和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第4話:目が覚めて

目が覚めて感じたのは倦怠感。

 あの世界にいたせいか、はたまた別の要因かはわからないが……異常なまでの疲れとかを感じてしまう。

 

「……夜じゃん」

 

 自分が住んでるバカでかい和風の家。

 その自室で目が覚めたのはいいが……今の時間はどういうわけか夜だった。 

 記憶が確かなら俺があの世界に行ったのはド早朝。どのぐらい経ったかもわからないけど、めっちゃ硬い体的にすごい寝てた気がする。

 

「って、母さん?」

 

 心配かけたかもしれないと思って、立ち上がる前に周りを見れば……俺の近くの椅子に座り、すーすーと寝息を立てる白髪の女性がいる。

 その人の名を水蝕真冬(みずばみまふゆ)

 俺の今世での母親であり、この世界では珍しい氷の属性持つ女性だ。

 

「起きたの?」

「あ、うん……起きた、けど」

 

 歯切れが悪く、そう答える。

 多分俺がこうなってるのは、下手に術の練習をしたからだし……転生したばっかりで何かが刺激されたことが原因だろう。

 何が悪かったかの原因を見つけることはできないけど、どう考えても俺が悪いので、罪悪感しかない。

 

「――ッよかった。本当に、目を覚ましてくれて」

 

 だというのに、この人は……母さんは。

 珍しく表情を崩して、心の底からよかったとそういって――俺を抱きしめて、涙を流し、そんな姿を初めて見る俺は。

 

「え、ちょっ――母さん!? なんで、泣いて!?」

 

 口調を取り繕うのも忘れて、あまりの混乱から驚いてしまった。

 鍛えてるから力が強いし、加減を忘れて抱きしめられるせいか、俺の体がぎしぎしと……でも、それを気にするよりも母親が泣いたという事実に追いつけなくて。

 

「助けて父さん! 母さんが、母さんが!」

 

 柄にもなく大声を上げて、初めて本気で父さんを呼んだ。

 だって意味わからないし、こんな姿を見てたくないしで全力で父を呼ぶ。

 そのあと聞こえるのはどったんばったんと屋敷を駆け回る誰かの音、え……なに? と思うよりも早く俺の部屋の戸が開き、慌てた様子の黒髪の男性が入ってくる。

 

「起きたんだな!」

 

 そしてそれだけには留まらず、体の起こりも分からないくらいの速さで俺に抱き着く父親。ぐぇっと間抜けな声をこぼしながらも、なすがままに二人に抱き着かれた。

 

「いたい、ちょギブ……死ぬ、親に殺され――る」

 

 ……ゆーだい。

 そんな言葉が頭に響き、二人が正気に戻るまで俺が解放されることはなかった。

 

「落ち着いた、二人とも?」

「すまん」

「ごめん……ね?」

 

 その後の構図としては、体のあちこちを痛めた俺と向かい合う両親というものに。

 心配かけたのは分かるし、二人の性格的にずっと看病してくれたんだろうけど……それはそうとして、大人二人に全力で抱きしめられると子供の体が終わる。

 

「それにしても、本当によかった」

「……それは、ごめんなさい」

「謝る必要はないが、何があったんだ? 急に異常な霊力を感じたかと思ったら、オマエが訓練場の中で凍ってたんだぞ」

 

 それどういう状況だろうと思って聞いてみれば、俺が修行していた訓練場が完全に凍結し、そのうえで中心にいた俺は氷像一歩手前になってたらしい。

 

「えっこわい、よく生きてたね俺」

「達観してるが、こっちは生きた心地しなかったんだからな二日も目覚めないし」

「原因はなんとなくわかるけど、本当に目が覚めてよかった」

 

 その原因とやらは聞いたほうがいいだろうが、心配かけたみたいだしマジで罪悪感がすごい。でもよかった、聞く限り一歩間違えれば死んでただろうから。

 

「とにかく、無事でよかった。原因は眠ってた属性が起きたからだろう。とりあえずだ、しばらく術の練習は禁止だ。またあぁなってほしくない」

「……わかった」

「そう暗くなるな、代わりと言っちゃなんだが……もうちょっと元気になったらだけど、行きたいって言ってた陰陽師の集まりに連れてくぞ」

 

 それは遠慮したいけど、多分善意だから断りにくい。

 五年間の記憶もあるし、行きたい理由も覚えているけど、思い出してしまった現状的に、下手に誰かとかかわるのは怖いからだ。

 

「じゃあ、話は終わりだ。今日は一緒に寝るぞ!」

「……えぇ」

「家族団らんだ……普段一緒に過ごせないし、たまにはみんなでな」

「布団一つ持ってくるね、大きいやつ」

 

 急に言われたそんなこと、母さんが出て行って隣の部屋から持ってきたアホ大きい布団を見て、混乱するのも束の間……起きたばっかりなのに、残る疲れかすぐ眠気が。

 

「こうして寝るのは一年ぶりだな」

「普段帰れないからね、お休みだよみんな」

 

 そうやって、優しい二人を見て……思ってしまうのは、この光景が続かないということ。こうやって、一緒にいてくれる二人が死ぬということで。

 ……不相応に俺は、何かしないととおもってしまって。

 そんな傲慢で、愚かなことだけを考えて……意識を落としてしまった。

 

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