今回は前回のギン姉視点のお話になります。かなり大暴走しておりますので、その辺はご容赦ください。
また、前回以上に性的描写が増えております。R18というほどではありませんが、R15タグを追加した方が良ければ、誤字脱字の報告に加えてお気軽にコメントいただければと思います。
感想、評価、お気に入り等、大変励みになります。お時間のある時にでも寄越してやってくれれば泣いて喜びます。
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彼の拳がこの身を穿つ度に、鋭い痛みと抗い難い
ただ、彼と肉をぶつけ合っていたい。あぁ、この身体に
―――こんな卑しい私を、彼は受け入れてくれるだろうか。
☆☆
初めて彼と出会った場所は、私が所属している格闘ジムだった。なんでも最近ミッドチルダにやって来たそうで、趣味の格闘技を続けられるような場所を探していたのだという。同じジムの仲間が増えるのは喜ばしいことだから、私は素直に歓迎した。
軽い自己紹介の後、彼がアップを始める。格闘技が趣味だと言っていただけあり、彼の身のこなしは見事なものだった。それからしばらくして、サンドバッグを打たせて欲しいと言われたので二つ返事でOKを出す。
―――美しい、と思った。
流麗という言葉がふさわしい動きだ。一打一打が淀みなく的確にサンドバッグを穿ち、快音を響かせる。拳打、手刀、蹴り…そのいずれもが練り上げられた動きだと誰もが称賛した。彼は照れながら謙遜していたが、事実素晴らしい技の冴えだったのだ。格闘者として、私の胸が沸き立つ。
―――彼と、戦ってみたい。
彼が承諾してくれた事もあり、すぐさまスパーリングをする事となった。彼は女の人に手を上げるのは気が引ける、と言っていたが…。しかし、そんな理由で手を抜かれては困る。その時興奮気味だったこともあり、私がジム内でも屈指の実力者であると告げると、彼の面持ちも鋭くなった。そうだ、それでいい。この場に性差など関係ない。ただ、己の武を競い合うだけだ。
―――そのはず、だったのだが。
身体がおかしい。彼の打撃を受け止める度に、痛みとはまた違う
―――また、身体の奥で
☆☆☆
それから何度も彼と手合わせをした。技のキレに惚れ込んだと嘯いて、何度も肉をぶつけ合った。もっと彼の事が知りたいと、積極的に話しかけた。幸い彼は私の事が嫌いではないらしく、快く応じてくれた。元々修めていた拳法の事や、その先生の事、彼の出身の話まで教えてくれた。
―――だが、一番知りたかったこの
残念に思うが、個人の感覚の話を聞いても仕方がないだろう。気持ちを無理やり納得させ、彼との手合わせに臨む。もう幾度となく戦ったが、未だに引き分け続きだ。今度こそは、勝利を掴んでみせる―――!気合は十分、いざ勝負!
『―――参り、ました』
『…え?』
―――勝って、しまった…?
喜び以上に、困惑が胸を埋め尽くす。確かに彼に勝つためにトレーニングの量を増やしはした。他の人とのスパーリングで、彼の動きを目に焼き付けるべく血眼になって見学もした。だが、それだけで超えられるような相手ではない。ないはずだ。少なくとも、こんな短期間で上を行けるような相手では断じてない。
―――まさか…手加減された…!?
屈辱と怒りで頭がどうかなりそうだ。彼に詰め寄り、意図を尋ねる。大人げない事は自覚しているが、そこまで引かないで欲しい。私の剣幕に押され、しどろもどろになりながらも彼は言葉を紡いでくれた。しかしその言葉は、私の心をまたしても強く掻き乱した。
『手加減なんかしてませんよ。それだけナカジマさんが努力したって事じゃないんですか?』
嘘だ。初めて戦った時は、彼はもっと強かった。彼と手合わせをするのに慣れたという事を差し引いても、だ。何か事情があったのかもしれないが、それで納得するなんて事は、とてもできない。
手加減なんかされたら、あの
☆☆☆☆
一つ分かった事がある。彼の本気を引き出すには、ギリギリまで追い詰める必要がある、という事だ。なぜ普段から本気を
あれから更に手合せを重ねた。追い詰めた状態から繰り出される本気の彼の打撃は、無意識に手加減をしているであろう打撃に比べ、受けた身に奔る痛みの鋭さと
だが、その都度申し訳なさそうな表情を浮かべるのはやめて欲しい。私はただ、
―――私は今、何を考えた?
自分の肉欲に塗れた思考に嫌悪感を覚える。彼は善意から私に付き合ってくれているというのに。
だが、それをごまかし続けるには限界だったと気付くまでに、それほど時間はかからなかった。
―――身体が彼の拳を、彼からの
気付けば私の左手は秘所に向かって伸びていた。疼く身体を抱きしめながら、私は自分を慰める。何度も、何度も。だが何度絶頂しても、私が本当の意味で満たされることはなかった。
―――欲しい。彼からの痛みが、
心が飢えているのが分かった。この身体の火照りをなんとかしてくれるのは彼しかいないのだと、身体が叫んでいた。
☆☆☆☆☆
自覚してからは早かった。何かと理由をつけては彼との手合わせを行い、その晩自慰行為に耽る。浅ましい私を知られたくはなかったから、彼の前では必死に平静を装い続けた。
私と彼の肉体がぶつかり合うたび、名状しがたい
『…あっ』
…思い出すだけでこれだ。どうやら、もう彼がいない毎日は考えられないらしい。倒錯した性癖だとは分かっているが、自分を抑える事ができなくなっていた。彼や家族にそのまま伝えることは憚られたので、ひた隠しにしてはいるが、いつまで保つのだろうか。
―――彼は、こんな私の事を嫌わないでいてくれるのだろうか。
―――彼の積み重ねてきた技で性欲を満たすような女を、好いていてくれるのだろうか?
自己嫌悪の黒い渦が、心を沈めていく。この気持ちは胸の内に秘めておかねばならないと、強く思った。
☆☆☆☆☆☆
嬉しい、本当に嬉しい!彼も私でキモチよくなってくれていたなんて!街を去ろうとする彼を引き留めようとした結果、これをカミングアウトする事になったが嬉しい誤算だ。だとすれば、もう遠慮はいらない。これからは互いに気を使う事なく
だが、なぜか彼は心に傷を負ってしまったようだ。涙を流し続け、塞ぎ込んでしまっている。でも、いつかはきっと立ち直ってくれる。そして、私に
だから、それまでは私が支え続けよう。癒してあげよう。
「―――もう放しませんよ?ずっと、ずうっと一緒です♡」
ひとりでは、もう耐えられない。彼がいない日々なんて、想像もしたくない。ここまで深いところを共鳴し合える人が他にいるとも思えない。
だから、絶対に離さない。彼の身体も、さまよっている心も。
―――さぁ、一緒にキモチよくなりましょう?
誰かとわずかに共鳴できることを
なんとか見つけだして
かろうじて繋がる
ひとりずつみんな 歩いてるこの街で
違う夢 抱きかかえ
探してる そっと 何もかも 見せあえる
もうひとりの自分を
いつまでもここに いられないのなら
旅にでも 出ればいいじゃん
でもいつか また戻ってきてしまうよ
きらいになれない My Lonely Town
さまよう心に触れて