目覚めたらフラウ・ボゥだった件~知識ゼロだけど破壊されるはずだったガンダムに乗せられて一部の皆さんにしごかれる~ 作:T9816
第4話:紅い衝撃と、書き換えられる本能
宇宙(そら)に出た瞬間、俺の視界を焼き切らんばかりに「赤」が跳ねた。
マニュアルで見た情報の比じゃない。3倍の速さなんて、物理法則を無視してるとしか思えない。
「あ、あへ……速すぎて、目が……追いつかない……っ!」
回避機動のたびに、シートベルトが華奢な胸の膨らみに食い込み、身体がバラバラになりそうな衝撃が走る。
(くそっ、この身体……内臓まで浮き上がるようなGに耐えられねぇ……!)
慣れない女の子の柔らかい肉体は、最新鋭機の生み出す凄まじい重圧に、情けない悲鳴を上げていた。
隣では、アムロの乗る一号機が必死に応戦している。
「アムロ、あいつを止めろ! じゃないと俺たちがやられるぞ!」
マニュアルをたった3分読んだだけの俺に、一体何ができる?
だが、やるしかない。ここで引き金を引かなきゃ、俺の第2の人生(TS生活)は1日足らずで終わってしまうんだ!
「アムロ! 合わせるぞ。……俺(私)が、あいつの逃げ道を塞ぐ!」
俺は震える指でサブ・プロセッサを叩き、アムロの動きを予測して二号機を滑らせる。
敵が放つ120mmザク・マシンガンの弾丸が装甲を叩き、コックピット内に金属音が反響する。
(効かない……! 流石は連邦の最新鋭だ。だが――)
視界の端で、不気味に熱を帯びた斧――ヒートホークが光った。本能が、あれだけは「かすっても死ぬ」と警鐘を鳴らしている。
「近接はアムロに任せる! 俺は後ろから……当てる……当てるんだよぉッ!」
遠距離攻撃に切り替え、ビーム・ライフルの照準を必死に赤い影へと重ねる。
汗が目に入り、視界が滲む。制服の中は、不快なほどに熱を帯びていた。
その時、アムロが機転を利かせた。太陽の光をバイザーに反射させ、一瞬だけシャアの目を眩ませる。
「……チッ。今日はここまでか」
真空の宇宙で、そんな声が聞こえた気がした。赤い彗星は、一瞬の隙を突いて闇の向こうへと撤退していった。
「た、助かったのか……?」
極限の緊張が解け、俺の身体から一気に力が抜ける。
モニターに映る自分の手は、さっきまで男だったのが嘘のように白くて、小さく震えていた。
股の間に挟まった操縦桿の振動が、まだ身体の奥に残っている。
「……はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」
俺は、フラウ・ボゥの喉から漏れる「女の吐息」に、自分自身で戸惑っていた。
第5話:戦士の休息、そして宿命の登録
ガンダムのハッチが開き、外の空気に触れた瞬間、耐えていた膝がガクガクと笑い出した。
コックピットの中の熱気が嘘のように、格納庫は静まり返っている。
「フラウ! 凄かったよ、君があんなに戦えるなんて!」
アムロが興奮気味に駆け寄ってきた。その目は、どこか縋るような光を帯びている。
「……ああ。俺(私)も、死ぬかと思ったよ……」
疲れ果ててその場に座り込むと、またあいつがやってきた。
「へっ、おてんば姫のお帰りか。ガンダムを壊さなかったことだけは褒めてやるよ」
カイ・シデンがニヤニヤしながら、俺の前に無造作にバケツと包丁を置いた。
「……なんだこれ」
「炊事係だよ。パイロットが足りてねえんだ。飯の準備も立派な任務だぜ?」
「俺、さっきまでシャアと戦ってたんだぞ!? パイロットとしてもっと優遇しろよ!」
「お前、自分の体を見てみろよ。そんな小せぇ手で何ができるんだ?」
自分の手を見る。……確かに、白くて細い。
戦場の重圧には不釣り合いな、ジャガイモを剥くのにちょうど良さそうな、華奢な女の子の手だ。
(……くそっ。この身体じゃ、カイみたいなヒョロガリ相手でも力負けしちまうのか……!)
悔しさに唇を噛んでいると、背後から硬い足音が近づいてきた。
「フラウ、君もパイロットとして登録するのか?」
振り返ると、そこには厳しい表情のブライト・ノアが立っていた。19歳とは思えない威圧感に、フラウの身体が本能的にすくみそうになる。だが、俺の魂は折れなかった。
「もちろんです! 私も登録します。アムロだけに背負わせるわけにはいきません!」
一瞬、自分の高い声に戸惑ったが、腹の底から言葉を絞り出す。
「少しでも戦力が必要なはずです。この黒いガンダムを動かせるのは、今この艦(ふね)で、私しかいないんだから!」
ブライトさんは苦渋に満ちた表情で視線を落とした。拳を握りしめ、何かを堪えるように沈黙する。
「そうか……。本当は子供、ましてや女性を戦場に出したくはないのだが……。……分かった。フラウ・ボゥ、君を正式にパイロットとして登録しよう」
「ありがとうございます!」
俺は小さく、だが力強くガッツポーズを作った。
身体は守ってやりたくなるような美少女。だが、その瞳には歴戦の勇士のような光が宿る。
そんなチグハグな俺の、長く過酷な一年戦争が、今ここから本格的に幕を開けたのだった。
第5話:各キャラの心情
ブライト・ノア(自責と冷徹な計算)
「フラウ・ボゥをパイロットに……。正気の沙汰じゃない。だが、背に腹は変えられないのも事実だ」
> 本音: 彼女を戦場に出す自分を軽蔑している。だが、先ほどのシャアとの立ち回りを見れば、彼女はアムロ以上の『即戦力』だ。……俺は、一人の少女の未来を、この艦の安全と引き換えに差し出したのか?
