百万回超生きたねこ   作:百万回死んだねこ

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猫又の囁き

「にゃぁーっ!」

 

 

 

 説明が終わった後、とりあえず真ん中に陣取ることにしてみたのだけど。

 やっぱり、亡霊武者や竜を呼び寄せるだけでは迫力が足りないね。

 

 

 お祭り好きなヤチヨが、こんな時に用意した新要素が地味と言われてしまうのはボクは嫌だ。

 しかし招き猫という役割である以上自ら動くというのも……だよねぇ。

 

 

 

「にゃうん」

 

 

 

 ……いっそのこと、この辺りの雰囲気をおどろおどろしく変えてしまおうか。

 青い火の玉を浮かせたりとかしてさ。

 

 

     人間の夢想する妖怪(ばけもの)の世界を、ボクが魅せてあげようじゃないか。

 

 

 


 

 

 

「あれ?」

 

「なんか……」

 

 

 

 いつものマップじゃないと、彼ら彼女らは気付いたみたいだ。

 さぁ、思う存分楽しんで(おどろいて)くれよ?

 

 

 

「っ」

 

「キヒヒヒヒ……」

 

 

 

 道なき道行く彼女らの眼前に(あらわ)るるは狐の怪。

 其れなるは9つの尾を持ち、国を傾ける霊獣。

 

 

 

「……はは、こりゃあもう別もんじゃないか」

 

「オ、オオオオッ……」

 

 

 

 人魂に導かれた鬼が出会(でくわ)せしは大異形。

 其れ等は未練残りし魂集いて形を成した骨の妖。

 

 

 

「九尾の狐と餓者髑髏(がしゃどくろ)。初めてにしては結構いい出来だと思うよ」

 

 

 

 何されてもいいってヤチヨが言ったんだから。

 これくらいは、許しておくれよ。

 

 

 

「にゃあ」

 

 

 

 無論、ボクを倒せば2体の怪物も消え失せはするけど。

 こんなに薄暗くて異形蔓延る環境の中、小さい猫1匹を探すのは至難の業だから……。

 

 

 

「見〜つ〜け〜……」

 

「?」

 

 

 

 ん、上から声が……。

 

 

 

「たぁーっ!」

 

「ふぎゃっ!?」

 

 

 

 大きい槌と共にかぐやが降ってきた。

 なんでそんなすぐ見つけられるのかなっ!?

 

 

 

「キリがないからよろづ丸を狙えって彩葉が言ったんだよねっ!」

 

「にゃ」

 

 

 

 流石彩葉無駄がない、速攻囮を買って出るなんて。

 とは言え、かぐや1人だけなら……っ!

 

 

 

「にゃあっ!」

 

「うおっと、結構やり手の猫ちゃんだなっ!」

 

 

 

 背後から一撃を放って来た鬼は……(みかど)、だったかな?

 かぐやに求婚する不埒な輩だ。

 

 

 

「雷が居なかったら、まんまと時間稼ぎされるところだったぜ」

 

「夢見せるんじゃなかったの?」

 

「こういう展開も夢の1つなのさ、かぐやちゃん」

 

「にゃああ……っ!」

 

 

 

 ……なんでこうなるのかな?

 張り切り過ぎちゃったかなボク、というかボクを倒すのが目的じゃないからねキミたち。

 お互い敵だからね。

 

 

 

「よろづ丸はかぐやのだよっ!」

 

「……ヤチヨちゃんのじゃなかったっけ?」

 

「なんだか渡してちゃだめな気がするから」

 

「全く、罪な子猫ちゃんだ」

 

 

 

 ボク何もしてないんだけどね、うん。

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