだな」

 

 そう呟けて、俺は未来を変えてしまったという実感を覚えて。

 一気に肩の荷が抜けたというか、達成感というか……自分でも分からない言い表せない感情に襲われたけど。

 

「勝ったんだ――はぁ、はは。勝った勝ったぞ!」

 

 そう叫んでしまい、その瞬間にその場に倒れた。

 一人達成感に満たされて空を見上げれば急に二人の女子に押しつぶされた。

 ダメージはなかったものの、ゲーム風にいうなら体力がミリしかないのでまじで危ない――っというかちょっと重い。

 

「二人とも、重いって」

「私は重くない……」

「……私もです」

「いや冷静に、二人は重いぞ?」

 

 流石にね女子二人に乗られたら重いと思うのです

 デリカシーとか知らない、だって疲れてるのに乗られたから。

 

「いいか蓮、女子にそれは禁句だぞ」

「……そうだけど史郎だけはそれ言っちゃだめだと思うよ」

「なんでだよ?」

「五行家初代ノンデリ王」

 

 ぼそっと母さんから呟かれた内容に、本当に何したんだよ父さんと思ったが、もう俺にはツッコむ気力なんて残ってなくて。それどころか急激な眠気に襲われて。

 

「ごめん、ちょっと寝るわ」

 

 心配かけるかもしれないけど、もう限界だし霊力がない状態でよく持った方。だからそれだけ謝ってそのまま俺は、意識を手放した。

 

――

――――

――――――

 

 一言謝ったあとで、すやすやと眠りだす大切な人。

 こっちの気も知らないで、もっと感謝を伝える前に寝てしまったこの人の頬を私はつつく。あぁ、本当に来てくれた。私を助けるために来てくれて、あの鬼を祓って。

 

「どうお礼をしましょうか?」

 

 これからの未来どんなことがあるだろう。

 まだ子供の私だけど、彼と一緒過ごす日は本当に大切で綺麗で……今まで生きていたのがウソみたいに楽しい。

 この恩は返さなきゃいけないだろう、いやそういう使命感ではない。

 私が彼のために何かしたくて、私自身が動きたいと思えるから。

 

「大好きよ、蓮」

 

 ……眠る彼には届かないけれど、そうやって言葉を伝えよう。

 だって私は、彼に恋をしているのだから。

 

 

 





 次回、一章エピローグでーす。
 昼頃出すよ!
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