>
アムロ・レイ(安堵と複雑な独占欲)
「フラウがパイロットに……。良かった、一人じゃないんだ。……でも、フラウのあんなに怖い顔、見たことないよ」
> 本音: 正直に言えば、心強い。でも、自分の知っている『優しいフラウ』がどんどん遠くへ行ってしまう気がして怖いんだ。僕が守るはずだったのに、今は彼女の背中を追いかけているみたいだ。
>
カイ・シデン(照れ隠しの恐怖)
「へっ、おてんば姫が軍人ごっこかよ。似合わねえったらねえな」
> 本音: ……あんな華奢な手でジャガイモ剥いてる姿を見ると、胸がザワつく。さっきまで死線を潜り抜けてきた奴に、炊事なんてさせんなよ……って、俺が言える義理じゃねえか。アイツの目、マジだったな。
>
セイラ・マス(共鳴と予感)
「フラウ、あなた……。その覚悟、ただの義務感ではないわね。何かを『知っている』者の目だわ」
> 本音: 彼女の中に眠る「戦士」としての素質が怖い。まるで、戦うために生まれてきたような……。彼女の存在が、この艦の運命を大きく変えてしまう。そんな予感がしてならないの。
>
リュウ・ホセイ(兄貴肌の心配)
「おいおいブライト、本気か? フラウはまだ子供だぞ。……ったく、俺がもっとしっかりしてりゃ、あんな子に無理させずに済んだんだがな」
> 本音: 泣き言一つ言わずにガッツポーズしてみせるなんて、健気すぎて見てられねえ。せめて、腹一杯飯を食わせてやるのが俺の仕事か。
第6話:大気圏の断末魔、そして生還
『ああぁ〜! シャア大佐ぁぁぁ! 燃える、燃える! 助けてくださぁぁい!!』
全周波数から、大気圏の摩擦熱に焼かれるジオン兵たちの絶叫が響き渡る。
モニターの端で、一機のザクが紅い火だるまになって宇宙の塵へと変わった。
「あへ……熱い、身体が溶ける……っ!!」
他人事じゃない。俺の乗る黒いガンダムのコックピット内も、すでに地獄のようなサウナ状態だ。
全身を業火に焼かれるような熱さと、内臓まで押し潰される強烈な重力。
脳が沸騰しそうで、意識が白濁していく。
「マニュアルには……書いてねえぞ! こんな、気が狂いそうな熱さなんて……っ!」
3分で叩き込んだ知識のどこにも、この「死の恐怖」への対処法なんて載っていなかった。
機体が激しく振動し、装甲が軋む音が悲鳴のように聞こえる。
「あっ……アムロ……っ! まだ、ギリギリ時間がある……! ホワイトベースに駆け込むんだ! ……まだ、助かる……!」
『フラウ! でも君の機体が……!』
「いいから行け! 死にたくなかったら走れッ!!」
俺は震える手で操縦桿を限界まで押し込み、大気の壁を突き破るように加速した。
(死なせるか……フラウ(この子)を、こんなところで炭にさせてたまるか!)
「うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
燃え盛る炎の渦を切り裂き、俺たちは文字通り滑り込むようにホワイトベースの格納庫へと飛び込んだ。
「はぁ、はぁ……あ〜、熱っ! もう少しで、本当におさらばする所だったよ……」
ハッチが開くと同時に、俺は床にへたり込んだ。汗でぐっしょりと濡れた連邦の制服が、柔らかい肌にいやらしく張り付いて離れない。心臓の鼓動が、耳の奥でうるさいほどドクドクと鳴り響いている。
「フラウ! 無事だね! よかった……!」
アムロがヘルメットを脱ぎ捨てて駆け寄ってくる。その目は本気で潤んでいた。
「やっぱり、フラウには生きていてほしいんだ。僕の大切な、親友だから……!」
「……親友、か。ふふ、そうだね。ありがと、アムロ」
(親友……か。男だった頃の俺なら複雑な気分だが、今のこの体でそう言われると、悪くない気分だ)
こうして俺たちは、最初にして最大の「自然の猛威」を乗り切ることに成功した。
だが、その先に待っているのは、さらなる「重力」という名の地獄だった。
第6話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(依存と恐怖、そして執着)
「フラウ! 僕を置いていかないで……! 怖いんだ、一人は!」
> 本音: 燃え上がる大気圏の中で、二号機の反応だけが僕の命綱だった。フラウの「行け!」という叫びは、男らしくて、でもどこか悲しくて……。彼女を失うくらいなら、一緒に燃え尽きた方がマシだとさえ思った。……フラウ、君は僕にとって、もうただの幼馴染じゃないんだ。
>
シャア・アズナブル(戦慄と賞賛)
「……ほう。あの状況で、僚機を先に帰し、自らは殿(しんがり)を務めるとはな。あの二号機のパイロット……底が知れん」
> 本音: 敵ながら見事だ。死の淵にあっても、マニュアル以上の機動を見せてみせた。……あの少女、戦場という狂気の中でこそ輝く『本物の戦士』なのかもしれん。
>
ブライト・ノア(極限の祈りと安堵)
「フラウ……、戻れ! 戻ってくれ……ッ!」
> 本音: ブリッジでモニターがノイズに染まった瞬間、心臓が止まるかと思った。また俺は、子供を見殺しにするのかと。……生還した彼女が、汗だくでハッチから転げ落ちる姿を見て、情けない話だが、涙が出そうになった。
>
カイ・シデン(自己嫌悪と呆れ)
「あーあ、見てらんねえよ。おてんば姫とアムロ坊やの、心中ごっこかよ」
> 本音: 軽口でも叩かなきゃ、やってられねえ。ザクが火だるまになっていく横で、アイツらは真っ向から大気に突っ込んでいった。……俺には到底真似できねえ。アイツ、本当に『フラウ』なのか? 肝が据わりすぎてて、怖いくらいだぜ。
>
セイラ・マス(共鳴と憐れみ)
「……身体が溶ける、か。彼女、自分の『女としての肉体』が悲鳴を上げているのを、精神(こころ)でねじ伏せているのね」
> 本音: 帰還したフラウの、制服が肌に張り付いた痛々しい姿。その瞳には、まだ戦いの興奮(熱)が残っていた。……あの子をこれ以上、この地獄に染めてはいけない。でも、彼女自身がそれを望んでいるようにも見える。
>
第7話:重力の再会と、若き指揮官の野心
ついに、地球に降り立った。
見渡す限りの青い空と、どこまでも続く荒野。
「やっぱり、地球の重力は馴染むな……」
宇宙のふわふわした感覚より、この足にしっかりと伝わる重みの方が、元男の俺にはしっくりくる。……と言いたいところだが、今の俺はピンクのミニスカートを履いたフラウ・ボゥだ。
「ビーチでバカンス! ……なんて言いたいところだけど、この体じゃそれも地獄だよな。悲しいぜ……」
俺がそんな感傷に浸っている間も、ホワイトベースは死地を彷徨っていた。
ここはガルマ・ザビが支配する北米大陸。いつ奇襲があってもおかしくない場所だ。
そんな中、支給された食事を口にした瞬間、俺の魂が震えた。
「……う、うめぇ……! やっぱり地球の飯は最高だな!!」
合成食ではない、土の匂いがする野菜や、本物の肉の味。前世で慣れ親しんだ「地球の味」に、思わずガツガツと食らいついてしまう。
「あれ……? フラウって、サイド7(宇宙)生まれじゃなかったっけ? なんでそんなに『地球の食事』に詳しいの?」
隣でスープを飲んでいたアムロが、不思議そうにこちらを覗き込んできた。カイやハヤトも「確かに」という顔で俺を見ている。
「あ、あはは……! ほら、マニュアルに書いてあったんだよ! 地球の食材は栄養満点だって! あぶねー、あぶねー……」
慌てて誤魔化すが、冷や汗が止まらない。見た目は可憐な少女なのに、食い方は完全に腹ペコの野郎そのもの。そのギャップに、周囲はどこか毒気を抜かれたような顔をしていた。
その頃、ジオン公国軍の基地では、二人の男がモニターを眺めていた。
「あの『木馬』とやらに、随分と手こずっているじゃないか、シャア」
優雅に笑いながら語りかけたのは、ザビ家の御曹司、ガルマ・ザビだ。
「何分、連邦の新兵器が精強すぎてな……」
シャアは事も無げに答えるが、その目は鋭く光っている。
「情報によると、ガンダムが2機もいるそうじゃないか」
「ああ。私と直接戦った白いガンダムは、戦うたびにメキメキと実力を上げている。だが……」
シャアは、俺が乗る二号機の映像を指差した。
「もう一機の『黒いガンダム』。こいつは遠距離攻撃を徹底している。近接戦の実力については未だ未知数だ」
「なるほど……。ならば、私が仕留めるにはちょうどいい手土産だな。イセリナに勝利の報告をするには、最高の獲物だ」
ガルマは自信満々に不敵な笑みを浮かべた。
「さっそく作戦を練るとするか。……ガンダム、その首、私が貰い受ける!」
第7話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(戸惑いと親近感)
「フラウが『地球の飯は最高だ』なんて……。君、宇宙生まれでしょ? なんでそんなに懐かしそうに食べるの?」
> 本音: 最近のフラウは、時々僕よりずっと大人に見える。ジャガイモをガツガツ食べる姿は、女の子っぽくないけど……なんだか見ていて安心するんだ。彼女の知識、本当にマニュアルだけなのかな?
