百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
「 」
……これが、ヤチヨか。
すごい、ただとにかくすごい。
「にゃは……うん、綺麗だ」
幾千もの時を経て、彼女はこうやって輝いているんだ。
ああ、それは本当にすごいことで。
「良かった、本当に……良かったね」
彼女は、どういうわけか8000年前から一緒にいたけれど、現代で生まれ育ったかぐやなのだという。
それはつまり、あの時ひとりぼっちになってしまったということに他ならなくて。
かぐやは、見ての通り人懐っこい子だ、それなのに彩葉と離されて過ごして来たのだと言うのは、ボクには想像もつかないくらい辛いことだっただろう。
ヤチヨがかぐやだと知って、走馬灯の如く思い出されるかぐやとの思い出で、あれはそういうことだったんじゃないかと今になって予想してしまう。
「よろず、悲しそう」
「ん……ああ、ごめんね、ちょっとだけ思い出してたんだ」
ただの化け猫なボクには、彼女の辛さをわかってあげられない。
「
ヤチヨも、隣にいるかぐやだってもちろんそうだ。
「大好きだよ」
幸せになって欲しいと。
彼女が経験する、もしくは思い出として残るあの日々が、彼女たちを癒してあげられていたなら良いなぁって、思うくらいは許して欲しい。
楽しいことも、辛いことだってあったけどね。
「? かぐやも、彩葉とよろづのことはずっと、ず〜っと好きだよ!」
「……うん」
身体の奥がぐちゃぐちゃになりそうな何かに、満たされていて。
……こんな思いを、死ぬ時以外にするなんてね。
「にゃは、落ち着いたかい彩葉」
「無理、尊い、しんどいよぉっ……!」
「これはしばらく治らないね」
なーんて、ボクはボクですごい感慨深くなってはいたんだけど。
それよりさらに感情が爆発してるご主人がもう一つ隣にいたね、思わず笑っちゃったよ。
「むー……!」
「かぐや、どうしたの?」
「なんかもやもやするー……」
「ライブ、楽しめなかった?」
「そうじゃないよっ! ……でもぉ〜!」
かぐやは、何らかの葛藤を抱えている様子。
交互にボクともう一つに移り変わる目線の先には……ああ。
なるほど、彩葉がヤチヨばっかり見てるからちょっぴりやきもち妬いてるのか。
「ここでお知らせ! YACHIYOCUPっていうイベントを開催します!」
「ん」
ヤチヨカップ……うん、多分イベントの告知だよね?
彼女の名前が入ってるみたいだし、相当大きそうだ。
「優勝者には、ヤチヨとのコラボライブの権利を進呈しちゃうよっ!」
「……うっそ!?」
「そんなにすごいの?」
「すごいなんてもんじゃなくてっ! ヤチヨは配信コラボはあったんだけど、ライブのコラボは今まで一度もないの!」
「へえ、そりゃあ豪華だね」
初めてのコラボライブの権利を賭けたイベント。
それに偶然居合わせた、初ログイン初ライブのかぐや。
……やちよ、もしかして?
「……!」
出来すぎているタイミングの答えを求めて、ヤチヨの方を見ていたら目が合っちゃった。
なんか一際嬉しそうになったの気のせいだよね、多分。