和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?   作:鬼怒藍落

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第7話:原作キャラ達

色々お腹いっぱいな中で宴が始まった。

 豪華な料理に数えきれない量の飲み物、酒やジュースやほかにもいろいろある中で、俺はというと肩身が狭いというか混乱状態。

 こんな状態で他者と交流しろと言われても困るし、人見知りというわけではないけれどそういう雰囲気じゃないというか。

 

 ずっと父さんはほかの大人たちと話しながらも神妙な顔をしているし、そっちに助け舟は期待できない。ずっとちらちらと子供たちに見られているのも気まずいし、本当に何をすれば……。

 

「……あの、蓮君だよね」

 

 そんな時だった声をかけてくれたのは、俺と似ている一人の子供。

 同じ瞳の色をした少年であり、雰囲気は穏やかだがかなり似ているという感じ……おどおどとしつつもしっかりと目を合わせてくれるその子は、意を決したかのようにして口を開いた。

 

「ぼ、僕は水蝕凪沙(みずばみなぎさ)っていうんだ。君のいとこで同い年」

 

 その名に心当たりはあった。

 当たり前だがここにいるのは原作キャラだらけ、もちろん知っているというか五行家の水の血筋の本家筋。彩乃のさんの子供だろうし、原作の高校生ぐらいの面影も感じるので、本人だろう。

 

「えっと、水蝕蓮だ。初めまして……だよな?」

「う、うん。ずっといとこがいるって言われてたんだけど会えてよかった。会いたかったんだ」

 

 目を輝かせて話せたことに喜びつつも、笑顔を浮かべる凪沙君。

 あの原作で寡黙だった青年のこんな姿を見るなんて思ってなかったので、ちょっと意外というか不思議な感じ。

 百人は入れそうな大広間の中で、やっと誰かと話せたことが嬉しいが、他の子供からの視線もたくさん感じるし……自分から話しかけに行った方がいいのだろうか?

 

「なぁ凪沙、俺初めてくるからなんだけど、みんなのこと教えてくれないか?」

 

 せっかくだし話題を広げようと、俺は彼にそう聞いた。

 一応知識では彼らのことは知っているが、実際に聞かないとわからないことが多いだろうし、ちょうどいいと思ったからだ。 

 

「う、うんいいよ! えっとね、火の子が芥火焔矢(あくたびえんや)ちゃんで、木の子が木霊杏香(こだまきょうか)ちゃん」

 

 火と木の順番で紹介されそちらを見てみれば、芥火家の子と目が合った。

 少し赤みがかった短めの黒髪に、赤い瞳、つり目気味の彼女は一見するだけで気が強そうだ。見ていると少し睨まれた後で顔をそらされる。

 いつまでも見ているわけにはいかないので、視線を変えれば木霊家の子は目が合いその瞬間に驚いたのか身をすくませて親の後ろに隠れてしまう。

 桜色の髪をした長い髪の少女、紫黒色の着物に身を包んでいる彼女は、他者の視線になれないのかおどおどしていて親の後ろから出てこない。

 

「あとは金剛文香(こんごうふみか)ちゃんかな? これで女の子は全員で男の子だと僕と土御門(しょう)君がいる感じだよ」

 

 礼儀正しく正座して、周りの大人たちの会話を聞いてそうな子が多分金剛の家の子だろう。記憶通りというか、イメージ通りの侍少女という感じの子で、目が合うと軽く礼をしてくれた。あとは最後に挙げられた(しょう)という子供だけど。

 

「初めまして、水蝕の。ボクは土御門(しょう)だ。長い付き合いなるだろうからよろしくするよ」

 

 目が合った瞬間にこっちにトテトテと歩いてきてそうやって伝えてくる。

 一見すると茶髪の少年なのだが、その実態は男装女子、家のしきたりゆえか男子を演じている事を知っているから、どう接すればいいか一番迷う。

 それを知っている、もしくは知ってしまったということになれば原作のようなイベントに遭遇するから秘密は隠さないといけない。

 

「あぁ、よろしく?」

「歯切れが悪いなぁ、せっかくボクが話しかけてるんだから喜ぶといいよ」

「晶君、初めて会うのにそれは難しいと思うよ?」

「いいや、五行の二位である土御門家のボクが話しかけてるんだ、最低限五行家であるなら喜ぶべきだと思うんだよね」

 

 こういう性格なのは知っているから驚きはない。

 むしろ根が優しいことを知っているから、微笑ましいというか可愛いなぁと。

 

「む、なんだいその温かい視線は?」

「面白いなぁって」

「ふふ、そうだろう! え、面白い?」

「いや……ごめん間違えた」

 

 でもやっぱり面白いわ。

 そう思いつつも、俺の足りない知識を補うためにも彼らに陰陽師のことを聞いていると、原作でメインヒロインをしていた彼女の姿がないことに気づいた。

 さっきまでというか命式の時まではいたのに、なんでだろうと思ったのも束の間。

 そしてふと、鈴の音が聞こえた。

 正確には違うが、鈴のような綺麗な歌声。

 心に響くような優しい声音のその歌は、何故だかわからないけど俺にだけ聞こえてるみたいだ。二人の反応的にというのもそうなんだが、他の子達の様子を見ても気にしてないようで。

 

「……ちょっとトイレ行ってくる?」

「場所分かるのかい?」

「あー……どこ?」

「外だよ、わかりやすいから行ってくるといい」

 

 教えてくれたのと歌声が聞こえるのが外だったことから、俺はちょうどよかったので一度この場所から抜け出した。

 そして耳に届く歌声を頼りに向かってみれば、そこにいたのは。

 

「……すげぇ綺麗」

 

 月明りに照らされて、歌を奏でる一人の少女。淡く儚いような長い黒髪をしたこの世界のメインヒロイン。

 宵闇雫という少女で……俺の死因となる存在だった。

 

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