>
ガルマ・ザビ(高揚と功名心)
「シャア、君が手こずったガンダムを、この私が生け捕りにしてみせよう。イセリナも喜んでくれるはずだ」
> 本音: 2機目の黒いガンダム……。遠距離専門の臆病者か、あるいは慎重な策士か。どちらにせよ、私の北米制圧の記念碑には相応しい獲物だ。私の華麗な戦術で、跪かせてやる。
>
シャア・アズナブル(冷静な分析と疑念)
「……ガルマめ、あのアムロという少年以上の『何か』が、あの黒いガンダムには潜んでいることに気づかんとはな」
> 本音: あの黒いガンダム、無駄のない動きと徹底した距離感の保ち方は、素人のそれではない。……まるで、この地球の地形や戦い方を知り尽くしているような。……フフ、面白いな連邦は。
>
カイ・シデン(呆れと感心)
「おてんば姫の食いっぷり、見てるだけでこっちの腹が膨れるぜ。……ま、食えるうちに食っとけよ」
> 本音: 地球の飯が美味いって喜ぶ姿を見てると、あいつもただのガキなんだなって少しだけホッとする。……けどよ、あいつがガンダムに乗った時の、あの『殺気』は何なんだ? 飯食ってる時との落差が激しすぎて、気味が悪いくらいだぜ。
>
ブライト・ノア(重圧と微かな期待)
「……フラウ、君にパイロット登録をさせた判断、間違っていなかったと思わせてくれ。この地球は、宇宙よりも残酷だ」
> 本音: 彼女が「地球の飯」を食べて笑っているのを見て、少しだけ心が痛んだ。こんな日常を奪ってまで、戦場に引き摺り出したのは俺だ。……だが、彼女のあの『男勝りな覚悟』がなければ、この艦は北米を突破できない。
>
第8話:北米の猛火、少女(俺)の限界
「本日より木馬に総攻撃を行う! 特にあの黒いガンダムだ。……パイロットは生かして捕らえろ!」
「はっ!!」
ガルマ・ザビの苛烈な号令が、北米の空に響き渡る。その傍らで、シャアは冷ややかな笑みを浮かべていた。
(ふふふ……哀れだなガルマ。復讐のターゲットに入っているとも知らずに……)
そんなジオン側の思惑など知る由もなく、俺は地上という名の地獄に叩き落とされていた。
「あ、あへ……身体が、重い……っ!」
地上に降りてからの初戦闘。宇宙空間とは違い、絶えず下に引っ張られる地球の重力が、俺の三半規管を無慈悲に狂わせていく。
ドップ戦闘機の集団爆撃に、黒いガンダムは防戦一方だった。紫色の巨大な空母――ガウからの爆撃が大地を揺らし、噴き上がる土砂がモニターを覆い隠す。
『フラウ、左だ! 避けろ!』
アムロの叫びと同時に、黒いガンダムのすぐ横で巨大な爆発が起きた。
衝撃で視界が火花を散らす。
(くそっ、レバーに力が入らねぇ! これも、女性ならではの身体の華奢さが原因か……っ!)
中身がどれだけ男の意志を持っていても、フラウの細い腕は、重力下の激しい機動(G)に悲鳴を上げていた。肺が圧迫され、呼吸をするたびに喉の奥が焼けるように熱い。
その時、ブリッジの通信が、悲鳴に近い勢いで割り込む。
「フラウ! 無理をするな、一旦後退しろ! 墜とされるぞ!」
「おい、フラウ! 返事をしな! 生きてんのかよ!」
「あ、あへ……うるさいなぁ……。まだ、やれるって……言ってんだろ……っ!」
汗で制服が肌に張り付き、心臓の鼓動が耳の奥で早鐘のように鳴る。意識が熱に浮かされ、視界がチカチカと点滅し始めた。
だが、メインモニターには優雅に笑う、紫色の髪の若者の姿が映し出された。
『逃がさんよ、連邦の木馬! 私のイセリナへの愛に、その首を捧げてもらう!』
「……愛だの何だの、男のプライドを逆なでするようなこと言いやがって……っ!」
ガルマ・ザビ。そのお坊ちゃん特有の余裕と、鼻につく「愛」という言葉が、俺の中の枯れ果てていたはずの「男」の導火線に火をつけた。
「アムロ! 俺が囮になる! お前は上から叩けっ!!」
『フラウ!? 危険すぎるよ!』
アムロの制止も聞かず、俺は震える手で腰のビームサーベルを抜き放った。
遠距離攻撃を捨て、あえて死地へ踏み込む。
その必死な、それでいて熟練の戦士のような迷いのない動きに、通信越しにメンバーが息を呑む。
「……彼女、何かに取り憑かれているの?」
「フラウ、死ぬんじゃねえぞ……ッ!」
「う、うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
火煙の中、俺はガルマの直属部隊へと突撃した。
(死ぬ……マジで死ぬ。でも、ここで引いたら俺の人生、二度目も負け犬だ!)
黒い機体が、地上の炎を背に紅く染まった。
第8話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(戦慄と焦燥)
「フラウ……!? 君、本当にどうしちゃったんだ……。そんなの、僕の知ってるフラウじゃないよ!」
> 本音: 怖い。今の彼女からは、死ぬことへの恐怖以上に『負けること』への激しい憎悪を感じる。僕を置いて一人で死地に飛び込むなんて……。お願いだ、無事でいてくれ。君がいなくなったら、僕はもう戦えない。
>
ガルマ・ザビ(屈辱と執着)
「何だと……!? 私の親衛隊が、あの少女一人に手こずっているというのか!」
> 本音: 許せん。連邦のパイロットは、こんな子供にまで『誇り』を叩き込んでいるのか。……いや、違う。あの動きは教育されたものではない。……ますます興味が湧いた。あのガンダムの首、必ずこの手で獲ってやる!
>
ブライト・ノア(自己嫌悪と驚愕)
「囮だと……!? 15歳の少女に、そんな捨て身の真似をさせているのか、俺は!」
> 本音: 彼女の動きは、もはや素人のそれではない。……まるで、何十年も戦場を渡り歩いてきた老兵のような、隙のない殺気だ。フラウ・ボゥ……君は一体、何者なんだ?
