無敵の呪術師。されど凡夫   作:実験者

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八話:友達

 

【五条悟 未だ未覚醒。されど最強】

【夏油傑 順当な成長。友と共に最強】

【天内理子 生存】

【黒井 生存】

 

【伏黒甚爾 生存】

「元禪院家の伏黒甚爾。地下監獄最下層の無間にて100年の投獄刑に処す!!」

「はっ、お前らごときが俺に判決か。滑稽だな」

「天与呪縛があるからといって図にのりおって!! 耳と口と目を塞げ!! 更に200年に刑期を引き上げる!!」

 

【禪院王土 生存】

 

 俺は上層部に呼び出されて、和室の一部屋に入ると、映画館にいた。

 

「これは……結界術。心象風景の具現化。誰が……」

 

 背後から足音がする。振り返る。

 

「誰だ……いや、待て」

 

 黒髪の美しい人だった。しかしその人物の額に横一線にある縫い目。

 俺は前世の知識で知っていた。

 

「その額の傷。それに加えてこういう事するのは羂索か?」

「へぇ、その名前を知っているとは驚いた。どこでその情報を知ったんだい?」

「前世の知識だ。俺は転生者だから」

「前世……転生者! 面白いね。時間軸ではなく別世界からの来訪者ということか。いや別次元かな。だから人生はやめられない」

「羂索さん。一つ提案がある。そしてそもそも貴方の目的も、その手段も知っている。提案を議論してもらうために語っても?」

「興味あるね」

「魂への干渉、死滅回遊、天元の支配、一億人呪霊だ。そしてその行動理由は知的好奇心。面白そうだと思ったことが面白いか確かめたい。それが貴方だ」

「ふぅん。そこまで知っているんだ。それで? 今、私が何をしようとしているか知っているのかい?」

「知らない。だからこそ、プレゼンをさせてほしい」

 

 羂索はワクワクとしている様子だ

 

「俺も娯楽が好きだ。好きなゲームはやり込むし、色々と考えてクリエイティブに遊ぶのも好きだ」

「…………で?」

「一億人呪霊で満足できるのか? やるなら全世界の人間を呪霊化させて、惑星規模の呪霊にしてみないか?」

 

 俺がそう言うと、羂索は大笑いする。

 

「日本人だけ呪力がある。だが日本人が特別なわけでは無い。海外にも呪霊が生まれるなら、そういうふうに地球環境を一変させよう」

「君、正気かい?」

「自分の手を離れた混沌が好みなんでしよう? 世界規模で呪力と呪霊が暴れる世界ならば、それに対抗する秩序を守る正義の勢力と、混沌を望む悪の勢力の戦争は、相互干渉を繰り返して進歩を進める」

 

 人為的なカンブリア爆発を発生させる。

 カンブリア爆発とは古生代カンブリア紀に起こった大規模な多様化イベントだ。

 

 元々単体で完結していた生物たちが肉食を始め、それから防御するために硬い殻を持つ生物が登場するなど攻撃と防御の相互干渉が生物の多様な進化を促した。

 一言で言えば生存競争(軍拡競争)だ。

 

「くくっ、普通は私の行動を知っていたら防ぐ方向に舵を切ると思うけど、加速させる提案をされるとはね」

「もちろん、最終目標はそれで良いとして、こちらからも幾つか条件はある。具体的には『時期』だ」

「ほう」

「俺はこれから秩序を守る組織を強化する。来たるべき混沌の世界に備えて。混沌の来訪を認めつつ、それに対抗する勢力を育てたい。加えて世界に呪力を与えて混沌にする決行日も、具体的なプランが決まってから『百年以降』に設定してほしい」

「ようは戦えるようにしたいわけだ。世界の混沌という第一フェーズ、混沌となった世界で起こる混乱と闘争という第二フェーズ、そして惑星規模の総人類呪霊という第三フェーズに対抗できるように」

