百万回超生きたねこ 作:百万回死んだねこ
「わあぁ……っ!」
「ふふ、召し上がれ」
「うん! ……おいしーい!」
ふふ、ほんと幸せそうに食べるよね、かぐやって。
彩葉のパンケーキが守られてかぐやも美味しいパンケーキが食べられた、よきかなよきかな。
「ん」
「……? どうしたの彩葉」
ふと振り向いてみると、こちらにパンケーキを一枚差し出す彩葉が。
まだ全部食べてなかったのかい?
「どうしたのじゃなくて、早く食べてよ。腕疲れるから」
「彩葉が食べなよ、ボクは大丈夫だからさ」
「ヨロズだって人のこと言えないことずっとしてるでしょ、そのお返しだよ」
「う」
こっそり甘やかしてしまえという作戦がバレてしまった。
「食べないと今までの分全部お返しするからね」
「……わかったよ」
降参だ、せっかく楽してもらう為にして来たのに、それを返すという名目で彩葉の負担になってしまったら元も子もない。
「あむ」
「ゆっくりでいいからね」
……わ、おいしい。
ふわりとしたパンケーキに、甘いクリームが程よくマッチしている、のかな?
「おいしいね、彩葉」
「……ふふ、でしょ? ほら、まだ残ってるから」
「うん」
残りも味わって食べていく。
……これじゃあ彩葉のを狙ってたみたいでなんか複雑だなぁ、こうなるなら自分で頼んだのに。
「なんかよろずちゃんはよろずちゃんで小動物じみててかわいー」
「だね〜、一口が小さいからかな? かぐやちゃんとよろずちゃんを両手に抱えてるとは、彩葉も隅におけませんな〜?」
「なっ、そ、そんなんじゃないからっ!」
「?」
小動物じみてるというかほんとに元は小動物、化け猫なんだけどね。
うーん、一口が小さいというのはそういう印象を与えるのかな。
かぐやの食べ方の方がおいしそうに見えてボクは楽しいんだけど。
「あ、ほらクリーム付いてる」
「ん……ありがとう、彩葉」
「どういたしまして」
うん、それはそれとして彩葉のお母さんパワーが強すぎる、ボクが流されてしまってるし。
「かぐやも詰まらせないように食べてよね。せっかくヨロズが買ってくれたんだから」
「ふぁーい!」
「あっははー! 彩葉お母さんみたいじゃん」
「っ……ほらかぐや、早く食べて! ああでも詰まらせたら……っ!」
「まあまあ彩葉、かぐやもおいしそうに食べてるから」
気恥ずかしさに耐えかねて、直前の言動や態度とは裏腹に急かしてしまっている。
かぐやも彩葉も楽しそうだから、ボクとしては一安心だよ。
「いやぁー、さっきの建物の中涼しかったねー!」
「そうだね」
長居はまずいと思い至った彩葉に連れられて、ボクたちは帰路についていた。
あのあとかぐやまでこっちにパンケーキ差し出してきて食べるの大変だったよ、ボクそんなに急いで食べられないからね?
「あれ彩葉ん家でもできないのー?」
「できない、というか正気? 正体バレたらどうすんの? なんでヨロズの言うこと聞いて家にいなかったの」
「だってつまんないんだもん! よろずだけじゃなくて彩葉とも一緒にいたいー!」
「あのね……」
彩葉は呆れたように何かを言おうとして……辞めた。
うーん、何か思い出してたみたいだけどどうしたんだろうね。
「あ、あとこれ!」
「ん? あれ、私のスマコン持って来た?」
「彩葉のノートPCで買った!」
「……えっ!?」
それを聞いた彩葉は携帯を見て……ふふ。
「あれ、残高減ってない?」
「えー?」
「あんたもしかして……」
「えっ!? い、いやいやほんとに買ったんだよ!?」
「それはそれで……って」
そこまで言って彩葉がこっちを見る。
……相変わらず察しが良すぎるんだよね、ボクのご主人サマって。
「ヨロズ」
「ん、なんのことかな。ボクは何にもしてないよ」
「……よろず」
「……」
……。
真剣な面持ちで問い詰められても、ボクの意見は変わらないよご主人。
こんなことでもないと使い道ないし。
「はぁ、かぐやと一緒にちょっと待ってて」
「え?」
「いいから」
しょうがないと言った感じにどこかへと歩いていく。
え、何をするつもりなのかな。
「んー、かぐや、暑くないかい?」
「だいじょーぶっ! ……よろず、ぎゅーってしていい?」
「いいよ」
相変わらずくっ付き魔と化しているかぐや。
いやぁ、彩葉が何してるのかがちょっと怖いかもしれない。
本気にさせたら怖いタイプの彩葉だ。