>
カイ・シデン(冷や汗と呆れ)
「おいおい……笑えねえよ。あのおてんば姫、マジで鬼が憑いてやがるぜ」
> 本音: 震えが止まらねえ。あんな細い腕で操縦桿をへし折らんばかりに引いて、ザクの群れに突っ込んでいくなんて……。俺たちが守ってやるどころか、あいつ一人にケツを拭かせてるじゃねえか。……クソッ、情けねえ。
>
セイラ・マス(確信と哀れみ)
「……彼女、何かに取り憑かれているの? いいえ……あれが彼女の『本性』だというの?」
> 本音: 宇宙(そら)にいた時よりも、彼女の瞳は鋭く、濁りがない。まるで重力があるこの地球こそが、自分の戦場だと言わんばかりに。……フラウ、あなたはその小さな身体に、どれほどの業を背負っているの?
>
リュウ・ホセイ(慟哭に近い祈り)
「フラウ! 死ぬんじゃねえぞ……ッ! お前が死んだら、俺たちの負けなんだよ!」
> 本音: あんなに小さくなって……。汗まみれで、息を切らして。……あの子をここまで追い詰めたのは、俺たちの無力さだ。頼む、生きて帰ってきてくれ。後のことは全部俺が引き受けてやるから!
>
第9話:限界の向こう側、白き腕の休息
「う、うぉぉぉぉぉりゃぁぁぁ!!」
ビームサーベルの熱光が、砂塵と絶望を切り裂く。
「捕らえろ」という甘っちょろい命令のせいで、目に見えて踏み込みが甘くなったザクの懐へ、俺は死に物狂いで黒いガンダムを滑り込ませた。
「お坊ちゃんに……伝えな! 甘ったれた愛(ガソリン)じゃ、俺の魂は動かせねえってなぁッ!」
一閃。
ザクの右腕が宙を舞い、爆炎が網膜を焼く。だが、その会心の一撃と引き換えに、俺の細い腕はついにぷつりと感覚を失った。激しい機動、容赦ない重力、そして15歳の少女が背負うにはあまりに重すぎる緊張。フラウの身体は、とっくに限界のその先へ踏み込んでいたのだ。
「あ、あへ……っ。あ……れ……?」
視界が急速にホワイトアウトしていく。
コックピットに鳴り響く警告音が、まるで遠い世界の出来事のように聞こえる。もう、操縦桿を握り直す指先一つ動かせない。
(……死ぬか。いや、アムロが……あいつなら、後は……任せられる……)
意識の糸が断ち切られた瞬間、俺の身体はコックピットのシートの中で、人形のように力なく崩れ落ちた。
「フラウ! フラウ、返事をしてくれ!!」
アムロの、泣き出しそうな絶叫が耳の奥に届く。
彼が操る一号機の白い腕が、力尽きて沈黙した黒い二号機を、壊れ物を扱うように優しく、だが力強く抱きかかえる。
ガウからの追撃をアムロが必死に振り払い、俺たちは命からがらホワイトベースへと生還した。
次に目を覚ました時、そこはいつもの鉄臭い格納庫ではなかった。
微かに漂う薬品の匂い。清潔なシーツの感触。
「……気がついたかしら?」
枕元には、セイラ・マスがいた。
いつもの冷静な、それでいてどこか慈愛に満ちた瞳が、俺の顔を覗き込んでいる。彼女は湿らせたタオルで、俺の汗ばんだ額を、壊れ物を拭うように優しく、丁寧に拭ってくれた。
「あ……セイラ、さん……。俺(私)、どうなった……?」
「無理をしすぎよ、フラウ。あなたの身体は、あなたが思っている以上に繊細なの。……女の子なんだから」
セイラさんの、細くて温かい指先が頬をなぞる。
(……女、か。そうだったな。俺、今はこんなに弱っちくて、すぐに壊れちまいそうな、ただの女の子なんだ……)
「男」として虚勢を張っていたプライドが、セイラさんの母親のような温もりに触れて、跡形もなく溶けていく。
悔しいはずなのに。情けないはずなのに。
今はただ、この柔らかい安らぎに、すべてを委ねてしまいたかった。
第9話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(依存と献身)
「フラウ! 僕を置いていかないで……! 怖いんだ、一人は!」
> 本音: 動かなくなった黒いガンダムを抱きかかえた時、心臓が止まるかと思った。あんなに強く戦っていたのに、コックピットから助け出した彼女は……驚くほど小さくて、軽かったんだ。もう、彼女を離したくない。僕が守らなきゃいけないのは、ガンダムじゃなくて、この子なんだ。
>
セイラ・マス(慈愛と深い疑念)
「……無理をしすぎよ、フラウ。あなたの身体は、あなたが思っている以上に繊細なの。……女の子なんだから」
> 本音: 汗にまみれ、熱に浮かされて眠る彼女の横顔。そこには、戦場で見せたあの修羅のような面影は微塵もない。……フラウ、あなたの中にいる『もう一人のあなた』は、一体どれだけの絶望を乗り越えてきたというの?
>
カイ・シデン(自己嫌悪と不器用な心配)
「へっ、おてんば姫の電池切れかよ。見てらんねえな」
> 本音: 医務室のドア越しに、あいつの寝顔を見ちまった。あんなに華奢な体が、ボロ雑巾みたいに疲れ果てて……。あんな無茶をさせたのは、俺たちが意気地なしだからだ。……クソッ、次にザクが来たら、俺が前に出てやるよ。
>
ブライト・ノア(自責と冷徹な確信)
「……フラウ・ボゥ。君を失うわけにはいかないんだ。……例え、君の心を壊すことになっても」
> 本音: 彼女の突撃がなければ、今頃ホワイトベースは灰になっていただろう。だが、医務室で横たわる彼女を見るたび、自分の無能さが突きつけられる。彼女はもう、ただの避難民ではない。この艦(ふね)の『核』なんだ。
>
シャア・アズナブル(戦慄と高揚)
「……黒いガンダムのパイロット。あれは、自らの肉体を燃料にして戦っているのか。フフ……恐ろしいな、連邦の『少女』というのは」
> 本音: ガルマの部隊を翻弄したあの動き、あれは計算ではない。死を恐れぬ狂気だ。……もし、彼女がニュータイプとしての片鱗を見せ始めているのだとしたら、一刻も早く摘み取らねばならん。
>
第10話:謀られた御曹司、紅き裏切りの空
「……シャア。あいつ、さっきから動きが変じゃないか?」
医務室を強引に抜け出し、二号機のコックピットに収まった俺は、モニター越しに赤い彗星の軌跡を追っていた。
ガルマ率いるガウ攻撃空母の大部隊。本来なら絶望的な戦力差だ。だが、シャアのザクはあえてWB(ホワイトベース)の射線上に、味方であるはずのガルマを誘導しているように見える。
(……待て。あいつ、味方を盾にして逃げるつもりか?)
