百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
「あ、2人を待たせてるから名前とか姿とか決めちゃわないとなんだけど」
「……そっか〜! そうだよねっ、じゃあ決めちゃおーうっ!」
多少強引だったかもしれないけれど、待たせているのは事実だからね。
……ん?
「いや、ボクの名前はよろづなんだけど」
「?」
そこに表示されている名前はよろず、だった。
あれ、おかしいな。
「よろづはやっちょのよろづだもん」
「にゃ……まあキミがそういうのならボクにとやかくいう権利はないんだけどね」
名付け親直々に独占すると明言されてしまった、まあよろずの方も呼ばれ慣れてるんだけどさ。
「それに、万が一バレたら困るし」
「?」
「こっちの話……じゃあじゃあ、ここからはよろづを着飾っていくお時間ですっ!」
彼女が指を鳴らすと同時にボクの目の前に画面が表示される。
ボクの姿やその周りには耳や服などのパーツが映っている。
「まずは猫耳はマストだよねっ! それに〜」
「ボクの姿なのにボクの意思は無視かい?」
「よろづに任せたら適当でよくない? って言い始めちゃうからね〜、やっちょはよろづを可愛く仕立ててあげたいのですよ!」
「にゃはは、バレてるね」
さすがヤチヨ、ボクがボクに無頓着なのをよくご存知だ。
まあこれでも8000年の付き合いだし流石に、なのかな? とは言え派手にされても困るんだけど。
「や」
「遅かったね、よろず」
「遅ーい!」
「にゃはは、ごめんね、衣装の数が多過ぎて目を回してたんだ」
律儀に待っていてくれた彩葉たち。
いやぁ、ヤチヨが次々に衣装を着せ替えていくからそこも大変だったね。
「というか……ふふっ」
「?」
「金髪ギャルいかぐや姫に、ピンクの猫耳巫女って……」
「まあ色々迷走したんだよ、うん」
「よろずかわいー!」
ヤチヨに任せた結果何が生まれたのかというと。
ピンク色の毛並みに、いわゆる巫女服を組み合わせたアバターだ。
現実じゃあまず見ないかな。
「現実だと髪長いし白黒だしで、ほんと印象変わるね」
「気に入ってもらえるならこっち基準にしてもいいかなって思ってさ」
現実は現実でちょっと珍しくはしてるんだけどね、万が一誰かと被っても困るから。
「いろ……はどっちがいい? キミの判断に任せるよ」
「現実の方」
「おや、即答とは意外だね」
「かぐやも!」
「ほうほう」
もうちょっと悩んでくれた方が、このキャラを作ったヤチヨも喜ぶと思うんだけど。
2人ともそこまでバッサリとは思わなかったな。
「あっちのが元の姿にも似合ってるし……いや、何でもない、でもどっちかって言われたらあっちがいい」
「そっちも好きだけどあっちがやっぱり1番可愛いから!」
「にゃはは、お褒めに預かり光栄だ」
まあこれを作った本人も、
彩葉大好きなかぐや2人はともかく、彩葉本人は意外だったかも。
「私のものってわかるから、うん」
「?」
「……よろずは私の飼い猫だし」
「まあそうだけどね」
ヤチヨもだけれど、ちょっと独占欲強くないかいキミたち。
ただの化け猫だよボクってば。