リリカルヤンデル短編集   作:コミュニ爺

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こんにちは、コミュニ爺です。
今回はフェイトさん編です。彼女の口調が難しいこと難しいこと…。違和感等ありましたら、遠慮なく感想欄等でお知らせいただけると幸いです。

時系列的は、特に細かくは考えておりません。ただ、個人的にはフェイトさん19歳ごろを想定しております。だって、大人ぼでぃの方がタイプなんだもん…。

また、サブタイはフェイトさん視点のイメージです。勝手なイメージを押し付けてたけど逃がすものかよ、といった感じですかね。

ここで今回のオリ主くんの解説をば
名前、外見:やっぱり未設定。皆さんのご想像にお任せします。
年齢:フェイトさんと同年代。同期入隊。

※2026.05.12追記:フェイトさんサイドに合わせて一部修整しました。


『Mayday!』Cace:フェイト・T・ハラオウン

吾輩は元社畜の現無職である。名前はまだない———ごめんなさい、嘘です。

 

俺は元・時空管理局の事務職員だ。リンカーコアが非常に小さいので、魔法はほとんど扱えなかったが…。まぁ、それなりに充実した日々を過ごせていたと思っている。主に給与面的な意味でね。まあしかし、魔導師連中ほどじゃないが、事務方もかな~り忙しいのよ。管理局って。苦節数年、なんとか頑張って務めてきたけど———。

 

———いいや限界だ!辞めるねッ!!

 

ってな具合で、勢いに任せて退職しちゃいました。 テヘ♡

…うん、俺が言っても気持ち悪いだけだな、これ。かわいいけどおっかないアイツ(・・・・・・・・・・・・・・)でもないと似合わねーや。

———話を戻そう。幸い溜まりに溜まった有休はかなりの日数ある。預金だってそこそこあるから、次の仕事を探すのに集中できそうだ。ありがたいね。だが今日から三日間ほど、これまで遊べなかった分を取り戻す予定なのだ。あーっ!日中から街に繰り出せるなんてサイコー!!ウキウキ気分のまま、俺は玄関のドアを開けた。

 

「ねぇ、なんで出勤してないの?」

 

そこには死神がいた。———フェイト・T・ハラオウン、現る。

バタン。ドアを即座に閉じる。な…なぜ奴がここにいるんだ…!?俺の住んでるアパートの住所なんて知らないハズ…!いったいどうやってここに!?

俺の思考が暴れまわる中、部屋のインターホンが鳴った。で、出たくねぇ…!!

 

ピンポーン。

ピンポーン。

ピンポーン。

 

ピンポピンポーン。

ピンポピンポピンポピンポーン。

 

し、しつこすぎる…。とうとう耐えかねた俺は、怒りのままドアを開け放った。

 

「だーっ、うるせぇ!連打するなよ、迷惑だからっ!」

「心外だね。キミが寝坊したから起こしに来てあげたっていうのに」

「余計なお世話だっ!…つーか、いいんだよ仕事になんか行かなくて。もう辞めたんだから」

「あはは、嘘ならもっと考えて吐いた方が良いよ?」

「ところがどっこい、ホントなんですよこれが」

 

つー訳でとっとと帰れ。俺は今から遊びに行くんだよ。そう吐き捨てると、彼女の眼の色が変わった。怒っているのか、悲しんでいるのか、それとも呆れているのか?能面のように無表情になった彼女の心の内を与り知ることは、俺にはできなかった。

 

「…私、笑えない冗談は嫌いなんだよ。さ、一緒に行こう?」

「ちったあ俺のことを信じてくれてもいいんじゃないですかねぇ…!」

「もちろん信じてるよ?キミ仕事はダメダメだけど、嘘は吐かない人だもん」

「じゃあ尚更信じてくれよぉ…」

「珍しいよね、キミが嘘を吐くなんて。あっ、でもわかりやすくて結構かわいいかも…♡」

「ダメだ、完全に自分の世界に入ってやがる…」

 

こりゃあ粘っても玄関先からどいてはくれないだろう。察してしまった俺は溜息を一つ。渋々ながら彼女を家に上げることにした。こうなったら、元上司に通信を飛ばして、俺が退職しているという旨をスピーカー付きで伝えてやる…!本当すみません、私事で…。

 

『はい、こちら時空管理局の———支局です』

「あ、お疲れ様です———さん。●●●です。急なお話で申し訳ないんですが、局長まで繋いでもらえませんか?」

『あ、●●●くん?うん、ちょっと待っててね~』

 

保留開始から待つこと数十秒。再び通信がつながった。

 

『———はい、こちら局長です。で、どうしたんだい?用事って…』

「お疲れ様です、局長。●●●です。こんなことを聞くのもおかしいかもしれないんですけど、先日提出した自分の退職届って受理されてますよね?」

『…?あぁ、そりゃされてるけど…何せ二月も前に渡されたからなぁ。それがどうかしたのかい?』

「いえ、ちょっと気になっちゃって…。その確認がしたかったんです」

『そうか…解決したなら良かったよ。次の仕事も頑張れよ?じゃあ、達者でな』

「はい。局長もお忙しい中、ありがとうございました。失礼します…」

 

通信を切る。これで彼女も納得してくれるだろう。さ、分かったろ?俺はもう管理局の職員じゃないんだよ。早く遊びに行かせてくれよ、今まで働き詰めだったんだしさ。そうボヤきながら振り返り、彼女の方を向く。いい加減帰れよな、という意思を込めて彼女を見たその時、初めて彼女がブツブツ呟いていることに気づいた。