嫌な予感が、背筋を冷たく撫で上げる。
だが、戦場は俺の思考を待ってくれない。
「アムロ! 撃つな! そいつは……ッ!!」
叫びは、無線を流れるノイズにかき消された。
シャアのザクが、不自然な加速でガウの影から離脱する。その瞬間、巨大な空母のブリッジが無防備に晒された。
『シャア! はかったな、シャア!!』
全通信回線に叩きつけられた、絶望に満ちた叫び。
次の瞬間、ホワイトベースの全砲門から放たれた光の束が、ガルマの乗るガウを真っ向から貫いた。
「あ、あへ……嘘だろ……。本当にやりやがった……」
巨大な火柱が上がり、夕闇の空を紅く染め上げる。
爆炎の中、特攻を試みたガウが力尽き、地上へと墜ちていく。
その様を、赤い彗星はただ、冷然と見下ろしていた。
(……これが、戦争か。仲間を売って、笑ってやがるのか……アイツは)
中身が男の俺でも、この吐き気のするような「悪意」には耐えられなかった。
胃の奥から酸っぱいものがこみ上げ、喉が引き攣れる。
「あへ……はぁ、はぁ……っ! 気持ち悪い……っ! なんだよ、これ……っ!!」
フラウの華奢な指が、血が滲むほど操縦桿を握りしめる。
目の前で散った一人の男。その命を弄んだ「赤」への、言葉にならない怒りが、俺の意識を真っ赤に塗りつぶしていった。
第10話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(加害者としての混迷)
「僕が撃った……。フラウが『撃つな』って言ったのに、僕の指が、引き金を……!」
> 本音: ガルマの断末魔が耳から離れない。僕は、ただ守るために戦っているはずなのに、今日は誰かの陰謀の手伝いをしたみたいだ。……フラウ、君には何が見えていたの? どうして、あんなに悲しい声で叫んだんだ?
>
シャア・アズナブル(冷徹な達成感と、微かな毒)
「ガルマ、私の手向けだ。姉上への報告も済んだよ。……だが、あの黒いガンダムはどういうことだ?」
> 本音: 完璧なハメ技だった。だが、あの少女の声が通信に割り込んだ瞬間、私の背筋に冷たいものが走った。……私の意図を見抜いていたのか? フフ、連邦のガンダムには、私の『計算』を狂わせる不純物が混じっているらしい。
>
ブライト・ノア(勝利の重圧と後味の悪さ)
「敵の司令官を討ち取った……。戦果としては最高だ。だが、この胸のざわつきは何だ」
> 本音: フラウの悲鳴に近い警告が、ブリッジに響き渡った時のあの戦慄。彼女は、戦場そのものの『汚れ』を感じ取っていたのか。……勝利したはずなのに、泥水を飲まされたような気分だ。
>
カイ・シデン(吐き気と剥き出しの怒り)
「ケッ、お坊ちゃんのご臨終かよ。……笑えねえ、ちっとも笑えねえんだよッ!!」
> 本音: 味方を後ろから蹴り落として、自分だけ高みの見物かよ。赤い彗星さんよぉ、アンタのやり方はヘドが出るぜ。……震えてるフラウの姿を見てたら、俺の中の何かがブチ切れた。次は絶対に、あの赤いツノをへし折ってやる。
>
セイラ・マス(血の宿命と戦慄)
「……シャア。兄さんなの? あなたは、そこまで冷酷な人になってしまったの……?」
> 本音: ガルマが墜ちていく様を見て、確信してしまった。あの赤い機体に乗っているのは、私の知っている兄ではない。……そして、それを察知して傷ついているフラウ。あの子の優しさが、この残酷な世界で壊れてしまわないか、それだけが怖いの。
>
リュウ・ホセイ(やり場のない憤り)
「……坊主、泣くんじゃねえ。これが戦争だ。……だが、こんな勝ち方があるかよ!」
> 本音: フラウが操縦桿を握りしめて吐き気に耐えている姿を見て、胸が締め付けられた。あんな子供に、大人の汚い駆け引きを見せちまった。……守ってやりたいのに、俺たちには戦うことしかできねえのか。
>
第11話:欠乏の旋律、そして少女(俺)は海へ
ガンダムを撃退し、ガルマを討ち取ったはずのホワイトベース。だが、艦内を支配していたのは勝利の余韻ではなく、死神よりも残酷な「無気力」だった。
「……フラウ、今日のスープも……味がしないよ」
アムロが力なくスプーンを置く。カイやハヤトも、まるでお通夜のような顔で皿を見つめていた。
「悪いな……。備蓄の塩が、ついに底を突いたんだ」
料理長から告げられた非情な宣告。
塩。たかが調味料、されど生命の源。それが欠乏したクルーたちは、目に見えて肌のツヤを失い、精神まで擦り減らしていった。
「あへ……身体に、力が入らない……。塩だ、塩さえあれば……っ!」
二号機のコックピットで、俺はレバーを握る力すら湧かずに崩れ落ちた。
中身が男の俺は知っている。塩分不足は、単なる味覚の問題じゃない。神経伝達を狂わせ、戦士から牙を奪う「静かな殺し屋」なんだ。
だが、今のフラウの華奢な身体は、その欠乏にあまりに敏感すぎた。指先が震え、思考が霧に包まれていく。
(……くそっ、このままじゃ戦う前に全滅だ。なんとか、なんとか打破しねえと……!)
朦朧とする意識の中で、俺の脳裏に前世の記憶――夏休みの自由研究か何かで見た、原始的な光景が浮かんだ。
「……そうだ、海だよ! 海から作ればいいじゃないか!」
俺はフラウの震える脚でブリッジに駆け込み、ブライトに食ってかかった。
「ブライトさん! 下を見てよ、あんなにたくさん水(海)があるんだ! 塩がなけりゃ、焼いて、乾かして、作ればいいだろ!!」
「フラウ、君……何を……。だが、背に腹は変えられないか」
なんやかんやあって、WBは一時海岸線へ降下。
黒いガンダムのビーム・サーベルの熱を利用して海水を一気に蒸発させるという、MSの無駄遣いも甚だしい「超高速・製塩法」を俺が考案・実施した。
「あへ……熱っ! 蒸気で服が張り付いて……っ! でも、これでおさらばだ、味気ない毎日は!!」
なんやかんやあって、真っ白に輝く「地球の塩」が大量に生産された。
その夜、WBの食堂には、久しぶりにクルーたちの歓喜の叫びが響き渡った。
「う、うまい……! 塩があるだけで、こんなに……っ!」
涙を流しながら肉にかじりつくアムロ。
俺はそんな彼らを眺めながら、自分でも指に付いた塩をペロリと舐めた。
(あへ……。しょっぱい。……生きてるって、感じがするぜ)
致命的な危機を、フラウ(俺)の機転で乗り越えたホワイトベース。
腹を満たした一行の進路は、再び激戦の地へと向かっていく――。
第11話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(生理的充足とフラウへの畏敬)
「……味がする。しょっぱい……。フラウ、君のおかげで、僕たちは救われたんだ」
> 本音: 恥ずかしいけれど、塩が一口入った瞬間に涙が溢れた。あんなに必死に、熱い蒸気にまみれて海辺で塩を作ってくれたフラウ。……今の彼女は、僕たちの命そのものを握っている女神みたいに見える。君がいないホワイトベースなんて、もう想像もしたくない。
>
ブライト・ノア(指揮官としての安堵と、ある種の敗北感)
「……製塩。MSをそんなことに使うとは。だが、正解だった。彼女の方が、俺より戦場(いきる現場)を理解している」
> 本音: クルーたちの目に光が戻った。たった一握りの塩で、これほど士気が変わるとは。……フラウ・ボゥ。君の突飛な発想がなければ、今頃この艦は内側から崩壊していただろう。俺は、君という少女を少し甘く見ていたのかもしれん。
>
カイ・シデン(素直になれない感謝と自嘲)
「へっ、おてんば姫の『特製塩』かよ。しょっぱすぎて涙が出ちまうぜ……」
> 本音: クソッ、美味えよ。美味すぎて笑えねえ。……あんな華奢な体で、全身塩まみれになって働いてたアイツの姿、一生忘れられそうにねえわ。……ありがとな、フラウ。おかげで、もう少しだけこのクソみたいな戦争に付き合ってやる気になったぜ。
>
セイラ・マス(生命力の共鳴と、微かな休息)
「……塩一つで、これほどまでに人間は変わるのね。フラウ、あなたは本当に、不思議な力を持っているわ」
> 本音: 汗をかき、顔を真っ赤にして塩を作っていた彼女。その姿は、どんな洗練された軍人よりも力強かった。……でも、フラウ。あなたの服に張り付いた結晶を拭ってあげた時、その肌が熱を持って震えていた。……無理をしないで。あなたは、私たちみんなの希望なのだから。
>
リュウ・ホセイ(兄貴分の感涙と決意)
「うめぇ……! フラウ、お前は最高だ! 俺たちが守るべきは、やっぱりこの飯(命)なんだな!」
> 本音: ガツガツと食うアムロたちを見て、やっと笑えるようになった。フラウ、お前が作ってくれたこの塩を無駄にはしねえ。次こそは、俺が盾になって、お前をこんなに疲れさせたりしない。……絶対にだ。
>
料理長(職人の矜持と救済)
「……フラウさん、あんたは命の恩人だ。これでやっと、本当の料理が作れるよ」
> 本音: 味がしない料理を出すのが、どれほど辛かったか。……彼女が海辺で笑いながら塩を掲げた瞬間、俺の戦いもやっと報われた気がした。これからは、最高の飯を食わせてやる。
>
第12話:青い巨星の咆哮、ザクとは違うのだよ!
