目覚めたらフラウ・ボゥだった件~知識ゼロだけど破壊されるはずだったガンダムに乗せられて一部の皆さんにしごかれる~   作:T9816

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番外編 第18.5話 :パッキングされる断末魔

アッザム・リーダーの焦熱から一夜。フラウ(俺)は、WBの洗濯室で魂の抜けた顔をしていた。

「……あは。……あはは。泡が……洗剤の泡が、昨日の俺の尊厳みたいに消えていく……」

自分の変態放送を聴かされたクルーと目を合わせられず、ひたすら洗濯機を回す。

(……もう乗らない。二度とガンダムのシートには座らない。俺は、ただの洗濯係として、この戦争を終えるんだ……!)

 

現実逃避のシャワーを浴びるフラウ。だが、鏡に映る自分の肢体は、電磁波の余熱か、はたまた羞恥心か、痛々しいほどに赤く火照っていた。

(……この身体……なんでこんなに赤くなってやがる。電磁波のせいか? それとも、俺が……俺自身の声にバグっちまったからか?)

そこへ、ノックもなしにドアが開く。湯気の向こう、軍服のままのマチルダが現れた。

「あら、フラウ。肌がずいぶん赤いわね。……アッザム・リーダーの影響を、細胞レベルで精査させてもらうわ。じっとして。これも次世代スーツへのフィッティングのためよ」

「……あっあぁ。……マチルダさん。……軍人がシャワー室を戦術拠点にするんじゃねえよォ!! その冷たい指で、俺の恥ずかしい赤みをなぞらないでくれよ!!」

 

抗う間もなく、マチルダがピッチピチの新型インナースーツを広げる。

「ちょうどいいわ。このスーツは、水分……いえ、貴女の『熱情の雫(汗)』を吸い上げることでフィット感が増す設計なの。さあ、腕を上げて。私が着せてあげるわ」

(……濡れた肌に密着して、もう脱ぐことも逃げることもできねえ! これじゃあ『物理的な拘束具』じゃねえかよォ!!)

 

マチルダの冷徹な指先が、スーツ越しにフラウの脇を締め上げる。

「……あら、脇のあたりに少し隙間があるわね。大丈夫よ、ここを少し『締め上げれば』、貴女の微細な震えもダイレクトにブースターへ伝わるようになるわ。……いい、フラウ。このスーツと貴女は、もう『ひとつ』なのよ」

(……俺をガンダムの生体部品にするんじゃねえ! 締め付けられて、俺の声が特大に外に出ちまいそうなんだよォ!!)

 

着付けを終えたマチルダが、満足げに、そして慈愛に満ちた笑顔で告げる。

「頑張ってね、フラウ。貴女が機体の中でどんなに乱れても、このスーツが全てを受け止めて、勝利へと変換してくれるわ。……さあ、オデッサを、貴女の『愛の色』で染め上げてきなさい」

(……愛の色。……俺の羞恥心の真っ赤なオーラが、戦場で一番目立つ標的(ターゲット)になる未来しか見えねえよォ!! 誰か、俺の尊厳を洗濯機で回して消してくれぇ!!)

 

シャワー室から格納庫への道。それは、フラウにとっての処刑台への階段だった。

マチルダに手を引かれ、濡れた髪のまま歩く俺の体は、新型インナーによって無慈悲に「パッキング」されている。

廊下ですれ違うホワイトベース隊員たちの視線が、物理的な熱を持って肌に突き刺さる。

(……あははっ! 見るな、見るなよォ!! 兵站ヤクザに無理やり着せられた、このピッチピチの身体を鑑賞するんじゃねえよ!!)

「フラウ、姿勢を正して。このスーツは貴女の自信(あははっ!)を糧にするのよ」

マチルダの聖母スマイルが、逃げ場のない俺の精神をさらに物理破砕していく。

 

やっとの思いで到着した格納庫。そこには、俺の「黒いガンダム」の整備を見守るアムロとカイがいた。

俺の姿を認めた瞬間、二人の動きが止まる。

「フラウ……。そのスーツ……。すごい密着感だね。……なんていうか、君の鼓動まで聞こえてきそうなほど、君と機体がシンクロしているように見えるよ」

(……アムロォォ!! その純粋すぎる感想が一番キツいんだよォ!! 鼓動が聞こえる? あたりまえだろ、羞恥心で心臓が爆発(物理)しそうなんだからな!!)

「……へぇ。皮肉かと思ったが、案外可愛いところもあるじゃねーか、フラウ少尉さんよ。その、戦うためのエロス……じゃねえや、機能美ってやつ? 悪くないぜ」

(……カイの野郎! 完全に楽しんでやがる!! 『可愛い』なんて言葉、俺への死刑宣告と同じだって分かってて言ってやがんだ!!)

 

もはや顔面はオーバーヒート寸前、耳の裏まで真っ赤に染まった俺は、這々の体で機体の陰へと逃げ込んだ。

マチルダさんの「愛」という名の拘束具(スーツ)は、無慈悲に俺の体温を逃がさず、さらに密着度を増していく。

「…………もう、やだ」

蚊の鳴くような、それでいて魂が削り取られたような掠れ声。

それは、かつての「フラウ・ボゥ」が日常で漏らしていたような、何の飾りもない、ただただ純粋な、そして心底からの本音だった。

「……こんなの、恥ずかしすぎて死ぬ……。誰か、マジで殺してくれよ……ッ!」

俺は膝を抱えて丸まり、二度と誰とも目を合わせないと心に誓いながら、ただひたすらに自分の尊厳が物理破砕されていく音を、静かに聴いていた。

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