 

「———嘘だよ、こんなの…。嘘、嘘、嘘。この人が私に黙っていなくなるわけないもん」

「…おーい、テスタロッサさーん?」

「あはっ、そっかぁ…。局長さんたちと一緒に考えたドッキリだったんだね?いや~、まんまと引っかかっちゃったよ~」

「いや、ホントだってば。ドッキリじゃなくて正式に退職したんだって」

「もう…嘘を吐くのはダメだって、さっきも言ったよね?そんなことしてたら、誰も構ってくれなくなるよ?全くもう…私がいないと、本当にダメダメなんだから…♡」

「うぐっ、まだダメダメ言うか…。つーか嘘じゃなくってね…」

「じゃあ何なの?キミが私の前からいなくなるなんてこと、ありえないよね?だからこれは嘘なんだよ、ぜ~んぶ嘘。だってキミは私が一緒じゃないとなんにもできないんだもんね?」

 

は、話が通じねぇ…!つーかいつの話を蒸し返してるんだこいつは。お前に事務仕事を教わったのなんて、もう何年も前のことだろうが…。あまりの認識の変わらなさに泣けてくるぜ、全く。…あの頃のこいつは、もっと話が通じていたのになぁ…。いや、これじゃこいつとやってること変わんないな、やめよやめよ。頭を振って、意識の切り替えに努める。いい加減、彼女に取り合うのも面倒になってきたので、無視して玄関へと向かう。後ろからは鼻歌交じりの足音が聞こえてきた。靴を履き、あえて管理局への道とは真逆の方向に歩を進めると、グイっと袖を掴まれた。今度はなんだ…?

 

「あれ?道、間違ってるよ?ひょっとして一人じゃ出勤もできなくなっちゃった?」

「…いい加減怒るぞ、テスタロッサ。さっきも散々言ったけど、俺はもう管理局を辞めたんだよ。だからお前に着いて行く必要なんてないんだ」

「———え…?」

「あ…あんだけ言ったのにまだ信じてなかったのかお前は…。分かったら袖、離せよ。そして仕事に行ってきな」

 

冷たい言い方になってしまって胸が痛むが、さっきから長いこと付きまとわれているんだ。このくらいは許してほしい。俺は掴まれていた袖を無理やり振りほどき、彼女に背を向けて歩き出した。正直気まずいが、俺と彼女はもう関係ないのだから、気にするな。気にするんじゃないぞ、俺。出会ってしばらくは“あの娘、ちょっといいな”なんてことを思いもしたが、もう過ぎたことなのだ。忘れろ忘れろ。

ああ、でもまぁ間違いなく世話にはなったしなぁ。お礼ぐらい言っとくか、付き合いもそれなりに長いわけだし。

 

 

「ま、最後に礼も言わずに、ってのも悪いよな。今までありがとな、テスタロッサ。長いこと世話になった———」

「…きゃ」

「ん?」

「修正しなきゃ、修正しなきゃ。こんなのおかしいよね、キミがこんなこと言うはずないもん。私が修正しなきゃ、修正しなきゃ、修正しなきゃ。だって私がいないとキミはダメダメだもんね。一人じゃ書類だって上手く作れないし、鈍くさいし、そのくせ他の人にも優しくするから勘違いさせちゃうんだもん。キミが好きなのは私なのにね。可哀そうな人を増やす前に私が修正してあげないと。こんなダメな人に引っかかる人がいたら可哀そうだもんね」

「な、なんだ…?どうしたんだテスタロッサ…!?」

「うん、そうだよ。キミが管理局を辞めたら誰が面倒を見てくれるの?誰もいないよね、私じゃなきゃダメだもんね。そうだ、勝手に辞めたのは許さないけど再入局する手続きをしてあげないと。だって彼がそんなことできるとは思えないもん。うん、私がやってあげなきゃ」

「お、おい…なんか怖いぞ…」

 

ブツブツと呪詛のような独り言を続けるテスタロッサに恐怖を感じた俺は、彼女に背を向け、駆け出した。アレはヤバい、上手くは言えないが、これ以上関わるとロクなことがない。俺の直感がそう言ってる。身の危険を感じるぞ…!

 

「あ…アイツ、どうしちまったんだ!?」

———《ソニックムーブ》

「へ…?」

 

ドゴォッ!

鈍い音と頭に走る激痛と共に、俺は地面に倒れ伏した。やべぇ、意識が朦朧としてきやがる…。しかし、今の、詠唱…は…バル…ディッシュの…ま…ま…さか…。

 

———ここで俺の意識は完全に途切れた。

 

《———よろしかったのですか?サー…》

「うん、こうでもしないと彼の人生は取り返しがつかなくなっちゃうから。私がしっかり管理してあげないと、きっと惨めで辛いだけの生活になっちゃうの。そんなの可哀そうだし、私が嫌だもん。だから———」

———もう二度と、私から離れられないようにしないとね?

 

そう独り言ちた彼女の顔は、狂気すら感じる笑顔に染まっていた。倒れ伏す彼を、もう二度と離さない…。赤い瞳の奥で静かに燃える情念は、案じているはずの彼の身すら焼き焦がしかねないほどに熱く、淀んでいた。

 




ちょっとの誤解も錯覚も 許せない余裕のなさ
それが命とり

メーデー! 流されてゆく キミをつかまえるよ
緊急事態 わかっているなら 今すぐ飛び込め
Baby, シカトしないで SOS
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