「ふふふ……連邦の新型か。このグフの相手にこそ相応しい。ゲリラ屋の本領を味わってもらうぞ! 行くぞ、狩りの時間だ!」
砂塵の向こう側、鈍く光る青色の機体の中で、ランバ・ラルが不敵に笑う。
その頃、ホワイトベース内にはけたたましい警報が鳴り響いていた。
「あへ……さっき食べたばっかりなのに。……でも、今度は身体が動くっ!」
塩分が全身に行き渡り、細胞が活性化しているのを感じる。俺はこれまでにない軽やかさで黒いガンダムのコックピットへと飛び乗った。
『フラウ、標的発見! ……新型です! 既存のザク数体に、青色の機体が1機!』
ナビゲーターの悲鳴に近い報告がモニターに踊る。
「青色の新型か……。こりゃ、これまでのザクとはワケが違いそうだな」
アムロの一号機が隣に並ぶ。
「アムロ、行けるか!?」
『……やるしかないよ。あの新型、僕が引き受ける!』
アムロの言葉を信じ、俺は随伴のザクへと狙いを定めた。
重力下の機動にも、今の俺の身体ならついていける。ビーム・ライフルの精密射撃で一機、さらに懐に飛び込んでビーム・サーベルで一閃!
「あへ……動ける! 面白いように動けるぞ、この身体……っ!」
周囲の戦闘員たちも、食事の恩恵か見事な連携を見せている。
相手は所詮、旧型のザクだ。操縦に慣れてきた今の俺の相手じゃない。
だが、戦場の中央で、アムロの一号機が火花を散らしていた。
紺色の機体――グフが、唸りを上げるヒート・ロッドでガンダムを翻弄しているのだ。
『な、なんだこの鞭は!? ビーム・サーベルが弾かれる……っ!』
アムロの焦り。俺が援護に回ろうとしたその時、全通信回線に野太い声が割り込んだ。
「小癪な真似を! だが、今日のところはこの狩りは返させてもらうぞ、ガンダム!」
深追いはせず、鮮やかな手際で撤退していく紺色の影。
圧倒的な「プロの戦い」の余韻だけを残して、砂漠に静寂が戻った。
(……ランバ・ラル。あのおっさん、これまでの連邦兵やガルマとは……魂の格が違う……ッ!)
なんやかんやあって、初戦は幕を閉じた。
だが、俺(フラウ)の背中には、さっき食べたばかりの塩の味すら忘れるほどの、冷たい汗が流れていた。
第12話:各キャラクターの心情
ランバ・ラル(武人の悦楽)
「ほう……あの黒いガンダム。随伴を仕留める手際に迷いがない。あちらのパイロットも、なかなかに『いい目』をしていそうだ」
> 本音: 坊や(ガルマ)を仕留めただけのことはある。だが、本当の地獄はこれからだ。次は生身の人間として、あの少女(ガンダム)の喉元に食らいついてやるとしよう。
>
アムロ・レイ(屈辱と戦慄)
「……一歩も動けなかった。ビーム・サーベルが、あんな鞭に……。フラウが助けてくれなきゃ、僕は……」
> 本音: 怖い。ザクとは全く違う圧力を感じた。フラウはあんなに冷静に戦っていたのに、僕は……。僕の方がガンダムを上手く使えるはずなのに、なぜ手が震えるんだ?
>
カイ・シデン(冷や汗と感心)
「ザクをあんな風に料理しちまうとは。おてんば姫、塩食ってからマジで化け物になってねえか?」
> 本音: 助かったぜ。アイツがザクを片付けてくれなきゃ、今頃ガンキャノンはスクラップだ。……けど、あの紺色の新型、ありゃヤベーぞ。次もフラウのケツを追いかけてりゃ済む話じゃなさそうだ。
>
ブライト・ノア(指揮官としての戦慄)
「……ランバ・ラル。ジオンにまだあんな怪物が残っていたとは。フラウ、君の直感は正しかった。これまでの敵とはレベルが違う」
> 本音: フラウの驚異的な戦果がなければ、全滅していてもおかしくなかった。彼女の『身体能力の覚醒』と、敵の『プロの技』。この均衡が崩れた時が、この艦の最期になるかもしれん。
>
第13話:白兵戦の旋律、悲しいけどこれ戦争なのよね
「機体が使えないなら、直接乗り込めばいい! これこそゲリラ屋の本領よ!」
ランバ・ラルの豪胆な号令の下、決死の覚悟でホワイトベースへ白兵戦を仕掛けてきたジオンの老兵たち。
艦内に響き渡る緊急アラートと、あちこちで上がる爆発音。防衛線は鮮やかな手並みで突破され、ついに「死」が通路の向こう側まで迫っていた。
(……思い出せ! 前世の記憶を! 震えるな、動け……動けよ俺の身体ッ!!)