「はい。たぶん俺は貴方を殺せない。しかし俺も貴方に殺されない、だけど気楽にゲームできないのは嫌だし、だったら最後は対決するとしても途中までは共生した方が楽しく過ごせる」

「詳しい内容を詰めようか。動けないようにするつもりだったけと、その提案は魅力的だ。それにどうせ、最終目的に至る過程で一億呪霊を組み込める内容だし」

「縛りの内容はお互いに利益がある内容にしよう。こちらとしては百年間俺の生存と生活環境が安定してれば満足だ。それに加えて羂索さん側の手助けをするのも条件付きで可能だ」

 

 ある程度、話が纏まると、俺は切り出した。

 

「一つ、人生の先輩として相談があるんですが、構いませんか? 俺を転生させて、力を与えた神様の話と、俺のメンタルの話です」

「とりあえず聞こうか」

 

 俺は『転生させた神様の存在』と『神様の傀儡としての付与させられた能力』。それらに『なんか引け目を感じて楽しめない』『与えられた力で行動すると、真面目に頑張っている人達に申し訳なく感じるし、自分が卑劣であると感じて自己嫌悪に襲われる』

 

 『頑張ってクリエイティブなことをしても、ズルをしている感覚のせいであんまり嬉しくない』という話をした。

 羂索はおかしそうに言った。

 

「呪力なんて所詮は道具の一つ。だから私は思うよ。重要なのは力をどう使うか、何のために使うか、だとね」

 

 呪力に限らず、あらゆるものは等価値であり無意味である。

 物事は多面的で良い面と悪い面が存在する以上、そこには正誤も貴賎もありはしない。逆説的に、正誤や貴賎もないからこそ。

 

「先天的な才能、後天的な努力、他者からポンッと与えられた嘘塗れの力で、何の対価を払わず手に入れたものでも、そんなことはどうでも良いのさ」

 

 神様に与えられた恩寵でも、地道に鍛え上げた能力でも、所詮は等価値で無意味。それぞれ良い面と悪い面がある。だからどちらでも構わない。

 

「だから大切なのは、使い方と目的だよ。さぁ、教えてくれるかな? 禪院王土。君は何がしたい? どう生きたい?」

 

 そんなのは決まっていた。

 

「楽しく生きたい。努力せず、怠惰に、痛くない安全圏で、自分の好きなことを好きなように衝動の赴くままに生きていたい。辛いことや苦しいこと、痛いことや怖いことには近づかないで、自分の心に従って楽しいものを見つけて、試行錯誤して、形にして、クリエイティブに生きたい」

「いいね。その傲慢かつ貪欲な魂。やはり人間は欲に忠実に生きてこそ、何かを成し遂げられる」

 

【縛り①】

・惑星呪霊創生計画まで禪院王土と羂索は協力する。

 

【縛り②】

・現在より百年間は、惑星呪霊創生計画が実行可能だとしても実行してはならない。

 

【縛り③】

・互いに情報を口外せず、王土と羂索は危害を加える行動してはならない。その範囲は本人の肉体と術式とする。

 

【縛り④】

・現在の社会を一変させる計画の準備が整った段階で、禪院王土に通達される。また王土には、それを防ぐ権利と猶予時間として10年が与えられ、羂索は計画を始動させてはならない。

 

【縛り⑤】

・禪院王土は羂索に魔虚羅を一体、貸し出す。

 

【縛り⑥】

・以上の縛りは惑星呪霊創生計画の準備完了と、百年の経過を持って終了となる。貸し出された魔虚羅は返却義務が発生し、10年以内に返却されない場合、ペナルティとして、魔虚羅が所有する羂索を攻撃対象として、排除行動を開始する。

 

「よろしく、王土」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 今日この日、俺は友達が一人増えた。

 絶対ぶっ殺してやる。今の娯楽がたくさんある社会を壊されてたまるか。

 

 

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