目覚めたらフラウ・ボゥだった件~知識ゼロだけど破壊されるはずだったガンダムに乗せられて一部の皆さんにしごかれる~   作:T9816

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第16話:漆黒の三連星、堕つ 第17話:弔鐘と野心

「ガッハッハッハ! さぁて、連邦の新型とやらの実力を見せてもらおうじゃねーか! ……フン、『白い悪魔』じゃなく『黒いガンダム』だと? 上等だ! 我が『黒い三連星』のドムの黒と、どっちが真に戦場を染め上げるか教えてやるわッ!」

ガイアの野太い咆哮が通信を叩く。

「オルテガ、マッシュ! 行くぞ、ジェット・ストリーム・アタック!!」

「「おうッ!!」」

ミデアから補給を受け、沈黙していた黒いガンダムの心臓部(エンジン)が完全復帰した。

シートから伝わる力強い鼓動。目的地へ移動できる。これも、泥にまみれて修理してくれた整備員たちの賜物だ。……感謝しねえとな。

そんな殊勝な考えは、ナビゲーターの悲鳴のような緊急連絡で霧散した。

「新型の黒いMSが3機! 高速で接近中! こちらに向かっています!」

3機……それも新型(ドム)か。かなりの自信過剰か、さもなくば正真正銘のツワモノの類。

「(……三連星かよ。冗談じゃねえ、マズすぎるだろ……!)」

俺は、もはや己の肉体の一部と化した黒いガンダムへ飛び乗った。

戦場は拮抗していた。やはり、奴らは化け物だ。

だが、奴らの動きには「奇妙な癖」がある。縦一列のフォーメーションを頑なに崩さないのだ。

先頭機が上方左右へ回避し、その影から後続が襲いかかる。パターン化されている……。

「(……来るか、ジェット・ストリーム・アタック……! ならば……!)」

一か八かの賭け。

縦一列で殺到するドムの暴力的な圧力に対し、俺は回避を捨てた。

代わりに、完全に息を吹き返したエンジンのスロットルを限界まで叩き込む。黒い鋼鉄の塊が、砂塵を裂いて逆に突っ込んだ。

――キィィィィィィィンッ!!

空間を断ち切るビーム・サーベルの閃光。

「あへ……あははっ! 縦に並ぶなら、まとめて串刺しにするだけだろおぉぉッ!!」

狂気混じりの絶叫と共に、黒い剣先が真ん中のマッシュ機を深々と貫いた。

「「マ、マッシューーーッ!!」」

爆炎が砂漠を焦がす。ガイアの慟哭が、怒りに震えて響いた。

「おのれ、連邦の黒いガンダムめ……! 許さん、絶対に許さんぞッ!!」

俺は、赤く染まったセンサーの向こう側を、冷徹に見据えた。

「黒い三連星……? 笑わせるなよ。星なら、夜空で大人しく光ってろ」

通信回線を開き、叩きつけるように言い放つ。

「戦場を染めるのは、俺の……この**『黒いガンダム』**の闇だけで十分だ」

残った二機が、その言葉に気圧されたように一瞬動きを止めた。

マッシュを失い、連携を崩したドムは、もはや俺の敵ではない。

ガイアたちは、歯噛みしながら撤退の噴煙を上げて消えていった。

「(…………あへ。…………いや、待て)」

静寂が戻ったコックピットで、俺は顔を覆った。

「(……今のセリフ、流石にカッコつけすぎだろ俺。何が闇だけで十分だ、だよ。前世のポエムかよ……。……消えたい、穴があったら黒いガンダムごと埋まりたい……)」

マッシュを討ち、歴史は確かに変わった。

だが、俺の心拍数はまだ狂ったように拍動していた。

羞恥心と、それ以上に深い場所で疼く――更なる『破壊』への渇望を求めて。

 

第16話:各キャラクターの心情

 

ガイア(黒い三連星・リーダー:屈辱と戦慄)

「……馬鹿な。マッシュが、あの小娘に……。ジェット・ストリーム・アタックを真っ向から破るだと!? あいつはガンダムを操っているんじゃない。……あの黒いガンダムに魂を食われているのか……!?」

> 本音: 認めたくない。だが、マッシュを貫いた瞬間のあの笑い声……あれは人間のものじゃない。連邦には、白い悪魔の他にもう一人、とんでもない「怪物」が潜んでやがった。……オルテガ、退くぞ。今はまだ、奴に勝てるイメージが湧かん!

>

マチルダ・アジャン(ミデア隊指揮官:安堵と、深まる困惑)

「……また、彼女に救われてしまった。フラウ・ボゥ。三連星というエースを一人で、それもあんな残酷なほど鮮やかな手際で……。今の彼女の瞳には、何が映っているの?」

> 本音: 補給を終えた後の彼女は、まるで別人のようだった。命を救ってくれた恩人なのに、今の彼女に近づくのが少しだけ怖い。……黒いガンダム。あの機体が、彼女をあんなにも変えてしまったの?