俺は自室で、フラウの華奢な膝を抱えて震えていた。中身が野郎でも、この小さな心臓が早鐘のように鳴るのを止められない。
だが、その時。ドアが蹴破られ、一人のジオン兵が銃を構えて踏み込んできた。
「……お嬢ちゃん、難民かい? 運が悪かったな。だが安心しな、俺たちゃ進んで子供さんは殺さねえ。じっとしてなよ」
男は、戦場に似つかわしくない優しい声を出し、俺に背を向けて去ろうとした。
その背中に、プロの慢心と、一瞬の「慈悲」が見えた。
(……ごめんな。あんたは良い奴なんだろうけど……ここで撃たなきゃ、俺(私)が死ぬんだ)
俺は震える手で、隠し持っていた軍用拳銃を抜き放った。
「あへ……っ、う、うぉぉぉぉ!!」
引き金を引く。銃声が狭い部屋に木霊し、弾丸は男の急所を正確に貫いた。
「なっ……なぜ……子供、が……」
もがきながら崩れ落ちる兵士。その鮮血が、フラウの白い頬に飛び散った。
(……悲しいけど、これ戦争なのよね。……本当に、寒い時代だぜ)
どこかで聞いたような台詞が、脳裏を掠める。
俺は返り血を拭うこともせず、バン、バン、バンと、動かなくなった身体に残りの弾丸を叩き込んだ。生存本能が、情けをかけるなと叫んでいた。
「ここにいては危険だ……早く、隠れないと……」
初めて生身で人を殺した。
銃を握る指先が、ガタガタと震えて止まらない。胃の底からせり上がる吐き気を必死に飲み込む。
その時、艦の深部で巨大な爆発音が響き渡った。
「……ラ、ラル……? 自爆したのか……?」
どうやら決死隊のリーダーが、最期を悟って自爆したらしい。
張り詰めていた緊張の糸が、音を立てて切れた。
「あへ……っ、あぁ……」
やっと解放された安堵と、人を手にかけた絶対的な恐怖。
俺の意識は深い闇へと沈み、フラウの身体は血の海の中で力なく失神した。
第14話:殻の中の獣、再点火する魂
あの日以来、俺は自室に引きこもっている。
扉には厳重なロック。部屋の隅で膝を抱え、銃声と、あの兵士の最期の感触を振り払うように頭を振る毎日だ。
「フラウ、開けてよ。……何か食べてよ。僕、心配なんだ」
扉越しにアムロが情けない声をかけてくるが、無視だ。今の俺は、ガラス細工よりナイーブなんだよ。中身が男だなんて、今は何の役にも立たない。
だが、皮肉なことに、精神が死んでいても胃袋だけは生きてやがる。扉の前に置かれた配給の食事に手を伸ばす時だけ、自分の「生物としての卑しさ」を思い知らされて、また吐き気がした。
これが戦争ってやつか。……クソッ、前世の記憶じゃ、もっと格好いいもんだったはずなのに。
そんな泥沼のような停滞を切り裂いたのは、艦内に響き渡る無機質な緊急アナウンスだった。
『緊急警報! ザク小隊、およびギャロップと思われる陸戦艇が接近中! 総員、第一種戦闘配備!』
心臓が跳ね上がる。……ハモンか。ラルの敵討ちに、ついに本隊が動き出したのか。
(……アムロ一人じゃ無理だ。ガンダムを動かせるのは、俺(私)とあいつしかいない!)
震える脚で立ち上がり、俺は鏡を見た。青白い顔をした、15歳の華奢な少女。
だが、その瞳だけは、死にたくないと叫ぶ「男」の餓えが宿っている。
「あへ……っ。……やるよ。死んでたまるか、こんなところでッ!」
扉のロックを叩き割り、俺は格納庫へ走った。
二号機のコックピット。あの狭くて鉄臭い空間に戻った瞬間、不思議と震えが止まった。
神経が機体と繋がっていく。重たい生身の身体から解放され、数十トンの鋼鉄が「俺の肉体」になるこの感覚。
「あへ……あははっ! 動ける、動けるぞ! さっきまでの弱気はどこへ行ったんだよ!」
モニターに映るザクの群れ。
さっきまで人を殺すことに怯えていたはずなのに、MSに乗った途端、俺の精神はいきいきと拍動し始めた。
「これだよ……! 離れたところから、こいつで撃ち抜く分には……何の痛みも感じねえッ!!」
ビーム・ライフルの光が砂漠を切り裂き、ザクを次々と沈めていく。
アムロの一号機が「フラウ……!?」と戦慄しているのが通信越しに伝わるが、構うもんか。
俺は今、この破壊の快感の中でしか、生きている実感を得られない。
(俺は……壊れちまったのか? それとも、これが『適応』ってやつかよ!)
「……圧倒的な火力を叩きつけ、ハモン率いる復讐部隊を文字通り消し飛ばした。もはや、手加減などという概念は俺の中に存在しなかった。」
硝煙の匂いが漂う砂漠に、黒いガンダムの巨大な影が落ちる。
(あへ……あははっ! 最高だ、この全能感……!)
格納庫に帰還し、重いハッチがプシューッという音と共に開く。
迎えに来たアムロやブライト、セイラさんたちが、心配そうな、あるいは腫れ物に触るような顔で俺を見上げているのが分かった。
だが、あの日までのように、俺は震えたりはしなかった。
「フラウ! 大丈夫!? さあ、降りて……」
駆け寄ろうとするアムロの手を、俺は冷ややかに制した。
コックピットから降り立ち、地を踏みしめる。その足取りに迷いはない。
頬にこびり付いた汗を乱暴に拭い、俺は取り囲む大人たちを、射抜くような鋭い視線で見回した。
「……心配ご無用。俺(私)は、もう壊れたりしないよ」
引きこもっていた時のナイーブな少女は、もうどこにもいない。
人を殺した手の震えも、生身の恐怖も、この鋼鉄の機体の中で全て「戦闘データ」として処理してやった。
「次の出撃はいつだ? 弾薬とプロペラントの補給を急いでくれ。……敵が来るなら、全員、俺がこの手で片付けてやる」
その声は、15歳の少女のものとは思えないほど低く、冷たく響いた。
中身が男の俺のプライドが、女体の脆弱さを完全にねじ伏せ、戦場という狂気に適応してしまったのだ。
「あへ……あはは。……なんだよ、そんな化け物を見るような目で見ないでくれよ。……俺たちは、勝たなきゃいけないんだろ?」
ハッチが開いた瞬間、俺は逆戻りどころか、二度と「ただの少女(フラウ)」には戻れない場所へと足を踏み入れた。
凍りつく周囲の視線を背中に受けながら、俺は迷いのない足取りで、次の戦場へ向けて歩き出した――。
第14話:各キャラクターの心情
アムロ・レイ(絶望的な疎外感)
「フラウ……? 嘘だろ、あんなに冷たい目、見たことがない。僕が知っている優しいフラウは、あの部屋の中で死んじゃったのか……?」
> 本音: 戻ってきてくれたのは嬉しい。でも、今の彼女は僕を『幼馴染』として見ていない。ただの『戦友』、あるいは『効率的な武器』としてしか見ていないんだ。……寂しいよ、フラウ。僕を置いて、そんなに遠くへ行かないでくれ。
>
セイラ・マス(戦慄と確信)
「……彼女、吹っ切れたのではないわ。心を殺して、戦うための『怪物』に自分を作り替えてしまったのね」
> 本音: 介抱しようとした手を拒絶された時、彼女の中に冷徹な暗闇を見たわ。……あれは私や兄さんと同じ、あるいはそれ以上に深い戦士の目。もう、彼女に『女の子なんだから』なんて言葉は届かない。
