百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
さして語ることもないだろうから、結論だけ言わせてもらおうか。
この勝負はかぐやたちの勝ちで、試合はかぐやたちの負けだった。
「1位……!」
「にゃは、すごいねぇ」
KASSENというかぐやと帝の個人的な実力勝負は帝が勝った、けれどヤチヨカップという大規模な大会では、かぐやたちが人気を勝ち取ったということだ。
いわゆる、勝負に勝って試合に負けたという具合。
「ヤチヨ、キミはこうなることを……」
3人でわいわいとやっている彼女たち。
……ま、努力が報われるというのはとても良いことだろうからね、今はそんな野暮なことはなしだろうさ。
「ROKA、まみまみ」
「ん、どしたー?」
「ボク、先に戻ってるね。2人はかぐやたちのとこに?」
「え、そのつもりだったんだけど……よろずは良いの?」
「ああ、これは彼女たちやキミたちの努力の証だ、何もしていないボクが関わるべきじゃない」
「そんなことないんだけど」
「……っていうボクの個人的な所感さ。要するに気まずいだけ、彼女たちのお祝いは現実でするから。……またね」
と、足早にツクヨミを去る。
配信活動には非協力的な立場だったという負い目がちょっとね。
彼女たちはボクとも手を取り合って喜んでくれるのだろうけど。
「……スマコンって目が疲れるよね、ほんと」
取り外したスマコンを片付けて、2人が戻ってくる前に家を出る。
「さて、何をしようかな、お祝い」
生憎料理はからっきしだからねボク、そういう方向性は不可能。
かぐやも彩葉も料理ができるからねぇ、中々なんとも不甲斐ない。
となると何も出来なくないかという結論に至りそうになってしまう。
クラッカーは音が大きくてボク鳴らせないし、下手に大掛かりなものを買おうとしても運べないし。
……あれこう考えるとボクってだいぶ無能なのでは?
「んにゃあ、悲しみの向こうへ行きそう」
……とりあえず、ふらふらーっとお店を歩き回って考えようか。
何かいいものが見つかるかもしれないし。
「んー……結局、お祝いなら美味しい料理が定番だという考えが纏まっただけ?」
美味しい外食を頼むというのも手かもしれない。
いやしかしそれだと彩葉が……うーん。
「ボクはかぐやみたいに、意見を押し通せるわけじゃないからねぇ」
理屈をこねこねすることくらいはできるけど、それが通るのは彩葉が限界になっていたりする時だけ。
こういう場合の彩葉は強敵なのさ。
「……」
近所の猫たちに聞いたっていい案は出てこなかったし、本当にそろそろお手上げになりそう。
……しかし綺麗な月だねぇ、今日は。
「考えがまとまらなさ過ぎて変な方向にばかり行っちゃうなぁ」
放浪しすぎて大きな公園の並木で座っちゃってるからね。
「足もぷらぷら、ボクはふらふら、考えはばらばら。さてどうしよう」
いい景色だ、こういう場所にこそ彩葉が癒されて欲しい
「よろずっ!」
「んにゃ?」
ちょうどいいところに、息を切らした彩葉が現れた。
……なんでそんな走って来てるのさ?