百万回超生きたねこ   作:百万回死んだねこ

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百万回の一生涯

「あ、キミたち」

 

「にゃーん?」

 

「ごめんね話を遮っちゃって、好奇心旺盛な……そうだな、薄めの髪色をしたヒトの女の子、知らないかい?」

 

「にゃにゃーん」

 

「うーん、見てないかぁ。ありがとね」

 

 

 

 野良猫たちも知らないとなると本当に手がかりがない。

 もしやと思って彩葉のバイト先もちらっと見てみたけどいなかったし。

 

 

 

「ご主人が行きそうな場所なんてわからないからなぁ」

 

 

 

 ボクが詮索するのも悪いと思ってあんまり学校生活なんかには触れて来なかったんだよね。

 バイト先も名前だけ聞いてたのを散歩中にたまたま見つけただけだったから。

 

 

 

「うん?」

 

 

 

 ふと周りを見渡しながらふらふらと歩き回っていると。

 先程の猫たちが別の猫を連れて来ている。

 

 

 

「どうしたのさ」

 

「なーご」

 

「え、それっぽい子を見た?」

 

「なぁー!」

 

 

 

 ふむふむ、ちょっと先に行ったところの綺麗な高所のお店。

 ……ああ、あの新しいカフェかな?

 

 

 

「ありがとう、行ってみるよ」

 

「にゃん!」

 

 

 


 

 

 

「見つけた」

 

 

 

 お店の中には、こっそりご主人と……その友だち2人の席に近付いていくかぐやの姿が。

 ……あれ、確実に狙ってるよね?

 

 

 

「……」

 

 

 

 ご主人には楽しめるところで楽しんで欲しいから阻止しようか。

 かぐやには……うん、ボクが払えばいいや。

 

 

 

「こーら、だめだよかぐや。彩葉にも食べてもらわなくちゃ」

 

「わぶっ!? よ、よろず〜!」

 

「代わりと言ったらアレだけど食べたいの頼みなよ、ボクが払うから」

 

「! やたっ!」

 

「かぐや、ヨロズっ!?」

 

 

 

 とは言えギリギリだったから、まあ彩葉たちにはバレちゃった。

 

 

 

「ごめんね彩葉、かぐやはボクじゃ止められなかった」

 

「い、いやそれは仕方ないけど……どうしてここに」

 

「ボクはかぐやを追って来たんだけど……多分、かぐやがキミたちを追ってたのかな?」

 

「なっ」

 

 

 

 予想通り彩葉はとても驚いているみたい。

 まあそりゃ驚くよね、家にいるはずだったんだし。

 

 

 

「えーかわい! 何々彩葉の友だち? パンケーキ好きなの?」

 

「初めまして、彩葉のかいね……じゃなくて、親戚筋のよろず、こっちは同じく姪っ子のかぐや」

 

「月から来たの!」

 

 

 

 え。

 そう言えばかぐやってかぐや姫のお話が好きでかぐやになったんだっけ。

 月から来たの?

 

 

 

「つ、築地! 築地から来たんだよねっ!」

 

「……あ、ああ、かぐやとボクは家が近かったから、今はちょっとだけ彩葉のとこでお世話になってるよ」

 

「へー! よろずちゃんかぐやにちょっと似てるし、流石親戚って感じだね〜」

 

「にゃ……あはは、ありがとう」

 

 

 

 とてもまずい。

 ボクが人間として振る舞う経験に欠けているから、彩葉にするのと同じように振る舞いかけてしまう。

 にゃははとか飼い猫だとか、彩葉じゃないと受け入れてもらえないと思うし。

 

 

 かぐや自身の方は隠す気かないとも言うけれど。

 

 

 

「ボク自身、彩葉に似てて嬉しいよ」

 

「なっ、か、揶揄わないでよヨロズ!」

 

「本音だよ?」

 

「ぐっ……もう!」

 

 

 

 似せて作ったとは言ったけれど、割と自信作だからねこの姿。

 それが褒められるというのであればそれはとても嬉しいことだよ。

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