>
ブライト・ノア(指揮官としての戦慄)
「……これ以上ないほど頼もしいパイロットだ。だが、俺はとんでもない化け物を生み出してしまったのかもしれん」
> 本音: 彼女の宣言に、ブリッジの全員が言葉を失った。戦力としては最高だ。だが、15歳の少女がこれほどまでに『完成』されてしまうのは、あまりに不自然で、残酷すぎる。……俺は、彼女を救う機会を永遠に失ったのかもしれない。
>
カイ・シデン(冷や汗と敬意)
「おいおい……マジかよ。あのおてんば姫、地獄の底から這い上がってきやがったぜ」
> 本音: 震えてたガキが、一晩でベテランの面構えになりやがった。……正直、今のアイツには近寄りがてえ。けどよ、あの『覚悟』は本物だ。……あいつにばかり背負わせるわけにはいかねえな。
>
第15話:孤立無援の女神、あるいは戦士の休息
「ランバ・ラル隊は全滅か……。緒戦、『青い巨星』も名ばかりの連中だったな」
……チーン。
「……いい音だ。この壺の音色を乱す者は、たとえ連邦のガンダム(黒いガンダム)であろうと許されんよ」
黒いガンダムのコックピットで、俺は独りごちた。……いや、我に返ってみると結構痛い奴だな、俺。
冷徹な戦士を気取ってはいるが、中身はただの野郎だ。冷静になると自分の言動が気恥ずかしい。
なるべく、普段通りのフラウ・ボゥとして振る舞おう。……無理かもしれないが。
現在、この空域はジオンによって濃密なミノフスキー粒子が散布されている。
おかげでこちらの通信網はズタズタ。ホワイトベースも連日の激戦でエンジン周りに深刻なトラブルを抱え、絶賛修理中という有様だ。
「……嫌な予感しかしないな」
外ではジオンの爆撃機が頻繁に姿を見せ、こちらの神経を逆なでするように爆弾を落としていく。
直接沈めるのではなく、修理を邪魔してフラストレーションを溜めさせる。マ・クベという男、上等な手段を使ってくるじゃないか。
そんな絶望的な状況の中、一筋の光が差し込んだ。
連邦軍の補給部隊、マチルダ・アジャン中尉率いるミデア輸送隊の到着だ。
「……ほう。ありゃあ、鼻の下を伸ばすのも無理ないな」
格納庫に降り立ったマチルダさんを見て、俺は思わず呟いた。
周囲の男性クルーたちは一瞬で腑抜けた顔になっている。アムロなんて目がハートだ。
元男の俺から見ても、あの凛とした大人の色香は「なくはない」。
修理の合間、俺はマチルダ中尉と会話する機会を得た。彼女は15歳の少女がガンダムに乗っていることに、どこか悲しげな視線を向けていた。
「……マチルダ中尉。補給はありがとうございます。助かりました」
「いいえ、これが私の任務ですから。……フラウ・ボゥ、辛くはないのですか?」
その問いに、俺は無意識に軍人のような冷めた笑みを浮かべていた。
「中尉、あんた死に急いでる感じがします。その輸送機(ミデア)じゃ、次は落とされるかもしれませんよ。……無茶はしないでください」
「……! 忠告、ありがとう。肝に銘じておくわ」
俺の警告に、彼女は驚いたように目を見開いた。
だが、感傷に浸る時間は終わった。再び鳴り響く警報。
「あへ……っ! 休憩終了かよ! エンジンが動かないなら、固定砲台として働いてやるさ!」
なんやかんやあって、修理中のWBを守る防衛戦が始まった。
二号機を甲板に据え、迫りくる敵機を正確に射抜く。
マチルダさんが見守る中、俺(フラウ)の冷徹な狙撃が空を切り裂き、WBの心臓が再び鼓動を始めるまで、俺は一歩も引かずに撃ち続けた。
「……来る。あいつら、修理が終わるのを待ってくれないのか!」
エンジンが微かに唸り始めたその瞬間、レーダーが激しい反応を示した。マ・クベの爆撃隊が、補給を終えて離陸しようとするミデアを狙って、死神のように雲を割って現れる。
(……落とさせてたまるか。クソ喰らえだ!)
俺は、まだ完全に調整の終わっていない黒いガンダムのスラスターを無理やり点火した。
「あへ……っ! Gが……また内臓を握り潰される……っ! でも、今行かなきゃ、あの人は死ぬんだよ!!」
アムロの一号機がザクの相手に手を取られている隙に、俺は低空飛行でマチルダのミデアの背後に回った。
爆撃機の放ったミサイルが、ミデアの巨大なコンテナを捉えようとする。
「させるかよッ!!」
黒いガンダムのビーム・ライフルが、精密な三連射でミサイルを空中で叩き落とす。
さらに、肉薄してきたドップ(戦闘機)の群れに対し、俺はシールドを捨て、両手のビーム・サーベルを抜き放った。
「マチルダさん! 高度を上げろ! 尻尾は俺(私)が全部斬り落としてやる!!」
『フラウ・ボゥ……!? 無茶よ、そんな機動!』
ミデアの風圧に煽られながら、俺は空中での乱戦に身を投じた。
中身が男の意地。そして、少しだけ芽生えた「この綺麗な人を死なせたくない」という純粋な下心が、フラウの身体に限界を超えた反応を強いる。
「あへ……あははっ! 当たる気がしねえ……! 全部見えてるんだよ、お前らの動きは!」
爆炎の中を踊るように駆け抜け、俺はミデアを狙う火線を全てその身で受け、あるいは切り伏せた。
やがて、敵機が弾切れと燃料不足で撤退を開始する。ミデアは、その翼に傷一つ負うことなく、雲の彼方へと高度を上げていった。
『……ありがとう、フラウ・ボゥ。あなたの言った通り、死神がすぐ後ろにいたわ。……また会いましょう。必ず』
通信越しに聞こえたマチルダさんの声。
(あへ……助かった……。……チーン、なんて言わせねえよ、マチルダさんにはな)
エンジンが完全に復旧したホワイトベースの甲板で、俺はガンダムのハッチを開け、心地よい風に吹かれながら、消えていく輸送機の影をいつまでも眺めていた。
第15話:各キャラクターの心情
マチルダ・アジャン(生還の震え)
「……死んでいたわ。あの時、彼女が割り込んでくれなければ。フラウ・ボゥ、あなたは本当に、運命を変えてしまったのね」
> 本音: 離陸の瞬間、確かに死を感じた。でも、あの黒いガンダムが私の盾になった時、彼女の猛烈な『生』の意志が伝わってきたわ。……借りができてしまったわね。連邦の、小さくて勇敢な騎士に。
>
アムロ・レイ(安堵と、さらなる敗北感)
「マチルダさんが助かった……! よかった……。でも、彼女を救ったのは僕じゃなくて、フラウだったんだ」
> 本音: フラウの動きは、もう僕の理解を越えている。マチルダさんを救いたいっていう気持ちは僕も負けてなかったはずなのに、彼女は迷わず、僕よりも速く動いた。……フラウ、君はどんどん僕の知らない『英雄』になっていくね。
>
ここまで一気に読んでくださった皆様、ありがとうございます!
正直、フラウ(俺)自身が自分の狂気(あへあは)とポエムに一番引いています……。
「こんなフラウ、見たくなかった」「いや、むしろもっとやれ」など、一言でも感想をいただけると、フラウが羞恥心で爆発せずに次の出撃に向かえます!