百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
「にゃはー、困っちゃうよね」
どうしよう最近は逃げ場がなくて困ってる。
かぐやは配信を頑張ってるんだけどヤチヨがね、暇あるごとにお忍びと称してボクのとこ来るから気が気じゃないんだ。
ばれると彩葉が荒ぶる魂になるから……ね?
「とは言えかぐやの配信は見たいからなぁ」
それが理由じゃなきゃツクヨミにボクがログインする理由あんまりないんだよね、彩葉は忙しそうだし。
楽しそうにゲームとか雑談とかしてるかぐやは見てるこっちも楽しくなれる。
「ヤッチョの配信は見てくれないの?」
「見てるよ」
ほら、今日もやって来た。
ボクがふらふらと訪れる場所ってば人気が少ないからさ、ヤチヨにとっても絶好のお忍びスポットみたいになってるよね。
「にゃは、ヤチヨってばすーぐボクのとこ来るよね、どうしたのさ」
「よろづのとこに来るっていうか……昔はいっつも一緒にいたでしょ?」
「そうだぞ!」
「そうだねぇ」
確かに。
ウミウシの身体じゃ移動が不便だったから、ボクの背中に乗せてたんだったっけ。
あの頃のことを思うとちょっと懐かしいかも。
「いつからだったかな、キミが外を出歩かなくなったのは」
「あの頃のヤッチョはツクヨミを作ろーっ! ってそっちに夢中になっちゃってたから……その節はよろづにもご迷惑をおかけしました」
「謝らないでよ、ボクはボクで色々見て回ってたんだからおあいこさ」
8年前、ボクがおそらく死んだ時。
それまでは当たり前だった何かが壊れて、ボクはこうやって彩葉の飼い猫になったんだからね。
何をしていたのかを全然思い出せないのは偶にキズなんだけど。
まあ、ボクのことだし変なことはしていないと思うよ。
「あ、そう言えば」
「?」
「よろづってば、どこで彩葉のことあんなに誑かしたの〜? ヤッチョびっくりしちゃったんだからね」
「んー」
「前々から仲良いなーとは思ってはいたけど、側から見たときの視線がお熱いことお熱いこと」
「ボクにも覚えがないよね、うん」
当時のボクとしては猫要素が癒しになればいいなって軽い気持ちだったんだよ、偶然見つけたぼろぼろの女の子を癒せたらって。
そしたらその子が後々かぐやを拾ったり、彼女がファンをしているヤチヨがボクの知ってる方のかぐやだったりでこっちが翻弄される始末だからね。
「運命って言葉があるのなら、それはあの子を中心に回ってるんだろうとは思うよ」
「……そうだねぇ」
「あとキミも」
「えっ」
なんやかんやで、2人とも神とやらに愛されているのは間違いない、本当にそんなのがいるならだけど。
退屈はして来なかったわけだし。
「8000年キミといたボクが保証するよ、キミたちと彩葉は運命に愛されてるってね」
「……そんな運命、ヤッチョは嫌いです」
「にゃはは、ボクはちょっぴり好きだなぁ」
「むぅ〜」
おかげで普通の猫には体験できないいろんなことを体験することができたんだ、ボクはちょっとだけ好きだよ。
だからそんなにむくれないでおくれよ、ヤチヨ。
「いじわるなよろづも嫌いですっ!」
「むむ、ボクは大好きなのに困ったなぁ」
じっと拗ねてしまったヤチヨの方を見つめる。
「……」
「だめかい?」
「そ、そんなに見つめたってだめだよよろづ。ヤッチョは許しませんっ」
「……だめ?」
「……む、むむむ〜!」
にゃはは、かぐやにおねだりされてる彩葉もそんな感じに悶えてだね。
いとかわゆし、それでこそ弄りがいがあるってものさ。
「よよよ〜、今日のよろづはいじわるなのですよ」
「ちょっとしたお返しさ、いつもボクが驚かされてばかりだったからね」
この猫がボカロカバーするとしたら何歌うんでしょうか……?
と、何となく思ったり思わなかったり