百万回超生きたねこ   作:百万回死んだねこ

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色は匂えどよろづありて

 どうやらこの世界、彩葉の見ていたあの映像……表現者? という形で色々なことをして、それが第三者に認めて貰えればふじゅ〜という通貨がもらえるらしい。

 

 

「ねーねー2人とも! 面白そうなものがたっくさんあるよっ!!」

 

「そうだねぇ」

 

「でしょ〜! あ、あれおいしそう!」

 

 

 

 これだけ鮮やかな世界ともなると、かぐやの好奇心が爆発してしまうのも仕方のないことだろうね。

 おそらくヤチヨが興味あるものから実装してそうだし、それならかぐやも好きだろうから。

 

 

 

「でもかぐや、この世界だと味覚はまだ再現されていないと思うよ?」

 

「そうそう、匂いとか味とかはまだまだ再現できてないみたい」

 

「えぇ〜っ!?」

 

 

 

 あはは、相変わらず感情の起伏が激しいね。

 こんな子だからこそ、見てて飽きないと言えるんだろうね、かぐやは。

 

 

 

「本物はないの〜……?」

 

「実際に届けてくれる機能はあるけど、うちはお金ないから無理だよ」

 

 

 

 なるほど、味覚の部分は現実の食べ物を利用しているのか。

 ……あれ、でもヤチヨって。

 

 

 

「……時間だ、よろず、かぐや」

 

「ん」

 

「どうしたの?」

 

 

 

 こまめに時間を確認していたなとは思ったけれど、今日予定があったんだね。

 とはいえいつも忙しい彩葉が、この世界で予定があるなどと言えばそれは。

 

 

 

「ヤチヨのライブ、せっかくだから2人も見よう」

 

 

 

 そう、ヤチヨのファンで、この世界はヤチヨの舞台だ。

 推し活以外にありえないだろう。

 

 

 


 

 

 

「よろず〜」

 

「ん、疲れたのかい?」

 

「んーん、ぎゅーって」

 

「はいはい」

 

 

 

 かぐやはいつでも人肌恋しいみたいだね、温もりに飢えていると言うべきなのか。

 まさかこの世界でもくっ付いてくるとは。

 

 

 

「んー……よろずの匂いしない、でもあったかい〜……」

 

「にゃはは、よしよし」

 

 

 

 ご不満みたいなのでとりあえず撫でておく。

 ボクこういう技術面には全然詳しくないからね、誤魔化すしか手段がないのさ。

 

 

 

「よろず〜、大好きぃ……」

 

「ボクもかぐやのこと好きだよ〜」

 

「えへへ」

 

 

 

 ……。

 そう言えばボクってどんな匂いをしているんだろうか、かぐやが頻繁にくっ付いては良い匂いだと言ってくれているんだけど。

 ボク自身じゃよくわからないんだよね、その辺り。

 

 

 

「ねぇいろ、ボクってどんな匂いしてるの?」

 

「えっ?」

 

「いや、かぐやがよく言及するから少し気になってね」

 

 

 

 ということで1番よく知っているであろう彩葉に聞いてみる。

 総合回数だと地味にかぐやよりくっ付いてるからね、期間が長い分。

 

 

 

「んー……なんというか、すごく安心する匂い、的な」

 

「安心するんだ」

 

「うん、ずっと側にいたくなる」

 

「ふむふむ、ありがと、いろ」

 

 

 

 ずっと側にいたくなるってそれなんかだめな成分含まれてないかいボク。

 まあ実害がなければいいんだけどさ。

 

 

 

「始まるよ」

 

「ん」

 

 

 

 なんてことを話していると。

 周囲が暗くなり、先の場所にそびえる巨大な鳥居のみが照らされ始める。

 あそこにいるのは……。

 

 

 

    おまたせっ!」

 

 

 

 月見ヤチヨ、この世界で1番のアイドルだ。

 

 

 

「ヤオヨロー! 神々の皆ー! 今日も最高だったー?」

 

 

 

 彼女のライブかぁ。

 ご主人が動画で見ているのを見たことはあるけれど、本物は初めてだ。

 

 

 ……うん、ちょっぴり……いやすっごく、楽しみにしてるボクがいる。

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