>

アムロ・レイ(ガンダム一号機パイロット:焦燥と孤独)

「……フラウ、君は何と戦っているんだ? 三連星の動きを先読みするなんて、僕にもできなかったのに。……君は、僕よりも先に、僕の知らないどこか遠い場所へ行ってしまうのか?」

> 本音: 怖いんだ。フラウが笑いながら戦場を駆けるたびに、僕の知っている「フラウ・ボゥ」が消えていく気がして。……でも、彼女がいなければマチルダさんは死んでいた。守られているのは、僕の方なんだ……。

>

ブライト・ノア(ホワイトベース艦長:戦術的評価と危惧)

「……三連星の一角を崩したか。これでオデッサ作戦への障害は一つ減った。だが……フラウ少尉の精神状態は、軍医にチェックさせる必要があるな」

> 本音: 正直、今の彼女の戦果は「英雄」そのものだ。だが、帰投後のあの虚脱したような、何かに怯えているような態度は何だ?……彼女を使い潰すわけにはいかん。だが、今のホワイトベースには彼女の「黒いガンダム」の力が必要不可欠なんだ……。

>

 

第17話:弔鐘と野心

 

砂漠の夜風を切り裂くように、数発のバズーカの光が天を突いた。

「マッシュの魂よ、宇宙(そら)に飛んで永遠によろこびの中に漂いたまえッ!!」

ガイアとオルテガの、血を吐くような叫びが夜闇に溶けていく。

……だが、その厳かな空気を台無しにするような、甲高い音が背後から響いた。

――チーン。

「……まったくもって無意味。このような貴重な弾薬を、感傷という名のパフォーマンスに消費する行動を許可した覚えはありませんがね……。はぁ、やはり北宋(ほくそう)の青磁以外では、私の心は癒やされない……」

マ・クベは手元にある白磁の壺のふちを指でなぞり、冷淡に言い放つ。

「(……三連星も、一角が崩れればただの野犬か。キシリア様に申し開きの立たぬ無能どもめ)」

「おい、誰でもいい。マ・クベが呼んでいると、黒い三……おっと、今は『二連星』でしたな。彼らに連絡しろ」

「はっ! かしこまりました、マ・クベ大佐!」

数分後。土足で司令室に踏み込んできたガイアたちは、殺気立っていた。

「おうおうマ・クベじゃねーか! 荒くれ者の俺たちに、一体何の用だ? 説教なら後回しにして、出撃の許可を出しやがれッ!」

マ・クベは、薄ら笑いを浮かべて彼らを一瞥した。

「……マッシュ少尉の仇討ち、協力しようと思ってね」

「な、何だと!? 大佐……貴様が、俺たちに手を貸すというのか?」

「補給は惜しみませんよ。君たちには、最新鋭の『MS-06R 高機動型ザクII』を差し上げよう。ドムを失った君たちの機動力(あし)を補うには十分なはずだ」

マ・クベはさらに言葉を継ぐ。

「……それとだ。我が軍で新開発された秘密兵器の運用試験を、君たちに一任しようと思う。もちろん、専属のパイロット付きだ。今回限りの特例ですがね。さらに、周辺のMS小隊もすべて君たちの指揮下に置きましょう」

「そこまで……そこまでして頂けるとはッ! 感謝いたします、大佐! 我が三連星、いや二連星……死力を尽くして連邦の黒い悪魔を葬ってご覧に入れます!」

ガイアは猛烈に感動し、力強く敬礼して去っていった。

その後ろ姿を見送りながら、マ・クベは再び壺を愛おしそうに眺める。

「(……ククク、精々使い潰されてくれたまえ。あの『黒いガンダム』のデータを取るための肉壁(デコイ)としては、君たちは一級品なのだからな……)」

 

第17話:各キャラクターの心情

 

マ・クベ(ジオン公国軍大佐:冷徹な選民意識)

「……まったくもって無意味。このような貴重な弾薬を、感傷という名のパフォーマンスに消費する行動を許可した覚えはありませんがね……。はぁ、やはり北宋の青磁以外では、私の心は癒やされない……」

> (……三連星も、一角が崩れればただの野犬か。キシリア様に申し開きの立たぬ無能どもめ。だが、この『怒り』は利用できる。復讐に燃える犬ほど、死に物狂いで牙を剥くものはないからな。せいぜい、あの『黒いガンダム』のデータを剥ぎ取るための、良質な肉壁(デコイ)として果ててもらおう。ククク……)

>

ガイア(黒い二連星・リーダー:焦燥と盲信)

「そこまで……そこまでして頂けるとはッ! 感謝いたします、大佐! 我が二連星……死力を尽くして連邦の黒い悪魔を葬ってご覧に入れます!」

> (……マッシュ、見ていろ。マ・クベの野郎は食えん男だが、今回ばかりはありがたい。高機動型ザクの性能、そしてこの新型兵器があれば、あの黒いガンダムを地獄へ引きずり込める。……すまねえ、マッシュ。俺たちの連携が……俺が、あのアへあは笑う小娘を舐めていたばかりに……ッ! 次は、一瞬で終わらせてやる!)

>

オルテガ(黒い二連星・隊員:剥き出しの憎悪)

「……おうッ!! ぶち殺してやる。あの黒いガンダムも、乗ってる連中も、全部まとめてなッ!!」

> (……マッシュのいねえ三連星なんて、三連星じゃねえ。あの女、絶対に許さねえ。ビームサーベルで焼かれる時、どんな顔して鳴くか楽しみだぜ。……マ・クベの提供した『パイロット付きの新型』……? フン、どこの馬の骨か知らねえが、足手まといにだけはなるなよ)

>

マ・クベの副官(困惑と畏怖)

「はっ! かしこまりました、マ・クベ大佐! ただちに小隊を編成いたします!」

> (……大佐、あんなに大切にしていた『北宋の壺』を叩きながら、あんなに冷たい目を。……二連星を『協力』と言いつつ、明らかに使い捨てようとしている。……連邦の『黒いガンダム』も化け物だが、我らが大佐の底知れなさも、相当に恐ろしいな……)

>

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