百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
「ねえ」
「ん、よろずどうかした〜?」
「ちょっと気になったんだけどさ」
彩葉の体調も落ち着いて、またちょっぴり忙しい日々が戻って来たときのこと。
「何でボクたち水着を選ぶコーナーにいるんだい、しかも彩葉のお友達2人も一緒に」
「それはねー」
なんでかな、ボクとっても嫌な予感がするんだよね。
み、から始まるボクが種族単位で苦手なものの気配が。
「……皆で海水浴に行くから、だよっ!」
「……」
ああやっぱり。
……逃げていいかな?
「え、いや行きたくないんだけど」
「ええっ!? そ、そんなこと言わずに〜」
「うんごめんね、ボク水だけはどうしてもだめなんだ」
体温が下がるあの感覚が本当に苦手でさ。
死ぬ時も寒いって感覚はあるけどそっちは死ぬから問題ないって思える、でも命あるままにあんな寂しさを感じたくないよ。
「お願いっ! ビーチで見てるだけでもいいからっ!」
「うーん……」
「そうすると私も彩葉も喜ぶ! な、なんならいの1番にかぐやの水着を見せたって……ね?」
「?」
……?
はて、それがどうかしたのだろうか。
「かぐやの魅力が全く意に介されてなーいっ!?」
「えーっと」
「むー、よろずってば手強いな〜」
「……」
……ああ、なるほど。
人間って好きな相手の水着に興味があるんだっけ、恋愛とかの。
それボクじゃなくて彩葉に見せるのが先じゃない?
「え? うーん……彩葉はもっちろん大切だよ? でもねー」
「うん」
「よろずだって大切に決まってるじゃん」
「ん……」
「どっちかしか大切にしちゃいけないなんてこと、ないでしょ? だからかぐやはかぐやの大切な人をみーんなぎゅ〜っと掴んで離すつもりはないよっ!」
「……」
……ええ。
欲張りさんだなぁかぐやってば、いやまあその理論を押し通せるくらいの行動力は持ってることをよく知ってるけどさ。
「……それこそ、私の選ぶハッピーエンドへの第1歩だからね!」
「あははっ、かぐやってば欲張りだなぁ」
「そうじゃなきゃハッピーエンドなんて選べないでしょ?」
「……確かに、理想の未来を掴み取る人間はいつだって強欲なものだった」
彼らは狂ってるって言えるぐらいには凄まじく強欲だった、それに比べたらかぐやの欲なんて真っ当なもんだね。
そして皮肉なことに、遠慮したり取捨選択をした人よりもっと強欲で、ちゃんとしっかり行動していたからこそ夢を叶えていた。
「わかった」
「!」
「水は苦手だけど、かぐやの夢を邪魔するわけにもいかないからね。お供させていただきます」
「……にひひっ! やったー!」