百万回超生きたねこ   作:百万回死んだねこ

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キミのためならば

「ふあぁ……」

 

「眠いの? よろづ」

 

「ん、まぁね。ここまでずぅっと歩きっぱなしだったから」

 

 

 

 それはとある旅の途中の出来事だったか。

 もと光る竹……の使い魔的な存在らしい光るウミウシ、かぐや。

 ボクの旅の主導者である彼女はよく、自分が人間だった時の未来の話、というまた妙な話をする。

 

 

 

「ごめんね、よろづにばっかり歩かせて」

 

「気にすることはないよ、キミに歩かせる方が酷ってものさ」

 

 

 

 ボク自身、彼女の話を聞くことが好きだったから、ずっと聞きっぱなしではあるのだけど。

 ふと、あることが気になった。

 

 

 

「かぐや」

 

「ん、なーに?」

 

「キミはそのニンゲンに出会ってどうしたいんだい?」

 

 

 

 その疑問というのは、よく話題に出てくるいろ何某というニンゲンについて。

 何回も名前を聞いてはいるのだが、いかんせんボクってば記憶力が良くなくてね。

 それはさておきだ。

 

 

 

「え?」

 

「キミの友人は、今よりずっと先の時代で、キミと出会ったんだろ?」

 

「うん」

 

「だったらそれって、ニンゲンの方はキミのことを……」

 

 

 

 だってキミはウミウシだし、覚えていないのなら会う必要はあるのかい? と。

 言おうとしたのだが……。

 

 

 

「大丈夫」

 

「?」

 

「かぐやはイロハが大好きだから、ずーっとね!」

 

「……キミたちのことはよくわからないね」

 

「えへへ、よろづも大好きだよ!」

 

「そうかい」

 

 

 

 という、凄みを帯びた目で、答えにもなっていない様な超理論を提示されてしまいどうにも言えなくなってしまったんだったかな。

 かぐやらしいよね。

 

 

 

「やりたいこと、かぁ」

 

「うん」

 

「……えへへ」

 

「どうしてこっちを見て笑うのかな」

 

「何でもなーいっ!」

 

 

 

 超理論の次は顔芸ときた。

 ボクはキミやキミのお友達ほど把握能力は高くないんだけれどね。

 

 

 

「……うん、紹介する、かな」

 

「紹介? 誰を」

 

「そりゃあもちろんよろづをだよっ! 私の大事な大事な……私だけのよろづだもん!」

 

「まるでキミのじゃないボクがいるみたいな言い方だね」

 

「だってイロハにはよろずが付いてるし……」

 

「? ボクはボクだけど」

 

「……何でもないっ!」

 

 

 

 よくわからないね、人間たちの考えることってのはさ。

 言葉に二重三重の意味を添えてどういう意味があるのかとか、かぐやの持つ謎の信頼感とか。

 

 

 当時のボクにも、当然今のボクにも。

 彼らの考え方や感じる世界だとかは、とても眩しくて、遠くて、そして羨ましいものだと感じさせられるのだ。

 

 

 

「……にゃ、ここら一旦休憩だね」

 

「うん! えへへ、今日はどんなお話しよっかな〜!」

 

「……」

 

 

 

 あと、ちょっぴりだけどそのニンゲンが気になったり。

 ここまでかぐやが惚れ込む相手だからね、少し、いやかなり本人のことが気になってるんだよね。

 

 

 

「キミは、どんな人なのかなぁ」

 

 

 

 すごく強いのだろうか、それとも弱みのない人なのだろうか。

 ……まあ、実際は無理無茶ばかりして、中々目の離せないヒトだったんだけれどね?

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